全国の原発再稼働・新(増)設を阻止せよ
安倍極右政府による全国の原発再稼働・新(増)設が続いている。安倍政府―「原子力規制委員会」が制定した原発「新規制基準」の下、電力資本は、次々に、原発再稼働に動いてきた。再稼働のための「安全審査」を「原子力規制委員会」に申請したのは、北海道電力の泊原発1、2、3号機(北海道)、東北電力の東通原発1号機(青森県)と女川原発2号機(宮城県)、東京電力の柏崎・刈羽原発6、7号機(新潟県)、日本原子力発電の東海第2原発1号機(茨城県)、敦賀原発2号機(福井県)、中部電力の浜岡原発3、4号機(静岡県)、北陸電力の志賀原発2号機(石川県)、関西電力の大飯原発3、4号機(福井県)、美浜原発3号機(福井県)、高浜原発1、2、3、4号機(福井県)、中国電力の島根原発2号機(島根県)、四国電力の伊方原発3号機(愛媛県)、九州電力の玄海原発3、4号機(佐賀県)、川内原発1、2号機(鹿児島県)である。再稼働にむけた「安全審査」を申請した原発は、10社15原発25基を数える。まるで「福島第1原発事故」なぞ、最初から存在していないかのごときである。そして、建設中の原発として唯一、「安全審査」を申請しているのが、電源開発(Jパワー)の大間原発(青森県)だ。
電力資本による原発再稼働・新(増)設を強力に後押ししているのが、安倍政府である。安倍政府は、原子力発電を「季節や時間帯にかかわらず電気を供給する『重要なベースロード電源』」なぞと位置づけた。安倍政府の胸中には原発再稼働・新(増)設の強行しかないのは明らかだ。
再稼働の第1弾として、九州電力は、昨年8月に、川内原発の再稼働を強行した。続いて高浜原発の再稼働が目論まれ、関西電力は、1月〜2月、高浜原発3、4号機を再稼働させた。3、4号機は、使用済み核燃料を再処理して取り出したプルトニウムとウランを混ぜたMOX燃料を使う「プルサーマル発電」の原発である。しかし、3月9日に大津地裁が、高浜原発運転差し止めの「仮処分」決定を出したことを受け、翌3月10日に、関西電力は、高浜原発の運転を停止した。司法判断によって運転中の原発が停止するのは初めてのことであった。現在、国内で稼働中の原発は、九州電力川内原発1、2号機のみとなっている。
今年4月14日以降、断続的に続く熊本地震に際し、川内原発について、官房長官・菅や環境相・丸川、そして「原子力規制委員会」委員長・田中俊一らは、労働者人民の側からの危険性の指摘に対して、「停止する理由がない」とあくまでも言い張った。川内原発からわずか50キロの地点には、今回の地震を引き起こしたとされる日奈久断層帯がある。さらに言えば、川内原発には、「地震対策」のために設置が義務づけられているはずの「免震重要棟」がない。「原子力規制委員会」は、原発再稼働の要件の中に「免震重要棟など耐震性のあるものを設置する」と定めている。九州電力は、この「など」を抜け道にし、「ゆくゆくは作ります」として再稼働の許可だけ取り付けて、後は放置するというやり方で済ませている。「原子力規制委員会」も、そんな九州電力の姿勢を容認している。
今年7月には、伊方原発3号機の再稼働が狙われている。四国電力は、6月24日に核燃料搬入を開始し、7月26日にも原子炉を起動して再稼働し、8月中に営業運転を開始するとしている。伊方原発3号機もまた、「プルサーマル発電」の原発である。伊方原発は、熊本地震を引き起こした巨大断層「中央構造線」の延長線上に位置する。熊本地震は、今も収束しておらず、川内原発同様、地震の直撃を受ける可能性が高い。こんな伊方原発なぞ、再稼働させてはならないのだ。
6月20日、「原子力規制委員会」は、運転開始から40年を超えた高浜原発1、2号機(福井県)について、「60年までの運転延長」を認可した。「原子力規制委員会」は、1号機は2034年11月、2号機は2035年11月までの運転を全会一致で認めたのである。もう、メチャクチャである。なりふりかまわぬ全国原発の再稼働・新(増)設を、粉砕しなければならない。
大間原発建設阻止へ
下北半島の先端部にある青森県大間町の大間原発をめぐっては、運営会社のJパワーが、2014年12月に、「原子力規制委員会」に原子炉の「安全審査」を申請した。Jパワーは、原子炉の建設に着手しようとしている。Jパワーは、2015年11月の『審査合格』を当て込み、「2020年完成」「2021年度中の運転開始」に突き進もうとしている。
大間原発は、使用済み核燃料再処理工場(六ヶ所再処理工場)で作られるプルトニウムとウランの混合酸化物粉末を、六ヶ所再処理工場に隣接して建設中のMOX燃料工場において加工して生産されたMOX燃料集合体を炉心全体に用いる「世界で初めてのフルMOX炉」である。「フルMOX炉」は、研究炉での試験的な運転も行なわれておらず、大間原発自体が「実験炉」であり、その危険性は他の原発の比ではない。しかも、MOX燃料にはプルトニウムが含まれているのみならず、燃焼にともないアメリシウム、キュリウムなどプルトニウムと同様に半減期が長く、生体への作用が強いアルファ線を放出する放射性物質を生成させるので、「大事故」が起これば、その影響は、「福島第一原発事故」の比ではない。運転すれば必ず生成される使用済みMOX燃料の後始末の方法すら何ら具体化していない有様である。
こんな大間原発建設に対して、大間現地だけでなく、津軽海峡対岸の北海道函館市でも、広範な反対運動が起きている。北海道函館市による「建設差し止めと原子炉設置許可の無効確認などを求める」訴訟は、現在も続いている。今年6月16日に、函館市付近を震源とする、震度六弱の大きな地震が起き、大間町でも震度四を記録したことも相まって、労働者人民の中で「フルMOX炉」建設への不満が蓄積している。だいたい、この期に及んで「東北・関東大震災」以下の津波、「阪神大震災」以下のエネルギーしか想定できない大間原発なぞ、お話にもなりはしない。
労働者人民の建設阻止闘争の高まりを前に、大間原発工事の進行の遅れが目立つようになっている。昨年7月の段階で、アリバイ作りのはずの『安全審査』が遅れに遅れ、工事を進めることができず、建設作業員もピーク時の5分の1程度しか稼働できない状況に陥り、「雇用創出」を進めて地元の懐柔を進めたいJパワーは、焦りを募らせている。昨年7月、Jパワーは、大間原発の周辺で大規模な追加地質調査を実施する方針を明らかにした。稼働の前提となる「原子力規制委員会」の「安全審査」で、「地質データ不足」の指摘を受けての、アリバイ作りのための措置であった。しかし、その地質調査があまりにもズサンで、「原子力規制委員会」ですらお墨付きが出せないほどのものであった。今年6月24日の「原子力規制委員会」での「適合性審査会合」でも、Jパワーは、敷地内に複数ある地形の変状について「断層活動などはなく、風化した岩盤の体積膨張が成因」と主張したものの、「原子力規制委員会」から「成因」に関しての「データ不足」を指摘する意見が相次いだ。Jパワーは、「大間原発に断層なぞない」と強弁することで、あくまで工事強行を狙っているのだ。
「核燃料サイクル」計画を粉砕し、日帝の核武装を阻止しよう
原発再稼働を推進する安倍極右政府の原子力政策の狙いは、核武装に向けた技術の蓄積と材料の確保である。そのために原発を再稼働し、「核燃料サイクル」計画を強引に推し進めているのだ。原発の再稼働を阻止し、「核燃料サイクル」計画を粉砕し、核武装に向けた日帝の原子力政策を粉砕しなければならない。そのためには、破綻しかけている「核燃料サイクル」計画において「特別の役割」を果たすための建設が強行される大間原発の建設を阻止することが重要だ。
下北半島のつけ根・六ヶ所村にあり、「核燃料サイクル」計画の中核施設である六ヶ所再処理工場をめぐっては、2014年1月に、日本原燃が青森県六ヶ所村の「使用済み核燃料再処理工場」など4施設にむけた「安全審査」を「原子力規制委員会」に申請している。しかし、立地場所自体が地震や火山噴火の直撃を受けかねない、危険極まりないものであり、「審査通過」のメドすら立っていない。6月29日、日本原燃は、「2018年度上期の工場完成」に向け、2016年度内の審査合格を目指す「工程表」を提示した。しかし、「原子力規制委員会」にすら「基礎的な検討が甘い」なぞと言われる有様であり、完成の見込みなぞ、ないも同然である。六ヶ所再処理工場が本格稼働すれば、核兵器に転用可能なプルトニウムを年間4トン生産できると言われる。核爆弾2000発分に相当する量である。六ヶ所再処理工場は、「原発が1年で放出する放射能を1日で放出する」とされ、ひとたび「大事故」が発生すれば、その破滅的影響は「日本全域に及ぶ」と言われる「最悪の核施設」だ。
日帝が「核燃料サイクル」計画を推進するのは、原発を起点とする「核燃料サイクル」の技術と、核兵器製造の技術とが共通しているからだ。核兵器製造のための技術と材料とプラントを開発し、核兵器の材料であるプルトニウムを大量に製造し保有したいからだ。日帝は、核武装への強い衝動をもって原子力政策を推進し続けているのだ。
「福島第1原発事故」は、いまだに収束していない。福島第一原発の建屋内にあった核燃料は、「すべて溶け落ちた」との指摘がなされているが、実態は、未だ不明のままである。「福島第1原発事故」の現場では、「事故収束」どころか、日々生み出される「汚染水」の処理も満足にできない状況にある。東京電力は、「汚染水対策」の「切り札」として「凍土壁」建設を打ち出し、今年4月から運用を開始しているが、2ヵ月たった6月の段階で、いまだに凍結が完了していない。ただでさえ放射能汚染にまみれる中での過酷な労働を、今日も原発労働者が担わされているのだ。
安倍政府は、福井県の高速増殖炉・「もんじゅ」について、「新法人による存続」方針を決定し、文部科学省は、夏までに新たな運営主体を選定しようとしている。「もんじゅ」は、初臨界から22年が経過したが、延べ二百数十日しか動いていない。それでも、年に200億円もの維持費がかかる。採算すらとれないはずの原子力産業を、安倍政府は、「国策」として全面的に運営しようとしているのだ。そして、安倍政府は、MOX燃料を使った発電を何としても軌道に乗せることで、47トンものプルトニウム保有を正当化しようとしている。すべては核武装のためだ。
労働者人民の被曝なしには存在しえない原発は、即時に停止―廃止しなければならない。核武装のための原子力政策はただちに葬り去らねばならない。大間原発建設阻止の現地実力闘争に決起せよ。六ヶ所再処理工場の本格操業を阻止し、「核燃料サイクル」計画を粉砕せよ。原発再稼働・新(増)設を阻止し、全ての原発の即時廃止をかちとれ。日帝の核武装と対決する反原発・反核燃闘争の爆発をかちとれ。
日帝の核武装と対決し、8・6大間原発建設阻止現地闘争の大爆発をかちとれ。
8・6 大間原発建設阻止現地闘争
日時 8月6日(土) 午前8時半(予定)
場所 大間現地
主催 全国反戦・全学連
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