5・19、参院法務委員会採決阻止を闘う
5月19日、午前8時30分から、参院議員会館前において、「破防法・組対法に反対する共同行動」等の呼びかけで、「刑事訴訟法」等改悪阻止の全日国会前行動が闘われた。この日の夕方、参院法務委員会で「刑事訴訟法」等改悪案が強行採決されるという状況の中で、文字通り緊迫した国会前行動になった。午前8時30分から、参院議員会館前での座り込み、情宣を開始し、併せて9時30分まで、地下鉄永田町駅、国会議事堂前駅でのビラまきをやり、正午から、この間、「刑事訴訟法」等改悪阻止の闘いを推し進めてきた市民・法律家・刑事法研究者8団体の緊急集会が開催された。集会には、「刑事訴訟法」等改悪法案に反対している弁護士、国会議員、「盗聴法」の拡大と「司法取引」の導入に反対する刑事法研究者、市民、ジャーナリストなどが駆けつけ、反対の声を上げた。午後3時から参院法務委員会の傍聴闘争、午後3時半からは抗議のフリートークが連続して行なわれた。国会前の座り込みを続けながら、夕方5時ころから法務委員会での強行採決を許さないと緊急の抗議集会が持たれ、強行採決されたとの情報に、国会前をうめた労働者・市民から弾劾のシュプレヒコールが国会に向けて叩きつけられる。衆院での審議時間の3割程度の拙速審議で、審議も尽くさず、冤罪被害者の声も無視して強行された採決に、怒りの声が国会に響き渡り、午後6時過ぎに国会前全日行動を終えていった。
5・20、参院本会議採決阻止を闘う
翌5月20日、午前8時30分から、「破防法・組対法に反対する共同行動」等の主催で、参院本会議での「刑事訴訟法」等改悪案の強行採決阻止の国会前行動が闘われた。参院議員会館前での座り込み、情宣、国会周辺駅でのビラまきが行なわれ、昨日の参院法務委員会での強行採決を弾劾し、午前10時から行なわれる参院本会議での強行採決を阻止しようとの訴えがなされた。
正午から、昼集会が持たれた。最初に、「破防法・組対法に反対する共同行動」の事務局から提起がなされる。
「10時からの参院本会議に『刑事訴訟法』等改悪案が上程され、強行採決された。徹底糾弾する。内容的には、『盗聴法』の全面改悪と『刑事訴訟法』の改悪の2つに分かれるが、戦後の『治安体系』あるいは『刑事司法体系』を抜本的に転換しかねない攻撃であるとして全力で闘いぬいてきた。非常に残念な結果であるが、こうした『治安立法』『治安体制』の強化との闘いは継続して闘いぬいていく」。
次に、参院本会議を傍聴してきた仲間からの強行採決に対する怒りの報告、集会に参加している団体の発言がなされ集会を終え、最後に、国会に向けシュプレヒコールを叩きつけ、国会前行動を終えていった。
「刑事訴訟法」等改悪案は、「盗聴法」全面改悪と「ニセ可視化」、「司法取引」、「証人隠し」等を導入した「刑事訴訟法」改悪とを一括にして強行採決されている。
改悪「盗聴法」粉砕
1999年8月に成立した「通信傍受法」=「盗聴法」は、「盗聴法」成立阻止の圧倒的な労働者・市民の闘いによって、成立はしたものの、警察・検察当局にとっては、使い勝手が悪いと悪評の法律である。その「盗聴法」改悪をもくろみ、単独ではまた改悪を阻止されるのではとの思惑の中で、今回の「刑事訴訟法」改悪に組み込まれたのだ。今回の「盗聴法」改悪は、対象犯罪を、現行法の薬物、銃器、集団密航、組織的殺人の4類型から、窃盗、詐欺、傷害などを含む一般犯罪に大幅に拡大すると共に、手続きについても、現行法の「通信事業社で通信事業者の立ち会いの下で『通信傍受』を行なう」ことをなくし、第3者機関による監視も必要とせず、「盗聴」の対象となる通信は自動的に警察署に送信され、いつでも好きな時に「盗聴」できるという状態を作り出すものとなっている。犯罪対象を、一般的な犯罪にまで広げ、共謀関係にある2人以上であれば誰でも当てはまり、反戦運動、労働運動、市民運動など、広範に適用することを想定したものになっているのだ。警察権力がいつでも好きな時に、立ち会いも無く、警察署で「盗聴」できる改悪「盗聴法」を許してはならない。
「盗聴法」改悪こそ、次の臨時国会に上程されようとしている「共謀罪」新設になくてはならない悪法なのだ。実行行為ではなく、実行行為がなくても「共謀」したというだけで、罪に問われる「共謀罪」にこそ、「盗聴」で、だれそれと話をしたということを立証することが必要なのだ。あるいは、今後、導入を狙っている「室内盗聴」も見据えて必要な改悪なのだ。また、今の「盗聴」は、「司法盗聴」であるが、警察の権限で盗聴ができるように「行政盗聴」をも視野にいれた攻撃が激化してくるだろう。絶対に許してはならない。
有罪にするためにだけ利用される「取り調べの『可視化』」粉砕
一方、「刑事訴訟法」改悪で導入される、「取り調べの『可視化』=録音・録画」は、全公判事件の3パーセントに過ぎない裁判員裁判対象事件と検察官独自捜査事件に限定され、「記録をすると被疑者が十分に供述できないと認めるとき」など大幅な例外が設けられて、警察・検察が恣意的に利用することができる。捜査官の判断で記録しなくてもよい例外は無数にあり、暴力的な取調べ、虐待、捜査官との雑談、甘言などは、録画されない。「自白」内容を実質証拠として、有罪にするためにだけに利用され、利用する警察・検察の武器なのだ。
今年4月8日に判決があった「今市事件」は、「一部可視化」を先取りした録音・録画の一部が裁判員裁判で上映され、無実の「被告」に対し「無期懲役」という有罪判決がだされた。この裁判で、裁判員たちは、「録音・録画の再生がなければ今回の判断はなかった」「映像なしに状況証拠のみの裁判だったら結果が変わっていたと思う」などと語っている。「今市事件」の「被告」は、公判で、「自白すれば罪が軽くなると言われた」「殺していないと言ったら平手打ちされた」などと、捜査段階での自白の誘導・強要を訴えたが、そんな場面の録画は、一切出されず、「犯罪を自白」している場面しか放映していない。冤罪を拡大する「一部可視化」導入を許してはならない。
「売り渡し」を奨励する「司法取引」粉砕
「司法取引」は、「証拠収集等への協力及び訴追に関する合意制度の創設並びに刑事免責制度の創設」というもので、「他人の犯罪にについて情報提供すれば、罪をのがれられる」という「売り渡し」の奨励である。転向強要と転向証言によって団結を破壊していく攻撃だ。
「犯罪被害者等及び証人を保護するための措置」は、敵性証人、スパイ、転向証人などを保護することを徹底している。警察官が証人になった場合など、名前も、住所も、顔も徹底して秘匿できる。必要ならば、弁護人にも開示する必要がない、というものだ。「ビデオリンク」もまた、その法廷に出なくても証言できるというものだ。弁護人・被告人には、どういう人物が証言しているのかまったくわからず、反証すらままならず、重刑攻撃が待っている。こんなことを許してはならない。
「共謀罪」新設を絶対阻止
そのほか、「弁護人による援助の充実化」(国選弁護制度の対象事件を拡大し、弁護士への国家統制を行なうもの)、「証拠開示制度の拡充」(「公判前整理手続き」を前提としており、「被告」に不利)、「その他」があがっているが、国家権力にとって都合の良い改悪であり、許すことはできない。
朝鮮反革命戦争とファシズムへの突入情勢下、安倍極右政府は、何が何でもこの「刑事訴訟法」等改悪を強行しようと突進し、ついに、5月20日、衆院法務委員会での再採決、5月24日、衆院本会議での再採決をもって強行成立させた。
朝鮮反革命戦争突入前夜情勢のこの時、革命的反戦闘争を闘い、安倍政府打倒の闘いを推し進める内戦勢力をつぶし、労働者人民を戦争に動員するためには、革命党派と闘う団結を解体し、組織を潰していくことが不可欠となる。この法案を成立させ、警察、検察が、やりたい放題に盗聴し、「司法取引」で仲間や指導部を売り渡させ、組織中枢を弾圧する、組織・団体への潜入捜査、スパイ工作など、弾圧のやりたい放題にする。戦後の「刑事司法体系」をも転換させる「刑事訴訟法」等改悪強行を徹底弾劾し、反革命弾圧を完黙・非転向で打ち返し、粉砕しよう。臨時国会に上程されようとしている「共謀罪」新設を断固阻止しよう。
|