寄せられた連帯メッセージの紹介
沖縄・首里日雇労働組合(沖日労)が主催した沖縄日雇いメーデー討論集会は、5月1日、那覇市内の市民会場で開催された。
開会時刻の午後1時を前に、多くの日雇い労働者たちが席を埋め尽くし、熱気が会場にみなぎる。沖日労執行部の仲間の司会のもと、「日雇いメーデーを闘うぞ」、「『反戦・仕事よこせ』の闘いをやりぬくぞ」、「沖日労は闘うぞ」という力強いシュプレヒコールを参加者全体であげて、集会を開始する。
まずは、討論集会に寄せられた連帯メッセージの紹介だ。東京・山谷日雇労働組合からは、「2020年東京オリンピック開催に向けて、ドヤが外国からの旅行者向けのホテルに建て替えられる動きが続いており、山谷を『日雇い労働者の町』から新たな金儲けの場所へと再開発することと連動して、センターの日雇い・野宿労働者の仕事紹介からの排除攻撃があることは明らかだ。われわれは、これまでの建設日雇い労働者だけでなく、新たに山谷に辿り着いた『非正規雇用』で使い捨てにされた労働者も含めて生きていける町にするために、闘いぬいていく。寄せ場・日雇い労働者の底力を発揮して、2016年を闘いぬこう」というメッセージが寄せられた。「反戦・反失業を闘う釜ヶ崎労働者の会」からは、「春闘で俺たちは、
釜ヶ崎で、唯一、業者(資本)に対して『大幅な賃上げ』と『労働条件の改善』を求め、『春闘要求書』を突きつけ闘った。大阪府、大阪市、大阪労働局(国)に対しては、『仕事よこせ』、『センター縮小・移転=釜ヶ崎解体攻撃粉砕』をかかげ闘いぬいた。寄せ場の主人公は俺たちだ。俺たちの命と生活をないがしろにすることを断じて許さない。釜ヶ崎解体攻撃に対して、団結をさらに強め粉砕する」、福岡・築港日雇労働組合からは、「4月15日、元・原発労働者・梅田隆亮氏が、労災認定を求めて国を提訴した裁判の判決が、福岡地裁であった。判決は、梅田氏の心筋梗塞発症と原発労働での被曝との因果関係をまったく認めない不当判決だ。福日労は、ますます闘志を燃やして控訴審に臨む梅田氏を支え、反原発の闘いをやりぬく。全世界の労働者の闘いに連帯して、ともにメーデーの取り組みをやりぬこう」というメッセージが寄せられた。
「沖縄における労働情勢」
次に執行部から、「沖縄における労働情勢」、「沖日労の取り組みの報告と課題」が提起された。
「沖縄における労働情勢」では、「これまで日雇い労働者は、社会の最底辺での労働と生活を強いられてきたが、『労働規制の緩和』のもとで、低賃金、長時間労働、不安定就労が全労働領域に拡大し、日雇い労働者が強いられてきた過酷な境遇が、今や全労働者に押しつけられようとしており、『アベノミクス』は、『労働基準法』改悪策動―8時間労働制の解体攻撃が示すように、これを極限まで推し進めるものである」こと、「とりわけ、沖縄は、最低賃金(2014年で693円 全国平均798円)、完全失業率(2015年度で5・4パーセント 全国平均3・6パーセント)、『非正規』率(2012年で44・5パーセント 全国平均38・2パーセント)、『ワーキングプア』率
(2012年で25・9パーセント 全国平均9・7パーセント)、貧困率(2012年で34・8パーセント 全国平均18・3パーセント)のどれをとっても、『全国ワースト・ワン』の状況にある」ことなどが、怒りを込めて明らかにされた。そして、「こうした数値に示される『沖縄の貧困』とは、基地問題と表裏一体の問題であり、両方とも、戦後の沖縄売り飛ばしに始まり、現在に至るまでの日帝の統合―差別支配の結果である」こと、「『オール沖縄』のもとへの集約を超えて、資本に対する闘いがぜひとも必要である」こと、「最下層の労働者の起ち上がりこそ、窮乏化と戦争を阻止し、統合支配を打ち砕き、沖縄解放を実現する真の力であり、辺野古新基地建設阻止の闘いの帰趨も、そこにかかっている」ことが提起され、熱烈な拍手で確認された。
「沖日労の取り組みの報告と課題」
「沖日労の取り組みの報告と課題」では、4月に沖日労が行なった、沖縄労働局に対する「日雇い雇用保険制度」、「建設業退職金共済制度」をめぐる申し入れ、沖縄「県」、那覇市に対する「公的就労対策事業」をめぐる申し入れついて、報告を受けた。労働局に対する申し入れは、沖縄における両制度の普及の実態と、普及に向けた労働局の取り組みの実績を明らかにするよう求めるものである。沖縄「県」、那覇市に対する申し入れは、日雇い労働者の慢性的な失業状態とその結果としての野宿、野垂れ死にを許さないために、日雇い・野宿の労働者のための「公的就労対策事業」を、「県」と市の共同事業で行なうよう求めるものだ。これらの申し入れを突破口に、5月以降、3者に対する追及を強めていくこと、集中行動が入った際には市内の日雇い労働者の大結集で闘うことが提案され、圧倒的な拍手で確認された。
続いて、議事は、この2つの提起をもとにした「全体討論」に移る。「日雇い雇用保険制度という制度があることを、今まで聞いたことがない。どうして沖縄では普及していないのか。労働局がサボっているということか」、「公的就労対策事業というものがあったら、本当にいいと思う。どういう運動をやったらいいのか」などなど、議論は白熱する。行政を追いつめる粘り強く強力な闘いを造っていくことを、全体でしっかりと確認する。
最後は、「行動方針の提案」だ。執行部の仲間が、「『反戦・仕事よこせ』の闘いが、沖日労の闘いの2大基軸だ」と強調しつつ、第1に、「仕事よこせ、1人の野垂れ死にも許すなの闘い」として、「沖縄労働局、那覇市、沖縄県に対する行動を強めよう」、「与儀公園での月2回の炊き出しをやりぬこう」、第2に、「反戦の取り組み」として、「名護新基地建設を阻止するために、辺野古現地への集中を強化しよう」、「5・15闘争を闘おう」と、熱く呼びかけた。
行動方針を全体で確認し、最後に力強く「団結ガンバロー」を行なって、討論集会は締めくくられた。
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