全労交顧問の佐久間忠夫氏が連帯メッセージ
5月1日、東京・山谷日雇労働組合は、東京都人権プラザで山谷メーデー集会をかちとった。集会は、多くの山谷労働者、支援の仲間が結集し闘いとられた。
正午、司会の仲間が開会のあいさつをを行ない、集会の成功にむけたシュプレヒコールをあげる。
まず、山谷メーデー集会に対して、元国鉄労働者で全国労働組合運動交流会(全労交)の顧問の佐久間忠夫氏の連帯メッセージが紹介された。佐久間氏は、「今、労働組合の組織率が低下し、安倍による『官製春闘』などという言葉が使われ、労働組合運動の影響力が低下しています。しかし、労働組合運動は、組合員の数だけが増えれば良いというものではありません。組合員1人1人が『執行部まかせ』にせず、自分で考え、行動する組織を作り上げてゆかねばなりません」「人間が学歴のあるなしで評価されてはならないし、『弁が立つ人には勝てない』という状況であってはなりません。それでは強い労働組合は作れません。強い労働組合とはどういうものか、それをどうやって作るのかを、メーデーに当たって、是非話し合って欲しいと思います。生き生きとした労働組合運動の建設にむけて、皆さんが討議し、行動されることを期待します」。
全国寄せ場からの連帯アピール
全国の寄せ場でメーデーの行動に取り組んでいる各日雇労働組合、「労働者の会」からの連帯アピールが代読される。「反戦・反失業を闘う釜ヶ崎労働者の会」は、「春闘で俺たちは、釜ヶ崎で、唯一、業者(資本)に対して『大幅な賃上げ』と『労働条件の改善』を求め、『春闘要求書』を突き付け闘った。大阪府、大阪市、大阪労働局(国)に対しては、『仕事よこせ』『センター縮小・移転=釜ヶ崎解体攻撃粉砕』と闘いぬいた。「寄せ場の主人公は、俺たちだ。俺たちの命と生活をないがしろにすることなど断じて許してはならない。釜ヶ崎解体攻撃を絶対に許さず、団結をさらに強め粉砕する」。福岡・築港日雇労働組合は、「安倍は、首相に一切の権限を集中させる『国家緊急権』導入という、ナチスのヒットラーばりのやり口で、改憲を狙っている。さらには、『一億総活躍』のかけ声のもと、ますます全国の多くの労働者が、俺たち寄せ場―日雇い労働者と同じような境遇に追いやられている。反戦・反失業の闘いをやりぬいている俺たちこそが、全国労働者の先頭に起って闘おう。本日のメーデーを、俺たちも天神におけるデモで、山谷の仲間たちとともに闘います」。沖縄・首里日雇労働組合は、「『沖縄の貧困』とは、沖縄の労働者が置かれた低賃金、長時間労働、不安定就労という、過酷な労働条件の問題であり、根本的には基地に占領され、圧迫された経済構造の問題に他なりません。貧困問題と基地問題は、一つの問題の裏表であり、両方ともに、米帝への沖縄売り飛ばしと、その後の日帝による統合支配=同化・差別攻撃の結果に他なりません」「最下層の労働者人民の起ち上がりこそ、安倍政府の朝鮮反革命戦争とファシズムへの突撃を打ち破る真の力です。名護新基地建設阻止の闘いの帰趨も、そこにかかっていると確信しています。皆さんの健闘と山谷メーデー集会の成功を願っています」。
東京都地域連合労組が連帯メッセージ
山谷メーデー集会に寄せられた東京都地域連合労働組合の連帯メッセージが読み上げられる。「私たちは、この間、山谷での越年・越冬闘争、夏祭りの支援、フィリピン・トヨタ争議の支援など、闘う労働者の支援活動を行なってきました。また、『日の丸』『君が代』の強制に反対する教育労働者と連帯し、処分発令抗議行動や、都立高校の卒業式でのビラまきをやりぬいてきました」「安倍は、日本労働運動を『一億総活躍社会』などという『富国強兵』政策を支える労働運動=「産業報国会」型労働運動へと一挙に転落させようとしています」「山谷でのメーデー集会は、政府や資本の言いなりになる『連合』や『全労連』のメーデーとは区別されて、いかに少数であろうと、政府・資本に徹底して対決し、寄せ場労働者、『非正規雇用』労働者、最底辺の労働者の命と権利を守るために闘われてきました」「『反戦・仕事よこせ』を闘いぬく東京・山谷日雇労働組合と今後も結びつき闘うことを決意して連帯のメッセージとします」。
東京・山日労が基調提起
東京・山日労が山谷メーデー集会の基調を提起する。基調では、第1に、「8時間労働制」をはじめとする労働者の権利は、多くの労働者が血を流して闘ったからこそかちとられたものであること。資本の側は常にこれを奪い取ることを狙って攻撃を仕掛けてくるのであり、資本との協調路線は労働者がかちとってきた歴史的権利を投げ捨てるものであるとして、資本との非和解の闘いの重要性が提起され、第2に、昨年の「安保法制関連法」制定によって、労働者の戦争動員攻撃が民間船舶会社の労働者を「予備自衛官」とする攻撃として具体的に始まっており、「反戦・反失業」を基調にして闘ってきた東京・山日労の闘いをさらに強化・拡大する必要性が、そして、第三には、具体的な山谷の闘いの課題が「1、センターの『利用者カード』発行拒否―仕事紹介からの排除攻撃」「2、2016年春闘―山谷での求人業者への春闘要求行動」「3、寄せ場春闘集中行動の報告」「4、2020年東京オリンピック開催を契機にした山谷の再開発―日雇い・野宿労働者の排除攻撃との対決」として提起された。この基調提起をうけて、活発な討論が行なわれ、それぞれの課題をめぐった方針が深化された。討論の集約として、「『アベノミクス』によって労働者の『非正規雇用』化、貧困化が強まっているが、これは『反戦・反失業』を基調にした俺たちの闘いとすべての労働者が団結して闘う契機でもある。あらゆる闘いの現場に東京・山日労の赤旗を翻させ、闘いの強化・拡大をかちとっていこう。全国労働組合運動交流会の一層の拡大を実現し、日本―全世界を貫く労働者の階級的団結と闘いを作り上げよう」と呼びかけられ、参加者全員が「ヨシ!」の声で応えた。
休憩をはさんで、後半は、「原発導入のシナリオ」と「山谷(やま)―やられたらやりかえせ」の上映だ。
「原発導入のシナリオ」「山谷(やま)―やられたらやりかえせ」を上映
「原発導入のシナリオ」は、広島・長崎で原爆投下によって核の被害を受けたにもかかわらず、何故、日本が「原子力の平和利用」を名分にして原発を導入したのかを描いたドキュメントだ。その中では、第2次大戦後の中国革命、朝鮮戦争という労働者人民の闘いの前進に恐怖した帝国主義者どもが、日本を「反共の砦」とするために、「原発導入による電力不足の解消―困窮生活の改善が日本の共産主義化を阻止できる」として世論工作を行なった経過などが描かれている。映像を見た労働者は、「安全神話」のデッチ上げと被曝労働の強制をもって日帝が核武装を核心とする原子力政策を強行することへの怒りを改めて強くした。
「山谷(やま)―やられたらやりかえせ」は、東京・山日労が主催する集会のたびに上映されている。その理由の一つは、歴史的な山谷の闘いを知らない労働者や、『非正規雇用』などで働いた末に職を失い、山谷に辿り着く若い労働者が集会に参加してくるからだ。金町一家との体を張った実力攻防や「一人の野垂れ死にも許さない」を合言葉に闘われてきた越年・越冬闘争、「狩り込み」によって宇都宮病院に入れられ暴行を受けた労働者を先頭にして闘いぬかれてきた宇都宮病院包囲糾弾闘争などの映像に触れ、山谷は日雇い労働者が主人公の町であることを再確認し、金町一家解体戦、毎週金曜日の対金町朝行動、2・11「建国記念の日」粉砕闘争を闘う意義を確認していった。
山谷メーデー集会参加者は、連帯メッセージの一つ一つ、基調提起と討論、2本の上映を通して、あらためて「黙って野垂れ死ぬな!」「生きてやり返せ!」の合言葉とともに闘われてきた寄せ場労働運動の意義を確認し、東京・山日労の赤旗の下に団結して闘うことを決意した。集会は、最後に、司会の仲間の音頭で「団結ガンバロー」を三唱し、成功裏に締めくくられた。
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