石川氏不当逮捕53ヵ年糾弾
1963年5月23日、埼玉県狭山市で起こった「女子高生誘拐殺人事件」の「犯人」として、無実の部落民=石川一雄氏が不当逮捕された。5月1日、行方不明となった女子高生宅に届けられた「脅迫状」をもとに、身代金を受け取りに来た「犯人」を警察は40人以上で包囲しておきながら取り逃がす。警察権力への非難が集中する中、当時の国家公安委員長の「生きた犯人を捕まえろ」という号令のもと、マスコミや住民をも動員して被差別部落への予断と偏見を煽りたてながら、狭山市内の被差別部落に捜査を集中させる。当時日雇いだったためにハッキリとしたアリバイがなかった石川氏に目をつけ、5月23日早朝、寝込みを襲うように別件で不当逮捕しさった。警察での取り調べは女子高生殺害に集中した。連日連夜に渡る拷問的取り調べを行ない、「おまえのかわりに兄を逮捕する」「やったといえば10年でだしてやる。男の約束だ」などとウソとペテンで「自白」を強要したのだ。絶対に許すことはできない。
「狭山事件」は、捜査段階から逮捕、取り調べ、裁判のすべての過程において部落差別に貫かれている。不当逮捕から53年たった今なお、石川氏は「見えない手錠」でつながれたままである。石川氏の怒りと無念をわがものとし、石川氏不当逮捕53ヵ年を怒りも新たに徹底糾弾しよう。第3次再審闘争は、最大の正念場を迎えている。全国学園、職場、地域で闘う仲間を組織し、5・24狭山中央闘争に総決起しよう。第3次再審棄却阻止、狭山闘争の歴史的勝利へ進撃しよう。
狭山第3次再審は、2006年5月23日の請求から丸10年を迎える。東京高裁と東京高検、狭山弁護団による「3者協議」も、2009年の開始以来、3月4日の開催で27回を数えるに至った。担当裁判官は度々交代し、現在は、植村稔である。
狭山第3次再審では、2010年5月以降、185点の証拠が開示された。この間、狭山弁護団は、開示証拠をもとに、石川氏の無実と警察による証拠捏造を、明らかにしてきた。狭山弁護団が提出した新証拠は、182点を数えるに至っている。
狭山弁護団は、2月26日付けで、「秘密の暴露」とされた被害者宅付近の駐車車両の目撃について、三宅洋一千葉大学名誉教授の鑑定書、実験報告書、再審理由補充書を提出した。画像解析の専門家である三宅氏が、狭山現地で、午後7時~7時40分の時点で、約64メートル離れた場所からの車両の識別ができないことを科学的に明らかにしたものである。寺尾判決が認定した、石川氏の「自白」に基づく「秘密の暴露」が、また一つ崩されたのである。
しかし、東京高検の居直りは、相変わらず度し難い。前回の第26回「3者協議」で狭山弁護団が東京高検に対し、「秘密の暴露」とされた脅迫状を届けた時の「車の追い越し」「車の駐車の目撃」について強く証拠開示勧告申し立てを行なったが、東京高検は「不見当」なる回答を示した。狭山弁護団は、東京高検に「当初から存在しないのか」「存在しない理由や経緯を説明すべき」と突きつけると、東京高裁も同調して、東京高検に対し、書面で回答するように検討を求めた。しかし、3月4日の第27回「3者協議」において、東京高検は、「これらの証拠は不見当であり、当初から存在していたかどうかは不明だ」とする無責任極まりないな意見書を出してきた。東京高検は、「狭山事件」発生直後の複数の警官による被害者宅周辺の聞き込み捜査をまとめた捜査報告書の証拠開示についても、「不見当」とした。さらに、埼玉県警など東京高検以外で作成された証拠物一覧表の開示要求についても、「開示の必要はない」として拒否した。そして、狭山弁護団が開示を要求していた「万年筆」「財布」「手帳」関係の証拠開示について、東京高検は「検討する」と回答した。次回の第28回「3者協議」は5月下旬の予定である。
狭山第3次再審棄却を阻止せよ
東京高裁・植村は、検察に対してまったく手ぬるい態度をとりつづけ、自らは事実調べも証拠調べも行なおうとしていない。棄却のタイミングを虎視眈々と狙っていると言わざるを得ない。東京高裁・植村は、今なお、証拠開示命令も出そうとせず、事実調べも行なう気配すら見せない。東京高裁・植村がいつ「3者協議」を打ち切り、再審請求棄却に踏み込むか、予断を許さない。そんな東京高裁の姿勢を見透かす東京高検は、狭山弁護団の指摘する物的証拠の存在について、一貫して「不見当」なる回答を繰り返すのみである。先に開示された領置票にしたところで、開示されたのは279点(既開示235点、未開示44点)の証拠物の名前と数量を書いたものに過ぎない。あくまで高検が保管している証拠物のリストであり、弁護団が強く求めているルミノール検査報告書、手拭い配布捜査メモ、八ミリフィルム等の捜査関係資料、取り調べ録音テープ、供述調書、添付地図等の取り調べ関係資料は含まれていない。積み上げれば2メートル~3メートルになると言われていた全証拠についての票目とはまるで違うのだ。東京高検に全証拠開示を迫る闘いをやりぬかなければならない。さらに、東京高検以外の場所にある領置物のリストもただちに開示させなければならない。
司法権力は、どんなに石川氏無実の証拠が提出されようと、これをすべて却下してきた。誰よりも国家権力は、石川氏の無実を承知している。にもかかわらず、反革命差別判決を打ち下ろし続けてきた。それは、狭山闘争が戦闘的部落青年・大衆と労働者人民との階級的共同闘争と大衆的実力闘争・武装闘争で部落解放運動の飛躍を切り拓き、国家権力糾弾・打倒の闘いとして闘いぬかれてきたことに何よりも恐怖しているからだ。だからこそ、日帝国家権力は、狭山闘争の解体を狙い、差別裁判、階級裁判を強行し続けているのだ。部落解放運動総体を解体してファシズム融和運動へと再編し、戦争翼賛勢力へと組み込みながら、すべての労働者人民の闘いを体制内化・翼賛化へと一気に落としこめるための攻撃に他ならない。
狭山闘争は、差別裁判、階級裁判を強行し続ける国家権力を徹底糾弾し、打倒する闘いである。司法―国家権力への闘いを放棄して勝利をかちとることはできない。石川氏の無実は揺るぎのないものであり、裁かれるべきは国家権力なのだ。
激発する部落差別事件を糾弾し、部落解放運動の革命的飛躍・前進を
「3者協議」にのめり込み、「司法の民主化」運動、「冤罪」路線へとすり替えながら狭山闘争を幕引きしようとする部落解放同盟内社民・こえ派の制動を踏み越え、「石川の命、我が命」「1人は万人のために、万人は1人のために」という狭山思想を前面に押し出し、闘いをさらに強化・拡大しなければならない。石川氏は、77歳を迎えており、不当逮捕から53年の今年、石川氏の決意に応える闘いを緊張感を持ってやりぬいていかなければならない。石川氏に「見えない手錠」をかけ続け、差別裁判を強行し続ける司法―国家権力に対する「公正・中立」幻想を一切捨て去り、〈差別裁判糾弾、階級裁判粉砕、国家権力糾弾・打倒〉の旗幟を鮮明に、戦闘的部落青年・大衆と連帯し、階級的共同闘争、大衆的実力闘争・武装闘争の爆発で、第3次再審棄却を阻止し、第3次再審闘争勝利へ進撃しよう。狭山闘争の歴史的勝利をかちとろう。
資本主義の危機の深化の中で、部落差別落書き、差別ハガキなどの事件は後を絶たず、インターネットを使った悪質な差別煽動が繰り返されている。
新たな「部落地名総監」のバラまきが、極悪差別者によって強行されようとしている。「鳥取ループ」=宮部龍彦なる「ジャーナリスト」を名乗る輩が、「部落地名総監」の元となった、日帝・内務省(当時)作成の「昭和11年『全国部落調査』」の復刻版を、今年4月に「示現社」なる出版社よりインターネットで販売しようと画策してきた。この「全国部落調査」は、全国の約5400の「同和地区」が明記され、さらに代表的な苗字まで記載されており、断じて出版させてはならない極悪な差別本である。部落解放同盟が「全国部落調査」出版差し止めに動いた結果、3月28日に神奈川県に本社のある「示現社」に対し、横浜地裁が、出版・販売を禁止する仮処分決定を出した。しかし、「鳥取ループ」側は、今度は、仮処分決定に関連した書類一式を、ヤフー株式会社が運営するインターネット上でのオークション(=「ヤフオク」)に出品する暴挙に出た。部落解放同盟は、ヤフー社に出品取り消しを要請したが、誠意ある対応がなく、ヤフー社への抗議を行なっている。
部落解放同盟内社民・こえ派は差別事件に対する「告訴・告発」を全面化している。しかし、「告訴・告発」の方針化は、差別糾弾闘争を破壊し、差別者を擁護し、部落差別を拡大させるだけであり、何も解決しない。全国で激発する差別事件に対しては、全国水平社の差別糾弾の思想を引き継ぎ、徹底した差別糾弾闘争で闘いぬくことこそが必要だ。部落解放同盟内社民・こえ派の「告訴・告発」方針を踏みしだき、差別糾弾闘争の復権をかちとろう。特に、「鳥取ループ」=宮部龍彦なる輩や、「在特会」などファシストどもによる、法的手段を屁とも思わぬ悪辣な差別煽動に対しては、その極悪ぶりにふさわしい怒りの鉄槌を準備してやらなければならない。部落解放運動のファシズム融和運動への転換攻撃を粉砕し、日帝の朝鮮反革命戦争突撃と対決する部落解放運動の革命的飛躍を切り拓こう。部落差別の根底的廃絶、部落の根本的解放へ闘おう。
安倍極右政府は、差別主義・排外主義を煽るだけ煽り、朝鮮反革命戦争へと突撃しようとしている。安倍政府は、昨年12月、日韓政治決着による元「従軍慰安婦」の闘いへの新たな敵対・破壊攻撃に踏み込んだ。そして、日帝と天皇の戦争責任・戦後責任を居直り、追及しつづけるアジア労働者人民の闘いを圧殺しようと狙っている。こんなことを断じて許してはならない。
戦争遂行の安倍極右政府を打倒し、日帝国家権力を解体しよう。差別主義日共=全国人権連を解体しよう。差別主義反革命革マルを解体・絶滅し、天皇主義右翼ファシストを撃滅しよう。
5・24
石川氏不当逮捕53ヵ年糾弾!
狭山中央闘争
▶午後1時 日比谷野外音楽堂
▶主催 狭山事件の再審を求める市民集会実行委員会
※集会後デモ
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