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東北関東大震災被災労働者人民支援大運動を

4・5「君が代」不起立被処分者に対する「再発防止研修」粉砕闘争が闘われる (1179号4面)

司法判断さえも無視して思想転向をせまる「再発防止研修」

 2015年度卒業式において、「日の丸」「君が代」を強制する東京都教育委員会の「10・23通達」と対決する教育労働者4人が、「君が代」不起立を闘った。この闘いに対して都教委は、3月25日付けで3人の教育労働者に戒告処分を発令した。4人のうち、これまでに9回の不起立を闘っている石神井特別支援学校の田中聡史氏は、3月24日に不起立決起し、翌25日に事情聴取が強行されたが、処分は未だ発令されていない。

 都教委は、処分を発令した2人に対して、4月5日、東京都教職員研修センターに呼び出し、「服務事故再発防止研修」(再発防止研修)の受講を命令した。処分された3人のうち、1人は退職のため「再発防止研修」の対象になっていない。当該の教育労働者2人は、東京「君が代」裁判4次訴訟原告であり、東京地裁で処分取り消しを求めて係争中である。係争中の事案について「服務事故」と決め付け、命令で「研修」を課すことは、「学校教育法」「教育公務員特例法」が定める「研修」の趣旨から逸脱するものであり、司法判断さえも無視して思想転向をせまる攻撃だ。絶対に許してはならない。

 4月5日、早朝から都教職員研修センター前には田中聡史氏をはじめとする教育労働者など60人が、駆け付け、都教委に対する抗議と当該のK氏、Y氏を激励する行動に起ち上がった。この日の行動には、東京・山谷日雇労働組合の仲間も合流した。

 午前8時20分、この日の行動を呼びかけた「『日の丸・君が代』不当処分撤回を求める被処分者の会(被処分者の会)」の岩木共同代表が司会を務め、早速、門前での抗議集会が開始される。集まった仲間たちが怒りのシュプレヒコールを立ちはだかる都教委職員に対して浴びせかけた。「『再発防止研修』反対!」「『再発防止研修』を中止しろ!」「転向を強制するな!」「思想・信条の自由を守れ!」「思想・良心の自由を侵すな!」「教育の自由を守れ!」「すべての処分を撤回しろ!」「『10・23通達』を撤回しろ!」「被処分者とともに闘うぞ!」。

「都教委に道徳とか規範意識を語る資格はありません」

 「被処分者の会」の近藤徹事務局長が当日の行動提起を行ない、「再発防止研修」の狙いを暴きだす。「本日の『再発防止研修』は、『地方公務員法』に基づいて『上司の命令に従え』、『学習指導要領』に基づいて教職員は率先して『君が代』を歌えと強制するものです。都教委による転向の強要にほかなりません」「個人に物理的、精神的な圧迫を加える『再発防止研修』を断じて許すわけにはいきません」「研修センターの壁には『教師が伸びる、子どもが伸びる』という垂れ幕が下げてあるが、教師をいじめて、なんで教師が伸びるのか、子どもが伸びるのか」「裁判で現在まで12連敗している都教委に道徳とか規範意識を語る資格はありません。こんな人たちに『命令に従え』なぞと言われたくありません。都教委こそ反省し、われわれの前で頭を深々と下げて謝罪すべきだ。都教委に『イジメ』や『子ども』を語る資格はない。今日の『再発防止研修』に最後まで抗議行動をやりぬきましょう」。

 「被処分者の会」の共同代表・岩木氏は、都知事・舛添を批判する。「舛添は、3月15日の定例記者会見で、『再発防止研修』を繰り返すのは2004年の東京地裁決定に反し、、教師に対するイジメではないかという質問に対して、『私は何回研修が行なわれているか知らないから、答えられない』なぞと答えている。教育への行政の権限が強まっている中で、舛添知事は非常にお粗末な認識しか持っていないことが明らかになっている」。 「被処分者の会」の抗議声明の読み上げが行なわれ、「河原井さん・根津さんらの『君が代』解雇をさせない会」などが申し入れを行なう。研修センター総務課長・渡辺が対応に出てきたが、「要請の趣旨は伝えます。この場ではお答えできません」という判を押したような言葉を繰り返すばかりであった。

「再び国家主義的教育を繰り返してはならない」

 弁護団の澤藤弁護士は、「都教委は、特定のイデオロギーを強制しようとしている。『日の丸・君が代』は戦前天皇制国家・軍国主義と結びつき、思想弾圧が行なわれた。今また、拒否することが弾圧されている。2人は、教員としての良心に従って『再び国家主義的教育を繰り返してはならない』と不起立を闘った。それが、今、鞭打たれている」「(不起立を闘った)尊敬すべき2人の教師の良心を侵す『再発防止研修』はただちに止めるべきだ。『研修』を受けるべきは、都教委の6人の教育委員だ」と要請と抗議を行なった。これに対して、総務課長・渡辺は、「研修は、適法に行なわれていると考えている」と答えるのみであった。また、「被処分者の会」からの「話し合いの場を持て」という要求に対しても、「私は、答える立場ではない」と言うのみであった。

 8時50分の該当者2人の入場を前にして再びシュプレヒコールが行なわれ、激励の拍手とともに「送り出し」が行なわれた。「送り出し」の後も、「研修」と言う名の転向強要攻撃と対決する当該を激励するために、集会は、続行された。集会では、「授業をしていたのに処分」裁判を闘い勝訴したFさん、3次訴訟原告、4次訴訟原告、現職の教育労働者、再雇用拒否3次訴訟原告などから、「処分するときには報道機関に実名で処分内容を公表しておきながら、判決で否定されても謝罪一つしない都教委は、無責任な姿勢を続け、処分を撤回した現職労働者に対しては再処分までやっている。都教委は教育の条件整備という本来の業務より教育内容の管理・統制機関になっている」という都教委を批判する発言が続いた。東京・山谷日雇労働組合は、卒業式でのビラまきの報告と「城北労働・福祉センター」による「利用者カード」の発行拒否―仕事紹介からの排除攻撃との闘いの報告を行なった。集会の締めくくりでは、「被処分者の会」事務局長・近藤氏から、60人が今日の抗議と激励行動に参加していること、田中聡史氏への処分が4月14日の都教委で決定されようとしていることが報告され、これを許さぬ都教委要請行動への結集が呼びかけられた。最後に、「研修」終了時刻の午後0時15分に、再度、研修センター前に結集することが確認され、抗議・激励行動は、一旦、終了した。

「研修センターで行なわれているのは、教育現場であってはならないイジメだ」

 午後0時15分すぎ、再び、抗議集会がシュプレヒコールをあげた後、再開される。「被処分者の会」の星野共同代表は、「教師になるときに『憲法を守る』という宣誓書を書いた。私は、体育の教師を38年間やったが、絶対に子どもを殴らないようにしてきた。私たちが一番大事にしてきたのは、人権だ。この研修センターで行なわれているのは、教育現場であってはならないイジメだ。これを、都教委が先頭に立ってやっている。こんなことは、許してはならない」とアピールした。

 「研修」を終えて出てきたKさんは、「今回で3度目だが、何回目でも不愉快だ。周りには監視が沢山いるし、トイレにもついてくるし、まるで囚人のようだ。ただ、今回は、録音が可になった。これは闘いの成果だ。『研修』は、事務的に進められ、雰囲気は緩やかになった」と報告した。

 集会の最後に、近藤事務局長が、「都教委の態度が変わってきたのは、裁判に負け続けているからです。都教委は、裁判で被処分者が『再発防止研修』でゼッケンを着けたことを言い立てていたが、それで処分が加重された人は、1人もいません。都教委は、『再発防止研修』で締め付けを強めようとしていたが、それができなくなり、追い詰められているということです。しかし、『再発防止研修』は、行なわれており、今後も行なわれる。私たちは、決して抗議を緩めてはなりません。憲法を無視する『再発防止研修』は、今、安倍政権がやろうとしていることと表裏一体のものです。私たちは、絶対この国を『戦争する国』にさせてはならない。都教委や安倍政権の行動をストップさせねばならない」と集約提起を行ない、すべての行動を締めくくった。

 安倍極右政府は、7月衆・参同日選を強行し、「国家緊急権(緊急事態条項)」導入を皮切りに9条破棄―「国防軍」創設、天皇元首化を核心とした改憲攻撃に突進しようとしている。愛国心の強制、戦時国家体制形成、戦争をするための人づくりを強行しようとしている。これを阻止するために闘われているのが「日の丸」「君が代」強制に対する闘いだ。不起立に決起する教育労働者の闘いを孤立させることなく、前進をともにかちとろう。