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東北関東大震災被災労働者人民支援大運動を

3・28 全国寄せ場・日雇い労働者 対厚生労働省団交、対日本経団連・日本建設業連合会(日建連)追及―弾劾行動が闘われる (1177号3面)

 3月28日、全国寄せ場交流会が呼びかける寄せ場春闘集中行動が東京で闘いぬかれた。

 全国寄せ場交流会に結集する日雇い労働者が、反戦・反合・政府打倒の2016年春闘の一環として、東京・山谷に結集し、寄せ場春闘集中行動に起ち上がった。「デフレ脱却、経済の好循環実現」を日帝資本とともに掲げ、安倍が主導する「官製春闘」に全面的に依拠し、「産業報国会」型労働運動へと転落を深める帝国主義労働運動・「連合」を突破して闘う労働運動の建設にむけた闘いだ。

山谷での総決起集会で春闘集中行動の決意を打ち固める

 3月28日、東京・山谷では、東京・山谷日雇労働組合(東京・山日労)をはじめとする全国の寄せ場・日雇い労働者が、早朝から「城北労働・福祉センター」(センター)前に結集し、寄せ場春闘集中行動にむけた準備と、闘いへの結集を呼びかけるオルグを開始した。東京・山日労の活動拠点であるセンターのフェンスに設置されている立て看には、「3・28ゼネコン、厚生労働省、日本経団連との闘いへ!」と、寄せ場春闘集中行動への結集呼びかけが大書きしてある。朝市で賑わう玉姫公園では、東京・山日労の組合員がビラを配りながら行き交う労働者に闘いへの結集を呼びかける。越年・越冬闘争をはじめ、2016年の春季の闘いをともに闘ってきた労働者は、午前7時の結集時間が近づくとともに玉姫公園や、ドヤ、野宿(アオカン)している「イロハ通り商店街」からセンター前に結集してくる。

 午前7時、センター前では闘いの前の腹ごしらえのための炊き出しの配食が始まる。夜を徹して大阪、福岡から車を走らせて結集した労働者も、炊き出しで疲れを吹き飛ばし、闘いへの決意とエネルギーを充満させる。

 7時半、寄せ場春闘集中行動にむけた決起集会が始まった。まず、司会の仲間が、闘いにむけたシュプレヒコールを呼びかけ、「2016年春闘を闘うぞ!」「大幅賃上げをかちとるぞ!」「労働者の使い捨て攻撃を粉砕するぞ!」「闘って仕事をかちとるぞ!」「労働法制改悪を粉砕するぞ!」という決意のみなぎったシュプレヒコールがセンター周辺のドヤ街に轟き渡る。続いて、沖縄・首里日雇労働組合からの連帯メッセージが読み上げられた。沖日労は、「3月27日に『沖縄日雇い春闘討論集会』を開催し、四月から公的就労事業の実施、日雇雇用保険制度と建設業退職金共済制度の適用拡大を求めて、『県』、那覇市、沖縄労働局に対する行動に撃って出る決意です。首里の寄せ場で毎週1回、日雇い労働者が集まる与儀公園で毎月2回の炊き出しにも取り組んでいく予定です」「名護新基地建設をめぐり、政府と『県』との『和解』によって、現在、工事は中断していますが、これを手放しで歓迎する沖縄労働者人民は1人もいません。『急がば回れ』という政府関係者の発言が示しているように、『和解』は新基地建設を強行するための計略だからです。沖日労は、新基地建設実力阻止の闘いをやりぬきます」。沖日労からのメッセージに対して仲間たちは、圧倒的な拍手で応えた。

ゼネコンに「ピンハネやめろ!」「基地建設、原発再稼動に加担するな!」と迫る

 集会の締めくくりに、全国寄せ場交流会に結集する東京・山日労、「反戦・反失業を闘う釜ヶ崎労働者の会」、そして福岡・築港日雇労働組合が、それぞれ春闘集中行動を最後まで戦闘的に闘う決意を明らかにする。センター前での決起集会をやりぬいた仲間たちは、マイクロバス、ワゴンに分乗して、春闘集中行動の第一弾として八丁堀の元請けゼネコン団体=「日本建設業連合会(日建連)」に向かって出発した。

 日建連が入る「東京建設会館」前に集結した全国寄せ場交流会の仲間たちは、怒りのシュプレヒコールをあげ、職場に出勤する労働者に春闘への決起を呼びかけるビラまきとマイクアピールを開始する。日建連を追及する交渉団が編成され、ゼネコンを追及する闘いに入っていく。

 元請けゼネコン団体=日建連に対しては、(1)元請けゼネコンは、人件費を削って利益を上げることをやめろ(2)日雇雇用保険、建設業退職金共済などを下請け任せにするな、元請けの責任で行なえ(3)名護新基地建設、原発再稼動に加担するな、の3点をめぐって追及が行なわれた。

 交渉団の追及に対して日建連の常務理事・福田は、「日建連は、下請け契約を2次までに制限しようとしている。日建連加盟の元請けゼネコンは、1次下請けの業者には『公共工事設計労務単価』どおりの賃金を支払うように指導している。だが、末端の(5次、6次)業者では払っていない業者があるようだ」「元請け業者に下請け業者の賃金支払いを点検したり、規制する法律がないので、元請け業者が末端の業者の賃金支払いまで関与できない」なぞと責任逃れの弁を繰り返す。現場の朝礼や「新規入場教育」で日雇雇用保険の印紙や建設業退職金共済の印紙の貼付を点検するようにしろという追及に対しては、「印紙を貼って貰えなかったら、現場の所長などの責任者に言ってください」なぞと答える。労働者が「印紙を貼ってくれ」と下請け業者に要求したら、労働者の権利を無視する悪質下請け業者は、労働者の首を切ってくる。重層的な下請け構造を作って利益を上げる元請けゼネコンは、労働者の権利保障なぞまったく関心がないのだ。交渉団の怒りが沸点に達したのが日建連に加盟する大成建設などのゼネコンが名護新基地建設や原発再稼動に加担している問題だ。福田は、「沖縄の新基地建設に反対しているのは、住民の半分だけだ。新基地は、北朝鮮が攻めてくるかもしれないから必要だ。国家のプロジェクトなので『ノー』と言える立場にない」なぞと軍事基地建設や原発再稼動といった労働者人民に犠牲を強要する工事で利益を上げていることを居直ってきた。これに対して交渉団は、「戦前のような戦争協力を繰り返すのか!」という怒りの追及を叩きつけた。

 交渉団の仲間たちは、約30分にわたって「日建連」を追及した。そして、外で情宣と集会を打ちぬいている仲間と合流し、追及の報告を行なう。報告を受け、結集した労働者は、労働者の権利保障なぞ表面的に装うだけで、実態は悪質業者を野放しにして利益を上げ、戦争協力の国策企業へと純化する元請けゼネコンを追及する闘いをさらに強めることを全員で確認した。日建連追及の締めくくりとして、再度シュプレヒコールを叩きつけた。

「仕事を出せ」「山谷のセンターの『利用者カード』発行拒否を許すな」「労働法制改悪ヤメロ」と厚生労働省を追及

 寄せ場春闘集中行動の第2弾は、厚生労働省との団体交渉だ。八丁堀から霞ヶ関に移動した部隊は、行き交う労働者に寄せ場春闘集中行動を告げる情宣を開始する。午前11時からの団体交渉を前にして、部隊全員で交渉議題の確認を行なう。議題は、(1)厚生労働省は「働いて生きて行きたい」という日雇い・野宿労働者の声に応えろ(2)仕事紹介を拒む「城北労働・福祉センター」の「利用者カード」発行拒否をやめさせろ、「西成労働福祉センター」の縮小・移転をめぐる計画の現状を明らかにせよ(3)「残業代ゼロ化」の「労働基準法」改悪、「首切り自由化」にむけた「解雇の金銭解決制度」創設などの労働法制改悪をやめろ、だ。

 職業安定局、労働基準局の担当を相手にした団体交渉は、議題の(1)〜(3)について担当者に一括して回答させたうえで、まず全国の寄せ場・日雇い労働者の切実な要求である「公的就労事業」の実施をめぐっての追及から始まった。厚生労働省は、「国の責任で失業している労働者に仕事を作れ」「東京都、大阪府・市で行なっている失業している日雇い労働者への『特別就労事業』の就労日数を増やすために、国が補助金を出せ」という要求に対して、「『特別就労事業』ではなく、ハローワークでの仕事紹介、技能講習などで支援して行きたい。2015年度から始めた『生活困窮者自立支援制度』も利用して欲しい」と回答してきた。東京・山谷、大阪・釜ヶ崎で実施されている「特別就労事業」を徹底して無視する姿勢だ。東京・山谷や大阪・釜ヶ崎でアブレ―野垂れ死に攻撃が激化し、これに対する労働者の行政責任を追及する暴動決起を受けて、東京都、大阪府・市は「特別就労事業」を開始せざるを得なかった。これを労働行政の頂点に立つ厚生労働省は、否定的に総括しているのだ。あくまで、労働者は労働行政が敷いたレールに乗れという態度だ。これに対して、団体交渉に参加した労働者は、「『生活困窮者自立支援制度』で寮に入ったが、『仕事は自分で探せ』というだけだ。自分もそうだが、多くの利用者が就職できずに寮を出ているじゃないか!」と就労に結びつかない「生活困窮者自立支援制度」の実態を突きつけた。別の労働者は、「山谷の『特別就労事業』で1ヵ月の収入は3万円程度だ。これで生きていくのがどれほど大変なことか分かっているのか。山谷の労働者が生きていくうえで『特別就労事業』が役に立っていると言うのなら、補助金を出してもっと収入が増えるようにしろ」と当然の突きつけを行なった。これに対しては、厚生労働省側は黙り込むだけであった。

 山谷のセンターによる「利用者カード」発行拒否―仕事紹介からの排除の問題をめぐっては、さらに厳しい追及が行なわれる。1月に、東京・山日労が厚生労働省と団体交渉を行なった時には、担当者は「センターの『利用者カード』発行拒否―仕事紹介からの排除は、『職業安定法』違反の可能性もある」と言っていた。ところが、今回交渉に出てきた職業安定局の担当は、東京労働局がセンターに対する調査を行なったかどうかさえ「明らかにできない」なぞというふざけた回答を行なったのだ。「明らかにできない」理由は、「行政処分になったら公表するが、任意の調査で処分に至っていない時点での公表は、任意の調査ができなくなるから」だという。こんな回答で納得できる労働者なぞ一人もいない。会場全体から「調査をやっていないんじゃないか」「役所同士のかばいあいか」「せっかくセンターで出た求人がカード所持者が少ないために誰も応募せず、無駄になっていることを知っているのか」という怒りのこもった声が続いた。センターは、カードの発行を申請に行った労働者に対して「たとえ弁護士を連れてきてもカードは発行しない」とまで言っている。徹底してカード発行を拒否してカード所持者を減らそうとしているのは明らかだ。これは、2020年東京オリンピック開催を見据えた山谷の再開発―日雇い・野宿労働者の排除にむけた動きに他ならない。交渉参加者は、「任意の調査」を盾にして事実経過さえ明らかにせず、労働者を犠牲にして資本の利益追求を図る労働法制改悪を強行しようとする厚生労働省への怒りを叩きつけ、一時間半にわたる団体交渉を闘いぬいた。

日本経団連に「生きてゆける賃金を払え」、「原発輸出、武器輸出許さん」と弾劾を叩きつける

 全国寄せ場交流会の部隊は、霞ヶ関から大手町の経団連会館の前に移動する。日本経団連は、日本経済を支配する日帝資本の牙城だ。部隊は、ただちに怒りのシュプレヒコールを叩きつける。「2016年春闘を闘うぞ」「大幅賃上げをかちとるぞ」「労働者の使い捨て攻撃を粉砕するぞ」「日本経団連は日雇い労働者の声を聞け」。

 つづいて、用意した抗議文を読み上げる。「われわれは、日本経済を支配する日本経団連が、労働者の使い捨てをますます強め、労働者を犠牲にして利益を手に入れようとすることを絶対に許さない」「日本経団連に加盟する大企業が貯め込んだ利益は、350兆円にも上っている。株で利益を手に入れようとする株主は、この1年間で14兆円もの配当を受け取っている。これらの金額は、労働者に支払うべき賃金を払わず、ピンハネして作ったものだ。3度の飯もろくに食えず、病院にもかかれないような低賃金の『非正規雇用』労働者を4割―2000万人にも増やし、『固定残業代』などによって長時間労働を強制したうえに、残業代を払わずに作ったカネだ」「安倍政府が『安保法制関連法』=『戦争法』を制定し、朝鮮半島や中東での戦争に突撃する動きを強めていることを『儲けるチャンスだ』とばかりに、武器輸出や原発輸出で利益をあげようとすることを許さない」「われわれ全国の寄せ場・日雇い労働者は、自らの生存をかけて、全国5000万労働者の先頭に立ち、『仕事をよこせ!』『生活できる賃金よこせ!』という怒りの声を日本経団連に叩きつける。われわれは、「反戦・仕事よこせ」を闘い、寄せ場春闘を断固闘いぬく!日本経団連は、日雇い・野宿労働者の怒りの声を聞け!アブレ(失業)地獄―野垂れ死にの強制に生きてやりかえすぞ!」。

 抗議文を読み上げた代表の仲間を先頭に、全国寄せ場交流会の部隊は、経団連会館の正面玄関に押し寄せる。「日本経団連は俺たちの声を聞け」「2016年春闘を闘うぞ」というシュプレヒコールを叩きつけ、抗議文をガードマンに受け取らせ、日本経団連を弾劾する闘いをやりぬいた。

 早朝からの寄せ場春闘集中行動をやりぬいた全国寄せ場交流会の部隊は、経団連会館近くの公園で集約集会をもち、福日労の仲間が「元請けゼネコン、厚生労働省、日本経団連に対する闘いをやりぬいた団結で、さらに各地区・各寄せ場での『反戦・反失業』の闘いを前進させよう」と集約提起を行ない、締めくくりに、「団結ガンバロー」を三唱してこの日の闘いを終えていった。



3・27沖縄・首里日雇労働組合が日雇い春闘討論集会を開催

 3月27日、那覇市内の市民会場において、「沖縄・日雇い春闘討論集会」が、沖縄・首里日雇労働組合の主催で開催された。

 開始時刻の12時半を前に、首里の寄せ場をはじめ、那覇市内の各地から日雇いの仲間たちが集まり、席を埋め尽くす。会場は、開始前から熱気に包まれる。

沖日労執行部があいさつ

 執行部のあいさつで、集会が開始される。まずは、「日雇い労働者をとりまく労働情勢」の提起だ。日雇い労働者は、社会の最底辺での労働と生活を強いられてきたが、今や安倍政府が進める「労働規制の緩和」によって、全労働者の間に低賃金、長時間労働、不安定就労が拡大・蔓延していること、日雇い・寄せ場労働運動こそが全労働者の先頭で闘うべき時が来ていること、そのために全国寄せ場交流会が3月28日、対厚生労働省団交、日本経団連・日建連追及行動を準備していることなどが報告された。

 さらに提起は、「沖縄の貧困」問題に進む。沖縄の最低賃金は、2014年で693円(全国平均798円)、完全失業率は、2015年度で5・4パーセント(全国平均3・6パーセント)、「非正規」率は、2012年で44・5パーセント(全国平均38・2パーセント)、「ワーキング・プア」率 は、2012年で25・9パーセント(全国平均9・7パーセント)、貧困率は、2012年で34・8パーセント(全国平均18・3パーセント)。どの数値をとっても、ダントツの「全国ワースト・ワン」の状況だ。「これが、『オール沖縄』の影で進んでいることだ。『沖縄の貧困』とは、沖縄の労働者が置かれた過酷な労働条件の問題であり、根本的には基地に占領され、圧迫された経済構造の問題だ。貧困問題と基地問題とは一つの問題の裏表だ」という提起に、全員が熱心に聞き入る。

 続いては、「日雇い労働者にとっての緊急の課題」として、日雇労働求職者給付金(日雇雇用保険)制度、建設業退職金共済(建退共)制度の問題についての提起だ。沖縄では、これらの制度がほとんど普及しておらず、適用が極めて限られているため、日雇い労働者の失業・退職が、即、飢えと野宿につながっているのだ。「日雇雇用保険制度、建退共制度の適用拡大を、厚生労働省の出先機関である沖縄労働局に強く迫っていこう。併せて、失業に苦しむ日雇い・野宿の労働者のための公的就労対策事業の実施を求めて行動しよう」と提起された。

白熱した全体討論

 次は、全体討論だ。参加者からは、「日雇雇用保険制度も建退共制度も、聞いたことがない」、「大阪へ仕事に出た時に、労働者から『白手帳』を見せてもらったことがある。沖縄では持っている人に出会ったことがない」、「沖縄労働局が仕事をサボっているのか」、「制度加入の問題にしても、賃上げにしても、残業代にしても、1人ではなかなか業者に強く言えない。言った途端にクビになる。『お前の替わりはいくらでもいる』と言われる」、「だからこそ、労働組合が必要だ。団結して闘うことが必要だ」と、白熱した議論が展開される。

 最後に、「4月以降の取り組みの方針」が執行部から提起された。「仕事寄こせの闘い、野垂れ死にの強制を許さない闘い」として、沖縄労働局に対する日雇雇用保険制度、建退共制度の実施状況に関する「質問書案」、沖縄「県」と那覇市に対する公的就労対策事業の実施を求める「要求書案」が紹介される。沖縄労働局に対する「質問書案」は、那覇市及び沖縄「県」における日雇雇用保険制度、建退共制度への加入対象となる土木・建築関連業者の総数と、現に当該制度に加入している業者の実数、さらに対象業者に対して当該制度に加入させるために労働局が行なってきた取り組みの内容、及び近年におけるその実績などを明らかにするよう求めるものだ。これら文書の提出を突破口に、沖縄労働局、沖縄「県」、那覇市に対する追及行動をやりぬいていくこと、また、首里の寄せ場、与儀公園での炊き出しをやりぬいていくことなどが提起された。さらに、「反戦の闘い」として、「名護新基地建設を阻止するために、現地行動を強化しよう」、「4・28沖縄人民解放闘争に取り組もう」という提起も行なわれた。

 4月からの反戦・反失業闘争の方針は、参加者全員の圧倒的な拍手で確認された。全員で「団結ガンバロー」を行ない、一丸となって闘うことを相互に確認し、集会を終えていった。沖日労は、討論集会の成功を力にして、4月からの闘いに猛然と打って出る決意だ。