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東北関東大震災被災労働者人民支援大運動を

2・15 在沖米海兵隊の実弾砲撃―「本土」移転演習阻止
日出生台現地闘争に決起〈日出生台〉
(1172号4面)

 中東―朝鮮出撃演習を許すな

 2月15日から25日までの日程で、陸上自衛隊・日出生台演習場(大分県玖珠町、九重町、湯布院町)において、在沖米海兵隊による実弾砲撃―「本土」移転演習が強行された。日出生台闘争実行委員会に結集し闘う仲間たちは、演習開始日当日、現地闘争に決起した。

 この演習は、沖縄労働者人民の反戦・反基地闘争に追いつめられた日・米帝国主義が、「沖縄の基地負担の軽減」と称して、「米海兵隊による沖縄・県道104号線越えの155ミリ榴弾砲の実弾砲撃演習を本土に分散させる」として進めてきたものだ。1996年に日・米両政府が交わした「沖縄に関する日米特別行動委員会」(SACO)での合意にもとづき、1997年以降、矢臼別(北海道)、王城寺原(宮城県)、東富士(静岡県)、北富士(山梨県)、そしてここ日出生台の計5ヵ所の自衛隊演習場を使って、年に4回のペースで強行されてきた。2015年度には、すでに、王城寺原、矢臼別、東富士で行なわれており、日出生台での演習は、今回が通算11回目となる。

 しかし、「沖縄の負担軽減」は、まったくのペテンだ。沖縄での基地被害は、一向に減らない。それどころか、名護新基地建設の強行が示している通り、〈基地・沖縄〉は強化されるばかりだ。また、移転先となった各地では、155ミリ榴弾砲の砲撃訓練ばかりでなく、小銃や機関銃を使った訓練が新たに追加されるなどしており、訓練の規模・内容は拡大している。

 しかも、この演習は、日帝政府がその経費を負担した上で、海兵隊の移動にともなう兵員・物資の輸送には民間企業が動員され、また、警察が「警備」と称して全行程に張りつき、さらに、「周辺警備」、「着弾距離測定」、「着弾地火災消火」、「資料情報提供」などの「後方支援」と称して自衛隊が全面的に支えている。まさに、「有事即応」の日米共同機動演習、軍・官・民一体の戦争総動員演習になっているのだ。

 今回、日出生台にやってきた米軍は、沖縄に駐屯する海兵隊・第3海兵遠征軍・第3海兵師団に所属する「第12海兵連隊第3大隊」で、沖縄本島中央に位置する米軍基地「キャンプ・ハンセン」に駐屯する砲兵部隊だ。戦争が起これば、真っ先に敵地に乗り込んで、殺戮と破壊に手を染める強襲部隊だ。実際、この部隊はこれまでにも、イラクやアフガニスタンなどにくり返し出撃し、多くの人々を殺してきた。こんな凶暴な部隊の実戦訓練を、許すわけにはいかない。

 今や米帝は、「イスラム国の壊滅」を叫んで、イラクやシリアへの地上軍部隊の本格的な投入へと突き進もうとしている。さらに、朝鮮半島でも戦争の口火を切ろうと戦争準備を急いでいる。今回の演習は、中東や朝鮮半島で、新たな大規模戦争をやるための予行演習に他ならない。

 日出生台闘争実行委員会に結集する青ヘル部隊は、日出生台演習場を東西に貫通する県道679号沿いに登場する。眼前には、見渡すかぎり演習場の敷地が広がる。午後1時すぎ、シュプレヒコールが演習場内に轟くなか、集会が開始される。

演習阻止の集会とデモを闘う

 まず最初に、天皇上陸阻止沖縄青年実行委員会からの連帯メッセージが代読される。「青年実は、2月3日、沖日労の労働者とともに、在沖米海兵隊の演習出撃阻止闘争を貫徹した。今や、沖縄労働者人民の怒りは沸騰している。辺野古現地では、工事阻止をかけた闘いが燃え上がっている。安保粉砕、日米軍事基地解体をめざして、ともに闘おう」という熱いメッセージに、全体の拍手で応える。

 次は、闘いの基調提起だ。実行委員会の同志は、「今回の演習は、中東や朝鮮半島で新たな殺戮作戦をやるためのものだ。中東反革命戦争、朝鮮反革命戦争を許さない闘いとして、本日の闘いをやりぬこう」、「安倍極右政府は、『安保法制関連法』を成立させて以降、明確に改憲へと動き出している。『国家緊急権(緊急事態条項)』の、憲法への導入が目論まれている」、「1月末にも、築城基地(福岡県)から20機のF15戦闘機を移動させ、沖縄に配備している1個飛行隊の空自・第83航空隊を新たに2個飛行隊の第9航空団へと再編成した。朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)や中国の動きをにらみ、朝鮮反革命戦争に備えようとしている」「帝国主義の暴虐な戦争に起ち向かう全世界の労働者人民の闘いに応え、名護新基地建設阻止―反戦・反基地の闘いをうちぬく沖縄労働者人民と連帯して闘おう」と提起した。

 集会の最後に、決意表明を受ける。福岡・築港日雇労働組合の仲間は、「福日労は、『反戦・仕事よこせ』の闘いを活動の二本柱にして闘ってきた。今日も、多くの日雇い・野宿の労働者が駆けつけている。戦争も失業もない世の中を創るために、闘いに決起する」と表明する。反戦青年委員会の同志は、「2016年は、決戦の年だ。安倍政府による改憲、名護新基地建設、原発再稼働と新(増)設という凶暴な攻撃に対する全力をあげた対決が必要だ。反戦青年委員会は、日出生台をはじめとした殺戮演習粉砕の闘いを担い、安倍政府打倒・日帝国家権力解体へと突き進む革命的反戦闘争を最先頭で闘いぬく」と決意を表明した。

 断固たるシュプレヒコールで集会をしめくくり、いよいよデモ出発だ。「演習阻止」、「安保粉砕」、「政府打倒」の声高く、演習場ゲートに向かって進撃する。部隊は、小野原・長谷地区住民の熱い共感を集めつつ、最後まで戦闘的にデモを貫徹した。

 日出生台演習場は、自衛隊演習場としては西日本最大の面積(約4900ヘクタール)をもち、ほぼ1年中、陸自が実弾をぶっ放している。一方、隣り合わせに畜産農家など地元住民の生活の場があり、住民たちは、騒音被害や火災・誤爆の危険などに、日々さらされている。

 これに加えて、今回の米海兵隊による砲撃演習だ。約200人の米軍部隊が、車両60両、155ミリ榴弾砲六門を沖縄から持ち込んで演習をくり広げている。前回(2015年)の訓練では、計1100発の砲弾が発射された。それまで過去最多だった720発(2012年)を大きく上回る数だ。これだけを見ても演習が激しさを増していることは歴然だが、米軍は、「ルーティン(いつもの)」訓練であると言って開き直り、地元住民に対する説明会を前回から中止している。われわれは、演習の拡大・強化、演習場の機能強化を許さず、実弾砲撃―「本土」移転演習粉砕、日出生台演習場解体に向けて闘いぬく決意だ。

 防衛省は、1月、2016年度の移転演習の計画を発表した。それによれば、第1回を5月上旬〜6月上旬に王城寺原演習場で、第2回を9月上旬〜10月上旬に東富士演習場で、第3回を11月中旬〜12月中旬に矢臼別演習場で、第4回を2017年2月中旬〜3月中旬に日出生台演習場で行なうという。沖縄―日本「本土」を貫き、在沖米海兵隊による実弾砲撃―「本土」移転演習実力阻止の闘いを貫徹しよう。




2・3在沖米海兵隊の出撃阻止闘争に決起〈沖縄〉

陸自・日出生台演習場での在沖米海兵隊による155ミリ榴弾砲の実弾砲撃―「本土」移転演習に先立ち、天皇上陸阻止沖縄青年実行委員会は、沖縄・首里日雇労働組合(沖日労)の労働者たちとともに、沖縄からの海兵隊出撃阻止の闘いに決起した。

 この移転演習は、「沖縄の基地負担の軽減」を名目に、1997年から開始されたものだが、実際には、とんでもない演習強化、安保強化を図るものだ。そもそも、在沖米海兵隊は、戦争が起これば、まっ先に敵地に乗り込んで、殺戮と破壊に手を染める強襲部隊だ。これまでにも、イラクやアフガニスタンなどにくり返し出撃しては、多くの人々を殺してきた。沖縄であろうが、どこであろうが、こんな凶暴な部隊の野放図な実弾演習―実戦訓練の強行を許すわけにはいかない。

 2月3日昼、那覇市の目抜き通りにあるパレットくもじ前に登場した青年実と沖日労の仲間たちは、ただちに情宣戦を開始する。風を受けて大きく翻る両団体の旗と、熱いアジテーションに、行き交う労働者人民の注目が集まる。

 「『沖縄の負担軽減』は、まったくのペテンだ。それは、日米安保の存続と強化、そして沖縄の米軍基地の存続と強化を大前提としたものだ。沖縄における反戦・反基地の闘いを欺瞞し、基地の『安定的・永続的使用』に持ち込もうという攻撃だ」、「われわれが求めているのは、『負担軽減』ではない。戦争のためにある沖縄のすべての基地の撤去だ」、「日出生台での実弾砲撃演習に反対しよう。沖縄からの海兵隊の出撃を阻止しよう」という訴えには、熱い共感が集まり、足を止めて聞き入る人もいる。ビラが次々に受け取られていく。青年実と沖日労は、権力の弾圧、右翼の敵対を一切許さず、約1時間半にわたって情宣を貫徹した。

 沖縄では、安倍政府の「負担軽減」のうたい文句とは裏腹に、基地強化、演習強化が激しく進んでいる。宜野湾市長選をめぐって、現職の佐喜真も安倍・自民党も、名護新基地建設には一言も触れずに、徹底的な「争点隠し」をしておきながら、選挙が終わると今度は、「オール沖縄という言葉は、実態と大きくかけ離れている」(官房長官・菅)、「(新基地建設反対が)沖縄の民意という理屈は、もう通じない」(政府関係者)、「今後は工事を躊躇することはない」(防衛省幹部)などと、好き勝手に強弁して、本格的な工事に踏み込もうとしている。大浦湾埋め立てのためのコンクリートブロックの投下を強行しようとしている。米空軍・嘉手納基地には、最新鋭ステルス戦闘機・F22とF16が米本土から大挙して飛来し、沖縄周辺で戦闘訓練をくり返している。米海兵隊の実弾射撃訓練も相変わらずで、2月4日には、それによって金武町のキャンプ・ハンセンのレンジ2付近で山火事も発生した。演習による山火事発生は、今年に入ってすでに3件目だ。自衛隊基地の強化にも拍車がかかっている。1月には空自・那覇基地で、「第9航空団」の新編記念式典が行なわれた。従来の「第83航空隊」を改編し、F15戦闘機を20機から40機に倍増して2個飛行隊に強化し、隊員も約300人増やして約1500人体制にするというものだ。陸自も、宮古島、石垣島に、それぞれ地対空ミサイル部隊、地対艦ミサイル部隊、警備部隊を常駐配備する計画を進め、与那国島にも、航空機や艦船をレーダーで監視する「第303沿岸監視隊」(仮称)を配備するために駐屯地建設を強行している。さらに、ヘリ部隊の先島(宮古・八重山)諸島への配備計画も明らかになっている。

 こうした攻撃に、沖縄労働者人民の怒りは沸騰している。辺野古現地では、工事阻止をかけた闘いが大きく燃え上がっている。宮古島、石垣島でも、自衛隊配備反対の闘いが沸き起こっている。「戦争のための基地は、沖縄にも、どこにも要らない!」。沖縄労働者人民のこの叫びに応えきり、名護新基地建設阻止をかけて、辺野古現地闘争に決起しよう。安保粉砕、日米軍事基地解体をめざして、ともに闘おう。