狭山一審「死刑」判決52ヵ年徹底糾弾
1964年3月11日、狭山事件の一審を担当した浦和地裁・内田は、無実の部落民=石川一雄氏に対して「死刑」判決を打ち下ろした。浦和地裁・内田は、石川氏の少年時代を「小学校すら卒業せず、他家で奉公人として過ごし、家庭的な愛情に恵まれることがなかった」「そのことは人格形成に強い影響を及ぼした」と、被差別部落への差別意識をむきだしにし、「部落は悪の温床」「部落民ならやりかねない」という予断と偏見のもと、十分な審理もせず公判開始からわずか半年のスピード審理で石川氏に「死刑」判決を打ち下ろしたのである。この内田の反革命差別「死刑」判決こそ、狭山差別裁判の元凶であり、石川氏に31年7ヵ月もの獄中生活を強制した元凶だ。怒りも新たに内田反革命差別「死刑」判決を徹底糾弾し、浦和地裁包囲糾弾闘争に決起しよう。
東京高裁と東京高検、狭山弁護団による「3者協議」も、2009年の開始以来、昨年12月21日の開催で26回を数えるに至った。担当裁判官は、しばしば交代し、現在は、4人目の植村稔である。
前回の第25回「3者協議」では、先に開示された領置票にもとづいて狭山弁護団が開示を請求した4点の証拠物について、東京高裁・植村が「これら4点は客観的証拠であり、検察官から裁判所に提出し、プライバシーの問題がないか判断のうえ弁護側に開示する」という従前からの方法を提案し、東京高検に開示するよう検討を要求していた。しかし、12月11日付で東京高検は、この要求に対する回答として、「これら証拠物は、本件の再審請求と必要性・関連性がないので開示すべきではない」などとする意見書を提出している。この回答を受け、第26回「三者協議」では、狭山弁護団が東京高検に「基本的に開示すべき」と迫り、改めて意見書を提出する姿勢を明らかにした。また、12月7日付で狭山弁護団が「車の追い越し」「車の駐車」に関する「証拠開示勧告申立」を提出した件について東京高検が、またも「不検討」なる回答を繰り返してきたことに対して、狭山弁護団が東京高検に「当初から存在しないのか」「存在しない理由や経緯を説明すべき」と突きつけると、東京高裁・植村は東京高検に「書面で回答するよう」検討を求めた。次回の「3者協議」は3月上旬の予定である。
狭山弁護団は、12月21日、証拠開示された取り調べ録音テープに基づく補充書2通を提出した。1通は、埼玉県警の取り調べを受ける石川氏が、警察官の誘導の下、ひらがなを一字一字確認して書いていた実態を示すとともに、それでもなお誤記が多い点を指摘することで、当時の石川氏が脅迫状を書けなかった点を示したもの。もう1通は、女子高校生の殺害方法や死体処理という核心部分で、石川氏が内容を語れていない点を指摘し、ウソの「自白」そのものであり、「信用性」なぞまったくないシロモノであることを突き出したものである。
第3次再審棄却策動を許すな
東京高裁・植村は、さしあたり従来の東京高裁の姿勢を踏襲し「秘密の暴露に関わる証拠開示が重要」「なるべく開示の方向で検討を」としている。しかしながら、東京高裁・植村は、今なお、証拠開示命令も出そうとせず、事実調べも行なう気配すら見せない。東京高裁・植村がいつ「三者協議」を打ち切り、再審請求棄却に踏み込むか、予断を許さないのである。そんな東京高裁の姿勢を見透かす東京高検は、物的証拠の存在について、一貫して「不見当」なる回答を繰り返すのみである。先に開示された領置票にしたところで、開示されたのは279点(既開示235点、未開示44点)の証拠物の名前と数量を書いたものに過ぎない。あくまで高検が保管している証拠物のリストであり、弁護団が強く求めているルミノール検査報告書、手拭い配布捜査メモ、8ミリフィルム等の捜査関係資料、取り調べ録音テープ、供述調書、添付地図等の取り調べ関係資料は含まれていない。積み上げれば2メートル〜3メートルになると言われていた全証拠についての票目とはまるで違うのだ。東京高検に全証拠開示を迫る闘いをやりぬかなければならない。さらに、東京高検以外の場所にある領置物のリストもただちに開示させなければならない。
石川氏は、2016年新年のあいさつの中で「私は、決して焦りません。とにかく、検察に対し、徹底的に決断を迫ってまいります」「私は、国家権力に対し、いかなることにも動じない姿勢で闘う所存です」「暮れにイギリスの雑誌『エコノミスト』の取材を受けた時、記者が『冤罪や死刑制度の現実から言えば、日本の司法は、世界から見て一歩も二歩も後退していると思う』と言っておられましたが、それを変えるのが、われわれの闘いであり、狭山の冤罪が晴れれば、司法の在り方を根本的から変えなければなりませんし、その意味では、狭山裁判は試金石となり、その力量が問われていると、私は自分自身に言い聞かせ、不退転に闘う」と決意を述べている。石川氏の並々ならぬ闘志に応えきる闘いをなしきらなければならない。
階級的共同闘争を頑強に構築し、大衆的実力闘争・武装闘争で闘おう。石川氏の不退転の決意に応える闘いを全国の戦闘的部落青年・大衆とともに闘い、第3次再審棄却策動を粉砕しよう。部落解放同盟内社民・こえ派の「司法の民主化」要求を通した狭山闘争の幕引きを許してはならない。狭山闘争を単なる「冤罪事件」へと切り縮めてはならない。〈狭山差別裁判糾弾、階級裁判粉砕、国家権力糾弾・打倒〉の旗幟を鮮明にし、狭山闘争の歴史的勝利へ進撃しよう。
部落解放運動の革命的飛躍・前進を
全国で差別事件、差別落書事件があとを絶たず悪質化している。「部落地名総鑑」差別事件が発覚してから40年以上が経過したが、摘発―糾弾の闘いにもかかわらず、今なお形を変えて出回っているばかりか、インターネット版「部落地名総鑑」の存在も指摘されて久しい。2011年に発覚した「戸籍謄本等個人情報不正取得事件」は、その後も広がりを見せ、戸籍、住民票だけでなく、職歴、車両情報、携帯電話情報などが売買されていることが明らかになっている。また、昨年、東京では、司法書士が526通もの戸籍謄本を不正取得していた事実も暴露されており、インターネットを使った差別事件が頻発している。そして、「在日特権を許さない市民の会(在特会)」などの反共ファシストが活性化し、「ヘイト・スピーチ」をがなりたて、部落大衆や在日朝鮮労働者人民に対する差別襲撃・敵対を繰り返している。断じて許すことはできない。
「アベノミクス」の破綻が鮮明になり、日帝の危機が深化する中、安倍政府は、危機乗り切りのために、「一億総活躍社会」なるかけ声の下での労働者人民からの搾取・収奪強化に踏み込もうとしている。現在でも、「非正規雇用」拡大や生活苦の強制の圧力が、全国の部落大衆にも容赦なく襲いかかっている。そして、国家権力頂点からの「朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)脅威論」「中国脅威論」煽動を追い風とした、差別主義・排外主義攻撃が吹き荒れている。さらに、天皇制強化が進行している。天皇・アキヒトは、1月26日〜1月31日にフィリピンを訪問した。「国交回復60周年記念」と称して、日帝軍隊が蹂躙したフィリピンの地に立つことで、日帝の戦争責任の清算に踏み込んでいるのだ。安倍政府は、戦時国家体制形成のために天皇・天皇制を最大限活用している。日帝・文部科学省は、「愛国心教育」を推進し、天皇支配を賛美し、アジア侵略・植民地支配を正当化する「新しい歴史教科書をつくる会」系の歴史・公民教科書を検定・合格させている。また、教育現場においては、「日の丸」「君が代」強制、「愛国心教育」、歴史の改竄の攻撃が吹き荒れ、拡大している。そして、朝鮮反革命戦争とファシズムの危機がますます切迫しているのである。
部落解放同盟内社民・こえ派が押し出す「告訴・告発」や差別の「法規制」では、何も解決しないことは明白である。激発する差別事件に対して差別糾弾闘争を闘うことが求められている。特に、反共ファシストに対しては、撃滅戦の鉄の回答があるのみである。部落解放運動の生命線である差別糾弾闘争の復権をかちとり、部落差別の根底的廃絶、部落の根本的解放を実現するために闘わなければならない。
日帝の狭山闘争解体を基軸とした部落解放運動解体攻撃を粉砕し、部落解放運動のファシズム融和運動への転換攻撃を木っ端微塵に粉砕しよう。差別主義反革命革マルを解体・絶滅し、差別主義日共=全国人権連を解体し、天皇主義右翼ファシストを撃滅・一掃しよう。
3・13 内田「死刑」判決52ヵ年糾弾!
浦和地裁(現さいたま地裁)包囲―糾弾闘争
・日時 3月13日(日)正午〜
・場所 さいたま市別所沼公園
(埼京線中浦和駅下車徒歩3分)
・主催 5・23闘争実行委員会
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