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東北関東大震災被災労働者人民支援大運動を

「黙って野垂れ死ぬな! 生きてやりかえそう!」越年・越冬闘争をやりぬく 12・28-1・4 東京・山谷 (1169号6面)

圧倒的な共感と支援を受け、越年・越冬闘争が闘われる

 「黙って野垂れ死ぬな! 生きてやりかえそう!」をスローガンにして、12月28日から1月4日までの8日間、山谷・玉姫公園を実力占拠し、山谷越年・越冬闘争が闘いぬかれた。東京・山谷日雇労働組合(東京・山日労)が呼びかけた越年・越冬闘争実行委員会(越冬実)には、「反戦・反失業」を基調にした寄せ場の闘い、「安保法制関連法」粉砕決戦、「労働者派遣法」改悪阻止闘争、「城北労働・福祉センター(センター)」による「利用者カード」発行拒否を追及する闘いなどの2015年の闘いを共に闘いぬいた山谷労働者、支援の労働者・学生が多数結集した。また、寄せ場・山谷からあらゆる戦線の闘いとの結合を追求してきた東京・山日労の闘う越年・越冬闘争には、圧倒的な共感とともに現金カンパ、食材カンパ、衣類カンパが寄せられた。東京・山日労と越冬実のメンバーは、この共感と期待に応えるべく、「仲間の命は俺たちの団結の力で守りぬく」「俺たちにアブレ―野垂れ死にを強制する奴らにやりかえす団結を作り上げる」という決意のもと、炊き出し、ワッショイデモ、人民パトロールをやりぬき、最終日の1月4日には、東京都、厚生労働省に対して「アブレ―野垂れ死に」攻撃を打ち砕く決意をみなぎらせて追及行動を闘った。

 越年・越冬闘争にむけた準備は、まず、越冬闘争の資金作りのための連日の街頭でのカンパの呼びかけから開始された。「自力自闘」で仲間の命を守り、資本や行政にやり返す闘いでは闘争資金も自力で調達するのが原則だ。今回の7泊8日の越冬闘争の炊き出しの数は3000食近くにのぼると予想される。野宿で越年せざるをえない労働者を玉姫公園に迎え入れるための大屋根や寝床作り、炊き出し設備の設置、米や肉、野菜などの食材の確保、それらを運搬する車両の確保などに多額の資金が必要となる。越冬実のメンバーは、山谷に近接する駅頭や繁華街に連日繰り出し、「野宿で年を越さねばならない労働者が生きて年を越し、冬を越してゆくための炊き出しなどの資金カンパ、冬物衣類などのカンパを呼びかけます」と通行する労働者人民に訴えた。この山谷労働者による訴えには多くの反応が返ってきた。とりわけ、安倍極右政府による「戦争法」の制定強行、「労働者派遣法」改悪による「生涯非正規化」攻撃を弾劾する訴えを行なうと、スーツ姿の労働者も、大きなデイバッグを背にして派遣労働の現場から帰路に着く「非正規雇用」労働者も、消費税増税や「アベノミクス」による「円安」物価高で生活を直撃されている年金暮らしの高齢者も「頑張って」という声とともに貴重な現金カンパを寄せてくれた。チラシを見て、「冬物衣類を送りたい」と申し出てくれる人々も相次いだ。

 また、玉姫公園を拠点とした8日間の越年・越冬闘争をやりぬくには、風雨に耐える大屋根を作るための足場材、炊き出しのカマドや労働者が暖を取るための薪、大量の布団、3000食近くの炊き出しに使う米、野菜、肉などの食材の確保が必要となる。東京・山日労と越冬実は、これらの必要な資材・機材の確保のために山谷労働者の闘いに共感を持ってくれる団体などに協力要請を発し、12月28日からの越年・越冬闘争への突入に備えた。

 8日間の越年・越冬闘争は、冷たい水に手を浸す炊事、24時間昼夜を問わない防衛体制、短時間で玉姫公園を闘う労働者の拠点にするための各種の設営作業が必要となる。それを担うのが越冬実だ。越冬実のメンバーは、東京・山日労が呼びかける実行委員会の会議に参加し、それぞれの経験や蓄積した技術を発揮するべく、炊事班、設営班、防衛班、情宣班などの任務に率先して立候補し、班別会議で寄せ場の越年・越冬闘争の原則を踏まえた詳細な計画を詰めて行く。こうして2015―2016年山谷越年・越冬闘争は万全の準備をもって突入の日を迎えた。

12月28日、越年・越冬闘争に突入

 12月28日午前六時、東京・山日労と越冬実のメンバーが、センター前に結集し、組合旗を先頭にして山谷通りに繰り出す。山谷越年・越冬闘争の初日は、スーパー「島田屋」前での情宣、玉姫公園沿いの朝市に集まる山谷労働者への呼びかけ、玉姫職安で今年最後の仕事紹介に集まる労働者への呼びかけから始まった。労働者からは「今年も越冬が始まるな」「仕事がなくて困っている時に助かるよ」という期待の声、「屋根作りの手伝いに行くよ」「俺も何か手伝うよ」といった応援の声が次々と返ってくる。

 情宣活動を終え、センター前に戻った東京・山日労と越冬実のメンバーは、後から合流した越冬実メンバーと共に玉姫公園に向けて、越年・越冬闘争突入のために「ワッショイ」の掛け声とともに移動を開始する。玉姫公園では、大屋根などの設営を夜までに間に合わせるために集まった労働者が待機している。朝の食事と打ち合わせを済ませ、全員が、真新しい軍手を着け、それぞれの準備作業に取り掛かる。まず、警視庁―浅草警察の監視を遮るシートの設置が行なわれる。つづいて、設営班が、前日に搬入した足場材を使って玉姫公園を蓋う大屋根作りを開始する。その傍らでは、トラックに満載された食材や炊事道具が次々と炊事場に運ばれる。炊事などで使う薪となる建築廃材が到着し、毎年電動丸のこで切断に当たる労働者を先頭にして所定の置き場に搬入する。その後も、寝床に使うパレット、提供された食材を積んだトラックなどが次々と到着し、玉姫公園は、短時間のうちに越年・越冬闘争の拠点として打ち固められる。初日の炊き出しは、配食開始が夕方6時からだ。この時間に間に合わせるために、炊事班は、急ピッチで食材倉庫、切り込み台、カマドを設置し、さっそく食材の切り込みに取り掛かる。ほぼ計画通りに準備が整い、越冬実のメンバーが進行状況を全体で確認し、打ち合わせを済ませる。午後六時過ぎから、いよいよ越年・越冬闘争最初の炊き出しが始まる。公園外で待つ労働者を越冬実のメンバーが公園内に誘導し、初日のメニューであるカレーが配食され、受け取った労働者は大屋根の中や周辺で食事を始める。

越年・越冬闘争突入集会がかちとられる

 午後7時からは、越年・越冬闘争突入集会だ。元国鉄労働者であり全国労働組合運動交流会(全労交)顧問の佐久間忠夫氏、「反戦・反失業を闘う釜ヶ崎労働者の会」、福岡・築港日雇労働組合、沖縄・首里日雇労働組合からの連帯メッセージが紹介される。佐久間忠夫氏は、「私は入院生活が続いていますが、山谷の玉姫公園やドヤ街を歩いたことをなつかしく思います。労働組合が炊き出しをやり、越年・越冬闘争をやることは、労働者の命と生活を守るという労働組合の基本を実践しているということだと思います。日本社会は悪い方向に向っていますが、それを止められるのは、労働者一人一人が主体的に考え結集する労働組合だと思います。これからも共に頑張りましょう」。「釜ヶ崎労働者の会」は、「大手ゼネコンは東北の復興需要やアベノミクスの公共工事ばらまきが追い風となり、今年度は過去最高の利益となる見通しだが、俺たちは、生活していくのが昨年よりも苦しくなっている」「12月29日から1月3日まで、野宿のなかまの命を守る人民パトロールをうちぬく」「資本・行政によるアブレ―野垂れ死に攻撃を粉砕しよう」。福日労からは、「いよいよ安倍政府打倒の闘いの正念場です。2016年の激闘を、力一杯闘いぬきましょう。俺たち福日労も越年・越冬闘争を元気に闘いぬいた顔で新年を迎えるべく、全力で取り組みます。『反戦・仕事よこせ』の闘いをさらにさらに頑張って闘いぬき、来年も闘いの現場で逢いましょう」。沖日労からは、「俺たちも12月31日から1月2日までの3日間、那覇市内で炊き出しや人民パトロールを行なう予定です」「日雇い労働者のような低賃金、無権利、使い捨ての労働者が激増する今、俺たちの闘いはますます重要なものになっていると思います」「沖縄では、名護新基地建設阻止の闘いが大きく燃え上がっています。われわれ沖日労も、基地ゲート前の攻防をともに闘っています。翁長尻押し運動を突破し、勝利に向けて闘いぬく決意です」。つづいて、東京・山日労が越年・越冬闘争の基調を提起する。「マスコミは、『オリンピック景気』『復興景気』と描いているが、このような『建設特需』の求人の大半は、山谷を経由せずに行なわれ、山谷のアブレ状況はますます強くなっている」「これに輪をかけるように、2020年東京オリンピックを契機にした山谷の『再開発』が取り沙汰されてきている」「これに呼応するものとしてセンターは、『利用者カード』発行拒否を強行している」「センターの『カード』発行拒否は、山谷労働者に対して『野垂れ死ね』と言っているに等しい攻撃だ」「東京都山谷対策係追及の闘い、センターとの交渉を引き継ぎ、寄せ場・山谷の解体攻撃、日雇い労働者を就労から排除し、野宿する労働者を排撃する攻撃を粉砕しなければならない」「『安保法制関連法』=『戦争法』制定阻止決戦、『労働者派遣法』改悪阻止の対国会闘争を実力で闘い、自衛隊の実戦軍化を粉砕する闘いを貫徹してきた地平を、2016年はさらに強化しなければならない」「『反戦・反失業』を基調とした寄せ場労働運動を共に闘いぬく隊列を拡大・強化するものとして越年・越冬闘争を闘いぬこう」「国家権力、金町一家の妨害を許さず、24時間の防衛体制と仲間の団結で玉姫越冬をやりぬこう」。玉姫公園には、これまで飯場で生き延びてきた労働者が年末年始の休工で現場が閉鎖され、飯場から出ざるをえなくなり、「玉姫越冬」を知って合流し始めている。東京・山日労と越冬実は、越年・越冬闘争の意義を再確認し、8日間の闘いの決意を固めた。

12月29日、「なぎさ寮」受付会場で玉姫越冬への合流を呼びかける

 2日目の12月29日は、東京都の山谷越年対策の「なぎさ寮」入寮受付が行なわれる。東京・山日労と越冬実の仲間たちは、受付開始時刻の1時間前から「台東リバーサイドスポーツセンター」の受付会場前に登場し、「玉姫越冬」への合流、2016年「反戦・反失業」を基調とする闘いへの合流を呼びかけた。越冬実の日刊の情宣ビラである「黙って野垂れ死ぬな」で「玉姫越冬」への突入を知らせ、1月2日の「なぎさ寮」激励訪問を知らせ、1月4日の東京都山谷対策係、厚生労働省追及―弾劾行動を共に闘おうと呼びかけた。

 夕食後の企画では、「沖縄・辺野古のたたかい」として名護新基地建設阻止の最前線であるキャンプ・シュワブのゲート前での工事阻止の実力攻防を記録したDVDの上映が行なわれた。

 3日目の12月30日の夜には、「労働運動の現場から」という企画が行なわれ、「玉姫越冬」に大量に食材を提供してくれた地域生協で働く労働者が発言に起ち、「『環太平洋パートナーシップ協定(TPP)大筋合意』によって農・漁業破壊攻撃が強まろうとしているが、それを阻止する闘い、『一人の野垂れ死にも許さない』という山谷の闘いと結合して闘いぬく」と連帯あいさつを行なった。続いて、「君が代」不起立を闘う教育労働者の闘いを記録したDVDの上映が行なわれ、日頃接点のない教育現場での闘いを多くの労働者が興味深く見入った。

 12月31日、2015年の大晦日を迎えた玉姫公園では、恒例となった「東京大衆歌謡楽団」の無料出演によるコンサートが行なわれた。高齢化が進む山谷で、自分が現場で汗を流し、頑張った時期に流れていた歌を聞きながら、多くの労働者が懐かしい歌を一緒に口ずさみ、拍手を送り、「オヒネリ」を贈った。また、「東京大衆歌謡楽団」が縁となって山谷に足を運ぶようになった人々からは、山谷労働者が団結して年を越す闘いである越年・越冬闘争への共感が広がり、資金カンパが提供された。

2016年新年総決起集会がかちとられる

 越年・越冬闘争の折り返しとなる2016年1月1日、玉姫公園では午前11時から「団結モチツキ」が開催された。前回の越冬の際、杵を振るう労働者の力が入りすぎて臼が壊れるというハプニングが起きたが、山谷の越年・越冬闘争への共感の拡がりの中で、新たな臼の提供も実現し、多くの仲間が杵を振るい、新年の餅をつきあげた。

 夜は、2016年の闘いにむけた総決起集会だ。午後7時から大屋根の下に全員が集合し、東京・山日労からの「2016年は、山谷の『再開発』を企む連中の攻撃が日雇い労働者、野宿する労働者を『邪魔者』扱いにする攻撃として強まるだろうが、金儲けのために労働者を犠牲にすることには一片の道義性もないことはハッキリしている。『労働者の使い捨てを許さん』『戦争反対』を闘ってきた山谷労働者の側に正義はある。2016年も『反戦・反失業』を基調にした闘いを闘いぬこう。安倍政府を打ち倒そう。1・4対都庁行動、厚生労働省団交から闘いを始め、1・10日雇い労働者全国総決起集会とデモで闘う山谷労働者の隊列を登場させよう」という呼びかけを全体で確認した。つづいて、越冬実の炊事、設営、防衛の各班が決意表明を行なった。全体の闘う決意を確認しあった後は「団結乾杯」だ。全員が酒やジュースが入ったコップをかかげ、2016年を闘う決意を込めて「乾杯」の声を上げた。

 1月2日には、「なぎさ寮」に入寮している仲間を激励し、交流を深めるために飲み物、タバコなどを持参して訪問・差し入れが行なわれた。「なぎさ寮」の館内放送、越冬実のハンドマイクを使った呼びかけを聞いた仲間たちが続々と交流の輪の中に入ってきた。仲間からは、「『なぎさ寮』から出たら、玉姫職安で『ダンボール手帳』を作りたいから、一緒に職安の窓口に行ってほしい」といった要望や、一緒に野宿していた仲間の安否を尋ねる声が続いた。夜の玉姫公園での企画では、「山谷(やま)―やられたら、やりかえせ」の上映が行なわれた。「玉姫越冬」を知り初めて山谷に来た労働者は、日雇い労働者を「金づる」にし、天皇制の下への屈服を強いる天皇主義右翼ファシストの実態を知り、それと正面から対決してきた山谷労働運動への共感を深め、「1・10佐藤さん虐殺31ヵ年 山岡さん虐殺30ヵ年弾劾!金町一家解体!日雇い労働者全国総決起集会」に参加する決意を固めていった。

総括集会で東京都庁・厚生労働省弾劾―追及の決意を打ち固める

 1月3日の午前中には、年末・年始を東京拘置所ですごす獄中の仲間への激励行動が取り組まれた。夜の企画では、全国水平社が結成されるまでの部落大衆の格闘を描いたDVDが上映され、参加した仲間たちは差別を許さぬ闘いの重要性をあらためて確認し、狭山―部落解放闘争を闘う決意を打ち固めていった。

 午後7時からは、山谷越年・越冬闘争をしめくくる総括集会がかちとられた。東京・山日労は、「初めて越冬実として動くメンバーが多かったが、全員が『仲間の命は仲間の団結で守り抜く』という決意の下に、設営・炊事・防衛などの任務をやりぬき、越年・越冬闘争をやりきった。この団結の力を武器にして明日の都庁、厚生労働省を弾劾―追及する闘い、1・10日雇い労働者全国総決起集会を闘いぬこう」と呼びかけた。越冬実を担った炊事班・設営班・防衛班・人パト班が発言し、最後に「団結ガンバロー」で総括集会を締めくくった。

 仕事始めとなる1月4日は、朝の炊き出しを15分早め、東京都庁・厚生労働省弾劾―追及の闘いの準備が行なわれ、7時半には組合旗、ムシロ旗を先頭にした労働者は玉姫公園を後にした。

 新宿駅西口に到着すると、都庁庁舎まで「ワッショイ」と気迫に満ちたデモで進撃する。都庁前では、福祉保健局生活部の山谷対策係に対して追及の闘いを繰り広げる。「『1年間で5万1000人分の仕事』では生きて行くことができない。山谷の民間求人の減少に対応した『特別就労事業』の仕事数にしろ!」「山谷労働者の『働く権利』を奪い、『野垂れ死ね』というセンターの『利用者カード』発行拒否を改めさせろ!」「東京都は、公園や河川敷などからの野宿労働者の追い出しをやめろ!」。どれも山谷労働者の「働いて生きて行きたい」という切実な要求であり、怒りだ。これに対して、山谷対策係は、「予算は、限られている」「センターの対応は、適切と判断している」「皆さんの要望は、関係部署に伝える」と判を押したような回答に終始した。30分にわたる弾劾―追及の闘いを終えた仲間たちは、怒りに満ちたシュプレヒコールを都庁に叩きつけ、厚生労働省へと移動する。


 厚生労働省の正門に到着した東京・山日労と越冬実は、「センターの『利用者カード』発行拒否を許さんぞ」「俺たちに『野垂れ死ね』という攻撃を許さんぞ」「国と厚生労働省は失業している労働者に仕事を出せ」とシュプレヒコールを叩きつけ、全員が団体交渉の会場に入った。厚生労働省との団体交渉は、「厚生労働省が『無料職業紹介』の許可を出しているセンターの『利用者カード』発行拒否について、調査し、対応策を示せ」「日雇い労働者の失業状況を改善するために、公的就労事業を行なえ」という内容をめぐって行なわれた。職業安定局の担当者は、「『職業安定法』では求職申込みがあったら、基本的に受理するようになっている。山谷のセンターには、日雇い労働者に適した仕事を紹介するように職種の範囲を限定している」と回答した。さらに、「一般的な話として」と断ったうえで、「『野宿しているから』『民間の仕事に行ってないから』『足が悪いから』『カードを作っても仕事がないから』という理由で職業紹介をしないのは間違っている」と回答した。「働きたい」と考え、センターの「利用者カード」を作り、仕事紹介を受けたいと窓口に来た労働者を、センターは様々な口実を使って追い返している。厚生労働省の担当者の回答に沿って判断すれば、センターは「職業安定法」違反をしているということだ。交渉に参加した労働者は、具体的に自分の経験を明らかにし、怒りをぶつけた。厚生労働省の担当者は、「東京・山日労からの申し入れを受けて、東京労働局がセンターに対して調査を行ない、三月の春闘での交渉があるので、その時に明らかになったことを伝える」という回答を行なった。「公的就労事業」の実施をめぐっては、「仕事がない労働者には、生活保護制度のほか、新たに『生活困窮者自立支援制度』が始まったので、それを利用して欲しい」という回答であった。これに対しては、実際に「自立支援制度」を利用した労働者から行政のアリバイ的な制度の実態を批判する声が続いた。一時間半にわたって交渉を闘いぬいた仲間たちは、「東京労働局によるセンターへの調査」なる回答に油断することなく、「利用者カード」を発行させる現場での闘いを強め、「仕事よこせ」の闘いをさらに強めることを確認して厚生労働省を後にした。

 8日間にわたる越年・越冬闘争をやりぬいた労働者は、「黙って野垂れ死ぬな!」「生きてやりかえそう!」という闘いを実践しぬいた自信を胸に、1・10日雇い労働者全国総決起集会の成功、2016年春闘勝利にむけた活動に入っている。