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12・10再雇用拒否撤回第2次訴訟控訴審判決公判闘争が闘われる (1168号1面)

 12月10日、東京高裁民事第2部で「再雇用拒否撤回第2次訴訟」の判決公判闘争が闘いぬかれた。

 「再雇用拒否撤回第2次訴訟」とは、「君が代」斉唱時の不起立のみを理由に、東京都が定年退職後の再雇用職員、非常勤教員等の採用を拒否したことは違憲であり、かつ東京都教育委員会の「裁量権の逸脱・濫用」であるとして「損害賠償」を求め、2007年〜2009年度の間に再雇用を拒否された教育労働者が原告(元都立高校教員25人・当時、現在の原告数22人)となり、都教委を提訴した裁判だ。

 2009年に提訴された裁判は、今年5月25日、東京地裁民事第36部で「『期待権を侵害』し『裁量権の逸脱・濫用で違法』」として、東京都に対し原告22人に211万円〜260万円の損害賠償を命じる判決を言い渡していた。

 これに対して、都教委は、何としても「10・23通達」によって教育労働者を「日の丸」「君が代」に屈服させるために、控訴していたのだ。その都教委の控訴理由書はと言うと、人事院通達の「定年退職者の再任用の運用について」や「国旗国歌法」制定時の文部大臣による「教員の責務について変更を加えるものではない」等の発言について、地裁の「事実誤認に基づくもの」なぞと決めつける苦し紛れの内容に終始するものであった。10月15日に行なわれた控訴審第1回弁論で、原告側は、「教員の再任用が原則として希望者全員を雇用する」ことになっていたことから「期待権」(法が期待する権利)が存在し、「日の丸」「君が代」強制の職務命令は、思想・信条の自由を間接的に制約するものであるため、この職務命令に対する違反を理由とした採用拒否は「裁量権の逸脱・濫用になる」という地裁判決の正当性を主張した。都教委は反論したいと主張したが、裁判長から「特に新しい論点を主張するのではないでしょう?」と問われ「そうだ」と答えざるを得なかった。

 12時50分、弁護士会館前に結集した原告団は、横断幕を先頭にして裁判所前に行進し、裁判所前に結集していた他の「君が代」裁判の原告や支援者に拍手で迎えられた。午後1時30分、判決が言い渡される東京高裁の大法廷である102号法廷は、原告や支援者で埋め尽くされている。高裁の裁判長・柴田が、「控訴を棄却する」という主文を読み上げる。傍聴席から「完全勝利だ」と言う声が上がる。ただちに裁判所正門前で「完全勝利」と書かれた「旗出し」が行なわれた。

 勝利判決を受けて、原告・弁護団は霞ヶ関の司法記者クラブで記者会見を行ない、「声明」を発表する。「声明」は、「1審判決に続き控訴審においても、原判決の判断を踏襲した他、東京都の主張をすべて排斥し、都教委の本件採用拒否を裁量権の逸脱・濫用にあたり違法であることを認めたことは、都教委による10・23通達以降の『日の丸・君が代』の強制を司法が断罪し、これに一定の歯止めをかけたものと評価できる」「本原告団・弁護団は、東京都が本判決を受け入れて上告を断念し、10・23通達に基づく『日の丸・君が代』強制などの諸政策を抜本的に見直すことを強く求めるものである」とした。

 虎ノ門の会場で行なわれた報告集会は、勝利判決をかちとった原告、支援者の明るい表情で一杯になった。原告の1人は、「今日の私たちの裁判の勝利は、他の『君が代』裁判が都教委のやり方を告発し続けてきた結果、思想・信条を理由にして嘱託採用を拒否するのは許されないんだと、裁判所が思想・信条の問題についてもプラスの判断をしたのではないか」と、裁判闘争を続けてきた成果を強調した。

 報告集会の最後に、「『日の丸・君が代』不当処分撤回を求める被処分者の会(被処分者の会)」の近藤事務局長は、「都教委が上告するのは確実です。明日の都議会文教委員会で『上告受理申立』の議案を提出しようとしている。都教委への要請行動や都議会本会議の傍聴行動などで、これを阻止する闘いをただちに始めましょう」と呼びかけ、報告集会は終了した。