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東北関東大震災被災労働者人民支援大運動を

10・3 「ストップ! マイナンバー一〇月通知 全国集会&デモ」が闘われる (1162号5面)

「治安管理カード」を許すな

 9月3日、「共通番号(マイナンバー)法」改悪案が、衆院本会議で可決・成立した。これによって、2013年5月に成立した「共通番号(マイナンバー)法」の利用範囲の拡大と具体的な進行スケジュールが決定した。利用範囲拡大の柱は、2018年から金融機関の預貯金口座に「マイナンバー」を適用するというものだ(当初は預金者の任意とし、将来的には義務化するとされている)。日本年金機構の「個人情報流出問題」を受け、「マイナンバー」と基礎年金番号の連結は延期とした。流れとしては、今年10月5日時点の住民票情報をもとに、日本に住む住民1人ひとりに12桁の「個人番号」を振り、10月20日から11月末にかけて、「個人番号」を記した「通知カード」が全国5600万世帯に簡易書留で配送され、2016年1月1日から、希望者にICチップ搭載・写真付のプラスチック製「個人番号カード」の交付を開始し、利用がスタートするというものだ。

 民間の調査では、「共通番号制度」を「不安だ」とする人は79パーセント、国による個人情報の管理を「信頼しない」とする人が77パーセントという数字が出ている。こうした労働者人民の「共通番号制度」への「不信」の前に、2017年4月からの消費税率10パーセントに際して、2パーセントを還付する方法に、「個人番号カード」を使う還付案を財務省が出している。「個人番号カード」の拡大を図ろうとする意図がミエミエである。今回の利用範囲の拡大はこれにとどまらず、次から次へと拡大を狙うものである。戸籍事務、旅券事務、自動車登録事務、医療、介護、健康情報管理などの他にオリンピック会場への入場確認に「個人番号カード」を利用しようとしている。「税・社会保障番号」という政府の説明にまったく反する「治安管理カード」である。そして、認知度は低く、役所の準備は遅れ、企業での準備は多くが未だ手つかずである。

「番号とカードで日本が管理国家になっていく」

 こうした中、10月3日、10月5日からの「個人番号」の通知を前に、「ストップ! マイナンバー10月通知 全国集会&デモ」が闘われた。午後2時、約400人が宮下公園に集まり集会が開始される。

 「共通番号いらないネット(共通番号・カードの廃止をめざす市民連絡会)」から主催者あいさつが行なわれる。「『共通番号制度』実施の延期と全面見直しを求めて今日の行動を計画した。番号制度とカード制度の組み合わせは、最悪の形だ。番号については、銀行の口座への番号の紐付けという形で民間分野での利用に踏みだした。これが行き着く先は、アメリカや韓国であったように経済的財産的被害に結びついていく。カードについては、もっとひどい状態になっている。2020年頃には常時携帯義務化法案が出されるかもしれない。最終的には顔認証というものが動き出す。カードに取り込まれた顔写真データがあちこちで照合されることになり、番号とカードで日本が管理国家になっていく。今日からあらためてこの問題の延期と見直しを大きく訴えていく」。国会議員から共産党国会議員のあいさつがあり、参院議員・山本太郎氏のメッセージが紹介される。違憲訴訟弁護士・瀬川宏貴氏(自由法曹団)は、「『マイナンバー制度』の違憲訴訟を12月頭に仙台、新潟、金沢、東京、名古屋、大阪、福岡で提訴するよう準備を進めている。『マイナンバー制度』の問題点を裁判の中で明らかにしていきたい。傍聴席を一杯にして、裁判官に下手な判決は書けないと思わせるようにしたい」。

「抵抗の共通的な方法は、『個人番号カード』を申請しないということ」

 「共通番号いらないネット」世話人の田島泰彦氏、札幌からの参加者が発言したのにつづいて、千葉県県会議員は、「『個人番号カード』は、顔認証システムで本人認証しようとしている。NECは1740の全国の自治体から受注をした。私たちの生体情報がなぜ管理されなくてはならないのか。『番号法』19条12号では、警察や公安機関に特定個人情報を提供できることになっているが、第3者機関のチェックすら入らない構造だ。こうした危険な『共通番号制度』の問題点を自治体議会から問うていく活動を行ない、最終的には制度を廃止させるために頑張っていきましょう」。「マイナンバー制度反対連絡会」、「『秘密保護法』廃止へ! 実行委員会」の発言が続き、「共通番号いらないネット」事務局から集会のまとめが行なわれる。『共通番号拡大法』は国会で成立してしまったが、この問題に対する運動は今日がスタートだ。私たちの呼びかける抵抗の共通的な方法は、『個人番号カード』を申請しないということだ。『私たちに個人番号カードはいらない』を広めよう。政府は、最終的には85パーセントくらいの市民に『個人番号カード』を持たせたいと考えている。2020年の東京オリンピックの入場規制に『個人番号カード』を利用しようとしている。まさに、治安管理的利用が狙われている。番号を通知する『通知カード』が届きだせば、様々な矛盾が噴出してくるだろう。そうした矛盾を広く集めて抵抗運動の材料としていきたい。12月12日、違憲訴訟提起と1月『個人番号カード』配布、番号運用開始に反対する大規模な集会を企画している」。

 集会の後、渋谷の街に繰り出し「共通番号制度」反対を訴えてデモを行ない、この日の行動を終えた。