8月11日、九州電力・川内原発1号機(鹿児島県)の再稼働が強行された。安倍政府と九電によるこの許しがたい攻撃に対して、再稼働阻止実行委員会に結集する労働者・学生たちは、8月10日と11日の両日にわたって怒りの現地闘争を貫徹し、現地攻防戦に起ち上がった労働者人民の最先頭で闘いぬいた。
8・10、川内原発正門ゲートにデモで進撃
久見崎公園で決起集会
8月10日午前8時、実行委員会の青ヘル部隊は、薩摩川内市内・久見崎公園に結集する。横断幕が掲げられ、参加団体の旗が快晴の空に翻る。
デモ出発に先立ち、決起集会が開催される。「再稼働を阻止するぞ」、「正面ゲートに進撃するぞ」、「核武装と本格的戦争に突き進む安倍政府を打倒するぞ」というシュプレヒコールが一帯に轟く。司会の仲間が、「九州電力は、明日11日の再稼働を宣言している。われわれは、これを絶対に許すことはできない。再稼働を実力阻止しよう」と提起し、集会が開始された。
まず、現地闘争にともに参加した元原発労働者・原発労働裁判原告の梅田隆亮氏からあいさつを受ける。
梅田隆亮氏があいさつ
梅田氏は、前日の長崎反戦闘争の疲れも見せずに、発言に起った。「ここに、2008年に私が放射線被曝による心筋梗塞を理由に労災申請した際、長崎大学医学部付属病院の『国際ヒバクシャ医療センター』の医師が書いてくれた証言の写しがある。私が1979年に長崎大学で受けたホールボディーカウンター検査の再現結果に関するもので、その医師は、検査で私の体内から放射性同位体であるコバルト57、58、60、マンガン54、セシウム137と思われるガンマ線のスペクトルを検知していると推定されること、したがって、内部被曝の可能性、しかも急性放射線症候群に近い被曝があった可能性が否定できないことを指摘している。この証言を裁判で開示請求したら、国は一面黒塗りのものを出してきた。弁護団が抗議して、やっと読めるものを出した。この事実でも分かるように、国は、原発労働者の被曝の実態を徹底的に隠蔽してきた。電力会社も作業員に向かって『安全だ、安全だ』と言い続けてきた」「原発で作業をするということは、事故が起きなくても、内部被曝、外部被曝のリスクが常について回る。それを知らされずに多くの労働者が働かされ、気がつかないうちに被曝して、その後の人生を滅茶苦茶にされてきた」「のべ100万人の労働者が運転や点検に携わったと言われるが、労災認定されたのはわずかに十数例にすぎない。労働者が使い捨てにされ、被害が闇から闇に葬り去られている。今日は、川内原発の中で働く労働者にも、この事実を強く訴えていきたい。中で働く労働者が声を上げ、作業を拒否すれば、原発は動かない」「今回の再稼働にあたり、九州電力も作業員の確保に苦労したと報道されている。私が裁判を通して原発労働の危険性を訴えてきたことは、決して無駄ではなかったと思う。『原発はやめるべきだ』、『再稼働はやめるべきだ』という大きな声を、外からも内からも創り出すために、今日はがんばりましょう」と熱く語った。
実行委が基調提起
次に、闘いの基調が提起される。実行委員会の仲間は、「川内原発は、『事故が起きれば日本で一番危険な原発』と言われている。全国で10年に3回起こる程度の地震にも耐えられない、それが川内原発だ。そして火山噴火。南九州には、過去に巨大噴火を起こした火山がいくつもある。将来、このうち1つでも大噴火を起こせば、火砕流が川内原発に達する可能性、あるいは大量の火山灰が降り注ぐ可能性が指摘されてきた。過去に実際に、5大カルデラのうち3つの火山について、火砕流が川内原発の立地する場所に達していた可能性があることは、九州電力自身も認めていることだ。近い将来、そんなことになれば、原発施設がひとたまりもなく破壊され、『福島第1原発事故』とは比較にならないほどの大事故になることは、まったく明らかだ。九州はおろか、西日本全域が壊滅するような大惨事になる」「安倍政府は、原発事故で労働者人民がどんなに被曝しようが、どれだけの街が壊滅しようが、まったくお構いなしに、原発政策―原子力政策をゴリ押しする気だ。すべては核武装のためだ。労働者人民の被曝なしには存在しえない原発は、即刻、廃止にしなければならない。核武装のための原子力政策はただちに葬り去らねばならない」「川内原発が『再稼働第1号』となることを許すのか。これを突破口にした全国の原発再稼働を許すのか。すべては、われわれの今日、明日の闘いにかかっている。川内原発をめぐる闘いが、全国原発の再稼働の行方を決する」「勝利のカギは、現地実力闘争の爆発にある。川内原発に押し寄せる闘い、原発労働者のストライキを呼び起こすような闘い、そのような闘いこそが必要だ。再稼働阻止をかけて、全力で闘いぬこう」と提起した。
決意表明とデモ
集会の最後は、決意表明だ。福岡・築港日雇労働組合(福日労)の仲間は、「団結夏祭りの準備で猛烈に忙しいなか、福日労は、今日の闘いに大挙して参加した。ここで再稼働を阻止することが、安倍政府の核武装と本格的戦争への流れを止めることになる。全力で闘う」と発言した。福岡県反戦の同志は、「再稼働を実力阻止し、『安保法制関連法』を粉砕し、安倍極右政府をわれわれの力で打ち倒そう。今から、断固たるデモで原発正面ゲートに進撃しよう。反戦青年委員会はその最先頭に立つ」と決意を述べた。
集会を終えた青ヘル部隊は、直ちにデモに出る。県道43号を一路、川内原発に向かって突き進む。上り坂が延々と続くが、部隊の勢いはまったく衰えない。「再稼働阻止」、「原発廃炉」、「核武装阻止」、「政府打倒」のコールは高まるばかりだ。原発の敷地内から、ガードマンどもが戦々恐々の面持ちでデモ隊列を注視する。部隊が正面ゲートにさしかかると、ゲート前に結集していた労働者・市民からの「オォー」という歓呼の声と大拍手が迎える。部隊は、眼前の1号機の原子炉建屋に向かって、「再稼働を許さないぞ」、「川内原発を廃止しろ」と、シュプレヒコールを徹底的に叩きつけていった。
デモを終えた実行委員会の部隊は、正面ゲートに陣取り、ゲート前を制圧する闘いを終日展開した。
8・11、ゲートで再稼働を徹底弾劾
8月11日は、午前6時からゲート前に登場し、ゲート制圧―再稼働阻止の闘いを展開した。そのゲート前に、多くの労働者・市民が次々に集結してくる。
これに対し、労働者人民の怒りと闘いの爆発を恐れた国家権力―鹿児島県警は、膨大な数の警官隊を配置して、車道上に構築したフェンスの外には一歩たりとも出さない態勢をとり、闘いの封じ込めに躍起になった。マスコミ関係者までその中に押し込め、フェンスの外からの報道・取材を全面的に禁止するという、念の入れようだ。挙句の果てには、ゲートのはるか手前で43号線を封鎖し、通行止めにするという挙にも出た。再稼働に反対する労働者人民がゲート前の行動に加わるには、大型バスや乗用車を乗り捨てて、炎天下を延々と歩いて来なければならないようにしたのだ。やることがまったく汚い。
こうして国家権力に厳重に守られながら、九州電力は、午前10時30分、1号機の再稼働を強行した。ゲート前に怒りが渦巻く。実行委員会の仲間たちは、徹底的な弾劾を叩きつけていった。
川内原発の再稼働は、2013年9月に関西電力・大飯原発3、4号機(福井県)が定期検査に入り停止して以来、1年11ヵ月にわたる「原発ゼロ」状態に、力ずくで幕引きを図るものだ。すでに、川内原発2号機、関西電力・高浜原発3、4号機(福井県)、四国電力・伊方原発3号機(愛媛県)が「新規制基準」に基づく「審査」を通り、再稼働に向けたカウントダウンを始めており、さらに24基が「審査中」となっている。川内原発を皮切りに、全国原発の「ドミノ倒し」のような再稼働が狙われているのだ。原発の新設・増設も、強力に推進されようとしている。断じて許すわけにはいかない。
川内原発の再稼働の強行を徹底的に弾劾し、全国原発の再稼働を阻止しよう。電源開発(Jパワー)・大間原発(青森県)をはじめ、原発の新設・増設阻止の闘いに、猛然と決起しよう。日帝の核武装と対決する反原発・反核燃闘争の大爆発をかちとろう。
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