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東北関東大震災被災労働者人民支援大運動を

7・30大間原発建設阻止現地闘争に決起
(1154号4面)

全国反戦が基調提起

 7月30日、全国反戦・全学連の下に結集する青ヘル部隊は、青森県大間町で建設中の電源開発(Jパワー)・大間原発建設阻止の現地闘争に起ち上がった。通算6度目の大間現地闘争を、最後まで闘いぬいた。

 7月30日早朝、大間現地に到着した反戦・全学連の部隊は、準備を進め、青ヘルメットを装着して横断幕を広げ、部隊の隊列を整える。

 そして、デモに先立ち、全国反戦が基調的提起を行なう。「大間原発を建設する運営会社のJパワーは、昨年12月に、『原子力規制委員会』に原子炉の『安全審査』を申請した。建設中の原発の『安全審査』は、大間原発が初めてである。Jパワーはいよいよ原子炉の建設に着手しようというのだ。Jパワーは、今年11月の『審査合格』を当て込み、『2020年完成』『2021年度中の運転開始』に突き進もうとしている」「労働者人民の建設阻止闘争の高まりを前に、大間原発工事の進行の遅れが目立つようになっている。アリバイ作りのはずの『安全審査』が遅れに遅れ、工事を進めることができず、建設作業員もピーク時の5分の1程度しか稼働できない有様だ。今こそ、実力・武装の闘いで追撃しなければならない」「原発再稼働をめぐっては、まずは8月中旬にも、九州電力川内原発1号機の再稼働が強行されようとしている。川内原発の原子炉には、既に核燃料が搬入され、装着を開始している状態である。周囲に多数の火山のある危険極まりない川内原発の再稼働を断じて許してはならない。安倍政府は、さらに、全国で計24機の原発再稼働を狙っている。『福島第1原発事故』がまだ『収束』せず、『収束』のメドすら立たないにも関わらずである。安倍政府の狙う、全国の原発再稼働・新(増)設を阻止しよう」「安倍政府の原子力政策の狙いは、核武装に向けた技術の蓄積と材料の確保である。日帝は、すでにプルトニウムを47トン蓄えており、世界中から疑念の目を向けられている。安倍政府は、疑念を覆い隠すアリバイ作りのために、『核燃料サイクル』計画を強引に推し進めている。大間原発は、ウランとプルトニウムの混合酸化物であるMOX燃料を炉心全体に用いる「世界で初めてのフルMOX炉」である。原発の再稼働を阻止し、『核燃料サイクル』計画を粉砕し、核武装に向けた日帝の原子力政策を粉砕しなければならない。労働者人民の被曝なしには存在しえない原発は、即時に停止―廃止しなければならない。核武装のための原子力政策はただちに葬り去らねばならない。大間原発建設阻止の現地実力闘争に決起せよ。六ヶ所再処理工場の本格操業を阻止し、『核燃料サイクル』計画を粉砕せよ。原発労働者のストライキへの組織化をもみすえ、原発再稼働・新(増)設を阻止し、全ての原発の即時廃止をかちとれ。日帝の核武装と対決する反原発・反核燃闘争の爆発をかちとれ」。提起された基調は、参加者全体からの拍手で確認された。

「『有事法制』に反対する宮城県実行委員会」が連帯のあいさつ

 連帯あいさつとして、「『有事法制』に反対する宮城県実行委員会」の呼びかけ人である日本キリスト教改革派亘理教会牧師・林茂雄氏からの発言を受ける。「原発は、事故を起こさなくても放射能をまき散らしています。放射能は、海でも溶けることはない。人体に入れば被害をもたらす、恐ろしいものだ」「原発は、罪深いものであり、なくさなくてはならない。ここに結集するみなさんには、原発を止める責任がある。大間から放射能を出させてはならない」「共に原発をなくす闘いを頑張りましょう」。林牧師からの力強い連帯あいさつに、参加者の間で拍手が沸きあがる。

 午前9時、いよいよ大間原発の工事車両入口ゲートに実力進撃するデモが開始される。建ち並ぶ日立や東芝の現場事務所に対して旗竿を突き上げ、シュプレヒコールを叩きつける。機動隊はしきりに「旗竿を突き上げるな」なぞと言いなしてデモ隊への執拗な規制に入るが、デモ隊は工事車両入口ゲートに向け進撃を続けた。いよいよ入口ゲートにさしかかると、デモ隊の意気はさらに上がる。この日は平日とあって、作業員たちが現場作業所や入口付近で待機していたが、反戦・全学連のデモ隊が通過すると、一斉に注目した。入口を固める大間原発の職員や警備員たちは、デモ隊の登場に動揺をあらわにし、慌てて監視体制をとる。デモ隊は、バリケードで封鎖されているゲート前に陣取り、横断幕を広げ、シュプレヒコールを叩きつける。「大間原発建設を阻止するぞ」「全国の原発廃止をかちとるぞ」「実力闘争・武装闘争で闘うぞ」。

 思う存分シュプレヒコールをたたきつけたデモ隊は、ゲート脇の空き地に移動する。総括集会では、全国反戦が簡単な総括提起を行なう。大間原発の職員や警備員たちが慌ててデモ隊に接近をはかるが、恐る恐る監視するのが関の山だ。参加者全体で大間原発建設を阻止し、全国の原発再稼働・新(増)設阻止を闘う決意をうち固めた後、大間原発に向かって再度シュプレヒコールを叩きつけ、意気揚々とこの日の現地闘争を終えていった。

大間原発建設を阻止せよ

 労働者人民の広範な大間原発建設への怒りの前に、大間原発建設工事の遅れがいよいよ目立つようになり、Jパワーは焦りを強めている。7月24日、Jパワーは、大間原発の周辺で大規模な追加地質調査を実施する方針を明らかにした。稼働の前提となる「原子力規制委員会」の「安全審査」で、「地質データ不足」の指摘を受けての、アリバイ作りのための措置である。これにより、Jパワーが当初の目標とした「11月までの審査終了」は困難な状況となった。

 Jパワーは、7月24日の「安全審査会合」で、追加調査の概要を示した。下北半島北部の段丘地形の成因や、沖合の小島である「弁天島」の地形成因などを詳しく説明するため、ボーリングや地表面踏査を実施する。調査範囲は、大間町のほか青森県風間浦・佐井両村、むつ市に及ぶ見込みとされる。

 「規制委」は、これまでの審査で、段丘地形の成因が断層活動ではないことなどを証明する詳しいデータの提示を求めていた。Jパワーは 、今後、具体的な調査計画をまとめ、早ければ8月に調査に着手する方針だが、調査期間は「未定」としている。一方、地質データを前提とした原発の耐震性など、重要な審査テーマの議論が進展するメドは立っていない。しかし、Jパワーは、なおも「11月の審査終了は厳しくなったが、引き続き審査対応に全力を尽くす」とした。Jパワーは、昨年12月の「安全審査」申請時、今年11月の「安全審査」終了と、「安全対策」として必要な「テロ対策など向けの特定重大事故等対処施設」の着工というスケジュールを示していた。

 そもそも、起伏の激しい大間周辺の地形からして、地殻変動が激しい地域であり、活断層が活発に動いていることは明々白々である。Jパワーがどうごまかそうと、大間原発が未来永劫「安全」であるなぞということはまずありえないということだ。だいたい、この期に及んで「東北・関東大震災」以下の津波、「阪神大震災」以下のエネルギーしか想定できない大間原発なぞ、即刻粉砕しなければならないのだ。

 「六ヶ所再処理工場」にしても、破綻は必至である。運営会社の日本原燃は、2014年10月の段階で、完成時期を2016年3月に先延ばししているが、「六ヶ所再処理工場」の完成延期は実に22回目で、建設費は当初見込みの7600億円から約2・2兆円へと3倍に増えており、さらに膨らむのは必至だ。このままでは、日本原燃の運営自体が行きづまると見た経済産業省は、日本原燃の経営形態を「認可法人」に再編しようと狙っている。従来の、電力会社の出資を下支えしてきた経営母体を、国家の介入を強める運営へと改編しようというものだ。2015年中に具体的な方針を決定し、来年にも関連法改定に着手しようとしている。これまで「原発は経済的な電源」として原発を正当化してきた政府と電力会社の「論理」が、既に破綻しているということだ。ここまでして、「六ヶ所再処理工場」を完成させようとする、安倍政府の目論見を許してはならない。

原発再稼働・新(増)設を阻止しよう

 大間原発も六ヶ所再処理工場も「大事故」が起これば「福島第一原発事故」とは比べ物にならない甚大な被害を及ぼす。このことを百も承知で安倍政府は、「核燃料サイクル」計画を推進し、大間原発の建設を強行しているのだ。

 7月28日、安倍政府は、「福島第一原発事故」の損害賠償の見積もりを「9501億円増額し、総額で7兆753億円」とする東京電力の新総合特別事業計画(再建計画)の改定案を承認した。「福島第1原発事故」が拡大を続けていることの表れである。「福島第1原発事故」は、未だ「収束」の見通しが立たない。「福島第1原発事故」の現場では、「事故収束」どころか、日々生み出される「汚染水」の処理も満足にできない状況にある。東京電力は、「汚染水対策」の「切り札」として「凍土壁」建設を打ち出し、6月に工事を本格化させたものの、いまだに難航している。そればかりか、大型台風が来るたびに「汚染水」が漏れ出す有様だ。結局まともに凍結させることすらできていない。その上で、放射能汚染にまみれる中での過酷な労働を、原発労働者に強制しているのである。にもかかわらず、安倍政府は、「汚染水はコントロールされている」なるデマをいまだに撤回しようともしないばかりか、危険性が指摘される避難住民の「帰還」まで促す始末だ。あくまで「収束過程」をアピールすることで、原発推進を加速しようというのだ。

 安倍政府は、原子力発電を「季節や時間帯にかかわらず電気を供給する『重要なベースロード電源』」なぞと位置づけ、原発再稼働・新(増)設を推進している。そして、原発再稼働の第一弾として、まずは九州電力川内原発一号機の再稼働をもくろんでおり、8月11日には、すでに一号機の再稼働に踏み切っている。周囲に火山帯があるなど、これまで指摘されてきた危険性の数々を無視しての川内原発再稼働に対する、労働者人民の怒りがさらに高まろうとしている。

 安倍政府の原発再稼働・新(増)設への広範な怒りが、さらに噴出している。大間原発をめぐっても、津軽海峡対岸の函館市による東京地裁での建設中止を求める訴訟が進むなど、地元住民の広範な怒りが拡大している。

 核武装のために、労働者人民を危険にさらし、原発労働者に過酷な労働を強制しようとする安倍政府のやり口を許すことはできない。大間現地闘争のさらなる爆発をかちとり、原発再稼働・新(増)設を阻止しよう。六ヶ所村の再処理工場運転開始を阻止し、「核燃料サイクル」計画を阻止しよう。全ての原発の即時廃止をかちとれ。日帝の核武装と対決する反原発・反核燃闘争の爆発をかちとれ。戦争遂行の安倍極右政府打倒へ進撃しよう。