8・9上告棄却38ヵ年糾弾
1977年8月9日、最高裁第二小法廷裁判長・吉田は、無実の部落民=石川一雄氏に対し上告棄却決定を打ち下ろした。一度の口頭弁論もなく事実調べも行なわず、上告棄却を強行したのである。そして、わずか6日後には、上告棄却に対する異議申し立てをも棄却し、1974年10月31日、東京高裁・寺尾が打ち下ろした反革命差別「無期懲役」判決を確定させた。8・9上告棄却は、寺尾の「無期懲役」判決への大衆的怒りと国家権力糾弾・打倒の闘いの高揚を恐れ、狭山闘争の解体を唯一の目的に打ち下ろされた反革命差別決定なのだ。
吉田は、筆跡や捏造された万年筆をはじめ、石川氏の無実とデッチ上げを明らかにする数々の証拠・鑑定書の審理を拒否したうえで、「一部に証拠上なお細部にわたって解明されない事実が存在することも否定できない」としながらも「被告人が犯人であることに合理的な疑念をさしはさむ事実の成立は認められない」と言い放った。二度の徹底した家宅捜査で脚立まで使用して調べた鴨居から万年筆があっけなく「発見」されたことについても、「捜査されてしかるべき場所ではあるが…必ずしも当然に捜査官の目にとまる場所とも言えない」「捜査官が見落とすこともありうる状況の場所」とヌケヌケと言い放ち、万年筆捏造のデッチ上げを全面否定した。そして、「予断と偏見をもって差別捜査を行なったと窺わせる証拠はない」「積極的にも消極的にも部落差別を是認した予断と偏見による差別的なものではない」と差別捜査を否定し、差別裁判の強行に全面的に居直ったのだ。まさに、「部落民は差別と迫害の中で死ね」とする部落民虐殺宣言に他ならない。狭山闘争破壊攻撃として打ち下ろされた、8・9上告棄却38ヵ年を怒りも新たに徹底糾弾しよう。
第3次再審闘争勝利へ
今年5月28日、第23回目の「三者協議」が開かれた。狭山弁護団は、東京高検以外の、埼玉県警、浦和地裁などにある証拠物の一覧表について、開示を強く要求した。特に、これまで「犯行現場」の雑木林を撮影した八ミリフィルムの存在が実況見分調書に明記されているにもかかわらず、「不見当」とされていることを例にあげながら、「『不見当』というならその合理的説明をすべきだ」と東京高検に突きつけた。また、東京高検が開示した「証拠物の一覧表(領置表)」で明らかになった航空写真など5点の開示要求に対し、東京高検は前回の「三者協議」で航空写真112枚を開示したものの、他の4点については「プライバシーの侵害」「必要性・関連性がない」としてはねつけている。東京高検は、この「三者協議」において、「手拭い」に関しての捜査報告書2点を開示した。これにより、「三者協議」開始以降に開示された証拠は180点となった。次回は7月下旬に予定されている。
6月29日、狭山第3次再審請求を担当する東京高裁第四刑事部の裁判官であった河合健司が、さいたま地裁所長に異動した。後任の担当裁判官には、甲府地裁・家裁所長であった植村稔が就任した。植村は、これまで東京地裁判事、最高裁刑事部長などを歴任している。
検察は、弁護団によって攻勢的に提出される新証拠をはじめ、石川氏の不屈の闘い、石川の命=我が命と闘う部落大衆の闘い、それと結びつく労働者人民の闘いに追いつめられながらも「不見当」を繰り返している。東京高裁も、事実調べは一切行なっていない。度々裁判官が交代し、東京高検に対して手ぬるい態度をとり続けている。東京高裁は、棄却のタイミングを狙っていると言わざるを得ない。今こそ、東京高検に対し、ただちに全証拠開示を行なえと徹底糾弾を叩きつけていかなければならない。東京高裁に、ただちに事実調べを行なえ、再審を開始しろと迫っていかなければならない。大衆的実力闘争と階級的共同闘争で、第3次再審棄却を阻止する攻勢的な闘いを叩きつけていかなければならない。
狭山闘争の歴史的勝利をかちとろう
司法―国家権力は、これまで石川氏の無実を明らかにする新証拠や補充書、意見書を、どれだけ目の前に積まれようとも棄却を強行してきた。石川氏の無実は、犯人にデッチ上げた国家権力が一番よく知っている。だからこそ、国家権力は、狭山闘争が階級的共同闘争を基軸とした全人民決起と、戦闘的部落大衆と結びついての大衆的実力闘争・武装闘争で国家権力を追いつめてきたことに何より恐怖と憎悪を燃やし、狭山闘争解体攻撃をしかけているのだ。狭山闘争は、国家権力を追いつめてきた戦闘的闘いの地平を一歩も後退させることなく、さらに前進させていくことなしに勝利をかちとることはできない。そのことを肝に銘じ、なんとしても棄却を阻止する闘いに総力で起ち上がろう。いかなるペテンも居直りも許さない闘いを叩きつけていこう。
部落解放同盟内社民・こえ派は、国家権力への屈服を深め、狭山=「冤罪」をますます強調しながら狭山闘争を「司法の民主化」要求運動に落し込めようとしてきた。そして、一切を「三者協議」にゆだね、狭山闘争の幕引きを図ってきた。しかし、安倍極右政府による戦時体制形成が一挙に進むなかにあって、部落解放同盟内社民・こえ派の路線の破産は鮮明となっている。「司法の民主化」要求なぞ、安倍極右政府の司法・警察権力強化のダシに使われるのは明白であり、実際に今通常国会での弾圧法制制定において、わずかばかりの「取り調べ可視化」と引き換えの野放図な弾圧強化を引き出すものとなっている。
狭山闘争は、国家権力との闘いである。国家権力との闘いを回避して勝利をかちとることはできない。部落解放同盟内社民・こえ派による狭山闘争の幕引き策動を踏みしだいていかなければならない。
石川氏は、本年5・21狭山中央闘争で不当逮捕から52年を迎えてしまったことの無念さを訴え、「『見えない手錠』をなくすために、持てる力を発揮してほしい。私は全国を回り続ける。大きな風を吹かせてほしい」と熱い檄を飛ばしている。この石川氏の決意に応える闘いを担いぬいていかなければならない。石川氏を激励し、石川氏の怒りと無念を共有し闘おう。司法―国家権力に対する「中立・公正」の幻想を一切捨て去り、〈差別裁判糾弾、階級裁判粉砕、国家権力糾弾・打倒〉の闘いの旗幟を鮮明にし闘おう。部落解放同盟内社民・こえ派の制動に怒る戦闘的部落青年・大衆と合流し共に闘おう。職場・地域・学園で部落差別を憎み許さず、狭山差別裁判糾弾闘争を共に闘う仲間を獲得し、階級的共同闘争を拡大していこう。大衆的実力闘争・武装闘争の爆発で正念場を迎えた第3次再審闘争勝利へ進撃しよう。狭山闘争の歴史的勝利をかちとろう。
部落解放運動の革命的飛躍をかちとろう
安倍極右政府は、戦争国家体制形成に向けて突き進んでいる。このなかでますます差別主義・排外主義が台頭している。「安保法制関連法」成立へ暴走する首相・安倍は、「戦後70年」を機に、8月15日にも、「侵略戦争と植民地支配を認めた」とされる「河野談話」「村山談話」を覆す、新たな「談話」を発表しようと画策している。部落解放運動においても既成勢力の屈服をさらに強制しながらの、部落解放運動総体のファシズム融和運動への再編攻撃が強まっている。
国家権力頂点からの差別主義・排外主義煽動が吹き荒れる中、部落差別はますます拡大・激化している。全国で悪質な差別事件が激発している。部落差別落書き、差別ハガキ、インターネットを使った悪質な差別煽動が拡大しているのだ。
極悪反共ファシスト・「在特会」は、さらに差別煽動を続け、在日朝鮮人・中国人に対する差別デモ、襲撃を頻繁に行ない、ファシズムへの突撃の尖兵として突出している。こうした中で、部落解放同盟内社民・こえ派は「告訴・告発」を全面化している。「告訴・告発」は差別糾弾闘争を破壊し、差別者を擁護し、部落差別を拡大させるだけであり、差別者を自己批判させ、変革することなぞできない。とりわけ、反共ファシストの差別煽動に対しては、徹底した撃滅戦の爆発で回答しなければならない。全国で激発する差別事件に対しては、全国水平社の差別糾弾の思想を引き継ぎ、徹底した差別糾弾闘争で闘いぬくことが必要だ。
部落解放同盟内社民・こえ派の「告訴・告発」方針を踏みしだき、差別糾弾闘争の復権をかちとり、部落差別の根底的廃絶、部落の根本的解放へと闘おう。ファシストどもの悪辣な差別煽動を打ち砕き、安倍極右政府の兇暴な朝鮮反革命戦争突撃と対決する部落解放運動の革命的飛躍・前進をかちとろう。朝鮮反革命戦争遂行の安倍極右政府を打倒しよう。差別主義日共=全国人権連を解体し、差別主義反革命革マルを解体・絶滅し、天皇主義右翼ファシストを撃滅しよう。
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