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東北関東大震災被災労働者人民支援大運動を

7・30原発再稼働・新(増)設阻止! 大間原発建設阻止現地闘争に決起せよ (1150号6面)

 「世界初のフルMOX炉」建設を許すな

 大間原発の運営会社である電源開発(Jパワー)は、2011年3月「福島第一原発事故」を受けて中断していた大間原発の工事を、2012年10月に再開している。Jパワーは、これまで原子炉などの工事を先送りしてきたが、2014年12月16日、「原子力規制委員会」に対し、原子炉の「安全審査」申請に踏み切った。建設中の原発の「安全審査」は、大間原発が初めてである。いよいよ原子炉の建設に着手しようというのだ。Jパワーは、今年11月の「審査合格」を想定している。そして、「テロ対策等の特定重大事故等対処施設」の建設に着手し、「2020年完成」「2021年度中の運転開始」に突き進もうとしているのだ。

 「規制委」による大間原発の「安全審査」は、2015年1月20日から開始されている。Jパワーは、「安全審査」申請にあたり、「地震・津波対策の強化」を掲げた新たな「安全強化対策」なるものを打ち出しているが、「基準値震動を450ガルから650ガルに引き上げ」「津波の最大値=6・3メートル」とするなど、噴飯ものである(1995年「阪神大震災」で観測された最大加速度は818ガルである。また、「福島第一原発事故」では、15メートルの津波が直撃している)。Jパワーがこんな「対策」案を出せるのも、そもそも「安全審査」がセレモニーに過ぎず、建設許可の決定が出るのを前提としているからである。

 大間原発は、使用済み核燃料再処理工場(六ヶ所再処理工場)で作られるプルトニウムとウランの混合酸化物粉末を、六ヶ所再処理工場に隣接して建設中のMOX燃料工場において加工し、生産されたMOX燃料集合体を炉心全体に用いる「世界で始めて」の「フルMOX」方式を採用する原発として建設されている。

 既存の商用原発でMOX燃料を使うということは「石油ストーブでガソリンを燃やすに等しい無謀な計画」(京大原子炉実験所・小出裕章氏)との指摘があるほど、危険極まりないものだ。大間原発自体が「実験炉」であり、その危険性は他の原発の比ではない。しかも、MOX燃料は、プルトニウムを含んでいるのみならず、燃焼にともないアメリシウム、キュリウムなどプルトニウムと同様に半減期が長く、生体への作用が強いアルファ線を放出する放射性物質を生成するので、「大事故」が起こればその影響は「福島第一原発事故」の比ではない。しかも、運転すれば必ず生成される使用済みMOX燃料の後始末の方法すら何ら具体化していない有様である。

 安倍極右政府の原子力政策の狙いは、核武装に向けた技術の蓄積と材料の確保である。そのために原発を再稼働・新(増)設し、「核燃料サイクル」計画を強引に推し進めているのだ。原発の再稼働・新(増)設を阻止し、「核燃料サイクル」計画を粉砕し、核武装に向けた日帝の原子力政策を粉砕しなければならない。そのためには、破綻しかけている「核燃料サイクル」計画において「特別の役割」を果たすために建設が強行される大間原発の建設を阻止することが重要だ。

現地実力闘争の爆発で原発労働者、原発建設労働者の組織化かちとれ

 大間原発をめぐる労働者人民の建設阻止闘争の高まりを前に、工事進行の遅れが目立つようになっている。大間現地だけでなく、津軽海峡対岸の北海道函館市でも、広範な反対運動が起きている。2014年2月に函館市の市長が、事業主体のJパワーと国を相手に「建設差し止め」と「原子炉設置許可の無効確認」などを求める訴訟を東京地裁に提訴し、現在も裁判は続いている。地元の労働者人民の中で「フルMOX炉」建設への不満が噴出しているのだ。

 こうした労働者人民の追及に対し安倍政府とJパワーは、あくまでも居直りを決め込んでいる。しかし、肝心の大間原発建設工事の進捗状況は、遅れに遅れているのが現状である。「規制委」が4月10日に行なった「安全審査」の5回目の会合で、「原発周辺の地形」がテーマとなったのだが、「データ不足」などを指摘する声が相次いだ。Jパワーの大間原発建設工事のあまりの稚拙ぶりに、「規制委」ですら、建設推進のためのアリバイ作りも満足にできない有様なのである。

 Jパワーは、6月5日の段階で、「設計変更があり得る」として、2015年度に計画していた一部の敷地造成規模を半分に縮小する方針を打ち出さざるをえなくなっている。そうなると、原発建設の利権が減り、地域ボスも手なずけられなくなるので、Jパワーは、「時期未定」としてきた「敷地入り口付近の造成工事」を7月に着手する工程前倒しを発表している。現在、大間原発構内で働く作業員数は約350人と、ピークだった2011年2月の約5分の1にとどまっている。労働者人民の粘り強い闘いの前に、電源開発の足元がふらつき始めているのだ。

 今こそ、大間原発に対し、実力・武装の闘いを叩きつけていかなければならない。2013年5・6―8・3、2014年3・25―8・2―12・10と大間現地闘争の爆発を切り拓いてきた地平を拡大し、7・30大間現地に決起し、大間原発建設阻止闘争の爆発をかちとろう。

六ヶ所再処理工場の本格稼働を阻止せよ

 「核燃料サイクル」計画の中核施設である六ヶ所再処理工場は、下北半島のつけ根・六ヶ所村にある。今年1月7日に、日本原燃が青森県六ヶ所村の使用済み燃料再処理工場など4施設の「安全審査」を申請した。申請したのは再処理工場のほかに、「高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センター」「ウラン濃縮工場」「プルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料加工工場」の3施設だ。日本原燃は、「審査期間」を半年と想定し、「審査終了」を6月ごろと見込んできた。そして、2016年3月の工場完成を目指すとしてきた。しかし、「新規制基準適合性審査」の焦点となっている「重大事故対策の見直し」を終える時期を当初の「4月中」から「5月以降」に変更するなど、工事は遅れに遅れている。実際には、完成のメドすら立たないのが実態である。施設の周辺での巨大断層や十和田火山の存在が指摘されているのである。立地場所自体が地震や火山噴火の直撃を受けかねない、危険極まりないものであるという。この指摘に対し日本原燃は、6月26日の「規制委」での会合で、追加説明を求められた「工場敷地内の断層」や「地滑り地形」について「将来活動する可能性はなく、施設に影響を及ぼすものではない」と、この期に及んでも傲然と居直ってみせた。

 六ヶ所再処理工場が本格稼働すれば、核兵器に転用可能なプルトニウムを年間9トン生産できる。核爆弾2000発分に相当する量である。六ヶ所再処理工場は、「原発が1年で放出する放射能を1日で放出する」とされ、ひとたび「大事故」が発生すれば、その破滅的影響は「日本全域に及ぶ」と言われる「最悪の核施設」だ。大間原発も六ヶ所再処理工場も「大事故」が起これば「福島第一原発事故」とは比べ物にならない甚大な被害を及ぼす。このことを百も承知で安倍政府は、「核燃料サイクル」計画を推進し、大間原発の建設を強行しているのだ。

 日帝が「核燃料サイクル」計画を推進するのは、原発を起点とする「核燃料サイクル」の技術と、核兵器製造の技術とが共通しているからだ。核兵器製造のための技術と材料とプラントを開発し、核兵器の材料であるプルトニウムを大量に製造し保有したいからだ。日帝は、核武装への強い衝動をもって原子力政策を推進し続けているのだ。

川内原発、高浜原発、伊方原発の再稼働を絶対阻止し、全国原発の再稼働を阻止せよ

 安倍極右政府による2013年7月8日の原発「新規制基準」施行から、2年が経過した。この間、電力資本は次々に原発再稼働に動いてきた。現在、再稼働のための「安全審査」を「規制委」に申請した原発は、北海道電力の泊原発1、2、3号機(北海道)、東北電力の東通原発1号機と女川原発2号機、東京電力の柏崎・刈羽原発6、7号機(新潟県)、日本原子力発電の東海第二原発1号機(茨城県)、中部電力の浜岡原発3、4号機(静岡県)、北陸電力の志賀原発2号機(石川県)、関西電力の大飯原発3、4号機(福井県)、高浜原発1、2、3、4号機(福井県)、美浜原発3号機(福井県)、四国電力の伊方原発3号機(愛媛県)、九州電力の川内原発1、2号機(鹿児島県)、玄海原発3、4号機(佐賀県)、中国電力の島根原発2号機である。再稼働にむけた「安全審査」を申請した原発は、実に10社14原発24基を数える。まるで「福島第一原発事故」なぞ最初から存在していないかのごときである。

 「規制委」は、昨年9月に、「安全審査」で川内原発を「合格」とした。川内原発については、「地元同意手続き」のセレモニーも完了し、今年3月から「使用前検査」が行なわれている。九州電力は、川内原発1号機について「7月再稼働」「8月営業運転開始」を目指してきた。現在、「書類の不備や誤記」により、予定時期がずれこんでいるが、それでも九州電力は「8月中旬再稼働」をうちだしている。

 「規制委」は、今年2月12日にも高浜原発3、4号機を「安全審査」に「合格」させた。また、伊方原発3号機についても、5月20日、再稼働に必要な安全対策の基準を満たしているとする「審査書案」を公開し、「合格」決定を準備している。

 関西電力は、3月17日に、美浜原発1、2号機の「廃炉」を正式に決めたものの、4月30日、運転開始から40年前後がたつ高浜原発1、2号機の運転期間の20年延長を「規制委」に申請している。電力資本は、規模の小さな原発の「廃炉」を決める一方で、規模の大きな既存の原発をできるだけ再稼働させようと躍起になっているのだ。

反原発・反核燃闘争の爆発で、日帝の核武装を阻止せよ

 電力資本による原発再稼働・新(増)設を強力に後押ししているのが、安倍極右政府である。安倍政府は、原発を「季節や時間帯にかかわらず電気を供給する『重要なベースロード電源』」なぞと位置づけた新「エネルギー基本計画」に基づき、あくまで原発政策を維持しようとしているのだ。

 こんな安倍政府の原発再稼働に対し、労働者人民の反対運動が粘り強く闘いぬかれている。そのただなかで、高浜原発3、4号機について、4月14日に福井地裁で「運転差止仮処分」決定が出された。原発再稼働阻止の現地闘争の爆発をかちとらなければならない。

 「福島第一原発事故」は、4年4ヵ月が過ぎても「収束」していない。「福島第一原発事故」の現場では、「事故収束」どころか、日々生み出される「汚染水」の処理も満足にできない状況にある。東京電力は、「汚染水対策」の「切り札」として「凍土壁」建設を打ち出し、昨年6月に工事を本格化させたものの、結局まともに凍結させることすらできていない。その上で、放射能汚染にまみれる中での過酷な労働を、今日も原発労働者が担わされているのである。福島第一原発からの使用済み燃料棒取り出し作業も、より困難を極める、1~3号機からの燃料棒取り出しの成否の見通しはまったく立っていない。それどころか、炉心溶融(メルトダウン)した核燃料がどうなっているのか、どこにあるのかさえ分からないのが実情である。そして、12万人もの労働者人民が今なお避難生活を余儀なくされている。

 にもかかわらず、安倍政府は、原発労働者の被曝や多重下請構造の下での使い捨ては放置した上で、新たな「原発安全神話」作りのために徹底的な情報統制を行ない、反核・反原発闘争を封殺しようとしている。絶対に許してはならない。

 労働者人民の被曝なしには存在しえない原発は、即時に停止―廃止しなければならない。核武装のための原子力政策はただちに葬り去らねばならない。大間原発建設阻止の現地実力闘争に決起せよ。六ヶ所再処理工場の本格操業を阻止し、「核燃料サイクル」計画を粉砕せよ。原発再稼働・新(増)設を阻止し、全ての原発の即時廃止をかちとれ。日帝の核武装と対決する反原発・反核燃闘争の爆発をかちとれ。

 日帝の核武装と対決し、7・30大間原発建設阻止現地闘争の大爆発をかちとろう。


7・30 大間原発建設阻止現地闘争

▶日時 7月30日(木)午前8時半
▶場所 大間現地
▶主催 全国反戦・全学連