王城寺原演習場へ戦闘的デモ
6月5日、「『有事法制』に反対する宮城県実行委員会」と反戦・全学連の闘う仲間は、在沖米海兵隊の実弾砲撃―「本土」移転演習を阻止すべく王城寺原現地闘争に起ち上がった。
午前10時、陸上自衛隊・王城寺原演習場(宮城県大和町、色麻町、大衡村)がある地元の河川敷に結集した部隊は、旗竿を手にして隊列を整える。準備の間にも、大地を揺らす実弾砲撃演習の轟音が響いてくる。実弾砲撃演習の実態の一端を肌で感じるたびに、怒りが沸き出てくる。そして、シュプレヒコールをあげて集会を開始する。
集会のはじめに、全国反戦の仲間が基調を提起する。「元々この移転演習は、『沖縄の負担軽減』を名目に実施されてきた。在沖米軍基地のキャンプ・ハンセンで行なわれていた『県』道104号線越え実弾砲撃演習を、移転演習として全国5ヵ所で行なうようになってきたものである」「実弾演習では、沖縄では実施されていなかった『夜間訓練』や『NBC(核・生物・化学兵器)訓練』が追加されるなど、訓練の内容は質・量ともに強化・拡大されている。そのため、これまでも演習では火災事故が発生するなど、近隣住民に対して生活不安と恐怖を与えてきた」「米軍演習はまさに朝鮮半島、中東など全世界労働者人民の虐殺を狙った訓練だ。こんな実弾砲撃―移転演習を、何としても粉砕しよう」。全国反戦の仲間からの基調提起を参加者全体で確認する。
続いて、「『有事法制』に反対する宮城県実行委員会」の呼びかけ人である日本キリスト教改革派亘理教会牧師・林茂雄氏からの連帯あいさつを受ける。「安倍内閣が推進しているのは、中東―イスラエルでの戦争に向けた日・米の共同した動きであり、『ハルマゲドン』と呼ばれる終末戦争に向けたものだ」「王城寺原での演習は、終末戦争に向けた準備であり、本当に許すことはできない。共に闘おう」。
集会終了後、午前10時半から、「『有事法制』に反対する宮城県実行委員会」を先頭とするデモ隊が、王城寺原演習場への進撃を開始する。横断幕を先頭に、ヘルメット、ゼッケンを身につけ、旗竿を手にしたデモ隊が、王城寺原演習場のゲート前に到着する。入り口の電光掲示板には「演習中」と掲示されている。デモ隊は王城寺原演習場に向かって、怒りのシュプレヒコールを幾度も叩きつける。公安どもは弱々しく「やめろ」「警告するぞ」と威圧して繰り返し弾圧を狙ってくるが、それをはねのけて最後まで戦闘的なデモを闘いぬいた。
解散地点に到着すると、全国反戦の仲間が集約提起を行ない、この日の王城寺原現地闘争を締めくくった。
王城寺原演習場解体まで闘おう
1997年から開始された在沖米海兵隊の王城寺原演習場での実弾砲撃―「本土」移転演習は、今回で13回目であり、2014年6月以来、2年連続となった。6月4日から13日までの10日間(そのうち射撃日数は8日間)、沖縄に居座る米海兵隊の約200人が、車両約60両と155ミリ榴弾砲6門を移送し、夜間も含めた実弾砲撃演習を強行している。
王城寺原での実弾演習をめぐっては、昨年6月5日に、155ミリ榴弾砲が着弾する地点で火災が発生している。王城寺原の火災は、公式発表されているだけで、2010年の2度の火災とあわせて3度を数える。そもそも米海兵隊にとっては実弾砲撃演習自体、実戦をみすえての訓練である以上、事故や火災発生を前提に強行されているのである。実際、2013年6月の北海道・矢臼別での実弾砲撃演習では、榴弾砲が演習場を飛び越し、約500メートル離れた別海町の牧草地に、直径約3メートルという大穴をあけて着弾するという大事故を引き起こしている。さらに、王城寺原や矢臼別で繰り返し火災を発生させ、人体や自然環境に大きな影響を与える白リン弾も使用されている。在沖米海兵隊が「安全確認の徹底」「再発防止」を考えているはずなぞまったくなく、米海兵隊は周辺住民や労働者人民の生活を破壊し、生命をおびやかすことを前提に演習を強行しているのだ。米海兵隊は、昨年の実弾演習では、判明しているだけで500発をはるかに越える榴弾砲を撃ち込んでいる。
移転演習を「沖縄の負担軽減」なぞと言いなすのは、まったくのまやかしである。まず、民間の輸送手段や空港を使用した移動過程そのものが演習である。この過程での民間労働者の動員が積み上げられており、本格的な戦時における労働者の戦争動員の下地が作られているのである。そして、米海兵隊はかつての沖縄における演習の規模をはるかに超える実弾砲撃演習を強行している。移転演習自体、朝鮮反革命戦争突入に向けた米軍と自衛隊の再編強化、基地機能の強化に他ならない。さらに、沖縄では、実弾砲撃演習以外の、様々な演習が頻繁に行なわれており、その結果、事故はなおも続出し、赤土流出や山火事などの生活破壊・環境破壊などが著しく進行しているのだ。
中東反革命戦争の拡大、朝鮮反革命戦争突撃に向けた実戦的演習の拡大・強化を断じて許してはならない。「戦争のための基地は、沖縄にもどこにもいらない」として闘う沖縄労働者人民と共に、在沖米海兵隊の実弾砲撃―「本土」移転演習粉砕、日米安保粉砕、帝国主義軍隊=米軍・自衛隊解体、王城寺原演習場解体まで闘おう。朝鮮反革命戦争に突き進む安倍極右政府を打倒しよう。
5・21 海兵隊出撃阻止を闘う〈沖縄〉
5月21日、天皇上陸阻止沖縄青年実行委員会は、王城寺原における実弾砲撃演習を阻止するため海兵隊出撃阻止闘争に決起した。呼びかけに応えた沖縄・首里日雇労働組合も結集し、ともに闘いぬいた。
午後3時半過ぎ、部隊は、パレットくもじ前(那覇)に登場する。メンバーはビラ撒きを行ない、「実弾砲撃演習に反対しよう」「戦争のための軍事演習に反対しよう」「基地建設を止めよう」「戦争法案に反対しよう」と呼びかける。ビラは吸い込まれるように受け取られていった。
〈基地・沖縄〉の現実は過酷だ。「県民大会」翌日の5月18日、ハワイ・オアフ島のベローズ空軍基地においてMV22オスプレイが墜落した。当然にも沖縄では普天間基地に配備されるオスプレイに対する「即時撤去」「飛行停止」の声が上がったが、日・米両政府は「沖縄を含む日本でのオスプレイ運用計画に現時点で変更はない」(米国防総省報道部長)、「米政府は運用の安全性を確認している」(官房長官・菅)と一蹴し、翌19日より飛行訓練を強行した。今回の事故は、「オスプレイの構造的欠陥による墜落」とも指摘されているが、米軍は「原因究明」を後回しにして住宅地上空で飛行訓練を強行しているのである。このようなオスプレイが、今後、沖縄で訓練を激化させ増強配備される可能性が高い。米国防総省は、横田基地(東京)に2017年からCV22オスプレイ計10機を順次配備すると発表したが、同機とともに行動する特殊部隊は沖縄に据え置かれる。現在、普天間基地に24機のオスプレイが配備されているが、将来的には名護新基地に「100機以上」配備する計画まであるのだ。いかにオスプレイが日本「本土」に配備されようとも、沖縄は主要な訓練場であり、朝鮮半島をはじめアジア各地に向けた重要な出撃拠点なのである。ちなみにCV22は当初、嘉手納基地への配備が狙われていた。それは同基地所属の特殊作戦機MC130の代替機として配備される計画であったが、横田配備への計画変更によってMC130は嘉手納に据え置かれることも明らかとなっている。オスプレイの横田配備は、〈基地・沖縄〉の再編・強化と密接に結びついているということだ。基地強化・訓練強化が進む中で、米軍関連の「事件・事故」も続発している。5月20日、嘉手納基地所属のP―3C哨戒機から4・5キロの銅製のアンテナ部品が落下した。米軍は、今年だけですでに七件(うち五件が嘉手納基地関連)の「部品落下事故」を引き起こしている。「部品落下事故」は、訓練激化にともない必然的に発生したものである。今回の「事故」で地元への通報は1日遅れの翌日夕方であり、すでに同型機は訓練を行なっていた。米軍は、「万が一にも住民居住地上空や船舶の航路上空で発生していたならば、大惨事にも繋がりかねない事故である」(「部品落下事故」に対する嘉手納町議会の5・29「抗議決議」より抜粋)という住民の想いなど無関心である。すべて軍事優先である。嘉手納基地の2014年度の航空機離発着回数は、4万2000件を超えている。あまりにも過密だ。住民は爆音と「事件・事故」に囲まれて生活することを強いられている。なお、この調査結果は沖縄防衛局が公表したものである。日本政府は、極限的な基地被害の実態を把握しながら、住民の訴えを押さえつけることしかしていない。こうした状況のもとで、安倍政府は何食わぬ顔をして「負担軽減」を叫び立てている。実態を隠蔽し、闘いの分断・破壊を策動することが狙いである。断じて許すことはできない。
部隊は、「怒りを行動へ」と訴え、約1時間の情宣闘争を闘いぬいた。
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