菅弾劾行動に1500人が結集
4月5日、官房長官・菅と知事・翁長の会談に合わせて名護新基地建設阻止を訴える「県民行動」が開催された。主催は、現地において2月22日、3月21日と「県民集会」を連続的に開催してきた「止めよう辺野古新基地建設実行委員会」である。天皇上陸阻止沖縄青年実行委員会と沖縄・首里日雇労働組合も結集し、菅弾劾行動を闘いぬいた。
これまで安倍政府は、沖縄担当相・山口を除いて関係閣僚は誰も知事・翁長に会わず、わずかに抵抗姿勢を示せば「粛々と工事を進める」とはね付けてきた。3月23日に、翁長が、「ボーリング調査を含む全ての海底面の現状変更行為の停止指示」(作業停止指示)を決定した際には、「この期に及んで極めて遺憾だ」(菅)と露骨に嫌悪感を示し、「翁長知事の詫びの入れ方によって会うかどうか決める」「官房長官は翁長知事と法廷で会えばいい」(政府高官)とまで突きつけたのである。だが、あまりに強引かつ非情な手法に批判が高まってきたこと、4・26安倍訪米前に「地元への説明」というパフォーマンスが必要であることなどを理由として、突如、宜野湾市の米軍キャンプ瑞慶覧の一部(西普天間住宅地区)の返還式典への出席を口実として菅来沖が決定した。
当日は、安倍政府に抑えきれぬ怒りを抱える沖縄労働者人民が「県民広場」(那覇)に結集した。午前8時半より小集会が行なわれ、主催者から、「西普天間地区返還に合わせて菅官房長官が来る。西普天間は『沖縄に関する日米特別行動委員会』(SACO)最終報告の中で返還合意され、やっと返ってきた。沖縄県民の闘いでかちとったのであり、安倍政府は何もしていない」「非常識な政府が民意を踏みにじろうとしている。断じて許せない」「『市民運動は無責任だ』と発言する自民党県連の島尻安伊子は県民の代表ではない」など手短に発言が行なわれた。
すぐに行動が提起され、会談場所である「ハーバービューホテル」に参加者全体で移動する。ホテルに通じる細道の両側は、あっという間に埋め尽くされた。機動隊が、ホテル前に鉄柵を張って道路を封鎖する。参加者を威圧するように立ちはだかる姿に、「帰れ!」と声が飛ぶ。9時10分頃に、知事がホテルに入る。会談の間、参加者はその場にとどまり、出てくる菅を待ち受けた。会場前には参加者がどんどん集まり、緊急行動であるにもかかわらず、主催者の「数百人規模」という予想を越えて1500人が大結集したのである。
会談後の記者会見が始まると、シュプレヒコールが開始される。10時50分、黒い車に乗った菅と自衛隊のマイクロバスに乗った取り巻き連中が、機動隊に防衛されてわれわれの目の前を通過する。「民意を聴け!」「辺野古を撤回せよ!」「県民は屈しないぞ!」とシュプレヒコールが叩きつけられる。菅らは逃げるようにホテルを去り、あっという間に沖縄を離れていった。
名護新基地建設阻止闘争の爆発を
「辺野古移設を断念することは普天間の固定化につながる」「(強い反対について)結果として普天間の危険除去は全く進まなかった」「(知事選などの)選挙結果は基地賛成、反対の結果ではない」「辺野古移設に賛成が多いか反対が多いか分からない」「法令に基づき粛々と工事を進める」。沖縄労働者人民に対し、安倍政府サイドから次から次へと恫喝じみた暴言がぶつけられている。菅は、とりわけ「普天間の危険性除去」を何度も強弁しているが、これほど沖縄労働者人民を侮辱するものはない。日本政府は、2004年8月の沖縄国際大学へのヘリ墜落時に、閉鎖を要求するどころか即座に米軍の飛行再開を認めたではないか。「墜落の危険性」を訴える声を一蹴し、2012年10月から普天間基地へのオスプレイ配備を強行してきたではないか。米軍による「事件・事故」が起きればひと言「遺憾の意」を表明するだけで済ませ、抗議団が「飛行停止」を要請すれば「米軍の運用上の問題」とはね付けてきたのは日本政府ではないか。中でも安倍政府は、最悪だ。「普天間基地返還・名護新基地建設反対」の訴えに対して、「やれることは全てやる」と応じて、その実やったことといえば誘致派の取り込みと反対派への露骨な冷遇、そして新基地建設阻止闘争に対する暴力的鎮圧である。その上で、「辺野古移設を断念すれば普天間が固定化される」という脅迫とともに「辺野古移設」を強行しようとしているのである。一体、どの口が「危険性除去」をほざくか。「県民行動」に参加した子連れの参加者が、「子供と一緒に小石を投げつけようかと思った」と新聞記者のインタビューに応えるほど、沖縄は、安倍政府への怒りで埋め尽くされているのである。棒で突けば爆発しそうなほどに膨れ上がった怒りが充満する中で行なわれた会談は、「日米同盟の抑止力の維持と危険性の除去を考えると辺野古移設が唯一の解決策である」とする菅と「日米安保体制の重要性を理解する」翁長の駆け引きに終始した。翁長は、「銃剣とブルドーザー」「プライ勧告」「自治権獲得運動」「キャラウェイ高等弁務官」に触れて戦後沖縄の苦闘の歴史を語りつつも、これまで「基地を造らせない公約に全力」としていた言葉を「新基地は絶対に建設することができない」「新辺野古基地というのは恐らく難しい」と客観的な表現に後退させている。主催者が、いかに「翁長知事を支えよう」と呼びかけても、沖縄労働者人民の翁長「県」政への警戒・不信は、高まるばかりである。
他方、自民党沖縄「県」連会長に就任した参院議員・島尻安伊子は、「(辺野古の)反対運動は責任のない市民運動だと思っており、私たちは政治でここに対峙していく」「反対運動の声の大きさに恐れおののくことなく、毅然と冷静に物事を進めていかなくてはならない」と言い放っている。この島尻は、昨年2月に、「埋め立て工事では違法な妨害活動を阻止しなければならない。警察と海上保安庁の積極的な対応が必要だ」「違法行為が発生したら遅いのではないか」と参院予算委員会の場で弾圧要請するなど、沖縄労働者人民に憎悪むき出しで突っかかってきた輩だ。しかるべき責任はとってもらおう。
われわれは、現地実力阻止闘争に徹底的に執着し、名護新基地建設阻止をかちとる決意である。沖縄―日本「本土」貫く安保粉砕・政府打倒の闘いの爆発を切り拓こう。
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