中東―朝鮮出撃演習を許すな
3月2日から13日までの日程で、陸上自衛隊・日出生台演習場(大分県玖珠町、九重町、湯布院町)において、在沖米海兵隊による実弾砲撃演習―「本土」移転演習が強行された。日出生台闘争実行委員会に結集し闘う仲間たちは、演習開始日当日、現地闘争に決起した。
この演習は、沖縄労働者人民の反戦・反基地闘争に追いつめられた日・米帝国主義が、「沖縄の基地負担の軽減」と称して、「米海兵隊による沖縄・県道104号線越えの155ミリ榴弾砲の実弾砲撃演習を本土に分散させる」として進めてきたものだ。1996年に日・米両政府が交わした「沖縄に関する日米特別行動委員会」(SACO)での合意にもとづき、1997年以降、矢臼別(北海道)、王城寺原(宮城県)、東富士(静岡県)、北富士(山梨県)、そしてここ日出生台の計5ヵ所の自衛隊演習場を使って、年に4回のペースで強行されてきた。2014年度にはすでに、王城寺原、矢臼別、北富士で行なわれており、日出生台での演習は、今回が通算10回目、3年ぶりとなる。
しかし、「沖縄の負担軽減」はまったくのペテンだ。沖縄での基地被害は一向に減らない。それどころか、名護新基地建設の強行が示している通り、〈基地・沖縄〉は強化されるばかりだ。また、移転先となった各地では、155ミリ榴弾砲の砲撃訓練ばかりでなく、小銃や機関銃を使った訓練が新たに追加されるなど、沖縄で行なわれていたものを上回る規模と内容で演習が強行されているのだ。
しかも、この演習は、日帝政府がその経費を負担した上で、海兵隊の移動にともなう兵員・物資の輸送には民間企業が動員され、また、警察が「警備」と称して全行程に張りつき、さらに、「周辺警備」、「着弾距離測定」、「着弾地火災消火」、「資料情報提供」などの「後方支援」と称して自衛隊が全面的に支えている。まさに、「有事即応」の日米共同機動演習、軍・官・民一体の戦争総動員演習になっているのだ。
今回、日出生台にやってきた米軍は、沖縄に駐屯する海兵隊・第三海兵遠征軍・第三海兵師団に所属する「第一二海兵連隊・第三大隊」で、沖縄本島中央に位置する米軍基地「キャンプ・ハンセン」に駐屯する砲兵部隊だ。戦争が起これば、真っ先に敵地に乗り込んで、殺戮と破壊に手を染める強襲部隊だ。実際、この部隊はこれまでにも、イラクやアフガニスタンなどにくり返し出撃し、多くの人々を殺してきた。こんな凶暴な部隊の実戦訓練を、許すわけにはいかない。
今や米帝は、「イスラム国の壊滅」を叫んで、イラクやシリアへの地上軍部隊の本格的な投入へと突き進もうとしている。さらに、朝鮮半島でも戦争の口火を切ろうと戦争準備を急いでいる。今回の演習は、中東や朝鮮半島で、新たな大規模戦争をやるための予行演習に他ならない。
日出生台闘争実行委員会に結集する青ヘル部隊は、日出生台演習場を東西に貫通する県道679号の採石場前に登場する。眼前には、見渡すかぎり演習場の敷地が広がる。午後一時すぎ、「米海兵隊の移転演習を阻止するぞ」、「実弾砲撃演習を阻止するぞ」というシュプレヒコールが演習場内に轟くなか、集会が開始される。
演習阻止の集会とデモ
まず最初に、天皇上陸阻止沖縄青年実行委員会からの連帯メッセージが代読される。「青年実は、2月19日、沖日労の仲間とともに、沖縄の地において米海兵隊の演習出撃阻止闘争に決起した。沖縄とヤマトの連帯を強化し、実弾砲撃演習阻止・日出生台演習場解体をかちとろう。沖縄では、名護新基地建設阻止の辺野古闘争が決戦攻防に突入している。われわれはあくまで闘いの現場に執着し、あらゆる手段を尽くして名護新基地建設阻止をかちとる決意だ」という熱いメッセージに、全体の拍手で応える。
次は、闘いの基調提起だ。実行委員会の同志は、「今回の演習は、イランや朝鮮半島で新たな殺戮作戦をやるためのものだ。中東反革命戦争、朝鮮反革命戦争を許さない闘いとして、本日の闘いをやりぬこう」、「帝国主義の暴虐な戦争に起ち向かう全世界の労働者人民の闘いに応え、また、名護新基地建設阻止―反戦・反基地の闘いをうちぬく沖縄労働者人民と連帯して闘おう」、「安倍極右政府は、現在開会中の通常国会で、『集団的自衛権』関連法案の成立を強行しようとしている。憲法九条を事実上葬り去り、『自衛隊を海外で戦争をするための軍隊』に、『日本を海外で戦争ができる国』に造り変えてしまおうという、とんでもない策動だ。革命的反戦闘争を爆発させ、安倍政府打倒へ突き進もう」と提起した。
集会の最後に、決意表明を受ける。福岡・築港日雇労働組合の仲間は、「福日労は、『反戦・仕事よこせ』の闘いを活動の軸にして闘ってきた。今日も、多くの日雇い・野宿の労働者が決起している。戦争も失業もない世の中を創るために、福日労は闘いぬく」と表明する。反戦青年委員会の同志は、「2015年は決戦の年だ。安倍政府による『集団的自衛権』関連法制定、名護新基地建設、原発再稼働という凶暴な攻撃に対する全力をあげた対決が必要だ。反戦青年委員会は、日出生台をはじめとした殺戮演習粉砕の闘いを担い、安倍政府打倒・日帝国家権力解体へと突き進む革命的反戦闘争を最先頭で闘いぬく」と決意表明した。
断固たるシュプレヒコールで集会をしめくくり、いよいよデモ出発だ。「演習阻止」、「安保粉砕」、「政府打倒」の声高く、演習場ゲートに向かって進撃する。部隊は、小野原・長谷地区住民の熱い共感を集めつつ、最後まで戦闘的にデモを貫徹した。
日出生台演習場は、自衛隊演習場としては西日本最大の面積(約4900ヘクタール)をもち、ほぼ一年中、陸自が実弾をぶっ放している。一方、隣り合わせに畜産農家など地元住民の生活の場があり、住民たちは、騒音被害や火災・誤爆の危険などに、日々さらされている。
これに加えて、今回の米海兵隊による砲撃演習だ。今回は、約200人の米軍部隊が、車両60両、155ミリ榴弾砲六門を沖縄から持ち込んで演習をくり広げている。前回(2012年)の訓練では、過去最多の計720発の砲弾が発射された。演習は激化するばかりだ。われわれは、演習の拡大・強化、演習場の機能強化を許さず、実弾砲撃―「本土」移転演習粉砕、日出生台演習場解体に向けて闘いぬく決意だ。
防衛省は、1月、2015年度の移転演習の計画を発表した。それによれば、第1回を5月下旬〜6月下旬に王城寺原演習場で、第2回を9月上旬〜10月上旬に東富士演習場で、第3回を11月中旬〜12月中旬に矢臼別演習場で、第4回を2016年2月上旬〜3月上旬に日出生台演習場で行なうという。沖縄―日本「本土」を貫き、在沖米海兵隊による実弾砲撃―「本土」移転演習実力阻止の闘いを貫徹しよう。
2・19海兵隊出撃阻止を闘う 〈沖縄〉
2月19日、天皇上陸阻止沖縄青年実行委員会は、日出生台演習場における実弾砲撃演習を阻止するため、海兵隊出撃阻止闘争に決起した。沖縄・首里日雇労働組合の仲間も結集した。
午後3時半、部隊は、パレットくもじ前(那覇)に登場しビラ撒きを開始する。同志のアジテーションが一帯に響き渡る。「実弾砲撃演習は、中東や朝鮮半島で戦争するための訓練だ。演習阻止に起ちあがろう」「中東では、米帝を軸とした『有志国連合』が殺戮をくり広げている。『イスラム国』はまったく支持できないが、その背後には中東労働者人民の帝国主義への深い怒りがあることを見過ごしてはならない」「『集団的自衛権行使』関連法案を粉砕しよう」「辺野古闘争が大きく燃え上がっている。現場では機動隊や海保の暴力に屈せず闘いぬいている。単なるテーブル交渉で解決することはできない。現場に結集し、身体をはって闘うことが必要だ。全力で闘いぬこう」。信号待ちをしている間、熱烈な訴えに市民が耳を傾ける。「がんばって」「ごくろうさま」と声をかけてビラを受け取っていく。学校帰りの高校生も興味深げにビラを読む。断固たる主張と闘いを提起する部隊に対する共感が瞬く間に拡がった。
朝鮮反革命戦争の遂行に向けて、〈基地・沖縄〉の再編・強化が加速している。2月17日、東村・高江に建設されたヘリパッド2基の米軍への提供が閣議決定された。さっそく2月25日には、オスプレイが着陸するなど、本格的な訓練が開始されている。政府―防衛省は、高江ヘリパッド建設について「北部訓練場の過半の返還のため」と説明してきたが、「返還」前の先行的な提供は、そうした説明を自ら反故にするものである。嘉手納基地には次々と外来機が飛来している。1月15日、米・ウィスコンシン州兵空軍所属のF16戦闘機12機が飛来した。250人の部隊とともに数ヵ月間にわたって暫定配備される。F16の州兵部隊が嘉手納に展開するのは初めてのことである。この間、F22ステルス戦闘機も頻繁に嘉手納に飛来するなど、やりたい放題である。さらに、半年単位で部隊を展開する計画(UDP)によって、嘉手納基地に最新鋭のF35ステルス戦闘機を展開させることも狙っている。F35は、2017年より岩国基地への配備が画策されているが、その部隊とともに米本国からもF35を沖縄に飛来させるというのだ。これに沿って、今年3月には伊江島補助飛行場に着陸帯が、10月以降には嘉手納基地に格納庫が、それぞれ整備されるという。自衛隊の強化も見過ごせない。与那国島では、陸自・沿岸監視部隊と空自・移動警戒隊の2015年度配備に向けて、着々と造成工事が進行している。これに関して、2月22日、部隊配備の是非を問う住民投票が行なわれ、賛成派が多数を占めた。よりいっそう攻撃が強まることは必至である。与那国島のほか、宮古島や石垣島に350人規模の陸自・警備部隊の配備も画策されている。那覇基地のF15部隊は、2015年度中に一個飛行隊から二個飛行隊(40機)に増強される見込みだ。具体的には、築城基地(福岡)の第304飛行隊を那覇基地へ移動し、従来の第204飛行隊と併せて「第九航空団」を新編するという計画である。こうした〈基地・沖縄〉の再編・強化のもとで日・米両軍の訓練は激化し、「事件・事故」が多発している。1月15日、普天間所属のAH1ヘリが沖縄本島西方の出砂島(渡名喜村)の周辺海域を飛行中に計200キロ以上もの部品を落下。1月23日、嘉手納所属のHH60救難ヘリが部品を落下。2月44日、嘉手納所属F15戦闘機が垂直安定板の先端部分を落下。2月10日、空自・那覇基地所属のF15戦闘機が沖縄本島北西部の訓練海域で金属製部品を落下。まさしく、いつ大惨事が起きてもおかしくない状況が強いられているのである。米兵による住居侵入や酒気帯び運転など「事件」も後を絶たない。それは占領者意識から必然的に引き起こされるものだ。これが沖縄の現実である。
われわれは、反戦・反基地闘争への決起、安倍政府打倒の闘いへの決起を訴えた。権力や反共ファシストの敵対・介入を封殺し、約一時間の情宣闘争で準備したすべてのビラを撒ききった。われわれは、「戦争のための基地は、沖縄にもどこにもいらない」の原則を堅持し闘いぬく。名護新基地建設阻止の大爆発を実現すべく奮闘する。
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