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東北関東大震災被災労働者人民支援大運動を

1・29「福岡市は仕事を出せ!」対市役所デモが闘われる
〈福岡〉
(1131号1面)

 1月29日、福岡・築港日雇労働組合(福日労)は、福岡市に対して、「公的就労対策事業」の実施を求め、対市役所デモに取り組んだ。

 午前九時、集合場所の須崎公園・野外ステージ前には、60人の日雇い・野宿の労働者たちが結集する。まずは、福日労が用意したシチューで腹ごしらえだ。

 腹ごしらえの後は、意思一致のための集会だ。市に突きつける要求書案が提起される。要求書案は、福岡市長・高島、保健福祉局総務部保護課、経済観光文化局産業振興部就労支援課の三者に宛てたものだ。その内容は、「越年・越冬の会場で実施したアンケート調査では、高齢の労働者が多かったにもかかわらず、75パーセントもの仲間が、『生活保護より仕事が欲しい』と回答している。『体が動くうちは働いて暮らしたい』―これが、大多数の労働者の要求である。この事実を、福岡市はまず直視すべきである」、「昨年12月には、市内山王公園において、2人の野宿の労働者が野垂れ死にを強いられた。『働きたくても仕事がない』という状況が、次々と労働者を野宿へ、そして野垂れ死にへと追い込んでいるのだ。福岡市が次に直視すべきは、この残酷な現状である」とした上で、「このような福岡市の無為無策の裏で、市内の公園などでは、日雇い・野宿の労働者の足元を見たように、悪徳手配師たちが暗躍している。そのほとんどは、福島第一原発の周辺地域における除染やがれき撤去など、『原発事故処理』関連の仕事である。こうした手配師の手配で福島に送られ、働き、帰ってきた仲間が、われわれが現在掌握しているだけでも複数人いる。そのすべてが、低賃金、そして危険で劣悪な労働環境に置かれていた。なぜ、福岡の日雇い・野宿の労働者が、仕事をするために福島にまで行かねばならないのか。なぜ、そこで慣れない危険な仕事をやらなければならないのか」と問いただし、「福岡市は、国や県との協力・連携のもと、日雇い・野宿の労働者のための公的就労対策事業を、ただちに開始するべきである」と要求するものだ。要求書案が、全員の拍手で圧倒的に採択される。

 福日労の決意の表明が行なわれる。「本日の市役所に対するデモは、反戦の闘いとともに福日労が力を入れている『仕事よこせ』の闘いだ。昨年暮れには、2人の仲間が野垂れ死にを強制されている。『一人の野垂れ死にも許さない』ために、今年こそは、何としても仕事をかちとろう。本日のデモを元気よくやりぬき、市役所に俺たちの怒りの声を叩きつけよう」という呼びかけに、会場から「おー!」「そうだー!」という声が応える。12月に亡くなった仲間の1人は、長年、港湾の日雇い仕事で働いてきた仲間だという。もう1人の仲間も、まだ40代という若さで亡くなった。2人とも、仕事がありさえすれば、野宿をしないで済んだであろう。野垂れ死にをせずに済んだであろう。仲間の無念を共有し、デモにも力が入る。

 午前10時、いよいよデモ出発だ。「仕事よこせ」「失業反対」のかけ声も高く、天神の街にデモ隊がくり出す。参加者が脇に抱えて広げた「福岡市は日雇い・野宿の労働者に仕事を出せ」という横幕が、沿道の市民の注目を集める。「福岡市は仕事を寄こせ」、「『公的就労対策事業』を行なえ」、「一人の野垂れ死にも許さないぞ」というシュプレヒコールが響き渡る。デモ隊列が福岡市役所にさしかかるや、声は否が応でも大きくなる。福岡市に対して、思う存分シュプレヒコールを叩きつけ、デモをやりぬいた。

 解散地点の天神中央公園に到着したデモ隊は、直ちに全員で「ワッショイ」、「ワッショイ」のかけ声とともに、向かいの福岡市役所に向かう。要求書の提出だ。対応に出てきた保護課の職員に対して、要求書を読み上げ、手渡す。「確かに受け取りました」とだけ回答し、逃げるように庁舎内に入ろうとする職員に対して、隊列のあちこちから「俺たちの声を聞け」、「回答はどうした」、「仕事を出せ」という怒号が次々に飛び出す。参加者たちは全体でシュプレヒコールをあげて、天神中央公園に引き返し、「この2015年、『反戦・仕事寄こせ』の闘いを徹底的に強化していこう」という福日労の集約提起を全体で確認して、この日の闘いを終えた。