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10・31寺尾反革命差別判決40ヵ年糾弾!第三次再審棄却阻止!狭山中央闘争に決起せよ (1118号11面)

寺尾「無期懲役」判決40ヵ年糾弾

 1974年、今から40年前の10月31日、東京高裁・寺尾は弁護側が要求した証人調べを行なわず、証拠調べもほとんど行なうことなく、無実の部落民=石川一雄氏に対し、「無期懲役」の反革命差別判決をうち下した。この判決は、狭山闘争が「石川の命、わが命」を合言葉に全人民決起で国家権力への糾弾・打倒の闘いとして闘いぬかれ、部落解放運動の革命的飛躍・前進を切り拓いてきたことに、恐怖と憎悪を燃やし、部落差別の強化・拡大と狭山闘争の解体を狙って打ち下ろされた反革命差別判決にほかならない。

 10年かけた二審のわずか11ヵ月前に交代したばかりの寺尾は、「部落問題の書籍をかなりの分量読んでいます」と20数冊をあげ、さらに「一審は単純過ぎた。今まで研究してきた10倍の期間がほしい」と言い放ち、理解者を装いながら、部落差別に関する証人を全て却下し、判決では一言も部落差別には触れないというペテンを弄した。そして、「捜査官がはじめから不当な予断と偏見をもって、石川氏を狙い撃ちしたことを裏付ける証拠はない」と差別捜査とデッチ上げ逮捕を全面否定した。矛盾点は、石川氏を「ウソつき」だとしてごまかした。さらには、石川氏に対し「無期と言ってもまじめにつとめあげれば15年ほどで出られる」とヌケヌケと言い放ったのだ。「死刑」から「無期懲役」への「減刑」も、上告審において事実審理を行なわずに書類審理のみで門前払いにすることができるからである。10・31判決は、日帝国家権力による部落差別の強化・拡大と、階級闘争解体攻撃を明白にし、「公正裁判要求」路線の敗北を明らかにした。われわれは、第二審冒頭での「おれは殺していない!」との石川氏の血叫びに応え、1976年9・17革命的人民によって敢行された寺尾への報復の鉄槌を支持しながら、戦闘的部落大衆とともに10・31判決を許したことへの正面突破をかけ闘いぬいてきた。今、第三次再審闘争は正念場を迎えている。石川氏の怒りと無念を共有し、石川氏の不退転の決意に応える闘いを実現しなければならない。

 狭山弁護団は7月25日に、取り調べ状況についての1963年6月23日付け巡査・関作成の報告書を新証拠として提出した。この捜査報告書は、石川氏が「単独犯行自白」をはじめたその日に作成されたもので、裁判所の勧告を受けて開示されていたものだ。この報告書の中では、石川氏は「Yちゃんはどうになっていたんべい。それを教えてくれればわかるんだ」と遺体の状態がどうなっていたかを尋ねている。さきに弁護団が提出した取調べ録音テープの反訳(やりとりを文字にしたもの)では、石川氏は「タオルは被害者の口をふさぐために使った、遺体を埋めるときもそのままだった」と繰り返している。実際は被害者を後ろ手に縛るために使用されていたので困った関が繰り返し疑問を投げかけ、「間違いってこともある」「よく考えたらどうだってこともあるな」と言い聞かせているのである。これは、遺体の状況を石川氏が知らなかったことを示すものである。つまり、無実の人ゆえの「無知の暴露」を示しているのだ。録音テープの分析で、石川氏は取調官の質問に語句レベルでのごく短い言葉で応じるのみであることが明らかになった。ところが、「自白調書」に録取された犯行筋書では「流れのある語り」になっていて、その落差は極めて大きい。確定判決で証拠とされた「自白調書」は、いかにもその内容のすべてが石川氏によって語られたかのように記録されているが、録音テープ上での主体的関与度は非常に低い。

第三次再審棄却策動を粉砕しよう

 8月20日、東京高裁で第19回「三者協議」が開かれた。弁護団は、手拭いに関わる捜査資料の開示を求めていた。検察官は、8月19日付で不見当ないし関連性がないので開示の必要性がないとする意見書を提出しているが、これに対し弁護団は、開示を求めている資料が、手拭い捜査だけでなく、全体の捜査の問題に関わるもので、確定判決の認定を争う上で関連することを指摘し、今後書面を提出するとしている。未開示の筆跡資料については、前回の「三者協議」で、検察官から裁判所に提出するとなっている。裁判所がプライバシーの問題をふくめて弁護団に開示するかどうか検討するとしており、これについて裁判所は開示の方向で検討中としている。また、証拠物の一覧表(リスト)については、裁判所は検察に対して開示の方向で検討してほしいという姿勢を示したとのことだ。そして今回、弁護団は、石川氏の否認から「3人共犯自白」への転落、「3人共犯自白」から「単独犯行自白」(強かん目的の犯行)への転落、さらに「単独犯行自白」(誘拐―身代金奪取目的の犯行)への大変遷について、その経緯に関わる捜査資料の証拠開示を求めた。このような重大な転落・大変遷があったにもかかわらず、開示されたテープにはその部分の録音が存在しないのである。ところが、警察調書ではいずれも急転直下、あらたに「語り」出したかのように「録取」されている。今回の「三者協議」では証拠の開示そのものはなく、証拠物のリストや未開示の筆跡資料の開示の方向性が示されたのみである。次回の第20回「三者協議」は10月下旬に行なわれる。

 検察は、弁護団によって攻勢的に提出される新証拠をはじめ、石川氏の不屈の闘い、石川の命=我が命と闘う部落大衆の闘い、それと結びつく労働者人民の闘いに追いつめられながらも「不見当」を繰り返し、裁判所になら提出するなぞというふざけた態度で居直っている。東京高裁・河合もあいかわらず手ぬるい態度であり、事実調べを行う様子もない。度々裁判官が交代し、手ぬるい態度でごまかしつつ棄却のタイミングを狙っていると言わざるを得ない。今こそ大衆的実力闘争・武装闘争と階級的共同闘争で第三次再審棄却を阻止する攻勢的な闘いを叩きつけていかなければならない。司法―国家権力に対する「中立・公正」の幻想を一切捨て去り、〈差別裁判糾弾、階級裁判粉砕、国家権力糾弾・打倒〉の闘いの旗幟を鮮明に闘おう。部落解放同盟内社民・こえ派の制動に怒る戦闘的部落青年・大衆と合流し共に闘おう。職場・地域・学園で部落差別を憎み許さず、狭山差別裁判糾弾闘争を共に闘う仲間を獲得し、階級的共同闘争を拡大していこう。大衆的実力闘争・武装闘争の爆発で正念場を迎えた第三次再審闘争勝利へ進撃しよう。10・31寺尾差別「無期懲役」判決40ヵ年糾弾の狭山中央闘争に結集し、狭山闘争の歴史的勝利へ進撃しよう。

部落解放運動の革命的飛躍・前進をかちとろう

 「国連人種差別撤廃委員会」が8月29日、日本政府に最終見解を公表したことを受けて、自民党は、「ヘイト・スピーチ」の規制と国会周辺のデモ規制の抱き合わせでの法案を検討をしている。これは、政府や政策への批判の行動と極悪なファシストどもの在日朝鮮人・中国人排撃を叫びたてる「ヘイト・スピーチ」とを同列に置き、表現の自由を奪い、政府批判を封じ込め、反体制運動を弾圧・破壊しようとするもので、絶対に容認できない。もちろん差別する自由なぞない。しかし、国家権力による規制を求めるのは間違っている。今後の動向への注視と闘いが必要だ。これまで政府・自民党は、「処罰立法を検討しなければならないほどの人種差別煽動は日本に存在しない」「憲法は表現の自由を保障している」「現行の法体系で十分な措置である」などと、事実上「ヘイト・スピーチ」を擁護してきた。8月7日、首相官邸で安倍と都知事・舛添が会談し、「ヘイト・スピーチ」に対して「人権に対する挑戦。2020年五輪を控えた東京でまかりとおるのは恥ずかしい」として舛添が法規制を求め、安倍が自民党内で対策を検討させる考えを示したという。要は、五輪対策なのだ。部落解放同盟内社民・こえ派は、「『差別禁止法』の必要性を内外にアピールする絶好の機会」としてこうした動きを後押ししている。

 安倍極右政府は戦争国家体制形成に向けて突き進んでいる。国会において山のような戦争法案の成立を狙い、核武装のための原発再稼働・(新)増設へと突き進み、名護新基地建設を沖縄労働者人民の闘いを弾圧して強行しようとしている。

 国家権力頂点からの差別主義・排外主義煽動が吹き荒れる中、部落差別はますます拡大・激化している。5月29日に、呉市の人権擁護委員を対象にした研修会で、講師の広島法務局呉支局総務課長が「『部落地名総鑑』を配っただけでは人権侵害にならない」と発言した。最初に「部落地名総艦」なるものの存在が発覚してから来年で40年を迎えるが、作る目的は部落民を差別し排除するため、さらにはそのことで金儲けをするためである。それを購入し、配ることは金を払ってでも部落民を差別し排除しよう、みなさん利用しましょうとすすめることであり、そのこと自体が重大な部落差別である。東京都は、今年4月、昨年11月に実施した「人権に関する世論調査」を公表。1999年以来、14年ぶりの実施となった今「調査」では個別の人権課題として「同和問題」「外国人の人権」「犯罪被害者やその家族の人権」をとりあげた。「同和問題」の認知度は81パーセントとなったが、年齢別にみると男女ともに20代、30代が65パーセント〜75パーセントと平均以下となった。「若い世代」ほど部落差別問題を知らない傾向があり、部落ぬき、差別ぬきの「人権教育」が進行している。また、「同和地区出身者」との結婚について「あなたが『同和地区』の人と結婚しようとするとき親や親せきから強い反対を受けた場合」の対応について「自分の意志を貫いて結婚」が26パーセントと前回の調査とほぼ変わらず、また「絶対に結婚しない」は前回の調査から大幅に増加したという。「特別措置法」時代よりも「法」が終了してからのほうが部落差別意識が強まっている。差別を憎み差別と闘う教育がぜひとも必要だ。全国水平社の差別糾弾の思想を引き継ぎ闘うことが求められている。

 部落解放同盟内社民・こえ派の「告訴・告発」方針を踏みしだき、差別糾弾闘争を断固推進し、部落差別の根底的廃絶、部落の根本的解放へと闘おう。ファシストどもの悪辣な差別煽動を打ち砕き、安倍極右政府の兇暴な戦争突撃と対決する部落解放運動の革命的飛躍・前進をかちとろう。戦争遂行の安倍極右政府を打倒しよう。


10・31 寺尾反革命差別「無期懲役」判決40ヵ年糾弾
狭山中央闘争

 ?午後1時 日比谷野外音楽堂
 ?主催 狭山事件の再審を求める市民集会実行委員会
 ※集会後デモ