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東北関東大震災被災労働者人民支援大運動を

8・30「東京都・杉並区合同総合防災訓練」粉砕闘争を闘う 〈東京〉
8・31「宮城県総合防災訓練」粉砕闘争に決起〈宮城〉
(1117号5面)

8・30「東京都・杉並区合同総合防災訓練」粉砕闘争を闘う
〈東京〉

陸自練馬駐屯地正門前に登場

 8月30日、「東京都・杉並区合同総合防災訓練」が行なわれた。
 この「東京都・杉並区合同総合防災訓練」には、陸上自衛隊・練馬駐屯地から自衛隊部隊が出動する。練馬駐屯地には、首都圏を含めて関東一円を管内におさめる第一師団の司令部が置かれ、内乱鎮圧を目的とする第一普通科連隊を擁している。まさに首都内乱鎮圧部隊の拠点である。
 反戦・全学連は、この日の闘いの第一弾として、練馬駐屯地からの「防災訓練」への出動を阻止し、首都内乱鎮圧の拠点・練馬駐屯地を解体する闘いに決起した。午前7時前、反戦・全学連の部隊は、ゼッケン、ヘルメットを装着して、練馬駐屯地正門前に登場する。ただちに、「自衛隊の治安出動訓練粉砕」の横断幕を広げる。「自衛隊の治安出動訓練を粉砕するぞ」「自衛官は治安出動を拒否せよ」「自衛隊主導の防災訓練を粉砕するぞ」「治安出動の拠点・練馬基地を解体するぞ」と、シュプレヒコールをくり返し叩きつける。

 自衛隊は、「防衛省総合防災訓練」と称する自衛隊独自の訓練を行なっている。1つは、南海トラフ巨大地震に対する訓練での、大分県、宮崎県、鹿児島県を被災地と想定した「広域医療搬送訓練」、2つは、相模原市を主会場とする「9都県市合同防災訓練」での「傷病者搬送、救出」「救助活動」等の訓練、3つには、「静岡県総合防災訓練」での「救出・救助活動」等の訓練だ。いずれも陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊が参加している。表向きの活動や表には出さない部分で、独自の「治安出動訓練」が盛り込まれていることは明らかである。練馬駐屯地に対する闘いは、こうした自衛隊の部隊展開を許さない闘いとしても闘いぬかれたのである。

 反戦・全学連の部隊が練馬駐屯地正門に近づくのを見るや、あわてて鉄製門扉を閉め切り、内側では防備の自衛官数人が写真を撮りわが部隊の動向を恐る恐るうかがっている。警視庁公安の私服、署轄の光が丘警察の制服警官が弾圧を狙って待機しているが、部隊はこれを一蹴し断固とした闘いを貫徹した。

「東京都・杉並区合同総合防災訓練」粉砕闘争を闘う

 続いて部隊は、「東京都・杉並区合同総合防災訓練」粉砕闘争へと移る。

 この「訓練」には、東京消防庁や警視庁、陸・海・空三自衛隊、在日米軍、韓国・ソウル市や台湾・台北市の消防隊を含む約1万人が参加。和田堀公園をメーン会場とし、馬橋公園周辺で「救出救助訓練」が行なわれ、中央区晴海地区では海上自衛隊が参加して「臨海部における救出救助活動拠点等の設置運営訓練」が行なわれている。

 午前8時20分、反戦・全学連の部隊は、和田堀公園直近の井の頭線・永福町駅頭に登場する。「自衛隊主導の『防災訓練』を粉砕するぞ」「自衛隊の治安出動訓練を粉砕するぞ」「地域末端からのファシズム大衆運動形成を粉砕するぞ」というシュプレヒコールが駅頭に響きわたる。「防災訓練」に参加する人が立ち止り、ビラを受け取る。権力が執拗に「無届集会だ」「解散しろ」とわめき散らすが、部隊は断固としてビラを撒き、シュプレヒコール、アジテーションを行ない情宣行動を闘いぬいた。

 東京都の「防災訓練」は、全国に先行して大きく突出している。
 警視庁は独自に「警視庁震災警備総合訓練」と称し、9月1日午前9時から5分間(部分的には20分間)、85ヵ所に及ぶ大規模な交通規制訓練を行なっている。「車両流入規制訓練」として都心を囲むように走る環状七号線から都心方向への一般車両の通行を20ヵ所で禁止し、「緊急自動車専用路等確保訓練」として都心から放射状に延びる幹線道路の64ヵ所で一般車両の通行を禁止して、消防、警察、自衛隊車両のみが通行する訓練を行なったのだ。都心部への車両の流入を阻止し、幹線道路を警察、自衛隊車両が制圧するのは、首都封鎖・制圧訓練であり、労働者人民の決起に身構えた内乱鎮圧訓練の一環に他ならない。

 東京都教育委員会は、都立大島高校(大島町)の2年生33人が11月26日〜28日に、陸自武山駐屯地(神奈川県横須賀市)で2泊3日の「宿泊防災訓練」を行なうとした。自衛隊施設での「防災訓練」は、昨年の都立田無工業高校(西東京市)に続いてである。高校生を自衛隊基地に宿泊させ「訓練」を行なうというのは、「軍事教練」そのものだ。
 こんなことを絶対許してはならない。


8・31「宮城県総合防災訓練」粉砕闘争に決起〈宮城〉

亘理町立亘理中学校正門前に登場

 8月31日、宮城県と亘理町などの主催による、亘理町立亘理中学校などを主会場にした「宮城県総合防災訓練」が行なわれた。2011年の東北・関東大震災以降、宮城県内の被災沿岸部では初の実動訓練となった。「被災地の制圧」を眼目にすえ、自衛隊と警察が前面に出ての「防災訓練」に名を借りた治安出動訓練―内乱鎮圧訓練が行なわれたのである。

 「『有事法制』に反対する宮城県実行委員会」と反戦・全学連は、8月31日早朝から「宮城県総合防災訓練」粉砕の現地闘争に起ち上がった。

 午前8時すぎ、青ヘルメットの部隊は、メイン会場である亘理中学校正門前に登場した。会場周辺には既に宮城県警機動隊が幾重にも配備され、通過する車両を逐一チェックしている。何よりも、会場入口となった亘理中学校正門にはヘルメットと迷彩服を着用した自衛隊員が多数配備され、周囲に睨みをきかせているのが目につく。そんななか、動員された地域住民は列をなし、自衛隊・警察の誘導の下、粛々と亘理中学校に集合しはじめていた。この光景こそ、自衛隊・警察主導の戒厳態勢そのものであり、地域住民の戦争動員以外の何物でもない。自衛隊・警察は、「宮城県総合防災訓練」がまぎれもない治安出動訓練であることを、ここまであけすけにしているのだ。

 青ヘルメットの部隊は怒りも新たに、亘理中学校の直近まで近づき、横断幕を広げて態勢を整え、会場に向かってシュプレヒコールを叩きつける。「『宮城県総合防災訓練』を粉砕するぞ」「治安出動訓練を粉砕するぞ」「労働者人民の戦争動員を許さないぞ」。宮城県警の公安刑事どもが慌てて青ヘル部隊への規制に入り、「許可とってないだろう」「警告だ」「逮捕するぞ」などと、不当逮捕をふりかざした恫喝を加えてくる。しかし青ヘル部隊は、宮城県警の腰の入らぬ恫喝なぞ問題にもせず、思う存分シュプレヒコールをあげ続けた。そんな青ヘル部隊の抗議行動を、「防災訓練」に動員されている地域住民が注目していた。

「被災地制圧」の治安出動訓練粉砕

 次に、青ヘル部隊は直近のJR常盤線・亘理駅前まで移動する。亘理駅前に部隊登場した青ヘル部隊は、アジテーションを響かせながら、直ちにビラ撒き情宣を開始する。駅前のロータリーには、JR常磐線が大震災の被害により未だ寸断されているために運行されているJRバスが停車していた。そのJRバスに乗り込む人々をはじめ、駅を通過する労働者人民にビラを配布すると、ビラは次々と受け取られた。そこへ、宮城県警私服刑事どもが再び登場し、またも「許可してないぞ」なぞと圧力をかけてくる。青ヘル部隊はそんな恫喝をものともせずに情宣行動をやりきると、最後に「関東大震災下、朝鮮人・中国人虐殺91ヵ年を糾弾するぞ」「差別主義・排外主義攻撃を粉砕するぞ」「戦争遂行の安倍政府を打倒するぞ」とシュプレヒコールをあげ、一連の行動を終了した。

 午前9時に鳴らされたサイレンを合図に強行された「宮城県総合防災訓練」では、警察や自衛隊、消防をはじめとした関係75機関が動員され、地域住民を加えた約1000人が参加した。「宮城県総合防災訓練」は「宮城県沖を震源とするマグニチュード9・0の地震が発生し、亘理町沿岸に高さ10メートルの大津波が到達した」と想定したもので、「大津波警報発令」の下で亘理町内の4ヵ所に開設した「避難所」での「避難訓練」や「炊き出し」などを実施した。そして主会場の亘理中学校では、「ヘリコプターやボートを使った津波孤立者の救出」「倒壊建物に取り残された負傷者救出などの訓練」「重機を使った道路のガレキ除去」をしているのだが、そんななか、どう考えても必要性のない「自衛隊による仮橋の敷設」の訓練もあえて行なわれている。「どうあっても自衛隊を前面に登場させよう」という主催者の意図がミエミエである。

 「宮城県総合防災訓練」終了後、宮城県副知事・三浦は「各機関が連携して訓練に取り組めた。大規模災害に備え、地域の実情に合わせた訓練が非常に大事だ」とマスコミ向けに「意義」を語って見せている。しかし、「宮城県総合防災訓練」が「地域の実情に合わせた訓練」なぞ皆無の、自衛隊・警察主導の治安出動訓練であることは、現場を見れば一目瞭然である。政府主導下での、戒厳態勢構築のための「宮城県総合防災訓練」なぞ、何としても粉砕あるのみである。