上告棄却37ヵ年徹底糾弾
1977年8月9日、最高裁第二小法廷裁判長・吉田は無実の部落民=石川一雄氏に対し上告棄却決定を打ち下ろした。一度の口頭弁論もなく事実調べも行なわず、上告棄却を強行した。そしてわずか6日後には上告棄却に対する異議申し立てをも棄却し、1974年10・31東京高裁・寺尾が打ち下ろした反革命差別「無期懲役」判決を確定させたのである。8・9上告棄却は、寺尾の「無期懲役」判決への大衆的怒りと国家権力糾弾・打倒の闘いの高揚を恐れ、狭山闘争の解体を唯一の目的に打ち下ろされた反革命差別決定なのだ。
吉田は、筆跡や捏造された万年筆をはじめ、石川氏の無実とデッチ上げを明らかにする数々の証拠・鑑定書の審理を拒否したうえで、「一部に証拠上なお細部にわたって解明されない事実が存在することも否定できない」としながらも「被告人が犯人であることに合理的な疑念をさしはさむ事実の成立は認められない」と言い放った。そして2度の徹底した家宅捜査で脚立まで使用して調べた鴨居から万年筆があっけなく「発見」されたことについて「捜査されてしかるべき場所ではあるが…必ずしも当然に捜査官の目にとまる場所とも言えない」「捜査官が見落とすこともありうる状況の場所」とヌケヌケと言い放ち、万年筆捏造のデッチ上げを全面否定した。そして、「予断と偏見をもって差別捜査を行なったと窺わせる証拠はない」「積極的にも消極的にも部落差別を是認した予断と偏見による差別的なものではない」と差別捜査を否定し、差別裁判の強行に全面的に居直ったのだ。まさに「部落民は差別と迫害の中で死ね」とする部落民虐殺宣言に他ならない。狭山闘争破壊攻撃として打ち下ろされた、8・9上告棄却を37ヵ年の怒りも新たに徹底糾弾しよう。
狭山弁護団は、証拠開示された取り調べ録音テープの反訳とこれを心理学的に分析した浜田鑑定書を5月7日、東京高裁に提出した。テープでしゃべっているのは複数の警察官がほとんどで、石川氏の応答は短い語句ばかりであり、体験者の語りになっていないこと、石川氏の話の中に真犯人しか答えられないような「秘密の暴露」はなく、石川氏が犯行の態様について知らないことを示す「無知の暴露」が多くみられることなどを指摘し、取り調べ録音テープが、無実の人が虚偽の「自白」に陥った過程であると結論づけている。
第三次再審闘争勝利へ
6月13日、東京高裁で第18回「3者協議」が行なわれ、東京高裁第4刑事部の狭山担当の陪席裁判官がまた交代し、河合とともに出席。弁護団は、「自白」で「秘密の暴露」とされた車の駐車について、この車の駐車や事件当日の運航状況などの捜査資料の開示を求めていたが、検察官はすべて「不見当」とした。また、死体発見直後の手ぬぐいの捜査資料の開示を求めていたが、回答なし。未開示の筆跡資料については、「弁護人には開示できない」としながらも、「裁判所には提出する用意がある」と回答。検察官から裁判所に提出し、裁判所が開示について検討することになる。「証拠リストの開示勧告」については、「裁判所も客観的証拠はできるかぎり開示するという立場であり、証拠物の一覧表の開示を前向きに検討する」とした。弁護団は新証拠として提出した浜田鑑定と取り調べ録音テープ反訳の重要性を訴え、今後関連する新証拠や補充書を提出するとした。特に「自白」調書と録音テープの落差が歴然としており、弁護団反訳書、浜田鑑定書を十分に検討してほしいと申し入れた。次回第19回「3者協議」は8月下旬に開かれる。
検察は、弁護団によって攻勢的に提出される新証拠をはじめ、石川氏の不屈の闘い、石川の命=我が命と闘う部落大衆の闘い、それと結びつく労働者人民の闘いに追いつめられながらも「不見当」を繰り返し、裁判所になら提出するなぞというふざけた態度で居直っている。東京高裁・河合もあいかわらず手ぬるい態度であり、事実調べを行なう様子もない。度々裁判官が交代し、手ぬるい態度でごまかしつつ棄却のタイミングを狙っていると言わざるを得ない。今こそ東京高検に対し、ただちに全証拠開示を行なえと徹底糾弾を叩きつけていかなければならない。東京高裁にただちに事実調べを行なえ、再審を開始しろと迫っていかなければならない。大衆的実力闘争と階級的共同闘争で第3次再審棄却を阻止する攻勢的な闘いを叩きつけていかなければならない。
狭山闘争の歴史的勝利をかちとろう
司法―国家権力は、これまで石川氏の無実を明らかにする新証拠や補充書、意見書をどれだけ目の前に積まれようとも棄却を強行してきた。未だに事実調べも証拠調べも行なわず、第3次再審棄却を虎視眈々と狙っている。石川氏の無実は、犯人にデッチ上げた国家権力が一番よく知っている。だからこそ国家権力は、狭山闘争が階級的共同闘争を基軸とした全人民決起と、戦闘的部落大衆と結びついての大衆的実力闘争・武装闘争で国家権力を追いつめてきたことに何より恐怖と憎悪を燃やし、狭山闘争解体攻撃をしかけているのだ。狭山闘争は国家権力を追いつめてきた戦闘的闘いの地平を一歩も後退させることなく、さらに前進させていくことなしに勝利をかちとることはできない。そのことを肝に銘じ、なんとしても棄却を阻止する闘いに総力で起ち上がろう。いかなるペテンも居直りも許さない闘いを叩きつけていこうではないか。
部落解放同盟内社民・こえ派は国家権力への屈服を深め、狭山=「冤罪」をますます強調しながら狭山闘争を「司法の民主化」要求運動に落し込め、国会請願デモに一切を流し込もうとしてきた。中央闘争を「市民集会」にし、日比谷で集まっていながら東京高裁・高検へと向かい包囲糾弾するデモを行うのではなく、代表団が集会前に申し入れを行なうというやり方で司法―国家権力との闘いを回避しようとしてきた。「3者協議」にゆだねようとしてきた。しかし、安倍極右政府による戦時体制形成が一挙に進むなかにあって、部落解放同盟内社民・こえ派の路線の破産は鮮明となっている。「司法の民主化」要求なぞ安倍極右政府の司法・警察権力強化のダシに使われるのは明白である。狭山は国家権力との闘いである。国家権力との闘いを回避して勝利をかちとることはできない。部落解放同盟内社民・こえ派による狭山闘争の幕引き策動を踏みしだいていかなければならない。
石川氏は本年5・23狭山中央闘争で不当逮捕から51年を迎えてしまったことの無念さを訴え、「なんとか第3次で勝利できるようにさらなるご支援を」と不退転の決意を明らかにしている。この石川氏の決意に応える闘いを担いぬいていこう。石川氏を激励し、無念さ、怒りを共有し闘おう。司法―国家権力に対する「中立・公正」の幻想を一切捨て去り、〈差別裁判糾弾、階級裁判粉砕、国家権力糾弾・打倒〉の闘いの旗幟を鮮明にし闘おう。部落解放同盟内社民・こえ派の制動に怒る戦闘的部落青年・大衆と合流し共に闘おう。職場・地域・学園で部落差別を憎み許さず、狭山差別裁判糾弾闘争を共に闘う仲間を獲得し、階級的共同闘争を拡大していこう。大衆的実力闘争・武装闘争の爆発で正念場を迎えた第3次再審闘争勝利へ進撃しよう。狭山闘争の歴史的勝利をかちとろう。
部落解放運動の革命的飛躍をかちとろう
安倍極右政府は、戦争国家体制形成に向けて突き進んでいる。ついに7月1日、「集団的自衛権行使」を容認する解釈改憲を閣議決定するという暴挙に打って出た。核武装のための原発(新)増設、再稼働へと突き進み、名護新基地建設を沖縄労働者人民の闘いを弾圧して強行しようとしている。安倍は、「経済財政運営と改革の基本方針」と「日本再興戦略改訂版」を閣議決定し、このなかでも医療費抑制、年金支給額の削減や支給年齢引き上げ、「非正規雇用」労働者の拡大、「残業代ゼロ」の労働法制の改悪、原発の輸出などを打ち出している。日本帝国主義の生き残りのためには労働者人民の命や生活なぞ2の次3の次であり、さらなる矛盾をおしつけようとしているのだ。このなかでますます差別主義・排外主義が台頭している。「河野談話」を撤回させようとする発言が止まず、元「従軍慰安婦」の方たちに悪罵を投げつけ続け、都議会では女性差別発言が公然としかもヤジをとばすやり方で行なわれるなど、差別発言・問題発言が連続している。部落解放運動においても既成勢力の屈服をさらに強制しながらの、部落解放運動総体のファシズム融和運動への再編攻撃が強まっている。
国家権力頂点からの差別主義・排外主義煽動が吹き荒れる中、部落差別はますます拡大・激化している。全国で悪質な差別事件が激発している。部落差別落書き、差別ハガキ、インターネットを使った悪質な差別煽動が拡大している。水平社博物館前でハンドマイクで差別発言を繰り返した極悪右翼ファシスト「在特会」はさらに差別煽動を続け、在日朝鮮人・中国人に対する差別デモ、襲撃を頻繁に行ない、ファシズムへの突撃の尖兵として突出している。部落解放同盟内社民・こえ派は「告訴・告発」を全面化している。しかしすでに明らかなように「告訴・告発」は差別糾弾闘争を破壊し、差別者を擁護し、部落差別を拡大させるだけであり、差別者を自己批判させ、変革することなぞできない。とりわけ、右翼ファシストの差別煽動に対しては、徹底した撃滅戦の爆発で回答しなければならない。全国で激発する差別事件に対しては、全国水平社の差別糾弾の思想を引き継ぎ、徹底した差別糾弾闘争で闘いぬくことが必要だ。部落解放同盟内社民・こえ派の「告訴・告発」方針を踏みしだき、差別糾弾闘争の復権をかちとり、部落差別の根底的廃絶、部落の根本的解放へと闘おう。ファシストどもの悪辣な差別煽動を打ち砕き、安倍極右政府の兇暴な朝鮮反革命戦争突撃と対決する部落解放運動の革命的飛躍・前進をかちとろう。朝鮮反革命戦争遂行の安倍極右政府を打倒しよう。差別主義日共=全国人権連を解体し、差別主義反革命革マルを解体・絶滅し、天皇主義右翼ファシストを撃滅しよう。
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