辺野古・違法アセス訴訟の経過
2009年8月、闘う沖縄労働者人民は、「辺野古・違法アセス訴訟」を提訴(原告団622人)した。同「訴訟」は「違法な『方法書』『準備書』『追加修正部分』のやり直し義務の確認」と「意見陳述権を奪われたことへの損害賠償請求」を柱とするもので、闘う沖縄労働者人民は裁判闘争を通して政府―防衛省によるデタラメな「環境影響評価(アセスメント)」を徹底追及してきた。それによって、基地機能強化の「後出し」に継ぐ「後出し」によって巨大な軍事要塞とでもいうべき名護新基地建設計画をうち立てた不当性を余すことなく明らかにしたのである。政府―防衛省は、「アセスメント」の設計図にあたる「方法書」において事業内容をわずか7ページしか記載しなかった。これでは住民はまともに意見を出すことすらできない。防衛省は、あえて事業内容を明らかにしないまま「住民意見」に付し、その手続きが終わった後に「追加・修正資料」を提出し、その中に機能強化を盛り込んだのである。「準備書」にも新たな機能強化を盛り込んだ。オスププレイ配備は、ここでも隠蔽された。2011年12月、辺野古・違法アセス訴訟の公判が進行中であるにもかかわらず、防衛省は「評価書」提出を強行した。「住民意見」を出す機会のない「評価書」段階で、初めて名護新基地へのオスプレイ配備が明記されたのである。政府は、自ら作ったルールさえ邪魔だと言わんばかりに、「住民意見」の機会をことごとく葬り去った。しかも、辺野古海域では自衛隊まで投入した違法な事前調査(「環境現況調査」)や事後調査を一方的に繰り広げた。これこそ安倍や官房長官・菅がくり返し口にする「丁寧に説明し理解を求める」の正体である。
2013年2月20日、那覇地裁は政府の不当な「環境アセス」手続きの内容にいっさい触れることなく住民の訴えを棄却した。この第一審判決について「訴訟原告団」「訴訟弁護団」は声明を発表している。「本判決は、『環境影響評価手続』における国民の意見陳述権は、個別具体的な権利ではなく法律上保護された利益にも当たらないとして、意見陳述権が侵害されたことを理由とする請求は認められない、と判示している。しかし、そのような判断は、環境を保護するための手続きにもかかわらず、環境の変化により実際に影響を受ける者に意見を述べる機会を与えなくとも構わない、との誤解を与えるものであって、不当である」「このまま違法な『環境影響評価手続』が放置され、辺野古に普天間代替施設の建設が進められることになれば、我が国の環境保護政策は大きく後退する。沖縄県民が過剰な基地負担を被っている現状にもかんがみ、国は、辺野古への普天間代替施設の建設を断念すべきである」。
原告団・弁護団は怒りをもって控訴(原告団297人)を決断する。2013年12月5日、第1回口頭弁論が行われた。原告団は、その法廷の場でオスプレイの低周波音を再現し、辺野古に立地する沖縄高専の付近を飛行する映像を流した。オスプレイ特有の振動は、まるで体の内部から震えるような感覚を覚える。住民は、そうした異様な振動を感じながら、欠陥機オスプレイの墜落の恐怖を抱えた生活を強いられているのである。だが高江の「座り込み弾圧訴訟」でも反動判決を下している今泉は、結論ありきの態度に終始した。2014年2月20日の第2回口頭弁論で結審を強行し、「5月27日判決」を通告したのである。
5・27判決公判闘争に闘う仲間が結集
5月27日、「辺野古・違法アセス訴訟団」と「ヘリ基地反対協」が先頭に立って闘ってきた「辺野古・違法アセス訴訟」の控訴審判決公判が行なわれた。福岡高裁那覇支部の裁判長・今泉は、第一審判決を支持し訴えを棄却した。闘う沖縄労働者人民は、たった2回の口頭弁論で結審を下した裁判長への怒りと住民の訴えを聴こうともしない司法そのものに対する不信を表明し、名護新基地建設絶対阻止の決意を明らかにしている。われわれは、5・27不当判決を徹底弾劾し、名護新基地建設を実力阻止する闘いに起ち、完全勝利まで闘う決意である。
5月27日午後1時、那覇地裁前広場において事前集会が開催された。たった2回の口頭弁論で事実審理さえ拒否された状況の中で、会場には司法への不信だけが充満していた。司会に立った原告団の東恩納琢磨氏は、「どんな判決が出ても次のステップとする」と語る。原告団長の安次富浩氏は、「防衛省は7月からボーリング調査をやると言っている。弾圧態勢が強まっている。だが私たちは基地建設を阻止するために闘う」「環境省は辺野古・大浦湾が貴重な自然環境だと認めているが、防衛省には何も言わない。それは基地建設を容認したことと同じだ」と訴える。弁護団事務局長は、「判決は、『環境アセス』に住民が意見を言う権利があるかどうかについて問う。『環境アセス』の入口論に終始するもので、どんな判決が出ても『環境アセス』の中身の是非を問うものではない」と解説する。「沖縄平和運動センター」の議長は、「防衛省は全国の防衛局職員を動員して県民、住民を排除するといっている。司法・行政・立法が一体となって襲いかかってくる」「何としても辺野古の基地建設を止める」と闘う決意を語る。
事前集会後、参加者は横断幕を先頭に裁判所へ向かった。午後2時開廷。判決はほんの一瞬だった。広場に戻ってきた安次富氏は、「予想はしていたが、マスコミの撮影2分、判決は30秒。これが今の日本の実態だ」と第一声をあげた。事後集会では、次々と怒りが表明された。司会は「『民はものを言うな』という判決だ」と語る。弁護団長の三宅俊司氏は、「やっぱり裁判長は死んでいた。判決文を書く前から死んでいた」と怒りを爆発させ、「裁判長は、判決文で『住民に意見を述べる権利はない。意見を述べることは、事業者が資料を集める手段に過ぎない』としている。また『本件事業で被害が発生した場合、意見が言えないとしても、損害を避ける適当な方法がないとは言えない』という趣旨のことを書いている」「『環境アセス』を有効だと判断したものではない。欠陥だらけの『環境アセス』に住民が意見を言えないように入口で門前払いをした判決である。負けたとは思わない。裁判長が、逃げただけである。最高裁でも闘いたい」と決意を表明する。事後集会を閉じようとした時、上空を米軍機が横切り一帯は爆音に襲われた。安次富氏は、「これが沖縄の現実だ」と悔しさを語り、「団結ガンバロー」で締めくくった。
5・27不当判決は、闘う沖縄労働者人民の怒りの炎に油を注いだだけである。闘う沖縄労働者人民は、現場の闘いによって回答を下すだろう。われわれはあらゆる手段を尽くし、埋め立て着工を実力阻止する。ボーリング調査強行阻止を闘う。普天間基地解体・名護新基地建設阻止の完全勝利に向けて奮闘する。
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