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5・19連続討論会Ⅱ「秘密保護法と警察」が開催される
(1106号2面)

 5月19日、午後6時から、東京の京橋区民館において、「秘密保護法と警察」と題する連続討論会Ⅱが開催された。「共謀罪新設反対! 国際共同署名運動」と「破防法・組対法に反対する共同行動」が、主催するジャーナリストの青木理氏を招いての連続討論会だ。司会及び、コーディネーターを関東学院大学名誉教授の足立昌勝氏が担当し、青木氏が書いた朝日新聞社の「ジャーナリズム」という雑誌のコピー「特定秘密保護法を考える―特定秘密保護法で権益を広げる警備・公安警察の狙いと報道の課題」が資料として配られ、それに添った形で青木氏は話をした。

 内容は次の通りである。

「『特定秘密保護法』の法律作成を主導したのは内閣情報調査室」「この内閣情報調査室は、中心を占めているのは警察官僚であり、官邸に突き刺さった警備・公安警察の〝出先機関〟と評すべき組織」
「この法律の成立によって最も権益を広げるのは誰か。『特定秘密保護法』の『特定秘密』の指定範囲として四分野が列挙され、外交、防衛に加えて『特定有害活動の防止』と『テロリズムの防止』に関する情報が含められている。『特定有害防止活動』とはいわゆるスパイ活動のことを指し、警備・公安警察にとってみれば長きにわたる〝宿願〟ともいえたスパイ防止法をついに手中に収めた形となる。また『テロリズム防止』の役割を担うのはいうまでもなく警察である。つまり、秘密指定の範囲として列挙された四分野のうちの二分野までを警察組織が主管的に運用し、さまざまな関連情報を『特定秘密』に指定することが可能となる」
「『テロ防止』などという理屈を持ち出せば、警察活動に関わる大半の事柄を『特定秘密』に指定できてしまうだろう」
「つまり警備・公安警察は、自らの活動実態や情報収集能力を徹底的に隠匿できる『強力な武器』を手に入れた」
「警備・公安警察部門は、警察庁警備局を頂点とする国家警察的な色合いが極めて濃く、最大の実動部隊として首都警察の警視庁に公安部が、他の道府県警察本部には警備部が配置され、各警察署の警備課なども通じて全国隅々にまで上意下達の情報網を張り巡らせている」
「長きにわたって警備・公安警察組織は、『協力者』の獲得工作こそが最重要の活動だと位置づけてきた」「『テロ防止』を名目に監視対象が広がる」
「法案審議の過程で盛んに問題視されたが、『特定秘密保護法』には一般市民による集会やデモすら『テロ活動』と規定されかねない一文が盛り込まれていた」
「こうした発想がまかり通るならば『テロ防止』を名目として従来よりもはるかに広範な市民・団体が警備・公安警察の監視対象とされるのも決して杞憂ではない」
「これまで警備・公安警察が密やかに行なってきた隠微な情報収集活動に法律的なお墨付きを与え、さらなる拡大の余地ができてしまったという点で、『特定秘密保護法』は警備・公安警察にとって権益拡大のツールとなるだろう」
「『特定秘密』の取り扱いにかかわる『適性評価』の分野にも、警備・公安警察の権益と情報収集の幅を極度に肥大化させかねない危うさが散りばめられている。ここに定められた『適性評価』の対象は、関係の行政機関に所属する公務員ばかりか、『特定秘密』を取り扱う企業や団体の社員、職員までが、対象とされ、各行政機関は『適性評価』に関する調査を警備・公安警察に依頼することになる」
「各行政機関の幹部らの機微なプライバシー情報を握った警備・公安警察は、とてつもない権力をもってしまいかねないのではないか。そうした情報を使って他省庁を牽制することもできるし、人事にだって影響力を及ぼすことができるからである」
「つまるところ『特定秘密保護法』とは、冷戦体制の終焉によって青息吐息の状態にあった警備・公安警察にとって最も美味しいツールであり、警備・公安警察による警備・公安警察のための法律といえる。すなわち、外交や防衛といった分野での秘密保護よりもむしろ、内政における治安維持的な色合いが濃い悪質な治安立法である」。

 青木氏の話を受け、活発な質疑応答、討論がなされた。最後に青木氏から、「ともに頑張りましょう」という檄が飛び、討論会を終えていった。