5月19日、「都教委包囲・首都圏ネット(包囲ネット)」による国会前行動が取り組まれた。衆院第2議員会館前の路上に集まった仲間たちはまず、「教育委員会制度解体阻止!」「教育の国家支配を許さないぞ!」とシュプレヒコールを国会に向かってたたきつけた。
「包囲ネット」のA氏は、「地方教育行政法の改悪案の審議が、現在、衆院文部科学委員会で進められている。状況は極めて危機的で、いつ委員会で採決されてもおかしくない」「教育委員会制度は戦前の軍国主義教育からの反省から出発したが、教育委員会の運営は残念ながら、教育現場を援助するものとして機能してはいない。特に東京都の場合、『日の丸・君が代』を強制した2003年の『10・23通達』以後、現場では職務命令・処分が乱発されるなど教育に混乱をもたらした。さらに職員会議での採決禁止を命令で強制してきた」「私たちは都教委に対して本来の教育委員会を取り戻すべく活動してきたが、今回の改悪は、法律上からも本来の教育委員会制度を一掃していくものだ」。小学校での勤務経験をもつ仲間は、「教育基本法改悪で、学校でのイジメはなくなるどころがいっそうひどくなった。先生たちが自宅に帰れるのは夜10時過ぎ、長時間の勤務が当たり前のようになっている。私は業績評価制度に反対して裁判闘争を行なった。教育の場で人が人を評価するなぞはあり得ない、間違っている」。「包囲ネット」のK氏は、「集団的自衛権の世論調査では54パーセントの人が反対している。憲法の解釈を内閣の一存で変えていこうという安倍政府の進め方にみんなが危機感を抱いている」「かつての教育基本法改悪反対の運動では日教組も取り組んだが、現在の教育委員会制度をめぐる問題では、全然動いていない。しかし私たちは現場の教育労働者と連帯して安倍の教育破壊と対決して闘っていこう」。
この後、リレートークを中断して、座り込みを続行し、午後5時に再びリレートークを再開する。「包囲ネット」のA氏が、「戦前では軍国主義教育が当たり前だった。軍事教練が義務付けられ、現場には現役の将校が配属されていた。戦前の学校は軍国主義の宣伝機関となっていた。敗戦後は軍国主義教育への反省から、教育への『不当な支配』を排除するために教育委員会制度が新設された。安倍首相がねらう教育への介入に反対していこう」とまず訴える。千葉県の教育労働者の仲間は、「5月の中旬、現場は中間テストを控えているが、今回、年休を使って国会前の行動に参加している。生徒たちが自分たちの将来のため、幸福を追求するために学んでいるのであって、そこには国家のためにとか千葉県のためにとか入り込む余地などまったくない。それが教育の本質だ。教育への国家の支配には絶対に反対だ。子どもたちのことを一番理解しているのは現場のクラス担任であり、授業を担当している先生である。安倍も、教育委員会も、学校長も、わかりもしないのに口出しするな、と言いたい」と述べた。ここで、A氏が衆院での審議状況を報告し、「5月16日に、衆院文科委員会での採決が強行され、衆院本会議での段階へと移行している。来週以降は審議の舞台は参院となることにともなって、『包囲ネット』の国会前行動は参院議員会館前での座り込みになる」ことを提起する。続いて、「君が代」不起立処分を受けたF氏は、「2003年の『通達』以降、学校の雰囲気がガラッと変わった。それまでの職員会議ではいろんな意見が自由に出され、活気があった。しかし、2003年を境に学校の先生は自分で物を考えたり、意見を述べることができなくなってしまった」「これ以上、悪くさせないために反対の声を上げていきたい」と決意を明らかにし、「共謀罪」「秘密保護法」に反対する仲間、沖縄で「5・15平和行進」に参加してきた仲間がアピールを行なった。
最後に、次週以後も国会前行動を継続していくことを確認し、この日の行動をシュプレヒコールで締めくくった。この日の闘いには、東京・山谷日雇労働組合、神奈川県地域連合労働組合の仲間たちも合流して闘いぬいた。
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