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7・20 入院患者差別・虐殺30ヵ年糾弾!報徳会宇都宮病院糾弾! 宇都宮現地闘争に結集せよ (1105号3面)

  来る7月20日、全国「障害者」解放運動共闘会議(全「障」共)は、「報徳会宇都宮病院入院患者差別・虐殺30ヵ年糾弾! 現地闘争」を呼びかけている。全「障」共は、昨年12月22日に全国障害者解放運動連絡会議(全障連)運動の歴史的地平を継承し、さらに大きく発展させるべく結成された。全「障」共の呼びかけに応え、ともに宇都宮現地に決起しよう。

 1984年に発覚した宇都宮病院による入院患者差別・虐殺は、日帝足下における戦時「障害者」差別―抹殺攻撃の実態を満天下に示した。その入院患者差別・虐殺から30年を経た今日、日帝国家権力は、2005年7月の「心神喪失者等医療観察法」施行、2010年7月の改悪「脳死―臓器移植法」全面施行、2013年5月の「障害者総合支援法」施行を相次いで強行し、戦時「障害者」差別―抹殺攻撃をより一層強めている。

 「心神喪失者等医療観察法」では、「犯罪行為」の原因を「心神喪失状態」などを引き起こした「精神障害」と規定している。そして、「犯罪を行なった際の精神障害」が「改善」されるまでは「再犯のおそれ」があるから、特別な施設(保安処分施設)に隔離・拘禁するというのだ。保安処分施設に隔離・拘禁された人々は「精神障害者」としての存在自体を否定されるという、明らかな「精神障害者」差別法だ。また、国家権力が恣意的に、科学的根拠のない「再犯のおそれ」に基づいて「予防拘禁」できる点において、まぎれもない保安処分だ。「心神喪失者等医療観察法」施行後5年間で、「心神喪失者等医療観察法」下で保安処分施設への入院や通院の処遇を受けた「精神障害者」のなかから「自殺」17人、「自殺未遂」23人が出ているとされているのは、「精神障害者」としての自己の存在自体が否定されるからである。しかも法務省・厚生労働省は、2010年以降の保安処分施設での自殺者数を「文書不存在」なぞと言いなして公表しようとせず、実態の隠蔽に走っている。日帝国家権力は、「精神障害者」を隔離し抹殺することによって資本主義社会を防衛しようとしているのだ。「心神喪失者等医療観察法」撤廃をかちとり、保安処分施設の建設阻止・解体をかちとれ。

 改悪「刑法」と改悪「更生保護法」が昨年6月13日に反革命国会で可決・成立し、6月19日に公布された。公布後3年以内の施行が狙われている。法務省は、「精神障害者」に対する保安処分導入に続き、保安処分の適用対象を拡大することを狙い、「初犯者」「薬物犯罪者」を対象とする「刑の一部執行猶予」「社会貢献活動」という名の新たな保安処分導入をもくろんできたのだ。保安処分とは、「反社会的行為への危険性がある」とされた人に対して、「拘禁・教育・矯正・治療」などを行なうとする国家権力による強制処分である。「危険性の有無」は恣意的な判断とならざるを得ず、国家権力が「危険性がある」と決め付ければ拘禁などの強制処分ができるため、保安処分を認めることは、国家権力の弾圧権限の拡大・強化を認めることに直結する。保安処分なぞ、断じて許してはならない。

 「障害者」の自立と解放を阻む悪法=「障害者自立支援法」を一部見直しただけの「障害者総合支援法」が2012年6月20日に成立し、2013年4月1日から施行されている。「障がい者制度改革推進会議」の「総合福祉部会」が提言した「サービスの原則無料化」「サービスを受ける際は障害程度区分に基づかず、本人の意向が最大限尊重される仕組みにする」などの「骨格提言」のほとんどが無視されており、多くの「障害者」が必要な介護(時間・内容)を受けることができないままだ。また、自治体によっても差はあるが、「社会通念上適当であると市町村が認めた場合以外の宿泊のためのヘルパー利用禁止」「政治活動のためのヘルパー利用禁止」など、「障害者」が〈自立と解放〉を実現するために不可欠な活動が規制される。「障害者総合支援法」による介護の商品化は、「障害者」と介護者の間に介護事業者という資本を介在させ、介護を資本の利潤追求の手段に変質させ、〈共闘・共生〉の条件を破壊していくものである。「障害者総合支援法」撤廃をかちとり、介護の商品化を粉砕せよ。

 2010年7月には、改悪「脳死―臓器移植法」が全面的に施行され、旧法では「臓器提供の場合に限り脳死を人の死とする」考え方が「脳死を一律に人の死とする」考え方に変更された。本人が拒否の意思表示をしない限り、家族の承諾のみでの「脳死―臓器移植」が可能になり、15歳未満の子供も「脳死―臓器移植」の対象とされた。この「法」改悪以降「脳死―臓器移植」が急増し、15歳未満の「脳死―臓器移植」も強行されている。「脳死―臓器移植法」を粉砕せよ。

 2006年に発覚した、富山・射水市民病院での人工呼吸器の取り外しによる7人の患者虐殺を契機として、「安楽死・尊厳死」法制化攻撃が強化されている。厚生労働省は2007年に「終末期医療の決定プロセスに関するガイドライン」を策定した。さらに、超党派の国会議員約140人で作る「尊厳死法制化を考える議員連盟」は2012年3月、「終末期」の患者が延命措置を望まない場合、延命措置を始めなくても医師の責任が問われないとする「法」案=「尊厳死法」案を公表した。「尊厳死法」案は、「適切な医療を受けても回復の可能性がなく、死期が間近と判断される状態」を「終末期」と定義し、15歳以上の患者の意思が書面などで明らかで、2人以上の医師が「終末期」と判断すると、人工呼吸器の装着や人工栄養の補給を始めなくても、医師は民事、刑事、行政いずれの責任も問われないとするものである。「尊厳死法制化を考える議員連盟」は、治療中の患者の延命措置を中止することも認める第二案もまとめている。この「尊厳死法」案を土台にしながら、首相・安倍の後押しをも受け、自民党は2013年12月に「尊厳死に関する検討プロジェクトチーム」をたちあげ、「尊厳死法」案の成立に動き出した。自民党は各党に今年4月までに議論を終えるよう「要望」し、「尊厳死法」案の今通常国会への議員立法での提出を狙ってきた。実際には5月末の現段階でも議論は進まず、「安楽死・尊厳死」法案は国会提出されていないが、自民党を軸にしながら「安楽死・尊厳死」法制化に向けた動きが続いている。優生思想を許さず、「安楽死・尊厳死」法制化を粉砕せよ。

 差別糾弾闘争の前進かちとり、「障害者」差別―抹殺攻撃を粉砕せよ。戦争遂行の安倍極右政府を打倒せよ。「報徳会宇都宮病院入院患者差別・虐殺30ヵ年糾弾! 現地闘争」の勝利を、闘う「精神病者」「障害者」とともにかちとろう。