全「障」共幹事会が基調提起
昨年12月22二日に結成大会が開催された全国「障害者」解放運動共闘会議(全「障」共)が呼びかける最初の取り組みとして、4月1日、東京の地において「障害者総合支援法」施行1ヵ年糾弾闘争を闘いぬいた。
全「障」共の下に結集した「障害者」をはじめ、全国の闘う仲間が東京の水谷橋公園に結集する。正午のデモ出発に先立ち、全「障」共より基調が提起される。「全『障』共は今日のこの闘いを、〈『障害者総合支援法』撤廃! 介護の商品化粉砕!〉〈『障害者』差別糾弾! 『障害者』と労働者階級との階級的共同闘争で闘おう! 安倍極右政府打倒!〉をスローガンに、政府―厚生労働省を徹底糾弾する闘いとして呼びかけました」「『障害者自立支援法』を一部見直しただけの『障害者総合支援法』は、『障害者』に過重な負担を強いる『応益負担』は維持されており、『障害者』が〈自立と解放〉を実現するために不可欠な活動が規制されるのです」「『障害者総合支援法』は、『障害者』の〈自立と解放〉に向けた要求と介護の商品化とは、まったく相反するものであり、〈共闘・共生〉の原則を破壊し、『障害者』と介護労働者をしばる資本の鉄鎖を強化するものに他なりません」「『政府との政策協議』に期待を寄せた運動の破綻も、これまた明白になっています。差別糾弾の牙を抜き取られた『障害者』運動の先に待つものは、差別に屈服した生き方と希望を奪われた未来です。『障害者』の〈自立と解放〉のスローガン、そして差別糾弾闘争こそが、未来を切り拓く力です」「『障害者総合支援法』撤廃をかちとり、介護の商品化を粉砕しよう! 『心神喪失者等医療観察法』撤廃かちとり、保安処分施設を解体しよう! 『脳死―臓器移植法』撤廃をかちとろう! 『安楽死・尊厳死』法制化を阻止しよう! 差別糾弾闘争の前進かちとり、『障害者』差別―抹殺攻撃を打ち破ろう!」。
厚生労働省に施行1ヵ年の怒りを叩きつける
全「障」共よりの基調が参加者全体の拍手で確認されると、直ちに首都中枢を席捲するデモが開始される。全「障」共に結集する「障害者」を先頭とするデモ隊は、昼の賑わいをみせる銀座の街を席捲し、道行く人々の注目を集めていく。さらにデモ隊は霞ヶ関を通過し、「障害者総合支援法」下の「障害者」抹殺攻撃の尖兵の牙城=厚生労働省前に差し掛かる。宣伝カーからのよく通る声を先導役としたシュプレヒコールを、思う存分厚生労働省に叩きつける。「『障害者総合支援法』施行一ヵ年糾弾!」「『障害者総合支援法』撤廃!」「『介護の商品化』を粉砕するぞ!」「差別糾弾闘争で闘うぞ!」「全『障』共は闘うぞ!」。こうして全「障」共を先頭とするデモ隊は、首都中枢を席捲する日比谷公園までのデモを戦闘的に闘いぬいたのである。
日比谷公園に到着後、「福岡・『障害者』解放をめざす会」の仲間の司会の下で総括集会が開かれる。
全「障」共に結集する仲間からの決意表明を受ける。「宮城・『障害者』への公的保障を求める会」の仲間は、「『障害者自立支援法』になったとたんに私の住んでいる名取市は、約200時間以上介護時間数を削減してきました」「いくら『障害者自立支援法』から『障害者総合支援法』に名称が変わろうとも、その中身が『障害者』のためにはなっていないことは変らない事実です」。「ボランティアサークル・清瀬」の仲間は「地域で生きる『障害者』とともに、『障害』を持つ人とともに、一緒に生きていける社会に作り変える闘いをやりぬく」。「刑法改悪阻止関東活動者会議」の仲間は、「『病者』と『障害者』と『健常者』が共に差別と闘って生きていく関係を作りながら、介護の商品化に貫かれた『障害者総合支援法』をなんとしても撤廃していこう」「私は、全『障』共の仲間とともに、7月に『心神喪失者等医療観察法』施行9ヵ年糾弾!
対国立・精神医療研究センター(旧武蔵病院)デモを闘います。同じく7月に、報徳会宇都宮病院入院患者差別・虐殺30ヵ年糾弾! 現地闘争を闘います。今年2月に亡くなられた、宇都宮病院・元入院患者の安井健彦さんの闘いを引き継ぎ、闘いましょう。ここに結集されているすべての仲間が、7月の連続した闘争を闘うよう訴えます」。「大阪・障害者解放をめざす会」の仲間は、「介護認定をした『都道府県』以外での介護を認めないうえで『社会通念上適当であると市町村が認めた場合以外の宿泊のためのヘルパー利用禁止』や『政治活動のためのヘルパー利用禁止』など、『障害者』の差別糾弾の闘いや政治活動をも規制している『障害者総合支援法』を絶対に許すことはできません。『障害者総合支援法』は、『障害者』と『健常者』とが介護を通して作り上げてきた〈共闘・共生〉を壊し、『障害者』解放運動を解体していく『法』です」「『尊厳死』法案は、超党派の議員立法で国会に提出されようとしている。『価値なき命』の選別を許すことはできない。ファシズム優生思想と対決し、政府、国家と闘っていけるのは差別糾弾闘争しかありません」。「反戦・反失業を闘う釜ヶ崎労働者の会」の仲間は、「『障害』が一つの個性として認められる社会。『障害者』『病者』が、自分自身に誇りを持ち生き生きとして生きていける社会。そういった社会の実現へむけ、俺たち『釜ヶ崎労働者の会』は、これからも闘う『障害者』の仲間と共に、すべての差別を撤廃させる闘いを体を張って闘っていきます」。「広島・『障害者』解放を進める会」の仲間は、「『障害者』と『健常者』の〈共闘・共生〉を破壊する『障害者総合支援法』を粉砕しよう。安倍政府は消費税増税で労働者階級と『障害者』から搾取し、資本主義の延命をはかろうとしており、とても許すことはできません。『集団的自衛権の行使』や『共謀罪』新設など戦争準備を行ないながら、『障害者』への攻撃も強めようとしています」。沖縄の「精神病者」の仲間は、「沖縄内部にある『障害者』一般を排除する、『ユイマール』という疎外を含んだ共同性の中に無理矢理『精神障害者』を参加させようということ自体が、そもそも限界を含むものであり、資本主義社会の差別・搾取のシステムの中に、やはり、取り込まれていくものでしかありません。そういった意味でも『障害者総合支援法』を撤廃・粉砕していかなかればなりません」。
全「障」共の躍進から、革命的「障害者」解放運動の飛躍・前進を
発言が全体の拍手で確認されると、最後に司会が、今日の闘いを全「障」共が先頭を切って最後まで闘いぬいたことを明らかにするとともに、7月「心神喪失者等医療観察法」施行9ヵ年糾弾!
対国立・精神医療研究センター(旧武蔵病院)デモと、報徳会宇都宮病院入院患者差別・虐殺30ヵ年糾弾! 現地闘争への結集を訴える。そして参加者全体で再度シュプレヒコールをあげ、この日の闘争を締めくくった。
資本の利益を生む能力が高い者を「価値ある生命」とし、その能力の低い者を「価値なき生命」として排除・抹殺する優生思想を必然的に生み出す資本主義社会、所得などの格差の拡大を必然的に生み出すこの資本主義社会の変革なくして、「障害者」差別を廃絶することはできない。「障害者」の解放は、資本の力によってではなく、労働者階級との階級的共同闘争を発展させるなかでこそ実現できるのだ。このことを何度でも確認し、安倍極右政府の下で強まる「障害者」抹殺攻撃と対決しなければならない。
全「障」共は、その結成宣言で、「(介護の商品化は、)介護に資本の論理を貫徹させることによって、〈共闘・共生〉を根底から破壊するものに他ならない」「これを批判しえぬ多くの運動体の体制内化と運動的衰退が進み、全障連もまた、その生命力を失うに至った」「われわれは、いかなる困難な条件のもとでも、差別糾弾闘争を闘い、『障害者』の〈自立と解放〉の道を切り拓いていく」と高らかに宣言している。
全「障」共は、3月20日に「全『障』共ニュース」第一号を発行し、さらに幹事会を軸とした運営体制を確立するべく、奮闘を開始している。全障連を生涯にわたって牽引しつづけ、2月16日に逝去した楠敏雄氏の闘いを継承しながら、「障害者」解放にむけてあくまで闘いぬかねばならない。
全「障」共の躍進を実現し、革命的「障害者」解放運動の飛躍・前進を切り拓こう。
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