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1・30「アルミ缶回収禁止条例」制定阻止!対市役所デモが闘われる 〈福岡〉 (1090号2面)

 1月30日、福岡築港日雇労働組合(福日労)は、福岡市が進める「アルミ缶回収禁止条例」の制定に反対し、公的就労対策事業の実施を要求する対市役所デモに取り組んだ。

 このデモを直前に控えた1月28日、福岡県警公安三課と中央警察署は、福日労委員長など2人に対して「暴力行為等処罰に関する法律」違反をデッチ上げ、不当逮捕した。しかし、こんな弾圧に屈する福日労ではない。

 午前9時、集合場所の須崎公園・野外ステージ前には、冷たい雨が降り続くあいにくの空模様にもかかわらず、50人を超える日雇い・野宿の労働者たちが結集する。まずは、福日労が用意したカレーライスで全員が腹ごしらえだ。

 食事の後は意思一致集会だ。登壇した福日労の執行部が、「委員長の不当逮捕を弾劾しよう。福日労は弾圧に決して負けない。今日のデモを元気にやりぬこう」とあいさつし、市に突きつける要求書の案を提起する。

 要求書案は、福岡市長・高島、保健福祉局総務部保護課、経済振興局産業政策部雇用労働課、環境局循環型社会推進部収集管理課の四者に宛てたものだ。その内容は、「『生活保護より仕事がほしい』と願いつつ、厳しい失業状態を強いられている労働者にとって、今やアルミ缶の回収は、ほとんど唯一の現金収入源になっている。福岡市がそれさえ断ち切るというのは、日雇い・野宿の労働者に『死ね』と言うに等しい」、「築港の労働者・Y君が亡くなった。1月5日、死体となって那珂川に浮かんだのだ。死に至る直接の原因は不明だが、失業・野宿の果ての、むごたらしく寂しい死であったことは、紛れもない事実だ。Y君は『体が動くうちは働いて暮らしたい』と願い、日々築港に通いながらも、仕事がなくて就労することができずに、ずっと野宿生活を送っていた。Y君の願いを無視し、失業を放置し、無惨な死に追いやった市の責任は極めて重い。怒りを込めて弾劾する」、「『働こうにも仕事がない』。これが、日雇い・野宿の労働者が現在直面している最大の問題である。福岡市は、その根本的な解決のために、就労対策に重きを置いた施策への大胆な転換を図るべきである」として、福岡市に「アルミ缶回収禁止条例」の制定を取り止め、日雇い・野宿の労働者のための公的就労対策事業を実施するよう求めるものだ。

 参加者の圧倒的な拍手で要求書を採択する。午前10時、いよいよデモ出発だ。「仕事よこせ」「条例反対」のかけ声も高く、天神の街にデモ隊がくり出す。参加者が脇に抱えて広げた「福岡市は日雇い・野宿の労働者に仕事を出せ」という横幕が、沿道の市民の注目を集める。「福岡市はアルミ缶回収禁止条例をやめろ」「仕事を寄こせ」「1人の野垂れ死にも許さないぞ」というシュプレヒコールが響き渡る。

 デモ隊列が1・28弾圧を行なった中央署の前にさしかかると、全体で立ち止まり、中央署に向かって一斉に怒りを叩きつける。「1・28弾圧を弾劾するぞ」「中央署を弾劾するぞ」「委員長を奪い返すぞ」という猛烈なシュプレヒコールが中央署を揺るがす。

 その後、解散地点の天神中央公園に到着したデモ隊は、直ちに全員で「ワッショイ」「ワッショイ」のかけ声とともに、向かいの市役所へと向かう。要求書の提出だ。対応に出てきた保護課の職員に対して、要求書を読み上げ、手渡す。「確かに受け取りました」とだけ回答し、逃げるように庁舎内に入ろうとする職員に対して、隊列のあちこちから、「俺たちを殺す気か」「条例化をやめろ」「仕事を出せ」「誠意がないぞ」という怒号が次々に飛び出す。参加者たちは全体でシュプレヒコールを上げて、この日の闘いを終えていった。