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1・29ヤンマー争議 中労委「第2回調査」が闘われる
(1090号2面)

「初審の『申立』について改めて解釈する」と宣言

 中央労働委員会で、びわ湖ユニオン書記長・稲森秀司氏が再雇用を求めたヤンマー争議の「不当労働行為救済申立第2回調査」が1月29日に行なわれた。

 午前10時10分、第2回調査が開始される。山川公益委員は、組合側にまず初審命令の「団体交渉拒否申立」に関して、団交事項を「雇い止め」と「再雇用」の2つに分けているように見える点を質問し、初審命令の争点の整理を求めた。そしてもう1点、前回組合側に対して「宿題」とした釈明を求めた点について、主張、立証に関わることとして、不利益取扱いの7条1号の「申立」の時間的な範囲(つまり2011年1月ごろに会社側が期間従業員の募集を行なった際に、佐々木組合員と稲森組合員に再雇用の申し込みを行なわなかった。その募集以前の「雇い止め」について初審の書面等ではかなり時間的な流れがあるため別の行為と捉えて、再雇用要求から「申立」が始まっている)に関してそういう捉え方で良いか質問がなされる。組合側弁護士は、前回「もっと真相を知りたい」とした労働委員会の「宿題」について「全体の中ではっきりしたい」「組合が別だったため、『雇い止め』当時の資料集めを懸命にしている」ことを報告した。公益委員は、組合側には改めて「不利益取扱申立」の時間的範囲の書面を、会社側には前回組合側からの補充書に対する反論書面が出ていることから、団体交渉拒否に関する書面の提出を求めた。公益委員から他に方針の質問をされた会社側の代理人は、「初審命令はあくまで初審命令。今やるべきではない」と初審命令の解釈を改めて行なうことに難色を示した。初審命令が会社側にとって都合よく棄却されているからである。しかし公益委員は、初審の「申立」について改めて解釈するとし、これで個別の「調査」に入ることを宣言した。

 まず、組合側の「調査」から開始される。公益委員は、前回以降労使関係で何か変化があったかなど稲森氏に質問した後、組合側からの「和解の条件」の確認がなされた。組合側は近隣の系列会社への雇用を希望しているが、会社側からはきわめて難しいとの話があったことが報告された。公益委員は、「もう少し審査が進まないと変わらないかと思う」と意見をだし、「主張、立証を整理して審査を進めていく中で考えていく」ことを提案した。

勝利かちとるまで全力の支援を

 組合側弁護士からは、「これは訴訟ではなく労働委員会。どう不当労働行為があり、会社側がどう対応したかを浮き彫りにしていきたい」「次回までにできれば資料をそろえたい」「ヤンマーは地域で圧倒的な影響力を持っている会社で、雇用調整助成金まで貰っているが、雇用問題で市議会でも問題になっている」と、雇用調整助成金まで貰って置きながら、解雇や「雇い止め」を平気で行なっていることを説明し、そして稲森さんが解雇された当時から組合はいろいろと問題視していたとし、稲森氏は、「最近では2012年に、永原工場の閉鎖に伴う雇用問題について市議会で機関従業員について質問がなされている。ヤンマーの担当者が『解雇は考えていない』と発言していると情報を得ている。資料を集めて提出し明らかにしたい」と、工場閉鎖という事態でも「解雇はしない」というヤンマーの経営状態の良好さを訴えた。

 会社側の調査が終了し、次回期日を3月10日に決定し、それぞれ組合側と会社側に必要書類の提出が促され、「第2回調査」が終了した。

 控え室の集約の場で稲森氏は、「現在職業訓練校に申し込みをして、2月3日が入校式。厳しい学校で1時間休んでも欠席扱いになり、給付がストップしてしまうため休めず、次回の中労委にはこられないと思いますが、またよろしくご支援お願いします」と今後の闘いに向けた支援を訴えた。

 工場閉鎖という事態でも「解雇はしない」というヤンマー。そして、雇用調整助成金まで貰っているヤンマーが、稲森さんを雇用できないはずはない。組合活動を嫌ったヤンマーが「裁量権」を持ち出し雇用拒否したことは明らかであり、まさに「不当労働行為」である。このことをしっかりと中労委に訴えていくことが重要だ。稲森氏がどうして「雇い止め」にされたのか、どれほど不当な扱いを受けたのか、その経過を突きつけ、ヤンマーの不当性を明らかにし、社会的責任を追及していかなければならない。稲森氏は、8月まで職業訓練校に通うため中労委に出られないという。稲森氏が中労委に戻ってくるまでしっかりと闘いを監視し勝利をかちとるまで全力で支援しよう。