1月28日、福岡県警本部公安3課と中央警察署は、「暴力行為等処罰に関する法律」(以下「暴処法」)違反容疑で、わが同志を含む2人を令状逮捕した。2人の容疑は、昨年11月22日に行なわれた九州電力本店前の反原発行動に際して、苦情を言った男性に対し、「団体若シクハ多衆ノ威力ヲ示シ」て脅迫を加え、暴行に及んだというものである。
しかし実際には、そのような事実は皆無だ。「男性」は「苦情を言った」のではない。反原発行動参加者の前を何度も行き来しては執拗に罵声を浴びせ、唾を吐きかけ、挙句の果てには乗っていた自転車で参加者に突き当たってくるという、極めて悪質な妨害行為を行なったのである。2人はこうした言動をやめるよう、この輩を説得したに過ぎない。
この輩は、本人のフェイスブックを見れば、ほとんど「ネット右翼」であることが分かる。最初から最後まで悪意に基づいて行動し、そして「被害者」を装って誣告したのである。公安どもは、それをこれ幸いに採り上げて弾圧に利用した。事件は、右翼分子と公安の合作によるまったくの捏造だ。
今回の公安のやり口で特に許しがたいのは、第1に、通りがかりの通行人を「共犯者」にデッチ上げていることだ。逮捕者2人のうちの1人というのがそれである。たまたま通りかかった彼は、右翼分子のあまりにひどい言動を目の当たりにし、丁寧な言葉で諭し説得に当たっただけである。公安どもは、「集団的な行為」を要件とする「暴処法」違反を捏造するための生贄として、この通りすがりの一市民を「共犯者」に仕立て上げ、強引に逮捕し、氏名までマスコミに流したのである。
第2に、逮捕と同時に行なわれた家宅捜索は計5ヵ所に及んだ。とりわけ許しかたいのは、昨年11月22日当日の現場を撮影していた市民ジャーナリスト宅まで家宅捜索に踏み込み、SDカードを押収していることである。
第3に、マスコミを大々的に使ったことだ。わが同志の逮捕に際しては、複数社のマスコミのテレビカメラを帯同して撮影させ、連行シーンをくり返し放映させた。警察発表を鵜呑みにしたマスコミは、「被害者を約10人で取り囲んだ」だの、「この大人数に勝てると思っているわけと言って脅迫した」だのという作り話を、テレビ、新聞、ラジオで流し続けた。
今回の事件は、公安3課が主導したデッチ上げであり、原発再稼働を前にした反原発運動に対する政治弾圧である。併せて、わが同志が先頭で担っている福岡・築港日雇労働組合(福日労)の「反戦・仕事よこせ」の闘いを押し潰してしまおうというものである。「暴処法」は、戦前、労働者の団結と争議―ストライキを厳しく弾圧する目的で、「団体または多衆による集団的な行為」を重く処罰することを謳って、1926年に制定され、「治安維持法」とともに、戦時下において、闘う民衆の弾圧に猛威をふるった。暴政を支えたこんな治安弾圧法を、今回、適用しているのである。断じてこれに屈するわけにはいかない。
われわれは、福岡市民救援会や反原発を闘う市民団体とともに、大衆的な反撃に起った。福日労に結集する日雇い・野宿の労働者たちも、この闘いに多数参加した。県警本部などに対する抗議行動は、1月29日、30日、2月4日、7日と、連続的に取り組まれ、排除に乗り出した制服・私服どもの妨害・敵対を跳ねのけて、最後まで貫徹された。
2月4日には、福岡市民救援会と反原発を闘う市民団体の共催で記者会見が開かれ、2人の無実を余さず暴き、デッチ上げと政治弾圧を強く弾劾する声明が発表された。2月6日には、勾留理由開示公判がもたれ、傍聴席を埋め尽くす労働者・市民の大結集のもと、逮捕―勾留の不当性を暴くわが同志の意見陳述が行なわれた。
こうした大衆的で攻勢的な取り組みは、わが同志の完黙の闘いとともに、公安3課と福岡地検を確実に追いつめた。動揺した福岡地検は2月8日、勾留延長をつけることができずに、「処分保留」で2人を釈放せざるをえなかった。長期勾留―起訴攻撃をものの見事に打ち破り、逮捕から12日目での早期奪還をかちとったのである。デッチ上げ反革命弾圧を断じて許さず、今後も公安3課を追撃していく決意だ。 |