伊方原発ゲートへ進撃するデモを闘う
12月15日、反戦青年委員会と全学連中四国ブロックは、四国電力・伊方原発(愛媛県伊方町)3号機の再稼働を実力阻止すべく、現地闘争に起ち上った。「反戦・反失業を闘う釜ヶ崎労働者の会」の労働者も伊方現地闘争を闘いぬいた。
午前10時、伊方原発直近の「道の駅きらら館」に部隊が結集する。ただちにヘルメット、ゼッケンで身を固め、「伊方原発の再稼働を阻止しよう」と大書きした横断幕を先頭に、旗ザオを手に部隊は布陣する。デモ出発前に、全学連の同志が闘争の基調を提起する。同志は、「『原子力規制委員会』による新基準が施行されて以降、全国に先駆けてトップで再稼働が狙われているのが四国電力・伊方原発3号機だ。これを断じて許してはならない。40年にわたって伊方原発に反対してきた地元反対派住民と固く連帯し、現地実力闘争の大爆発で伊方原発3号機の再稼働を阻止しよう。原発労働者はストライキを闘い、原発再稼働阻止、原発廃止の闘いに起ち上ろう。」と現地闘争の意義を鮮明に提起した。
10時30分、いよいよ伊方原発ゲートに向けてデモ出発だ。「伊方原発再稼働を阻止するぞ」「日帝の核武装を阻止するぞ」「原発労働者はストライキで闘おう」とのシュプレヒコールで、伊方原発に向け進撃する。デモコースは海が迫る切り立った地形の険しい山道だ。デモ隊は山道を一気に下っていく。わが解放派の現地闘争への連帯あいさつのため、乗用車で現場に駆けつけた近藤誠氏(伊方原発建設反対八西連絡協議会)は、クラクションを鳴らし、部隊を激励する。いよいよゲートが目前に迫り、伊方原発が姿を見せる。海上には海上保安庁の巡視艇が走っている。部隊は再稼働阻止の意気高く、ゲートに向け進撃する。ゲート前に到着し、部隊は怒りのシュプレヒコールでデモを終了した。
伊方原発ゲート前の集約集会において、伊方町に隣接する地元・八幡浜市で40年以上にわたって、伊方原発に反対し闘ってきた近藤誠氏より連帯あいさつを受ける。
近藤誠氏が連帯あいさつ
近藤氏は冒頭、海上の海上保安庁巡視艇について触れ、「9・11以来、全国の原発の敷地内に警察車両が常駐し、海上では海上保安庁が警備している。いわゆる『テロ警備』を行なうと言って、実は反原発闘争を弾圧する、住民を威圧するということをやっている」と発言した。つづいて、42年前の1971年に伊方原発建設阻止のために伊方の地に身を投じ、以来一貫して現地で伊方原発反対運動を担ってきた経緯を明らかにする。近藤氏は、わが青ヘル部隊を前に、「伊方には4年ほど暮らしていた。ビラまきなど街宣活動、あらゆる行動は全部ヘルメットをかぶって行動した。私はノンセクトで、原発反対運動をするということについて、ありとあらゆる立場の人、考え方の人が伊方原発に反対するということであれば、みんな一致してやろうじゃないかという基本的な考え方で行動していたので、全部のあらゆる色を合わせれば黒になるな、ということで黒ヘルメットにして、そこに原発反対とか、原発粉砕という文字を書き込んで、伊方現地で私たちは活動していた。40年前は、ヘルメットはごく普通のスタイルで、私はたいへん懐かしさを感じた」と発言した。
近藤氏は、「特定秘密保護法」成立を弾劾し、「今後、さまざまな政治的な弾圧体制が敷かれていく。そういう意味では前途は厳しいということはある」としながら、「私たちは、毎月11日に伊方原発への抗議行動を行なっている。愛媛県だけでなく、四国内、広島などの各地でも伊方原発の再稼働をさせないという、市民や労働者の継続的な行動が取り組まれている。継続的な行動が、体を張った行動が原発の再稼働を許さないということをかちとることができる」「私たちは今後も再稼働はさせない、廃炉に持っていくという状況をかちとっていきたい。国家の核武装に突き進もうとしている安倍政府に対して、みなさんと互いに手を取り合い闘う」と今後も伊方原発再稼働阻止と廃炉に向けて闘う決意を明らかにした。
稲森秀司氏、吉岡力氏が連帯アピール
つづいて、ヤンマー争議当該の稲森秀司氏とパナソニック争議当該の吉岡力氏の連帯アピールが紹介され、全体の拍手で確認された。稲森氏は、「福島原発の放射線情報に関する文書開示請求においては何の文書かもわからない全面黒塗り130ページという正に不都合な情報は一切開示しないという『特定秘密保護法』を先取りした状況が出現しています。何としてもこの悪法を、施行までに粉砕し安倍政権を打倒粉砕しなければならないと考えています」と「特定秘密保護法」粉砕を訴え、吉岡氏は、「福島第一原発の『事故』は私たちに『原発事故』は一度起こってしまったら、人間には制御できるものではなく、取り返しのつかないことになることを教えてくれていますが、こうした最悪の状況下で伊方原発を再稼動させるなぞという暴挙は決して許されることではありません」と伊方原発再稼働阻止への決意を明らかにした。
最後に、伊方原発へのシュプレヒコールを叩きつけ、この日の現地闘争をしめくくった。
2013年7月に、「原子力規制委員会」の「新規制基準」が施行されてから、現在「規制委」による9原発16基の「適合性審査」が行なわれている。7月に、四国電力・伊方原発(愛媛県伊方町)3号機、北海道電力・泊原発(北海道泊村)1〜3号機、関西電力・高浜原発(福井県高浜町)3、4号機、同・大飯原発(福井県おおい町)3、4号機、九州電力・川内原発(鹿児島県薩摩川内市)1、2号機、九州電力・玄海原発(佐賀県玄海町)3、4号機、9月に東京電力・柏崎刈羽原発(新潟県柏崎市・刈羽村)6、7号機、12月に、中国電力・島根原発(島根県松江市)2号機、東北電力・女川原発2号機の「適合性審査」申請が行なわれている。このうち、最も早く再稼動が狙われているのが伊方原発3号機だ。「安全対策が最も早く進んでいるから」とか「安全対策が十分だから」というのが理由ではない。伊方原発3号機でプルトニウムとウランの混合酸化物(MOX)
燃料を原発で燃やす「プルサーマル計画」を実施してきたからに他ならない。「規制委」は、日帝の原子力政策を支える伊方原発の再稼動を優先的に推進しているのである。これを断じて許してはならない。
伊方原発再稼働を絶対阻止せよ
伊方原発は、四国西端の佐田岬半島のほぼ付け根に位置し、瀬戸内海に面している。1号機は1977年、2号機は1982年、再稼働申請中の3号機は1994年に運転を開始し、「福島第一原発事故」後の2012年1月から全基とも運転停止中である。
「新規制基準」で設置を義務付けられた「緊急時対策所」は、「福島第一原発事故」以前に着工され、2011年12月に完成した。「緊急時対策所」の広さは福島第一原発の免震重要棟の3分の1にも満たない1000平方メートルで、泊まり部屋は4室にとどまる。伊方原発2号機から約50メートル、3号機からは約100メートルの距離に位置する。福島第一原発の「免震重要棟」が1号機から約250メートル、3号機からは約400メートルの距離にあることと比較しても、狭い敷地の中に押し込めるように「緊急時対策所」が作られているのである。
四国電力は「福島第一原発事故」後、総額832億円を投じて伊方原発の「安全対策」を行なっているという。その「安全対策」なるものは、海水注入も可能な配管取り付け、格納容器のてっぺんにも水が届く放水砲や非常用電源車の配備などだ。「新規制基準」で設置が義務付けられたフィルター付きベント(排気)設備は2015年までに取り付ける予定だという。そもそも、「新規制基準」に適合する「安全対策」が原発稼働の「新基準」とは言っても、大規模な地震や津波などによって大量の放射性物質が放出するのを防ぐ対策として、新たに設置を義務づける「特定安全施設」(いわゆる「フィルター付きベント(排気)」)と呼ばれる設備については「5年間の猶予期間」を設けるなど、まったくのザル規制でしかない代物である。
津波対策については、伊方原発の敷地は一番低いところで海抜10メートルだが、四国電力は想定する最大の津波を高さ4・1メートルと見積もり、新たな防潮堤は作らず、地震対策は、基準地震動をこれまでと同じ570ガルとした。伊方原発直近には日本で最大の活断層である中央構造線が走っている。中央構造線が動けばマグニチュード8クラスの巨大地震が発生するというのは、政府の「地震調査会」も認めている事実である。にもかかわらず、10月30日に四国電力は、「規制委」に対し基準地震動を「下回っている」とする回答を行なっている。まさに、最初から「再稼働ありき」のデタラメ極まりない「基準地震動評価」である。
核武装のための原子力政策を粉砕せよ
四国電力は、再稼働に必要な「地元の同意」を取り付けるとして、伊方町と隣接の八幡浜市で毎年行なっていた全戸訪問の範囲を「福島第一原発事故」後は、大洲市と西予市を加えて4市町にまたがる半径20キロ圏内に広げ、2013年は9月までに全2万8000世帯に、「安全対策」や電気料金引き上げの説明をほぼ終えたという。四国電力は「『原子力規制委員会』のゴーサインが出れば早くて2〜3週間で起動できるよう準備している」としている。断じて許すことはできない。
1月20日付「産経」によれば、「新規制基準」の「適合性審査」を申請した9原発16基のうち、先行して申請があった6原発10基(北海道電力・泊原発3号機、関西電力・大飯原発3、4号機、同高浜原発3、4号機、四国電力・伊方原発3号機、九州電力・玄海原発3、4号機、同川内原発1、2号機が「審査」に「合格」する見通しと報じられている。「規制委」がいかに「規制基準」を厳しくしようとも、「適合性審査」なるものが、はなから「再稼動ありき」の出来レースにすぎないのは火を見るより明らかだ。
安倍政府は核武装のための原子力政策を強力に推進している。2013年12月13日に、経済産業省の諮問機関である「総合資源エネルギー調査会基本政策分科会」が了承した「エネルギー基本計画」素案では、原発を「重要なベース電源」とし、「原子力規制委員会によって安全性が確認された原発は再稼働を推進」するとなっており、1月24日開会した通常国会の施政方針演説で、首相・安倍は、「原子力規制委員会が定めた世界で最も厳しい水準の安全規制を満たさない限り再稼働はない」とあくまで原発再稼動に固執しているのだ。
40年以上にわたって伊方原発に反対してきた地元反対派住民と固く連帯し、現地実力闘争の大爆発で伊方原発3号機の再稼働を阻止しよう。原発労働者はストライキを闘い、原発再稼働阻止、原発廃止の闘いに起ち上ろう。伊方原発再稼働阻止の現地闘争を闘う意義は、労働者人民の実力阻止闘争を組織化し、地元住民の闘いへの決起を組織化することにある。同時に、伊方原発労働者みずからが再稼働阻止のストライキに決起することを呼びかけ、組織化することにある。労働者人民の被曝なしに存在しえない原発は、即刻廃止するしかない。核武装のための原子力政策は、ただちに葬り去らねばならない。原発建設計画を中止に追い込んだ「電産中国」の闘いを引き継ぎ、すべての原発の廃止をかちとろう。
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