12月5日
「特定秘密保護法」案の参院採決―成立を阻止すべく、「共謀罪新設反対! 国際共同署名運動」、「破防法・組対法に反対する共同行動」によって、12月5日、6日と、連続行動が取り組まれた。
5日朝、全体は参院議員会館前に座り込み、情宣行動。午後1時から、参院・国家安全保障特別委員会が開始され、採決が狙われるなか、結集する労働者・市民は確実に増えていく。用意された数千枚のビラがどんどんはけていく。結集した諸団体の合同集会がもたれ、リレートークが続けられる。制服の警官隊による路上規制が徐々に強められる。議場側に横断しようとする人、議員会館敷地に入ろうとする人を、制服警官がいちいちチェックする。
午後2時55分、「現在、野党の質疑が行なわれており、それが15時48分までの予定。その後与党は質疑をせず審議打ち切り―採決をねらっている」との警戒情報がマイクで流され、参加者全体に緊張が走る。この後もリレートーク、集会が行なわれる。やがて午後4時になる頃、「とりあえず自民議員が質問を始めた。野党の質疑が終わった時点での審議打ち切りは避けられた」。その直後の午後四時九分、突然マイクから、「今、与党は委員会採決を強行しました」と伝えられ、全体がどよめくなか、すぐに抗議のシュプレヒコールが叩きつけられる。特別委員会を傍聴していた人、また数人の議員から報告がされる。口々に、「何が起こったかさっぱりわからない」「まったく聞こえないなかで、与党が5回も6回も立ち上がる、こんなものを『採決』と認めるわけにはいかない」と発言。4時半、「目の前にある議員面会所を開けさせ、そこで抗議行動を続けよう」との主催者の提案に全体が拍手。「議員面会所も抗議の人で一杯になった」「国会大包囲を」「安保闘争と同じようにやればいい」との声がとびかう。何度も何度もシュプレヒコールを叩きつける。傍聴した人から、「自民の質問が始まり、持ち時間を半分残したところで、石井議員(参院厚生労働委員長)から手が挙がり、『ヒゲの佐藤』(元自衛官の自民党議員)が『立てよ!
立てよ!』と号令。委員長のところに野党がつめ寄り、ワーッとなって散会。何人が立ったのか、何人が反対なのかわからないまま終わった」と怒りの発言。すでに陽は落ちているが、まだまだ駆けつける人が絶えない。1万人にも迫るかと思われる労働者・市民が国会をとりまく。「今晩中の本会議採決」が警戒される中、深夜にわたる粘り強い行動が続けられた。
12月6日
5日中の参院本会議採決は阻止された。いよいよ今日が決戦だ。朝から行動が開始される。様々な団体が、参院議員会館前から衆院議員会館にかけて陣取っている。
10時からリレートークが始まった。「特定秘密保護法」が戦争のための治安法なのだということがくり返し暴露される。「特定秘密保護法」案反対運動参加者に対して、昨日、初めての逮捕が強行されたことが報告される。諸団体、諸個人からの発言が続くなか、参加者は昨日にも増した勢いで増えてくる。発言のなかでも、シュプレヒコールのなかでも、「デモはテロ」と発言した自民党幹事長・石破への「ファシストはお前だ」という批判、内閣府特命担当相・森(弁護士出身)に対する「口は弁護士、心は詐欺師の裏切り者」という批判、また、「立てよ、立てよ!」と強行採決を煽動した自民党・佐藤に対する批判と怒りが集中する。野党議員は、「速記録を見ても、『聴取不能』としか書かれていない」と改めて報告する。「国家戦略特区法」案が参院・内閣委員会で可決したこと、2日間の臨時国会会期延長が決まったことも伝えられる。
昼になり、歩道は通路の確保が難しいほど、駆けつけた労働者・市民でいっぱいだ。「とにかく来てみた。私には何ができるのかしら」と60代の女性。「共謀罪って何ですか?」と質問してくる20代の女性。ビラまきを続ける。ビラはあっという間になくなった。
午後3時過ぎ、参院本会議が開かれ、担当相・森に対する問責決議案があっけなく否決される。衆院に内閣不信任決議案も出されると伝えられるが、それらの議会戦術が何の役にも立たないことは分かり切っている。議会内の駆け引きに意味はない。労働者人民の闘いこそが阻止する力だ。だからこそ、国会そのものを包囲し国会を追及するのだ。デモに出るのだ。
その後、国会前での行動を中断し、日比谷公園・霞門に再結集して、「『秘密保護法』廃案へ!12・6大集会」に全体で合流していった。
日比谷野音で大集会
12月6日午後6時半から、日比谷野外音楽堂で、「『秘密保護法』廃案へ! 12・6大集会」が、新聞労連、平和フォーラム、5・3 憲法集会実行委員会、秘密法に反対する学者・研究者連絡会、秘密法反対ネットの5団体が呼びかけた「『秘密保護法』廃案へ! 実行委員会」の主催で行なわれた。集会には1万5000人が結集した。この闘いに、東京・山谷日雇労働組合、明治大学社会思想研究会も参加した。
野外音楽堂は開場早々に満杯になり、入り切れない労働者人民が会場の外を埋め尽くす。無数の旗、幟旗、手製のゼッケン、プラカードが溢れ返り、会場の内外共に「特定秘密保護法」案を阻止する決意がみなぎっている。
午後6時からの「プレトーク」のあと、6時半から集会が開始される。集会では、「政府、与党は数に頼んで今晩中にも何とか強行採決しようとしているのは明らかです」、「この法案には根本的な欠陥があります。何が秘密に指定されるかが限定されず、政府の違法行為を秘密に指定してはならないことも明記されていません。公務員だけでなく、ジャーナリスト・市民も独立教唆・共謀の段階から処罰されます。政府の違法行為を暴いた内部告発者やジャーナリスト、市民活動家を守る仕組みが含まれていません」、「今晩の闘いの力で、政府の暴走を止めましょう」、「明日から、この法律の廃止を求める活動を直ちに始めようではありませんか」という秘密法反対ネットからの主催者代表あいさつに続き、国会議員や諸団体からの発言が行なわれ、最後に「集会宣言」が拍手で採択される。「集会宣言」は、「『特定秘密保護法』案の廃案と安倍政権の打倒に向かって、今日、ここから出発する」と宣言した。
デモは、国会コースと銀座コースに分かれる。国会コースでは、国会前に陣取り座り込みをする労働者人民と合流する。銀座コースでは、道行く労働者人民のほとんどが注目し、飛び入りでデモに参加する人もいた。それによってデモは、最後には合わせて2万人以上にも膨れ上がった。
この日、国会では自民・公明が、「特定秘密保護法」案が時間切れで廃案になるのを防ぐため、午後6時すぎからの衆院本会議で会期を2日間延長した。そして午後11時すぎ、参院本会議で強行採決に踏み切り、法案の可決―成立を強行した。
議会内の駆け引きに期待するものは何もない。議会内野党への激励・請願への闘いの集約を突破し、臨時国会そのものの粉砕、安倍政府の打倒、国家権力解体を目指す労働者人民の実力・武装の闘いの本格的台頭こそが問われている。「特定秘密保護法」成立強行に怒りの反撃を組織し、戦時国家体制形成に突き進む安倍政府打倒へ総進撃せよ。
|