「生活保護法」改悪を許すな
反安保労研と反戦・全学連は、「生活保護法」改悪案の参院での可決を弾劾し、衆院での可決―成立を阻止すべく、11月20日、対国会行動に決起した。国会直近の地下鉄・国会議事堂前駅に登場し、権力の弾圧をはねのけて、「生活保護法改悪を許さないぞ」「保護費の削減を弾劾するぞ」「安倍政府を打倒するぞ」というシュプレヒコールを叩きつけた。さらにJR御茶ノ水駅頭に登場し、行き交う労働者人民に対して、この攻撃の中身を暴露・弾劾し、ともに反撃の闘いに決起することを呼びかける情宣戦を闘いぬいた。
「生活保護法」改悪案は、先の通常国会で審議されたものだ。このときは、参院で審議されていたが、首相・安倍の問責決議が可決され、審議未了で廃案になった。しかし安倍極右政府は、廃案になったこの法案を再び臨時国会に提出し、成立を狙ってきたのだ。そして11月13日、参院与党である自民・公明に加えて、民主、日本維新の会、みんなの党、生活の党が賛成に回り、参院で可決が強行され、衆院での審議に回された。生活保護制度の改悪という重大問題であるにもかかわらず、参院での審議時間は、わずか8時間半でしかなかった。
この間の「労働市場の規制緩和」によって、低賃金で使い捨てにされる「非正規雇用」労働者が創り出されてきた。その結果、失業・貧困が蔓延し、生活破壊が進み、生活保護に頼らざるを得ない労働者人民が膨大に生み出されるに至ったのだ。しかし日帝ブルジョアジーは、生活保護を受けざるを得ない真の原因を隠蔽しながら、逆に「保護費の不正受給」キャンペーンや、「低所得労働者よりも生活保護受給世帯の方が贅沢な暮らしをしている」なるデマをふりまき、受給者を「社会の敵」として描き出して、生活保護費の削減と制度の改悪に踏み込んできているのだ。
日本では、現行の生活保護制度においても、受給すべき生活困窮者全体の2割程度しか、生活保護を受けていない。生活保護受給者ですら「健康で文化的な最低限度の生活」とは到底言えない実態がある中で、貧困にあえぐ労働者人民の八割以上が、さらに劣悪・過酷な状況下に放置されているのだ。「生活保護法」改悪案が臨時国会に提出されたさなかにおいても、大阪市で31歳の女性が自宅で餓死するという事件が発覚している。この女性は生前に、福祉事務所に生活保護の相談をしていた事実も明らかになっている。しかし福祉事務所は女性の訴えを退けた。他に頼るすべのなかった女性はすべての所持金を使い果たし、食べる物も底をついて、ついに餓死するに至ったのだ。
「水際作戦」の合法化許すな
生活に困って生活保護を申請しようとする人を、福祉事務所が追い返す事例が後を絶たない。こうした対応は、行政によって「水際作戦」と呼び称されているが、まったく違法なものだ。それによって生活保護申請を受理されなかった人々の多くが、その後、餓死・病死・孤立死へと追い込まれている。従来は、本人の「生活保護を受けたい」という意思が確認できれば、書面でなくても口頭でも有効とされてきた。ところが今回の改悪案では、申請時には必ず書類を添付することが義務づけられる。福祉事務所が「書類不備」を理由に申請を受けつけないことも可能になってしまう。先の通常国会では、政府原案に対して民主党などの要求によって、「申請時には書類がそろわなくても受理する」という「一部修正」が加えられ、この修正条項を盛り込んだ法案が、臨時国会に提出されたわけだが、こんな「修正」では何の歯止めにもならない。
本当に生活保護を必要としている労働者人民は、さまざまな困難な状態におかれている。路上生活で所持金がなく役所への移動の交通費や書類申請の手数料も支払えない、家賃を滞納して食事すらとれない、家庭内暴力(DV)から逃れて身を隠している、老齢で移動が困難なため福祉事務所にも出向くことができない、などなど2週間の期間内に、申請した本人が自力で必要な書類を揃えることには、大きな困難が伴う。結局、どんなに生活保護を必要としていても、申請が却下されてしまうケースが続出することになる。これまで以上に「水際作戦」が横行することになるのだ。
生活保護制度―社会保障制度の全面改悪を打ち砕こう
すでに「生活保護法」改悪に先行して、今年八月からは、生活扶助費の切り下げが強行されている。今年だけではない。今後3年間をかけて、「最大10パーセントの範囲」で切り下げを行なうというのである。これによって「約670億円を節約する」という。
社会保障制度の全面的な改悪も狙われている。11月19日には、衆院本会議で、「持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律」(「社会保障制度改革工程法」)案の採決―衆院可決が強行された。医療、介護保険、年金など、社会保障制度の全領域にわたり、政府の負担減、利用者・受給者の負担増を軸に、「改革」を「推進」するというもので、この「工程法」をもとに、次期通常国会以降に、個別法案を順次提出していくという。社会保障水準の大幅切り下げを狙う「工程法」案の成立を断じて許してはならない。政府は「消費税増税にともなう社会保障制度改革だ」と言っているが、どっちも労働者人民からの大収奪を狙うものだ。
生活保護制度の改悪を切っ先にした社会保障制度の改悪を阻止しよう。安倍政府を打倒し、翼賛化する反革命臨時国会を粉砕しよう。
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