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東北関東大震災被災労働者人民支援大運動を

10・28 80人の結集で、対労働局行動に取り組む〈福岡〉
(1080号8面)

中比恵で決起集会

 10月28日、福岡・築港日雇労働組合(福日労)は、80人の日雇い・野宿の労働者の結集で、交渉を軸とする対福岡労働局行動に取り組んだ。福日労は今年8月、団結夏祭りに際して「仕事よこせ」の市内デモを行ない、労働局に対して要求書を提出していた。要求書の内容は、日雇い・野宿の労働者のための公的就労対策事業を起こすよう求めるものである。今回の交渉は、この要求書に対して労働局が回答する場として設定されたものである。

 午前10時30分、労働局が入る合同庁舎の前にある中比恵公園に、日雇い・野宿の仲間たちが結集する。組合旗のもとに集まった労働者たちに、福日労の仲間が要求書を読み上げ、その内容を全体であらためて確認する。次はシュプレヒコールだ。「労働局は失業の責任をとれ」「日雇い・野宿の労働者に仕事を出せ」「公的就労対策事業を行なえ」という労働者たちの声が合同庁舎を揺るがす。公園の内外を行き来する人たちが熱い注目を寄せる。11時が近づくと、全体の熱い拍手で交渉団を送り出す。

 交渉は、庁舎内で約1時間にわたって行なわれた。労働局からは、総務部の企画室、労働保険徴収課、職業安定部の職業安定課、職業対策課、求職者支援室などが出席した。さっそく要求書への回答を聞く。職業対策課の担当者は、「国の雇用対策としては、失業対策事業のような、国が主体となって事業を起こす方式は採らない」「民間企業における雇用の安定や拡充を促進する」という。これまでと相も変わらぬ空疎な内容だ。国のこのような「民間任せ」「民間丸投げ」の姿勢が、日雇い・野宿の労働者に失業・貧困を拡大させていることを、夏の要求書で示したにもかかわらず、このような無策を押し通そうとしているのである。

 「失対事業方式では失業者が滞留し、非効率だ」と言う役人どもを交渉団が追及する。「では、失対事業方式に比べて現在の『民間まかせの新方式』がどれだけ効率的で、効果的なのか、データを示せ」。これには、「数値を出すのは難しい」と逃げを打つばかりだ。「失対事業方式の廃止」を打ち出しただけで何もしていないのだから、数値が出せるはずもない。挙句の果てには、「福岡市の『ホームレス自立支援センター』にハローワークから職業相談員を置く」ことで、「年間80人余りの常用就職者を生み出している」と胸を張って見せた。

庁舎内で約1時間にわたって交渉

 しかし交渉団は、それらが日雇い労働者、とりわけ高齢の日雇い・元日雇いの労働者には何の効果ももたらしていないことを突きつける。「常用就職者を生み出している」と言っても、その実態は、以前には土木建築以外で働いていた、しかも若年の労働者がほとんどなのである。県や市による「雇用創出事業」等においても、日雇い・野宿の労働者は「連絡先がない」「高齢である」「賃金の日払いはできない」などの理由で、面接に行く前から締め出されている。このような現実を突きつけ、「日雇い・野宿の労働者に特化した就労対策を講じるべきだ」と厳しく追及した。

 福岡市は現在、日雇い・野宿の労働者に仕事を保障することなく、「アルミ缶回収禁止条例」の制定に向け動いている。失業の強制のなかで、今やアルミ缶の回収が唯一とも言える現金収入源になっており、市の調査ですら、「仕事をしている」という人の9割余りを「アルミ缶回収」が占めている。これを禁止することは、日雇い・野宿の労働者に「死ね」と言うに等しい暴挙だが、そもそもアルミ缶回収に従事せざるを得ないということの根底には、日雇い・野宿の労働者がおかれた厳しい慢性的失業状態がある。「民間企業の雇用拡充」や「雇用創出事業」一般では到底解決できない失業状態がある。「こうした状態を放置するのか」「公的就労対策事業こそが必要だ」と、交渉団は突きつけた。「草刈り、道路清掃、側溝清掃など、仕事はいくらでもあるはずだ」と具体例もあげていく。

 すでに東京・山谷や大阪・釜ヶ崎では、日雇い・野宿の労働者のための公的就労対策が行なわれているのであり、「福岡でも、やる気ひとつで実現可能なはずだ」という交渉団の追及に、役人どもは「今日の話は必ず、本省にも、県や市にも伝えます」と答えるのがやっとであった。

 正午に交渉団が戻ると、さっそく報告集会だ。拍手で迎えられた交渉団から、具体的な経過と内容が報告され、国の無策が暴露される。交渉団の厳しい追及が紹介される。その後全体は、福日労が用意した昼食をとり、最後に、「失対事業方式は採らない」という国の壁をぶち破って仕事をかちとるために、これからも「仕事よこせ」の闘いを粘り強くやりぬいていくことを確認して、解散した。