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東北関東大震災被災労働者人民支援大運動を

9・13「サントリーSPS契約社員を守る会」結成集会
かちとられる
(1078号5面)

上野区民館で結成集会

 9月13日、上野区民館において、午後5時30分より、神奈川県地域連合労働組合主催による「サントリーSPS契約社員を守る会」の結成集会が開催された。

 会場には開始時間前から続々と支援する仲間が結集してくる。司会より開会あいさつのあと、まず、「サントリーSPS契約社員を守る会」準備会の根本氏のあいさつだ。自身が経験した教育関係の労働組合争議を例にあげながら「全労連が主導の裁判闘争の中で組合員がいなくなり、解決をせざるを得なくなった。この間一貫した組合敵視という学校経営側の内容のなかでプラス金額で解決したが、『非組合』の人たちが組合がなくなってどうしようか、ということを言っている。やはり労働者の闘いには組合が必要との思いから、これから労働組合の旗を立てるべく今検討している。川村さんの争議について8月25日に「守る会」を起ち上げるべく準備会を作って話し合いをしてきた。8月28日には第1回目の団体交渉が行なわれ自分も一員として参加をした。川村さんの問題について社会的に明らかにすると同時に要求を前進させていくということで今後も闘いぬきたい。多くの労働者の支援で闘いを大きく前進させて勝利に結びつけたいと思っている。『守る会』の準備会からの一員として今後も活動したい。共に頑張りましょう」。会場から拍手が沸きあがる。

 続いて、神奈川県地域連合労働組合から経過報告と結成の主旨が読み上げられる。はじめに、SPSで「契約社員」として働いていた川村氏が、神奈川県警の「詐欺罪」容疑で不当弾圧されたことを契機としてSPSから「雇い止め」が通告され、自主退職をせまる「退職勧奨」を受けたこと、その後の「自宅待機」命令に対して、職場前での抗議の就労闘争、団体交渉の申入れ行動が闘われたことが、SPSの対応と団体交渉の結果など資料を参照しながら報告された。そして、「神奈川県警による『詐欺罪』容疑での不当弾圧はまさに労働運動の解体を目的としたもの以外の何者でもない。『反社会的勢力』として権力の弾圧をうけ規定されれば住居も仕事も奪われ、生きていくことさえできなくなる。労働者が思想を捻じ曲げられ、泣き寝入りを強いられることは許されることではない。川村さんがサントリー資本と対決するこの闘いは、闘う労働者を排除しようとする国家権力、資本家と対決する闘いである」「労働法制の改悪が推し進められている。『9割非正規化』攻撃がより強化されている今日、契約を更新しながら働く『非正規雇用』という不安定な働き方そのものの仕組みを変えていく必要がある。これまで以上に労働者の闘いがより一層求められている」「『雇い止め』解雇、『自宅待機』命令の撤回を求める川村さんの闘いを押し広げていくために、『サントリーSPS契約社員を守る会』を起ち上げた。『非正規雇用』労働者で解雇撤回を求め闘っている労働者との連帯をかちとっていく。闘わない労働運動・「連合」傘下で『労使一体』を貫き取り組みを拒否した『サントリー労働組合』を突破し、団体交渉、現場闘争を主軸に職場復帰をかちとる闘いにともに起ちあがろう。闘う労働者、労働組合との連帯をかちとり、階級的労働運動の前進に向け突き進もう」と、結成の主旨を読み上げ、川村氏の闘いへ支援を訴えた。

川村氏が闘いの決意

 予定では争議当該の川村氏からの決意表明だったが、時間の都合で先にパナソニックPDP争議当該である吉岡氏の連帯あいさつを行なうことになった。吉岡氏は、「今回の弾圧は言いがかりつけてるだけで、これでは何ぼでも逮捕できる。瓦礫の問題や反原発でもレッテルをはって不当逮捕されている。大阪の下地先生はそれでも首になっていない。こんなことを理由にして『自宅待機』『雇い止め』を許していたら誰もが言いがかりをつけられて首にされる。『思想・信条の自由』に反することをサントリーはやっている。許されることでない。川村さんも僕の闘い方とか、労働委員会闘争でいいのかと思っている。今後会社とのやり取りが大切になってくる。職場復帰まで応援していきたい。職場に戻すまで協力していきたい」。司会から、先に会場を後にする吉岡氏にお礼が述べられ、会場の拍手で見送られた。

 いよいよ、争議当該・川村氏から闘う決意表明だ。まず、結集した仲間にお礼を述べ、現在「雇い止め」「自宅待機」を強制されている経過をあらためて、川村氏が説明する。そして、「最初、『これまでどおり仕事を継続をしてほしい』と言われとてもうれしかった。しかし、次に話をしたときには『雇い止め』にする、早期の自主退職を、と迫られた。4回目の話し合いも時間切れになったところで、専務取締役・宇野が『次回も話し合いを』と言っていたにも関わらず、4日後にいきなりコミュニケーション本部部長・大高から仕事中の現場で『自宅待機』を突きつけられた。団交では、『反社会的勢力・団体』の『構成員』であると規定して、だから『就業規則』違反であり、『雇い止め』だと言い切っている。一方では就業時間外ではどんな活動をしても何をしても構わない、と言っている。まったく矛盾している。今後は法的根拠をハッキリとさせていくしかないと思っている。『反社会的勢力・団体』である根拠もはっきりせず、あくまで推測で決めつけての『雇い止め』は許せない。しかも『自宅待機』という『就業規則』にもない処分で、職場に入れないようにまでしている。サントリー労組は、『本社の人事部に提言してみる』といっていたのに、その件には一言も触れず、『非正規雇用』労働者は組合員にはなれない、団交権がないからと切り捨てました。サントリー資本による闘う労働者の排除を絶対に許さない。『雇い止め』『自宅待機』という不当な処分を跳ね返して、何としても職場復帰をかちとるまで闘っていきたい。ご支援よろしくお願いします」。会場からは声援の拍手が巻き起こった。

 結集された仲間から連帯あいさつが行なわれる。ヤンマー争議当該の稲森氏から、まず、東京ヤンマー支社行動での支援にお礼が述べられた。そして、「ヤンマーとサントリーは一族経営のやりたい放題の会社であることが同じだと感じている。権力によるデッチ上げの逮捕について言えば、反原発の活動をされている方とまったく同じだと思う。労働組合を結成して労働条件を改善していくのは労働者として当たり前の権利であって、そのために活動していることが『反社会的』だといわれるのは絶対に許せないことだと思う。私自身もヤンマーで労災にあい、ヤンマーがそれを認めないために、組合に加入して労災を認めさせた。しかし、1回目の期間更新の際に、工場の同じラインで働いている『期間社員』で私一人だけ指名解雇された。やはり声を上げて闘うものが権力には憎むべき相手なんだと、つくづく思います。サントリーにとって一番痛手な場所として京都の山崎蒸留所があり、見学者も多い。そこで一般市民にアピールしていく。この傍には『正社員』の従業員寮があるので、サントリー労組の『非正規雇用』労働者を排除している実態を訴えていく。今後の労働情勢を考えると、身分は『正社員』でも働かせ方は『非正規』と何ら変わりないというところに陥ってくると思う。『正社員』にきちんと説明して労働者として共に闘っていく行動につなげていきたい。京都で闘争のときは一緒に闘っていきたい」。

結集した仲間から連帯あいさつ

 生協労働者の菊池氏は、「今年から『非正規雇用』労働者になった。このサントリーの『雇い止め』で一番問題なのは、国家権力と資本が一体となって弾圧し、今の社会に物を言う団体、人間は排除していくというのが見え隠れしていること。安倍が憲法を改悪して戦争をする体制を作ろうとしているが、『反社会的勢力』という意味では自民党のほうが憲法改悪で、戦争をしていくということが『反社会的勢力』だなと思っている。まだまだ、われわれの力が足りない。労働者がきちんと共闘していくことが必要。残念ながら労働組合の組織率が20パーセントを切っているという状況で、やられ放題やられている。1人の『非正規』労働者の解雇を救えない力の足りなさも含めて、川村さんの『雇い止め』を職場復帰まで共に闘っていきたい」。

 最後に急遽駆けつけてくれたキヤノン電子労組解雇事件争議当該・眞壁氏から、労働組合から不当な「解雇」をされた経過が説明され、「労働組合から解雇された事件で、裁判で今二つの争議を抱えて闘っています。不当な判決に怒りを禁じえないというのが今の気持ちです。闘いは本当に厳しい。心身共にどうにもならないところで闘っている。川村さんも今後闘いを始めていかなければならない立場になってしまったことは、本当に残念な状況ですが、しかし声を上げていかなければいけない。そして、悔しい、おかしいと声を上げていく労働者には組織を超えて支援していかなければならないと思う。私の裁判も不当な解雇という事で様々な立場の方が傍聴支援にきていただいている。川村さんにもいつも来ていただいている。辛い原告の身であることで、本当に辛いことが分かるので、今後連帯して闘っていきたい。辛い闘いが始まりますが共に頑張っていきましょう」。会場から拍手が沸きあがる。

 司会から今後の川村氏の闘いにあらためて支援が訴えられる。そして、当該・川村氏から次回の団体交渉の方針が提起され、集会前の全労交の拡大会議で出された意見も今後検討していくことが報告された。最後に、当該・川村氏の力強い団結ガンバローで集会が締めくくられた。

 現在、安倍政府は「解雇特区」なるものを今秋臨時国会に提出しようとしている。どんなに不当な内容でも、労基法違反でも、その「特区内で開業して5年以内」なら契約書に企業の思いのままの「解雇ルール」を規定し労働者を「解雇」できるという代物だ。「ブラック企業」が軒を連ねることになるだろう。さすがに反発が強かったためか、突然「弁護士など特定の仕事に限定」などと言い出してはいるものの、労働者を地域や職種によって選別し「解雇」するということに変わりはない。一般労働者にいつ適応されるとも限らない危うい内容である。「解雇ルール」「有期雇用」の「規制緩和」でもって、ますます資本家どもの都合のいいように労働者を使い捨てにできる「法」案提出なぞ絶対に許してはならない。労働者の生活と働く権利をかちとるためにも政府・資本に対して団結した力で怒りを、要求を叩きつけていこう。「非正規雇用9割化」攻撃を許さない労働者の闘いを構築していこう。