王城寺原演習場へ戦闘的デモ
9月6日、「『有事法制』に反対する宮城県実行委員会」と反戦・全学連の闘う仲間は、在沖米海兵隊の実弾砲撃―「本土」移転演習を阻止すべく王城寺原現地闘争に起ち上がった。
12時30分、演習場がある地元の河川敷に結集した部隊は、隊列を整えてシュプレヒコールをあげ、集会を開始する。まずはじめに、「『有事法制』に反対する宮城県実行委員会」の呼びかけ人である日本キリスト教改革派亘理教会牧師・林茂雄氏からの連帯アピールが読み上げられる。「安倍政権になってから、労働者人民が急速に戦争への道を歩かされようとしています。私たちの団結と闘いで、安倍政権の戦争政策を絶対に阻止しましょう。在日米軍の王城寺原移転演習を阻止しましょう」。つづいて、「『有事法制』に反対する宮城県実行委員会」から闘争基調が提起される。「9月2日からここ陸上自衛隊王城寺原演習場で在沖米海兵隊が155ミリ榴弾砲の実弾砲撃―「本土」移転演習を強行している。2月に演習が強行されてから6ヵ月しか経っていないにもかかわらず、また演習を強行している。こんなことはこれまでになかった。安倍極右政府が、沖縄での普天間基地の強化・固定化と名護新基地建設をゴリ押しし、朝鮮反革命戦争突撃に向けた在日米軍と自衛隊の再編と基地機能の強化を推し進めていることの証だ。今回の訓練では、在沖米海兵隊による実弾砲撃演習のみならず、自衛隊も含めた対ゲリラ戦の訓練も行なっている。われわれはこれを絶対に許すことはできない。全国で在沖米海兵隊による実弾砲撃―『本土』移転演習を阻止し、普天間基地を解体し、オスプレイの飛行訓練を阻止し、名護新基地建設を阻止しよう。安倍極右政府による朝鮮反革命戦争突撃を粉砕すべく、本日の闘争を闘い、われわれの断固とした態度を示していこうではありませんか」。基調提起を全体で確認する。
午後1時、戦闘的デモに打って出る。横断幕を先頭に、ヘルメット、ゼッケンを身につけ、旗竿を手にした部隊は、時折聞こえてくる実弾砲撃演習の轟音に対して怒りをわき立たたせ、王城寺原演習場に向けて進撃する。ゲートを前にして、怒りのシュプレヒコールを幾度も叩きつける。公安どもは弱々しく「やめろ」「警告するぞ」と繰り返し弾圧を狙ってくるが、それをはねのけて最後まで戦闘的なデモを闘いぬいた。
解散地点で、「本日の闘いを新たな突破口とした反戦闘争の爆発で、王城寺原演習場を解体し、朝鮮反革命戦争突撃を粉砕しよう。安倍極右政府打倒へと突き進もう」という集約提起を受け、闘争を締めくくった。
王城寺原演習場解体
「沖縄の負担軽減」なるまやかしのもとに、1997年から開始された在沖米海兵隊の王城寺原演習場での実弾砲撃―「本土」移転演習は、今回で11回目であり、今年は2月に続いて再度演習が強行された。沖縄に居座る第3海兵師団第12連隊約250人が、車両約60両と155ミリ榴弾砲6門を移送し、450発を目標として夜間も含めた実弾砲撃演習を強行、さらに「対テロ・ゲリラ戦」を想定しての小銃・機関銃などの小火器を使用した訓練も強行している。
6月11日の矢臼別実弾砲撃移転演習においては、155ミリ榴弾砲が演習場を飛び越し、約500メートル離れた別海町の牧草地に、直径約3メートルという大穴をあけて着弾した。9月3日の王城寺原での移転演習における自治体関係者に対する訓練公開に際して、海兵隊中佐・ブラウンは「あれは人為的ミスだった」とし、訓練公開では霧で着弾地が視認できないので「安全のため、実射しない」としていた。にもかかわらず、海兵隊は4日の夜から夜間訓練を強行している。着弾地が視認できるかどうかなぞ関係ないのだ。また、王城寺原や矢臼別で繰り返し火災を発生させ、人体や自然環境に大きな影響を与える白リン弾も使用されている。安全を考えているなぞ、全くの嘘っぱちだ。周辺住民、労働者人民の生活を破壊し、生命をおびやかすことを前提に演習を強行しているのだ。
移転演習が「沖縄の負担軽減」と言うのは全くのまやかしであり、民間の輸送手段や空港を使用した移動過程そのものが演習であり、さらにかつての沖縄における演習の規模をはるかに超える実弾砲撃演習を敢行してる。朝鮮反革命戦争突入に向けた米軍と自衛隊の再編強化、基地機能の強化に他ならない。日・米帝は、10月上旬から中旬にかけて陸上自衛隊と米海兵隊が毎年強行している滋賀県の陸自饗庭野演習場での共同訓練に普天間基地のオスプレイを派遣し、10月下旬に高知県沖と香南市の陸自高知駐屯地を使用して実施される南海トラフ地震を想定した統合防災訓練にもオスプレイを派遣しようとしている。日・米帝は、オスプレイの低空飛行訓練につづいて、日本「本土」の自衛隊基地でのオスプレイの訓練を強行しようとしているのだ。中東反革命戦争の拡大、朝鮮反革命戦争突撃に向けた実戦的演習の拡大・強化を断じて許してはならない。
「戦争のための基地は、沖縄にもどこにもいらない」として闘う沖縄労働者人民と連帯し、在沖米海兵隊の実弾砲撃―「本土」移転演習粉砕、日米安保粉砕、帝国主義軍隊=米軍・自衛隊解体、王城寺原演習場解体まで闘おう。朝鮮反革命戦争に突き進む安倍極右政府を打倒しよう。
8・24出撃阻止闘争に決起〈沖縄〉
8月24日、天皇上陸阻止沖縄青年実行委員会は、王城寺原での155ミリ榴弾砲の実弾砲撃演習を阻止するために海兵隊出撃阻止の闘いに決起した。呼びかけに応えた沖縄・首里日雇労働組合の仲間もともに起ち上がった。
正午、部隊はパレットくもじ前(那覇)に登場し、ただちにビラ撒きとアジテーションを開始する。「王城寺原での実弾砲撃演習を阻止しよう」「6月の矢臼別での演習では榴弾が演習場を飛び出した。しかし2日後には訓練を再開した。沖縄でも移転先でも米軍の都合でやりたい放題の訓練が行なわれている。断じて許してはならない」「戦争のためのあらゆる軍事演習を阻止しよう」「オスプレイ撤去・普天間基地解体を闘おう」「反戦・反基地闘争の根っこにあるのは沖縄戦の体験だ。戦争を憎む気持ちを引き継いで安倍政府の戦争政策を撃ち破ろう」「戦争で世の中がよくなるわけがない。それはすべての歴史が示している。右翼の煽動にダマされず、反戦・反基地闘争に決起しよう」「ヘイトスピーチをくり返し、在日朝鮮人・外国人への迫害を続ける『在特会』など右翼ファシストを撃滅しよう」「ゲート前攻防は60歳以上の先輩たちが中心だ。現場の闘いに学び、学生・青年労働者こそが先頭に起って闘おう」「『集団的自衛権の行使』容認で改憲攻撃を強める安倍政府を打倒しよう」。同志の訴えに多くの市民が注目した。
沖縄では基地強化・訓練強化が一挙に進んでいる。米海兵隊は、昨年10月の普天間基地へのオスプレイ12機の強行配備に続き、第二陣となるオスプレイの追加配備を開始した。8月3日の2機を皮切りに、月末までに11機の追加配備が強行されている。8月5日には、キャンプ・ハンセンの山中においてHH60ヘリ「ペイブ・ホーク」が墜落・炎上、米軍は日本政府の要請を受け入れるかたちでオスプレイの追加配備「延期」を発表した。墜落地点は数日間にわたってくすぶり続けた。ヘリ墜落にともない嘉手納基地の飛行訓練の「自粛」も行なわれたが、2日後には訓練を再開し、1週間後の8月12日にはオスプレイ九機の追加配備が強行された。日本政府はHH60墜落について「原因究明と事故防止策がまとまるまで飛行停止」と要請していたが、何ひとつ明らかにされないまま8月16日に飛行訓練が再開された。防衛相・小野寺は「HH60はトモダチ作戦でも活躍した」と言い放ち、飛行再開を追認したのである。8月20日には、追加配備されたオスプレイが旧盆中の沖縄の空で訓練を開始した。8月22日には、ヘリ墜落に抗議する「宜野座村民大会」会場の上空をHH60ヘリがまるで挑発するかのようにかすめていった。8月27日には、米ネバダ州においてオスプレイが基地から約5キロ離れた公有地に不時着、大破した。この機体は普天間基地に配備されているものと同型である。「沖縄で起これば大惨事だった」と弾劾の声が沸き起こっている。オスプレイ以外の軍用機も、昼夜問わず住民の頭上で激しい訓練を行なっている。基地周辺では機体のロゴが確認できるほどの低空飛行訓練が連日強行されているのである。これが沖縄の実態である。
安倍政府はこの実態を承知の上で、沖縄労働者人民の怒りを封じ込め、闘いを叩き潰そうとしているのだ。内閣府は、昨年と比して約400億円も増額した「沖縄振興予算」を計上するとしている。名護新基地建設に関して「埋立承認申請」に対する知事の可否判断が迫っているが、安倍政府は札束攻勢で抱き込もうと躍起となっているのである。これに対し闘う沖縄労働者人民は、オスプレイ追加配備阻止のゲート前実力攻防を大胆に闘いぬいた。そして、ゲート前闘争を頑強に維持しつつ、名護新基地建設実力阻止の闘う態勢を構築するため奔走中だ。激化する高江ヘリパッド建設に対し、現地阻止闘争を粘り強く闘いぬいている。何より、朝鮮反革命戦争とファシズムへ突き進む安倍政府に対する怒りを燃え上がらせ、反戦・反基地・反安保闘争の飛躍をかけて闘いぬいているのだ。
現場の息吹を伝え、戦争と基地への怒りを喚起する情宣闘争に多くの賛同の声が集まった。「がんばって」と肩を叩いていく市民や、「読ませてもらいました」とビラを手に丁寧にお辞儀していく人も少なくなかった。われわれは、オスプレイ撤去・普天間基地解体・名護新基地建設阻止の闘いへの共感の拡大を確かに感じ取りながら、約1時間の闘いを終えていった。
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