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東北関東大震災被災労働者人民支援大運動を

全国寄せ場で夏祭りを闘いぬく
8・13〜15山谷・夏祭りの大成功をかちとる〈東京・山谷〉

(1074号5面)

玉姫公園で山谷・夏祭り

 8月13日から15日、東京・山谷の玉姫公園で山谷・夏祭りの大成功がかちとられた。

 山谷を直撃した建設不況が長期化している。その一方で、建設業界を牛耳る一部大手ゼネコンらは自民党の「政権復帰」によって公共事業予算が大幅に増額され、「公共バブル」に踊っている。特に、東北・関東大震災で打撃を受けた被災地や「東京電力・福島第一原発事故」が拡大の一途をたどる福島では、ゼネコン系列下の「人夫出し業者」が進出し、賃金ピンハネなどによって荒稼ぎを行なっている。しかし、長期の失業で体力もトコトン消耗している大多数の日雇い労働者の仲間は出張仕事にすら応募できずに、アブレ地獄に叩き落されたままだ。

 現場・飯場が休みとなるお盆の期間、野宿を強いられる仲間が急増する。実際、城北労働・福祉センターが取り扱っている長期契約の求人募集は、8月11日からはお盆休みのため受付を8月19日まで中断している。

 東京・山谷日雇労働組合と山谷の仲間は、山谷・玉姫公園を拠点に、アブレと野たれ死に攻撃をはねかえし、仲間の団結の力で夏祭りを今年もやりぬいた。

 山谷夏祭りを準備する過程でも「仕事よこせ」の闘いは休むことなく、7月25日、東京都の福祉保健局生活福祉部山谷対策係、産業労働局雇用就業部就業推進課との団体交渉を持ち「高齢者特別就労事業」の2年連続削減に対して追及―弾劾行動が闘われた。

夏祭り運営資金づくりのための活動

 7月に入ると、夏祭り運営資金づくりのための活動が開始される。今年は、梅雨明けも例年より早く、連日に渡って猛暑が仲間たちを襲っている。その暑さをはね返し街頭カンパにうって出て、労働者人民に山谷・夏祭りへの支援を粘り強く訴えた。7月15日、8月4日には夏祭り実行委員会を開催し、2013年山谷・夏祭りの闘いの基調が確認され、本部・炊き出し班・設営班・企画ゲーム班・防衛班などの体制と任務分担が決められ、夏祭りのプログラムが決定された。

 山谷・夏祭りへの支援の呼びかけに対して、全国の労働者人民からは資金・物資カンパが東京・山日労の事務所に続々と集まってきた。また、炊き出しの食材となる米・野菜、衣料品・日用品なども多数届けられた。さらに、夏祭り運営に力を発揮する資材・運搬手段の提供も受けていく。

 そして、行政や浅草警察、金町一家などによる山谷夏祭り破壊の攻撃を山谷労働者の団結の力ではね返し、夏祭りの資材の一部については前倒しで運び入れを行ない、3日間の夏祭り本番へと突入していった。

 初日の13日の午前5時半、城北労働・福祉センター前に集まった東京・山日労と山谷労働者、支援の仲間たちは、東京・山日労の組合旗を先頭に、山谷通り、玉姫公園、玉姫職安にくり出し、「今日から始まる夏祭りに準備作業から参加しよう、『反戦・仕事よこせ』の前進をかちとろう」と呼びかけ、朝行動をやりきった。そして、午前7時15分、再びセンター前に集結した夏祭り実行委員会の仲間は、隊列を整えながら夏祭り会場の玉姫公園グランドへと移動する。

夏祭り開会宣言と基調提起

 グランド入口の門扉を開け、仲間たちが会場入りをすませると、簡単に朝の食事をとり、直ちに準備の作業を開始した。トビの仲間を中心とする設営班は、ステージやヤグラの建てこみ、屋台の補強などに取りかかる。炊事班は、炊き出しや屋台で使う道具を点検したり、鍋・釜などを丹念に洗って準備をすすめる。また、物資運搬担当の仲間は、氷や食材、道具などの買い出し、引き取りに奔走した。朝からの作業でさまざまな準備をこなして、建てこみや炊き出し・屋台の準備も整い、午後4時にはグランド一面にゴザが敷かれる。予定時刻より15分ほど遅れたが、午後5時15分になるとグランド入口の門扉がオープンし、外で待機していた大勢の仲間が会場内に入ってくる。配膳係の仲間から炊き出しのドンブリを受け取り、ゴザに腰を降ろして食事を取り始める。また、無料かき氷のコーナーには長い行列ができ、屋台販売の前にも人垣ができ始めた。仲間たちが、炊き出しと無料かき氷をたいらげ、落ち着く午後5時40分にはステージで「3日間の夏祭りを通して仲間の団結をうち固め、この夏から秋へとおれたちの『反戦・仕事よこせ』の闘いを前進させていこう」と2013年夏祭りの開会宣言が発せられ、続いて基調が読み上げられた。

全国寄せ場からの連帯アピール

 沖縄・首里、福岡・築港、大阪・釜ヶ崎で闘う仲間からの連帯アピールが紹介される。

 沖縄・首里日雇労働組合は、「沖縄では、普天間基地へのオスプレイ追加配備に対する怒りが燃え広がっている。連日、闘う沖縄労働者人民が基地ゲート前に結集している」「われわれ沖日労は、激闘をともに担いつつ、15日に『暑気払い団結・交流会』を開催します」「沖縄とヤマトの連帯を強化し、安倍政府を打倒しよう」。

 福岡・築港日雇労働組合は、「俺たち福日労は、沖縄労働者人民の闘いに連帯しオスプレイの普天間追加配備を阻止すべく、7月30日、オスプレイ岩国搬入阻止闘争を闘い、8月9日には猛暑の中、長崎反戦闘争をやりぬいて、団結夏祭りを迎えています。夏祭りの大成功をかちとり、秋の闘いに突撃していく決意です」「福岡では今、アルミ缶の回収を『条例』で取り締まろうという攻撃が強まっています」「『反戦・仕事よこせ』の闘いの前進をかちとりましょう」。

 「反戦・反失業を闘う釜ヶ崎労働者の会」は、「ふるさとに帰りたくても帰れないかもしれない。しかし、夏祭りの会場を見まわしてほしい。こんなにも多くの仲間たちが、俺たちにはいるのだ。闘う仲間とともに、この寄せ場で生きていこう」「俺たちも釜ヶ崎で、仲間たちの闘いとガッチリと連帯して闘いぬく。また、闘いの現場で会おう」。

支援の仲間の連帯あいさつ

 続いて、夏祭り実行委員会に結集する支援の仲間からの連帯あいさつを受ける。

 東京都地域連合労働組合は、「朝から暑さをはね返し、夏祭りの準備をみんなの力でやり切った」「今、安倍政府は、生活保護費削減、社会保障制度改悪を進めながら改憲と戦争に進もうとしている」「山谷の日雇い労働者や『非正規雇用』の仲間の怒り、悔しさを共にし闘う労働運動を再生していこう」。
 神奈川県地域連合労働組合は、「福島の『原発事故』の状況がますます悪化しているにもかかわらず安倍政府は原発推進に突き進んでいる」「被曝を強制されるような働き方を根絶していくためにも原発を廃止に追い込んでいこう」「闘う労働運動をつぶすために警察権力・資本の攻撃が強められている。私にも今、『雇い止め』の攻撃がかかっている。不当な解雇を許さないために共に闘いぬいていこう」。

 明治大学社会思想研究会は、「ファシストが大手を振ってのさばってきている。金町一家解体戦を闘ってきた山谷労働者と連帯し、右翼ファシストを許さない闘いに力を入れていきたい」「山谷支援に一人でも多くの学生を組織化していきたい」。

 そして、会場には足を運ぶことができなかったが、元国鉄労働者・佐久間忠夫氏から「私も82歳となったが、闘いの現場にはできるだけ駆けつけたいとの思いで日々生きている。暑さをはねかえし、英気を養い、夏祭りを大いに楽しんでください」とのメッセージが寄せられた。また14日には、地域生協労働者の仲間が連帯あいさつを行ない、「夏祭りの食材を今回も提供してきた」「安倍政府はTPPを進めることで、私たちの健康・食生活も資本の犠牲にしようとしている。絶対に許さない」「雇用破壊の攻撃をはね返していくために、山谷の日雇い労働者との連帯をこれまで以上に強化していきたい」とアピールした。

ゲーム、カラオケ、演芸を楽しみ、団結をうちかためる

 開会の集会を終え、恒例のゲームが始まる。13日は、ビール早飲み、綱引き競争、14日には、スイカ割りと綱引き競争、15日には、綱引き競争がそれぞれ行なわれた。ゲームの後は、カラオケ大会で仲間が自慢のノドを披露する。その後の演芸では、13日は、「山谷(やま) やられたらやりかえせ」が上映され、「山谷の玉三郎」の日舞が披露された。15日には、「ブラック&サウス」、「東京大衆歌謡楽団」の歌と演奏を楽しんだ。

 演芸の後は、締めくくりとなる盆踊りだ。ヤグラにすえられた太鼓のリズムにあわせ、「山谷の玉三郎」のリードで、労働者が続々と踊りの輪に加わった。

 今年も14日、15日の2回、午後3時半から、山積みされた衣類・日用品の配布が行なわれた。

 今年の夏祭りでは3日間で約1000食分の炊き出しを行ない、会場には延べ1500人の仲間が訪れた。

 3日間に渡る山谷夏祭りは、東京・山日労と実行委員会が一丸となって大成功がかちとられた。安倍政府によるアベノミクスの為替操作と金融緩和政策で大企業が利益を拡大する一方、食料品・燃料・公共料金などのインフレが労働者人民の生活を破壊しようとしている。労働市場の規制緩和によって首切り・リストラ、賃下げの攻撃が資本によって進められようとしている。山谷夏祭りの成功から「反戦・仕事よこせ」の前進をかちとり、安倍極右政府を労働者人民の闘いで打ち倒そう。


8・13釜ヶ崎で「夏祭り上映集会」を開催 〈大阪・釜ヶ崎〉

 「反戦・反失業を闘う釜ヶ崎労働者の会」は8月13日、全国の寄せ場で闘われた夏祭りの一環として、西成市民館で「夏祭り上映集会」を開催した。

 午後0時30分、司会の仲間が開会宣言を行なう。はじめに、連帯メッセージの紹介だ。

 東京・山谷日雇労働組合、福岡・築港日雇労働組合、沖縄・首里日雇労働組合に続いて稲森秀司氏(ヤンマー争議当該、びわ湖ユニオン書記長)の連帯メッセージが紹介される。

 稲森秀司氏は、「平素は、ヤンマー闘争への御支援御尽力ありがとうございます。皆様方の労働者の生きる権利への闘いに敬意を表し、共感いたします」「ヤンマーをはじめとする大企業の横暴に屈するわけにはまいりません。私は、ヤンマーが謝罪をする意思を示さないのであれば、『ヤンマーには潰れてもらう!!』それだけの責任は果たさせるつもりで今後も命懸けで、ヤンマーと闘います」「今後も、共闘相互支援で『非正規』と言う奴隷労働を抹殺する為に共に闘いましょう!」

 連帯メッセージの紹介に続き、「夏祭り上映集会」の基調提起が行なわれる。「ゼネコンは、『復興特需』で膨大な利益をあげている。『福島原発事故』処理や除染作業では、危険な被曝労働が、日雇い・野宿労働者に押しつけられている。国から危険手当1万円が出されているが、支払われる賃金はわずか1万1000円くらいだ。1万円以上が、ゼネコンや下請け業者やヤクザにピンハネされているのだ」「全国の寄せ場では、すさまじいアブレ(失業)地獄が続いている。俺たちは、毎年3月の寄せ場春闘で国・厚生労働省や大阪府・大阪市に対して『仕事を出せ!』と厳しく追及してきた。政府は、『失業対策事業はやらない、雇用(仕事)確保はあくまで民間(企業)がやるべき』という態度だ。大阪府・大阪市は、自分たちの失政の結果である大赤字を『財政難』と称して、俺たちに仕事を出そうとしない。今、『高齢者特掃』の仕事は、月約5回である。54歳以下の労働者の仕事も減るばかりだ。こんなに少ない仕事量でどうやって生きていけというのか。団結し闘いを強め、何としても政府、大阪府・大阪市に『公的就労事業』をやらせ失業と野宿の責任をとらせよう!」「パナソニック争議やヤンマー争議を闘う『非正規雇用』労働者と連帯し、『労働者派遣法』撤廃―直接雇用・無期限雇用をかちとるべく闘いぬいてきた」「昨年6月、日本労働運動の新たな結集軸の建設をめざして、全国労働組合運動交流会(全労交)の結成をかちとった。全労交のさらなる前進・発展を切り拓いていこう」「橋下―『大阪維新の会』は、労働者の生活と闘いを破壊するための攻撃を激化させ、釜ヶ崎の労働者に対しても、共同の力で生きぬくことや団結して闘うための条件を破壊する攻撃を仕掛けてきている。こうした攻撃を許さず団結して打ち破っていこう!」「猛暑の中、8・6広島反戦闘争を、核武装を叫ぶ天皇主義右翼ファシスト・『在特会』の敵対を粉砕し闘いぬいた。日雇い労働者―下請け労働者の犠牲なしには一秒たりとも動かない原発の即時廃止をかちとろう! 日帝の核武装を阻止しよう! オスプレイ配備を断じて許さず、普天間基地解体・名護新基地建設阻止をかちとろう! 朝鮮反革命戦争と消費税大増税に突撃する安倍政府を打ち倒そう! 夏祭りの成功を力にして、これからも団結して『反戦・反失業』を闘っていこう!」。基調は大きな拍手で確認される。

 集会の最後に、4本の作品が上映される。冷房の効いた会場で涼み、冷たいお茶を飲みながら、大きなスクリーンに映し出される映像に参加者は注目した。最後は、「団結ガンバロー」で締めくくられた。釜ヶ崎の「夏祭り上映集会」は、暑さに苦しめられ、すさまじいアブレ地獄に追い込まれている釜ヶ崎の日雇い・野宿労働者が、「反戦・反失業」の闘いにむけ団結を打ち固める場として大成功した。