未明の高浜現地に決起
6月27日の未明より、関西電力高浜原発直近の福井県高浜町音海地区防波堤横広場に闘う労働者が続々と結集する。フランス・アレバ社の再処理工場で製造された高浜原発3号機用のプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を積んだ輸送船「パシフィック・イーグレット」がこの日6月27日にMOX燃料搬入を強行しようとしているのだ。これを断固として迎え撃つべく、福井県をはじめ関西一円・全国の闘う労働者150人がMOX燃料搬入阻止現地闘争に起ちあがった。「反戦・反失業を闘う釜ヶ崎労働者の会」の仲間も高浜現地闘争を闘いぬいた。
フランス・アレバ社で製造された高浜原発3号機用MOX燃料を積んだ英国船籍の輸送船「パシフィック・イーグレット」は、今年4月18日(日本時間)、フランス・シェルブール港を出発した。4月18日当日、フランス・シェルブール港においてフランス労働者人民はMOX燃料輸送阻止の闘いに起ちあがっている。日本までの輸送ルートは「警備上の都合」を理由に「極秘」とされ、6月27日当日も高浜原発の周囲は厳戒態勢であった。高浜町内を福井県警の車両が走り回り、原発に通じる道路においては不当な検問体制が敷かれた。海上においても海上保安庁や福井県警の警備艇が動き回り、上空では福井県警のヘリコプターが飛び回っていた。
午前6時30分すぎ、「パシフィック・イーグレット」が姿を見せる。ただちにシュプレヒコールが開始される。「MOX燃料搬入を阻止するぞ」「プルサーマル発電を許さないぞ」「高浜原発再稼働を許さないぞ」と怒りのシュプレヒコールを叩きつける。
午前7時すぎ、「パシフィック・イーグレット」は接岸を強行した。ミニ集会が行なわれる。「原子力発電に反対する福井県民会議」、「原子力資料情報室」、10年前に高浜原発近くの小学校に勤務していた小浜市在住の元教員の女性などから、それぞれMOX燃料搬入強行を弾劾する発言がなされた。
高浜原発再稼働を許すな
音海地区防波堤横広場でのミニ集会を終え、参加者は関西電力高浜原発ゲートまで移動する。「原子力発電に反対する福井県民会議」「美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会」「MOX燃料輸送とプルサーマル発電に反対する福井の会」がそれぞれ関西電力への抗議文を読み上げ、手交した。最後に高浜原発へのシュプレヒコールでこの日の行動を終えていった。
6月27日、関西電力高浜原発3号機用のMOX燃料搬入が強行された。これを徹底弾劾しなければならない。
高浜原発3、4号機は、2010年6月にMOX燃料集合体12体が輸送され、3号機に8体が装荷され、2010年12月から関西電力としては初めて、日本では4番目となるプルサーマル発電が行なわれてきた。高浜原発三号機は2012年2月から定期検査で運転を停止している。フランス・アレバ社で3号機用MOX燃料20体が製造されており、2011年春に日本に輸送する予定だったが、東日本大震災の影響で「十分な警備体制が取れない」などという理由でMOX燃料の日本への輸送は延期されてきた。フランス政府がMOX燃料の長期保管解消を要求してきたことを理由に、関西電力は日本へのMOX燃料輸送を強行したのだ。
7月8日の「原子力規制委員会」作成の原発の「新規制基準」施行とあわせて、関西電力・高浜原発(福井県高浜町)3、4号機、同・大飯原発3、4号機、北海道電力・泊原発(北海道泊村)1〜3号機、四国電力・伊方原発(愛媛県伊方町)3号機、九州電力・川内原発(鹿児島県薩摩川内市)1、2号機の再稼働申請が、7月12日に九州電力・玄海原発(佐賀県玄海町)3号機の再稼働申請がされようとしている。原発稼働の「新基準」とは言っても、大規模な地震や津波などによって大量の放射性物質が放出されるのを防ぐ対策として、新たに設置を義務づける「特定安全施設」(いわゆる「フィルター付きベント(排気)」)と呼ばれる設備については「5年間の猶予期間」を設けるなど、まったくのザル規制でしかない。
日帝の核武装を阻止せよ
再稼働申請がされる原発のうち、プルサーマル発電に対応しているのは、高浜3、4号機と伊方3号機、玄海3号機である。MOX燃料を使用するプルサーマル発電は、軽水炉でウラン燃料を燃やす通常の原子力発電と比べても「制御棒の効きが悪くなる」あるいは「燃料の融点が下がる」といわれており、はるかに危険性が高いのだ。「原子力規制委員会」の「新基準」ではMOX燃料の使用はまったく考慮されておらず、フルMOX炉として建設されているJパワー・大間原発(青森県大間町)ともども、プルサーマル運転が強行されようとしているのだ。許してはならない。
6月25日付「毎日新聞」によれば、野田前政府時代の2012年9月、野田(当時)の代理として訪米した大串博志内閣府政務官(当時)が米エネルギー省のポネマン副長官に、「プルサーマル発電」の再開をひそかに約束していたという事実が明らかにされている。安倍政府もプルサーマル再開の方針を維持している。今年3月1日に経産省は、「六ヶ所再処理工場で再処理を行ない軽水炉におけるMOX燃料利用(プルサーマル)を進める」とした文書を経産相・茂木に提出し、3月22日の衆院経済産業委員会で、茂木は「プルサーマルを着実に進めていきたい」と答弁している。
日帝はすでに約45トンものプルトニウムを保有しており、5600発の長崎型原爆が作れる量になっている。「高速増殖炉でプルトニウムを燃やす展望がないというのに、こんなに大量のプルトニウムを貯め込んでどうするつもりなのか」「核兵器以外に使い道がないではないか」という内外からの懸念と批判をかわすために、プルサーマル発電が強行されてきた。日帝の「核燃料サイクル」計画の破綻を取り繕う「切り札」とされる大間原発建設を阻止する闘いとともに、高浜原発3、4号機の再稼働を阻止していかなければならない。大飯原発再稼働阻止の連続闘争を引き継ぐ現地実力闘争の爆発で、全国の原発の停止―廃止をかちとっていかなければならない。
6・21福井大学による「除染ボランティア」募集を弾劾する情宣闘争に決起
福井大学による「除染ボランティア」募集を許すな
6月21日、社会思想研究会の学生は、「福井大学災害支援ボランティアセンター」による「除染ボランティア」募集を弾劾する情宣闘争に起ちあがった。
「福井大学災害支援ボランティアセンター」は、ホームページに以下の内容の「除染ボランティア」募集記事を掲載していた。
期 間:7月5日(金)夜出発→7日(日)夜 帰福
目的地:福島県二本松市
内 容:・二本松の子供たちとの交流(遊び相手・食べ物の出店)
・お母さん方のケア
・落ち葉拾い(除染活動)
・遊具づくり
参加費:大人1万5000円 大学生以下5000円
申込み:NPO法人ふくい災害ボランティアネット・東角さん misao@refine-m.net
「NPO法人ふくい災害ボランティアネット」なる団体が企画する「福島へのボランティアツアー」の募集で、内容は「落ち葉拾い(除染活動)」と書いてあるとおり、福島県内での「除染ボランティア」に福井大生を動員するためのものであった。
そもそも前提からいって「除染活動」は放射能のあるところにいく作業なのであり、被曝の危険がともなう作業なのだが、この募集要項には「落ち葉拾い(除染活動)」とあるだけで、除染活動にかかわる基礎知識を周知させる項目や放射線防護のための特別教育の実施などについては一切触れておらず、ほとんどだましに近いものであった。
社会思想研究会の学生たちのビラに対し、福井大学当局は「大学が直接募集しているわけではない」とケチ付けを行なってきたが、学生の「『除染ボランティア』という危険な作業の募集が大学のホームページに堂々と掲載されている。大学が直接募集しているわけではないにせよ、学生の命を預かるということからいっても教育機関としての大学の責任は免れないのではないか」との指摘に対してまったく反論することができず、すごすごと退散していった。
「福井大学附属国際原子力工学研究所」を解体しよう
「電離放射線障害防止規則」では「除染活動」にあたっては事業者は被曝作業にともなう特別教育を実施しなければならないということが規定されている。つまり事業者は労働者にきちんとした安全教育をしなければならないということなのだが、「除染ボランティア」を推奨する本家本元である環境省のホームページには「4、ボランティア保険及び放射線被曝に関する留意事項」として「ボランティア活動中の様々な事故による怪我や損害賠償責任を保障する保険がありますので、保険の補償の範囲(通常、放射線被曝は保険の対象外)や保険費用を踏まえて、ご加入・ご更新をお願いします(原則、自己負担です)」と書かれている。ボランティア保険に入れ、ただし放射線被曝は対象外だ、というのである。しかも、保険加入は自己負担とされている。そもそも、「除染」が必要となるまでに福島県を放射能で汚染させた責任は、「原発事故」を起こした東京電力と原子力政策を進めてきた政府にあるのであり、「除染」はボランティアの事業で進めるようなものではないのである。「除染」については危険手当が作業に従事した労働者に払われずピンハネされるなど劣悪な労働条件が指摘されており、実際に「除染」の効果は上がらず、政府が「被曝量の自己管理」まで言い出しているのだ。「除染」の破綻は明らかだ。にもかかわらず福井大学は、「除染ボランティア」に学生を動員しようとしているのである。
「福井大学災害支援ボランティアセンター」は、ご丁寧にも「除染ボランティア」募集のために、大学祭(5月31日〜6月2日)開催期間中の6月1日に、「福井大学附属国際原子力工学研究所」教授・安田仲宏を講師として「福島へ行こう〜福島を知り福井での備えをする」と題する講演会を開催した。この講演会の案内ポスターには「福島県では、岩手県や宮城県と異なり、放射性物質が残存することが復興の枷になっています。自宅に戻るために除染作業を加速させ、一刻も早く元の状態に戻してほしいという住民の方々からの強い要望があります」とあり、「除染ボランティア」募集を目的の一つとしていることは明らかだ。
「もんじゅ」の廃止、大飯原発の即時運転停止・廃止、高浜原発再稼働阻止へ
この講演会の案内ポスターはさらに、「福井県での災害の備えに関する意識・知識を持ってもらうこと、また、放射線について、普段の生活や過去のデータとの比較で現状を考え、復興を助ける活動を促すことを目指したい」としている。この講演会の講師の安田仲宏という人物は、2012年3月に「福井大学附属国際原子力工学研究所」に、原子力防災・危機管理部門が発足した際に、千葉県所在の「放射線医学総合研究所(放医研)」から福井大学に移籍してきた人物である。要するに、この講演会は安倍政府が狙う原発再稼働ラッシュを前提とし、「除染ボランティアに行こう」「福井での原発事故に備えよう」という趣旨で開催されたものなのである。徹底して弾劾しなければならない。
さて、社会思想研究会の学生のビラまきの後、「福井大学災害支援ボランティアセンター」のホームページでの「福島へのボランティアツアーの案内」は、「7月5日(金)夜出発→7日(日)夜 帰福」という期間は変わらないものの、目的地には岩手県陸前高田市が追加され、内容は「・仮設住宅訪問・作業支援・二本松のみなさんとの交流(遊び相手・食べ物の出店)・落ち葉拾い・遊具づくり」とされ、前掲の「落ち葉拾い(除染活動)」から「除染活動」という文言を消し去ってしまった。しかも、末尾に参考として、「環境庁除染情報プラザHP」のリンクを貼り付けるというご丁寧ぶりである。「除染」について何かわからないことがあれば環境省のホームページを見てくれ、福井大学は一切関知しないという態度である。社会思想研究会の学生たちのビラまきに対抗した措置なのだろうが、まったく無責任きわまる対応というほかはない。
昨年7月の大飯原発3、4号機再稼働にゴーサインを出した「福井県原子力安全専門委員会」には、委員長である福井大学名誉教授・中川秀行を筆頭に福井大学教授・飯井俊行など福井大学教授が含まれている。「福井大学付属国際原子力工学研究所」をつくり、日帝の原子力政策に積極的に関与することを生命線としている福井大学の責任を追及する福井大革命的学生運動を断固として構築しなければならない。「もんじゅ」の廃止、大飯原発の即時運転停止・廃止、高浜原発再稼働阻止に向け闘いぬいていかなければならない。 |