判決公判闘争に150人が結集
6月25日、福岡高裁那覇支部の裁判長・今泉は、高江ヘリパッド建設を闘う住民の訴えを棄却した。伊佐真次氏にかけられた高江座り込み弾圧訴訟は、闘う沖縄労働者人民と全国から結集した支援者による高江ヘリパッド建設阻止闘争を抑え込むために仕掛けられた攻撃である。また、国家権力が反対運動を潰す目的で訴訟を起こす弾圧手法を、全国各地の住民運動に拡大することを狙った攻撃である。6・25不当判決を徹底弾劾し、高江ヘリパッド建設阻止の闘いを巻き起こしていかねばならない。
高江座り込み弾圧訴訟は、2008年11月、国が住民や支援者ら15人に対して「通行妨害禁止」を求める仮処分を申し立てたことで始まった。以降、1年間にわたる非公開の審尋、住民2人に対する本訴訟を経て、2012年3月14日、伊佐氏に対する「妨害行為禁止命令」が下された。「ヘリパッドいらない住民の会」と「ヘリパッドいらない弁護団」は、3月27日控訴を提起した。控訴審は9月11日に第一回口頭弁論が行なわれ、2013年4月11日の第4回口頭弁論で結審した。
闘う沖縄労働者人民は、訴訟中も工事作業の手を緩めない沖縄防衛局と対峙し控訴審を攻勢的に闘い続けてきた。昨年はオスプレイ配備の訓練場であるヘリパッド建設が一挙に加速した。高江住民と支援者はオスプレイの訓練場であるヘリパッド建設を阻止する闘いとオスプレイ配備撤回の闘いが一つの闘いであることを訴え続け、高江現地では暴力的かつ狡猾な沖縄防衛局職員と業者らを相手に粘り強く闘ってきた。沖縄防衛局は、集落に最も近いヘリパッド1基が「2月末までにおおむね完成した」と発表したが、住民を先頭に闘う沖縄労働者人民は、残り5基のヘリパッド建設を阻止するため闘う態勢を構築している。3月から6月はノグチゲラの繁殖期ということで「音の出る工事」は停止するとしているものの、実際には6月に入ると工事車両が基地内に入り工事音を立てている。こうしたなかで高江座り込み弾圧訴訟の判決公判を迎えたのである。
6月25日午後1時より、裁判所前広場において事前集会が開催された。各団体・個人から発言をうけていく。「沖縄平和市民連絡会」は、「平和市民はひと月に十数回辺野古と高江に車を出している。7月から工事が再開されるかもしれない。工事を止めていこう」と訴えた。高江ヘリパッド阻止を闘うメンバー2人は「6月22日に高江のことを知ってもらうために那覇で街頭アピールをした」と報告。当該の伊佐氏より「裁判の今日、防衛局の車2台が工事現場に入っている」と報告を受けると、全体から怒りの声が上がった。弁護団長の池宮城紀夫氏は「高江にヘリパッドを造らせないためがんばろう」と訴えた。シュプレヒコールを上げ、結集したメンバーは公判廷に向かう。
午後2時過ぎ広場で待機していたメンバーに「不当判決」の一報が届いた。阻止闘争をともに闘いぬいてきた仲間たちは唇をかみしめる。弁護団長は、「1審と変わらない判決。裁判所は伊佐さんの行為を『妨害行為』と認めた」「基本的人権も生存権も否定された。権力ベッタリの裁判所を許せない」と怒りを表明し、弁護団のメンバーは、「判決理由は公開の法廷で読むには恥ずかしい内容だ」とバッサリ切った。伊佐氏は、「めげずにがんばるしかない。みんなでがんばろう」と語った。
高江ヘリパッド建設阻止!
午後3時より、自治会館(那覇)において報告集会が行われた。
はじめに、「住民の会」のメンバーより「高江・通行妨害禁止訴訟の控訴審判決に対する声明」が読み上げられる。「本訴訟は、基地のない平和な社会を実現するという信念に基づき住民らが行なった反対運動を弾圧する目的で国が起こした訴訟(スラップ訴訟)に他ならない」「本訴訟が不当目的のスラップ訴訟であるにも拘わらず、あろうことか、本判決は住民の控訴を棄却し、国の姿勢を追認する判断をした。本判決が住民の平和的生存権や表現の自由、政治活動の自由といった憲法上の権利を踏みにじる、極めて不当かつ悪質な判決であることは言を俟たない」「司法が、政府による不当弾圧を追認する以上、今後も正当な表現活動を続ける住民らに対し、政府が同様の手法を用いて弾圧をするような事態を招きかねない」「高江住民らをはじめとするわれわれは、本件のような不当判決や、政府による不当弾圧に臆することなく、正当な表現活動としての運動を今後も展開する所存である」。参加者は、大きな拍手でその決意に応えた。
つづいて、「弁護団」より判決理由について詳細が述べられる。「弁護団」は、2007年宇都宮地裁判決を引用して「正当な表現行為」を補強している。これは、ゴミ焼却場に反対した住民が、道路にロープをはって車両の進入を阻止した事案である。宇都宮地裁判決は、「表現活動の実質を持つ阻止活動の実行に訴えたことはやむを得ない」としている。今泉は、こうした判例には触れずに、国策に抵抗する伊佐氏の行動を「違法な所有権侵害」と断じたのである。弁護団は、「裁判長は過去の判例に触れず判決文を書いた。まったく先例にならない判決だ」と批判した。また、控訴審の争点の一つである道路管理権の問題について、「仮処分申立の前に国は『県』に連絡した。これをもって『県』が『黙示の同意』をしたとしているがとんでもない」と訴えた。そもそも国が、「通行妨害禁止」を求めるためには道路を管理する「県」の同意が必要だが、国から連絡を受けた「県」は「当事者ではないので仮処分申立てに関し、意見を述べる立場にない」と回答しているのである。ヘリパッド建設を容認する「県」は、下手に回答して沖縄労働者人民の怒りの矛先が向くことを恐れたのであろうが、それをもって裁判長は「黙示の同意」としたのである。さらに質疑応答では、「『表現行為』が違法とされたが、そもそも住民のみなさんに『表現の自由』は与えられていたのか。表現の機会が与えられていたのか。オスプレイ配備の説明もなかった」「スラップ訴訟は足を止めることが狙いだから、足を止めないことが大切。これからもヘリパッド建設を止めるために行動していくことが必要だ」と説明を加えた。
伊佐氏は、「この裁判は反対運動をしている人たちへの挑戦だ。ヘリパッドを阻止するだけでなく、北部訓練場の返還、普天間基地の返還まで闘う」と決意を表明した。最後に、弁護団長の池宮城氏が「裁判は負けているが、みなさんの闘いはかっている。ともにがんばろう!」と訴えて、報告集会は閉じられた。
「住民の会」と「弁護団」は上告を決定している。われわれは何よりもまず闘いの現場に執着し、高江ヘリパッド建設阻止闘争を闘いぬく。オスプレイ追加配備阻止を闘う。沖縄―日本「本土」貫く団結を強化し、「戦争のための基地は、沖縄にもどこにもいらない」という原則に徹した反戦・反基地闘争を巻き起こそう。
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