解放トップ
トップに戻る
解放最新号
バックナンバー
論文
定期購読

東北関東大震災被災労働者人民支援大運動を

8・9第三次再審闘争棄却策動を粉砕し、狭山闘争の歴史的勝利へ 上告棄却36ヵ年糾弾闘争へ(1066号5面)

 上告棄却36ヵ年徹底糾弾

 1977年8月9日、最高裁第2小法廷裁判長・吉田は無実の部落民=石川一雄氏に対し上告棄却決定を打ち下した。上告からほぼ3年、1度の口頭弁論もなく、事実調べも行なわず、上告棄却を強行した。そして、わずか6日後には上告棄却に対する「異議申立」をも棄却し、1974年、10・31東京高裁・寺尾が打ちおろした反革命差別判決=「無期懲役」を確定させたのである。8・9上告棄却は、寺尾の「無期懲役」判決への大衆的怒りと国家権力糾弾・打倒の闘いの高揚を恐れ、狭山闘争の解体を唯一の目的に打ちおろされた反革命差別判決なのだ。

 吉田は、筆跡や捏造された万年筆をはじめ、石川氏の無実とデッチ上げを明らかにする数々の証拠・鑑定書の審理を拒否したうえで、「一部に証拠上なお細部にわたって解明されない事実が存在することも否定できない」としながらも「被告人が犯人であることに合理的な疑念をさしはさむ事実の成立は認められない」と言い放った。そして2度の徹底した家宅捜査で脚立まで使用して調べた鴨居から何も発見されなかったにもかかわらず、たった数人の警察官による3度目の家宅捜査でその鴨居から万年筆があっけなく発見されたことについて「捜査されてしかるべき場所ではあるが…必ずしも当然に捜査官の目に止まる場所とも言えない」「捜査官が見落とすこともありうる状況の場所」とヌケヌケと言い放ち、万年筆捏造のデッチ上げを全面否定した。そして、「予断と偏見をもって差別捜査を行なったと窺わせる証拠はない」「積極的にも消極的にも部落差別を是認した予断と偏見による差別的なものではない」と差別捜査を否定し、差別裁判の強行に全面的に居直ったのだ。まさに「部落民は差別と迫害のなかで死ね」とする部落民虐殺宣言にほかならない。狭山闘争破壊攻撃として打ちおろされた反革命差別判決、8・9上告棄却三六ヵ年を怒りも新たに徹底糾弾しよう。

第三次再審闘争勝利へ進撃せよ

 狭山第三次再審闘争は、東京高裁に再審請求を提出してから丸七年、石川氏不当逮捕から50年が経過し、まさに決戦中の決戦を迎え正念場へと突入した。5月8日には、第13回目の「三者協議」が開催された。第13回目の「三者協議」は、新たに就任した裁判長・河合をはじめ、ほぼ担当を「総入れ替え」した形で開催されている。

 次回、第14回目の「三者協議」が7月下旬に行なわれる予定になっている。弁護団は、6月26日付けで「証拠開示申立書」を提出した。弁護団は、これまでの「三者協議」で129点の証拠開示をさせたことを受け、今後も「秘密の暴露」や「犯行現場」などについてさらに開示を迫っていくとしている。

 しかし、山場を迎えた狭山―第三次再審闘争に対して、東京高裁・河合が棄却策動をさらに加速させるのは目に見えている。検察は、石川氏無実を明らかにする物的証拠については「不見当」をくり返し、「一切開示する必要が無い」と開示拒否の姿勢を強固に貫き続けている。東京高裁は、一貫して東京高検の小出しの証拠開示に対して出方を見据えながら傍観を決め込み、物的証拠についても「開示命令」も出さず、何よりいまだに事実調べを行なう素振りすら見せない。河合がこれまでの裁判官のやり方を踏襲するのであれば、傍観を決め込むということだ。改悪「刑事訴訟法」を理由とした「三者協議」の密室化がますます強まり、証拠開示を拒否する東京高検と、事実調べを拒否する東京高裁のペースで「三者協議」が進行してきた。他の冤罪事件と比較しても「狭山事件」だけが頑なに「三者協議」の日程すら秘密裏にされ密室化が強行されている。司法―国家権力は都合が悪い証拠、石川氏の無実が明らかになる証拠の開示をごまかしながら、一気に第三次再審棄却へと持ち込もうと策動しているのだ。狭山第三次再審闘争が山場を迎える中、河合によっていつ棄却決定が出されてもおかしくない状況が作られている。

 司法―国家権力はこれまで、石川氏無実を明らかにする多くの新証拠や補充書、意見書を目の前に積まれようとも、棄却を強行してきた。未だに事実調べも証拠開示も行なっておらず、第三次再審についても虎視眈々と棄却を目論んでいる。石川氏の無実は誰が見ても明らかであり、何よりデッチ上げた国家権力が最も承知しているのだ。だからこそ国家権力は、狭山闘争が階級的共同闘争を基軸とした全人民決起と、戦闘的部落大衆と結びついての大衆的実力闘争・武装闘争で国家権力を追いつめてきたことに、何よりも恐怖と憎悪を燃やしている。弁護団が提出してきた数々の新証拠や補充書を詭弁を弄しながら切り捨て、石川氏の無実を百も承知の上でペテンと居直りをもって狭山闘争解体攻撃をしかけてきているのだ。狭山闘争は、国家権力を追いつめてきた戦闘的闘いの地平を一歩も後退させることなく、さらに前進させていくことなしには勝利をかちとることはできない。〈差別裁判糾弾、階級裁判粉砕、国家権力糾弾・打倒〉の闘いの基調を鮮明にし、いかなるペテンも居直りも許さない闘いを叩きつけていかなければならない。

 部落解放同盟内社民・こえ派はこれまで、狭山=「冤罪」を強調しながら、「司法の民主化」を前面に押しだし、「取り調べ可視化」要求などを掲げながらの国会請願デモに一切を流し込もうとしてきた。しかし、民主党主導の政府が瓦解し、安倍極右政府による戦時体制形成が一挙に進むなかにあって、部落解放同盟内社民・こえ派の路線の破産が鮮明となっている。中途半端な「司法の民主化」要求なぞ、安倍極右政府の司法・警察権力強化のダシに使われるのは明白である。部落解放同盟内社民・こえ派による狭山闘争の幕引き策動を踏みしだいていかなければならない。

 石川氏は、不当逮捕から50年を経て、さらになみなみならぬ闘志を燃やしている。5月23日の狭山中央闘争において、「今度こそ必ず決着をつけるため、全国各地を回って訴えています。ぜひ皆さんのご支援をお願いしたい」とし、さらに「自分の人生はまだ長い。無罪かちとってからが自分の第二の人生だと思っている」と生涯をかけて闘う意気込みを鮮明にした。石川氏は、発言の度に「今年中に決着をつけるべく、不屈の精神で闘っていく」と闘いへの熱い決意を明らかにしている。血叫びをあげ、不退転で闘う石川氏の固い決意に何としても応えきっていかなければならない。差別裁判を強行し続ける司法―国家権力に対する「公正・中立」の幻想を一切捨て去り、〈差別裁判糾弾、階級裁判粉砕、国家権力糾弾・打倒〉の旗幟を鮮明に、階級的共同闘争、大衆的実力闘争・武装闘争の爆発で、第三次再審闘争勝利へ進撃しよう。狭山闘争の歴史的勝利をかちとろう。

部落解放運動の革命的飛躍をかちとれ

 安倍政府は、いよいよ朝鮮反革命戦争への突撃を加速していく中で、部落解放運動解体攻撃を一気に強めようとしている。民主党主導の野田政府が成立を目論んでいた「人権委員会設置法」案を極右の側から批判した挙げ句、あっさり葬りさった安倍は、差別主義・排外主義を煽るだけあおり、一挙にファシズムへと急接近しようとしている。そんな路線の延長線上で、安倍・石原・橋下による元「従軍慰安婦」問題の極悪居直り発言がくり返しなされているのである。既成勢力の屈服をさらに強制しながらの、部落解放運動総体のファシズム融和運動への再編を、断じて許してはならない。

 国家権力頂点からの差別主義・排外主義煽動が吹き荒れるなか、部落差別はますます拡大・激化している。全国で悪質な差別事件が激発している。特に、昨年一月に奈良の水平社博物館前でハンドマイクで差別発言を繰り返した極悪右翼ファシスト「在特会」は、さらに差別煽動を続け、今では在日朝鮮人・中国人に対する差別デモを頻発に行ないファシズム突撃の尖兵としてますます突出している。部落差別落書き、差別ハガキなどの事件は後を絶たず、またインターネットなどを使った悪質な差別煽動がなされている。こうした事件に対し、部落解放同盟内社民・こえ派は「告訴・告発」を全面化している。「告訴・告発」の方針化は差別糾弾闘争を破壊し、差別者を擁護し、部落差別を拡大させるだけであり、差別者を変革することはできない。とりわけ、右翼ファシストの差別煽動に対しては、徹底した撃滅戦の爆発で回答しなければならない。全国で激発する差別事件に対しては、徹底した差別糾弾闘争で闘いぬくことでこそ、部落差別の根底的廃絶をかちとることができるのだ。

 部落解放同盟内社民・こえ派の「告訴・告発」方針を踏みしだき、差別糾弾闘争の復権をかちとろう。ファシストどもの悪辣な差別煽動を打ち砕き、部落解放運動の戦争翼賛運動=ファシズム融和運動への転換攻撃を粉砕し、部落解放運動の革命的飛躍を切りひらこう。戦争遂行の安倍極右政府を打倒し、日帝国家権力を解体しよう。差別主義日共=全国人権連を解体しよう。差別主義反革命革マルを解体・絶滅し、天皇主義右翼ファシストを撃滅しよう。