「有事法制」に反対する宮城県実行委員会
(一)
7月8日の原発「新規制基準」施行を受け、電力資本は我先にと原発再稼働を申請している。原発再稼働を推進する安倍極右政府の原子力政策の狙いは、核武装に向けた技術の蓄積と材料の確保である。そのために原発を再稼働し、「核燃料サイクル」計画を強引に推し進めているのだ。原発の再稼働を阻止し、「核燃料サイクル」計画を粉砕し、核武装に向けた日帝の原子力政策を粉砕しなければならない。そのためには、破綻しかけている「核燃料サイクル」計画において「特別の役割」を果たすために建設が強行されているJパワー(電源開発)の大間原発(青森)の建設を阻止することが重要だ。5・6大間現地闘争の爆発を切り拓いた地平を拡大し、8・3大間現地に決起し、大間原発建設を阻止する実力闘争の爆発をかちとろう。
日帝が国内に貯め込んでいるプルトニウムの量は45トン(2011年時点)。これは日帝が核兵器開発のために意図的に蓄積しているのだが、「こんなに大量のプルトニウムを貯め込んでどうするつもりなのか」「核兵器以外に使い道がないではないか」という内外からの懸念と批判が集中している。7月1日に開催された国際原子力機関(IAEA)核安全保障閣僚級会議の開会前、米帝のエネルギー長官・モニツが日帝の副外相・鈴木俊一に対して、「核燃料サイクル」で生産されるプルトニウムについて「懸念のない形で進める」ようにと注文をつけている。これに対し鈴木は、「利用目的のないプルトニウムは持たず、核不拡散と原子力の平和利用という国際的義務を果たしていく」なぞと答えている。しかし、プルトニウムを「平和利用」するとして日本原子力研究開発機構が運営する高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)は、1995年のナトリウム漏れ「事故」で運転を停止し、2010年夏の試運転中には炉内装置が原子炉内に落下して停止状態が続いており、運転再開に向けた技術的展望も皆無だ。しかも昨年11月には、「もんじゅ」で1万点近い機器の点検漏れが発覚、これに対して今年5月に「原子力規制委員会」が運転再開準備に対する見合わせ措置(管理体制見直し)命令を出したが、6月にも新たに2100点の機器の点検漏れが発覚している。同機構は、今年5月に茨城県東海村にある加速器実験施設における放射性物質漏れ「事故」を発生させているが、ここでも放射性物質を扱うにあたっての安全に対する配慮がまったくなされていないことがあからさまになっている。「もんじゅ」の原子炉建屋直下には複数の破砕帯があるほか、敷地近くには長さ約15キロの活断層「白木―丹生断層」が通っている。「もんじゅ」の運転再開なぞ許されるものではない。「もんじゅ」の即時廃止をかちとらなくてはならない。
(二)
「もんじゅ」が運転再開のメドすら立たない中で「核燃料サイクル」計画を推進するためには、プルトニウムを「平和利用」するという新たな「隠れ蓑」を作らねばならない。それが大間原発の「特別の役割」だ。大間原発は、使用済み核燃料再処理工場(六ヶ所再処理工場)で作られるプルトニウムとウランの混合酸化物粉末を、六ヶ所再処理工場に隣接して建設中のMOX燃料工場において加工し、生産されたMOX燃料集合体を炉心全体に用いる「世界で始めて」の「フルMOX」方式を採用する原発として建設されている。
日帝は商用原発で3分の1以下の燃料にMOX燃料を使う「プルサーマル計画」を行なってきた。しかし、既存の商用原発でMOX燃料を使うということは「石油ストーブでガソリンを燃やすに等しい無謀な計画」(京大原子炉実験所・小出裕章氏)との指摘があるほど、危険極まりないものだ。「プルサーマル」においては、核分裂を抑える制御棒やホウ酸の働きが低下しやすい上、出力変化がより急激になり、「事故」発生時には原子炉内の圧力上昇が大きくなる傾向がある。
このような「プルサーマル」の危険性は「フルMOX炉」として建設されている大間原発にも共通する。大間原発の原子炉は柏崎・刈羽原発などと同型の改良型沸騰水型原子炉(ABWR)であり、その基本仕様は変えられていない。中性子を吸収するホウ酸水注入による核分裂反応の停止能力が低下するので、これを補償するためにホウ酸水貯蔵タンク容量が増加されている程度である。この原子炉に全燃料の3分の1以下の割合でMOX燃料をを装荷することから始めて、段階的にMOX燃料の割合を増やし、最終的に全炉心にMOX燃料を装荷することを目指すという。「フルMOX炉」は研究炉での試験的な運転も行なわれておらず、大間原発自体が「実験炉」であり、その危険性は他の原発の比ではない。しかもMOX燃料にはプルトニウムが含まれているのみならず、燃焼にともないアメリシウム、キュリウムなどプルトニウムと同様に半減期が長く、生体への作用が強いアルファ線を放出する放射性物質を生成させるので、「大事故」が起こればその影響は「福島第一原発事故」の比ではない。
(三)
「核燃料サイクル」計画の中核施設である六ヶ所再処理工場をめぐっては、事業者の日本原燃が5月27日、高レベル放射性廃液のガラス固化試験を終了したと発表している。10月には全ての試験運転を終了させ、操業を開始する計画だという。「原子力規制委員会」は12月とされる核燃料サイクル関連施設の「新規制基準」の施行後でなければ、完成に必要な使用前検査を行なわない方針だと言われており、本格操業の時期は不透明とされているが、状況は切迫している。六ヶ所再処理工場が本格稼働すれば、核兵器に転用可能なプルトニウムを年間9トン生産できると言われる。核爆弾2000発分に相当する量である。
六ヶ所再処理工場は、「原発が1年で放出する放射能を1日で放出する」とされ、ひとたび「大事故」が発生すれば、その破滅的影響は「日本全域に及ぶ」と言われる「最悪の核施設」だ。大間原発も六ヶ所再処理工場も「大事故」が起これば「福島第一原発事故」とは比べ物にならない甚大な被害を及ぼす。このことを百も承知で安倍極右政府は、「核燃料サイクル」計画を推進し、大間原発の建設を強行しているのだ。
日帝が「核燃料サイクル」計画を推進するのは、原発を起点とする「核燃料サイクル」の技術と、核兵器製造の技術とが共通しているからだ。核兵器製造のための技術と材料とプラントを開発し、核兵器の材料であるプルトニウムを大量に製造し保有したいからだ。日帝は、核武装への強い衝動をもって原子力政策を推進し続けているのだ。
安倍は、2002年に「核兵器や大陸間弾道弾も憲法上問題ではない。小型であればよい」なぞと発言した核武装論者だ。安倍の目論見は、朝鮮反革命戦争突入に身構えて憲法を改悪し、日帝の核武装へと突き進むことだ。自民党は、参院選公約で改憲への発議要件を衆参両院の3分の2以上から過半数に緩和することを明記し、「国防軍」の保持や緊急事態条項の新設をうたった「党憲法改正草案」を紹介し、「憲法改正原案の国会提出を目指す」として、改憲へ向け一気に突っ走ることを宣言している。7月9日に発表された「防衛白書」では、中国や朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)に対する脅威を煽りたて安倍極右政府が「集団的自衛権」の行使に向け議論を開始したことや、自衛隊に海兵隊的機能や敵基地攻撃能力を持たせるという議論をしていることを紹介している。朝鮮反革命戦争突入に身構えた改憲と核武装への攻撃が一挙に進められているのだ。朝鮮反革命戦争の突入時は、日本階級闘争の決戦期だ。決戦を闘いぬく陣形を早急に構築し、日帝の核武装を阻止し、朝鮮反革命戦争突撃を粉砕しよう。
(四)
「福島第一原発事故」はいまだに収束していない。7月に入り汚染監視用井戸の水に含まれる放射性物質の濃度が急上昇していることから、海に汚染水が再び漏出していることは明らかだ。政府や東京電力などでつくる「廃炉対策推進会議」が6月27日に「廃炉」に向けた工程表の改定版なるものを決定しているが、溶融燃料の場所なども把握できないまま、将来の技術開発をあてにして作成した「絵に描いた餅」にすぎない。
にもかかわらず電力各社は、7月8日に原発の「新基準」が施行されるのを受け、我先にと原発再稼働に向けて疾走している。「規制委」も日帝の原子力政策の下僕よろしく、原発の再稼働に向けた「新基準」の審査期間について「6ヵ月程度かかるが、短縮の方向で努力する」としたうえ、7月18日に予定していた「新基準」の施行を8日に早め、さらに届け出を5日へと前倒ししている。原子力規制庁が原発の推進官庁である経済産業省に「応援」を要請し、経産省職員が規制庁に異動したことも明らかになっている。こうまでして早急に原発再稼働の「お墨付き」を与えようとしているのだ。
「新基準」といっても、「過酷事故」の際に原子炉格納容器の冷却作業を遠隔操作する「特定安全施設」の設置義務についての「五年間猶予期間」や、格納容器内の圧力を下げ排気時の放射性物質の浄化機能をもつ「フィルターつきベント装置」も加圧水型原発(PWR)については「猶予期間」を付すなど、「再稼働ありき」の「新基準」である。しかしこの「新基準」でもって、新たな原発の「安全神話」を作ろうとしているのだ。
7月8日に再稼働を申請したのは、北海道電力の泊原発1、2、3号機(北海道)、関西電力の大飯原発3、4号機(福井県)、高浜原発3、4号機(同)、四国電力の伊方原発3号機(愛媛県)、九州電力の川内原発1、2号機(鹿児島県)。12日に、九州電力が玄海原発3、4号機(佐賀県)の申請をしており、あわせて4社6原発12基が再稼働を申請してる。しかも、「福島第一原発事故」の原因究明も収束もできていない東京電力までもが、参院選後に柏崎・刈羽原発6、7号機の再稼働を申請するなぞとしている。原発再稼働を許してはならない。大飯原発再稼働阻止の連続闘争を引き継ぐ現地闘争の爆発で、全国原発の再稼働阻止、全ての原発の即時廃止をかちとろう。
大間原発の建設を許すのか否かは、核武装に向けた日帝の原子力政策の延命を許すのか、それともこれを葬り去るのか、その重要な焦点となる。大間原発建設阻止の現地実力闘争に決起せよ。六ヶ所再処理工場の本格操業を阻止し、「核燃料サイクル」計画を粉砕せよ。高速増殖炉「もんじゅ」即時廃止。原発の再稼働、新・増設を阻止し、全ての原発の即時廃止をかちとれ。改憲と核武装に突き進む安倍極右政府打倒。8・6広島―8・9長崎反戦闘争と結びつき、日帝の核武装と対決し、8・3大間原発建設阻止現地闘争の大爆発をかちとれ。
〈編集部責任転載〉
8・3 大間原発建設阻止現地闘争
日時 8月3日(土) 午前10時
場所 大間現地
主催 「有事法制」に反対する宮城県実行委員会
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