反戦・全学連は「生活保護法」改悪案の衆院での可決を弾劾し、改悪を阻止する闘いに決起した。6月6日午前10時、青ヘルメット、青ゼッケンを身に付けた部隊は国会直近の地下鉄国会議事堂前駅に登場し、国会へと進撃を開始する。わが部隊の登場に驚愕した権力は、機動隊を差し向け横断幕を掲げる同志たちに襲いかかってくる。しかしこの反革命弾圧にたじろぐことなく反戦・全学連の仲間は、「『生活保護法』改悪を許さないぞ」「『保護費』の削減を弾劾するぞ」「安倍政府を打倒するぞ」とシュプレヒコールをあげる。機動隊は木刀をかざして同志に殴りかかるなど敵対をくり返すが、これを跳ね返し、断固とした闘いをうちぬいた。
そして反戦・全学連の部隊は、JR御茶ノ水駅頭に登場し、行き交う労働者人民に対して「生活保護法」改悪の攻撃を明らかにし、ともに反撃の闘いに決起することを呼びかける情宣を闘いぬいた。
安倍政府は衆院で6月4日、「生活保護関連二法」(「生活保護法」改悪案と「生活困窮者自立支援法」案)の採決を強行した。これらの「法」案は、与党(自民党・公明党)と民主党、「日本維新の会」、「みんなの党」、「生活の党」などの賛成多数で可決された。「生活保護法」改悪の審議は参院段階に移行し、成立が目論まれていたが廃案となり、秋の臨時国会での成立が目論まれている。
この間の「労働市場の規制緩和」によって低賃金で使い捨てにされる多くの「非正規雇用」労働者が創り出された。その結果、失業者が増大している。そして、長期に失業の状態にある労働者人民が当然の権利として「生活保護」を受けるに至ったのだ。しかし、日帝ブルジョアジーは「生活保護」を受けざるを得ない労働者の生活破壊を進めてきた真の原因を隠蔽しながら、逆に受給者を「社会の敵」として描きだして「不正受給」のキャンペーンや「低所得労働者よりも生活保護世帯の方がぜいたくな暮らしをしている」等のデマをふりまき、「保護費」の削減と「生活保護」制度の改悪を狙っている。
〈申請拒絶の「水際作戦」の合法化を許すな〉
今回の改悪では、行政による「生活保護」を軽減するため、扶養義務の強化が打ち出されている。また、「生活保護」を申請する窓口の段階で、申請をはねつけるいわゆる「水際作戦」の合法化が図られようとしているのだ。
従来は、本人の「生活保護を受けたい」という「申請」の意思が確認できるものであれば書面によらずとも、口頭でも有効だった。それは、福祉行政の侵した「申請権」侵害をめぐる数々の「生活保護裁判」でも司法によって認定されてきている。しかし、今回の改悪では、申請時に書類の添付を本人に義務づけることへと変更されている。それによって、書類不備を理由に申請を受け付けない福祉事務所の対応―いわゆる「水際作戦」―が合法化されようとしている。申請時に書類がそろわなくても受理するという「一部修正」が民主党等によって「法」案に加えられたが、これは何ら歯止めとはならないものだ。申請段階でそろっていない所得・財産関係の書類は「保護」決定の審査をする2週間以内に申請者本人が用意しなければならない。これまでにこれらの書類をそろえることが不可能ならば、書類不備を理由に結局、申請を却下されてしまうことになる。
このように申請そのもののハードルが従来よりも高くされたため、申請を断念してしまう「要保護者」が増えることが予想されている。現行の「生活保護」制度下でも、5月大阪市北区において、DV被害者である可能性のある母子が生活困窮の末に餓死するという事態が発覚したばかりだ。餓死にいたるまでには大阪市の福祉事務所を訪問しているが、行政の「水際作戦」が死へと追いやった可能性が高いのだ。
〈扶養義務者への扶養強制を許すな〉
親族ら扶養義務者への扶養の強制も目論まれている。これまでは「要保護者」の扶養義務関係にある親族らへの電話・文書による照会がほとんどであったが、今回の改悪ではさらに踏み込んで、親族が扶養を拒絶する正当な事由があるかどうか、「所得・財産に余裕がなく本当に面倒を見ることができないのか」を根掘り葉掘り調査する権限が行政に付与されようとしている。その対象は、銀行や勤務先にもまで広げられようとしている。
そして、「生活保護」を受けようとするこれからだけではなく、「生活保護」を受けていた過去にまでさかのぼって「受給者」の扶養義務関係にある親族の所得・財産関係の調査が及ぶことになる。そして、扶養能力があったと認定されれば、「生活保護費」を親族に対して行政が請求するようにもなっていくのだ。
このように扶養義務者への調査の強化は、親族らをして「生活保護」を受けるべき本人に対して陰に陽に「保護」申請をあきらめさせる圧力となってくることが予想される。
これによって実際は扶養能力のない親族が、受給すべき「要保護者」を抱え込んでしまい、親族も巻き込んで共倒れに追い込んでいくことになるのだ。
〈「生活保護費」削減弾劾〉
安倍・自民党は、衆院選においても「生活保護費の一割カット」を公言してきた。そして厚生労働省は、2013年度の予算要求において「保護費」の削減を決定した。
今年8月の支給額から、その削減が開始されようとしている。2年半で8・3パーセント減らされる。削減率は世帯ごとに異なるが、最大で10パーセントで、東京のような都市部に住む40代夫婦と小中学生の子ども2人の世帯は2015年度に月2万円の減額となる。これにより今後、3年間で670億円を削減するとしている。その削減額のうち厚生労働省は、「580億円は物価が下落した分だ」と主張している。しかし、この間の物価下落で影響があったのはパソコンや家電製品などの値段で、これらのものは「生活保護世帯」には全く無縁の物品ばかりだ。このように厚生労働省は、「生活保護費」を強引に削って、「生活保護受給者」の生活をいっそう破壊しようとしているのだ。
さらに安倍政府は、「骨太の方針」においてさらなる「生活保護費」削減に踏み込もうとしている。「生活保護を見直し非効率な給付を是正」と謳っているのだ。今後、「生活保護費」の中の生活扶助費以外にも教育扶助費、住宅扶助費、医療扶助費、介助扶助費などにも削減のメスを振るおうとしている。
低所得の労働者を「生活保護」制度から締め出し、野たれ死にへと追いやる「生活保護」制度改悪を絶対に阻止しよう。「生活保護費」をはじめ社会保障費の削減で原発のためや軍事のための予算を拡大させる安倍極右政府を打倒しよう。 |