対国会闘争―御茶ノ水駅頭情宣に連続決起
6月6日、「刑法改悪阻止関東活動者会議」(刑関活)と反戦・全学連の部隊は、「刑法」・「更正保護法」改悪―新たな保安処分攻撃と闘う対国会闘争と御茶ノ水駅頭情宣に連続決起した。
午前10時、地下鉄・国会議事堂前駅に集結した刑関活と反戦・全学連の部隊は、「刑法」・「更正保護法」改悪が審議される衆院をめざして進撃を開始する。しかし、あらかじめ地上出口に配備されていた機動隊は、部隊を静止したばかりか、部隊が横断幕を広げてシュプレヒコールをあげはじめるや否や、木刀等を手に部隊に突入し、殴る蹴るの暴行を働くという暴挙に出てきた。部隊は機動隊の暴挙への怒りを爆発させ、一切の不当逮捕を許さず、態勢を立て直して次の行動にうってでた。
午前11時すぎ、JR御茶ノ水駅頭に登場した刑関活と反戦・全学連の部隊は、横断幕を広げ、冒頭シュプレヒコールをあげる。「『刑法』・『更正保護法』改悪を阻止するぞ」「新たな保安処分攻撃を粉砕するぞ」「闘う『病者』『障害者』と共に闘うぞ」。その後、部隊はアジテーションを響かせながらビラまき情宣を開始する。御茶ノ水界隈は学生や労働者たちの往来でにぎわっていたが、情宣行動への注目は高く、ビラは次々と受け取られていった。最後に再度シュプレヒコールをあげて、情宣行動を終了した。
安倍極右政府が3月22日に参院に提出した「刑法等の一部を改正する法律案」「薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部の執行猶予に関する法律案」は、5月30日に参院法務委員会で可決、6月5日の参院本会議での採決を経て衆院に送られた。衆院では与党が圧倒的多数を占め、さらに既成野党の総屈服もあり、ろくに審議をしないままに、6月6日の審議開始からわずか6日後の6月11日に衆院法務委員会で採決され、さらに6月13日の衆院本会議で全会一致で可決し、成立した。
今回の「刑法」等の改悪は、現行「刑法」では実刑か執行猶予しかないものを、「刑の一部執行猶予」を新設して「社会内処遇」の推進を図り(「刑法」25条改悪)、保護観察の特別遵守事項に清掃・福祉などの「社会貢献活動」を強制(「更生保護法」51条改悪)しようというものだ。これこそ「刑法」に「再犯防止」を規定して新たな保安処分を導入しようとするものである。この「刑法」等の改悪は2011年にも国会に提出されたものの、2012年の衆院解散で廃案になっていた。しかし、安倍極右政府は新たな保安処分の導入を諦めず、再度今国会に提出していた。
「刑の一部執行猶予」「社会貢献活動」導入を阻止しよう!
この「刑法」等の改悪は、2006年7月、第1次安倍政府の法相・杉浦が「薬物犯罪者・性犯罪者など」の「再犯の恐れを防止する」ために新たな保安処分を創ると公言して諮問を行ない、法制審議会「被収容人員適正化方策に関する部会」における審議の結果として出された「要綱」に基づき、立案されたものだ。杉浦は当時の記者会見で、「刑執行終了後の累犯の可能性の強い人たちに対する何らかの保安処分が検討できないか」と保安処分導入の意図を明確にした。刑関活は、新たな保安処分導入を目論んで法務省内会議室で強行される法制審議会を弾劾する情宣闘争を闘ってきた。
保安処分とは「反社会的行為への危険性がある」とされた人に対して、「拘禁・教育・矯正・治療」などを行なうとする、国家権力による強制処分である。「危険性の有無」は恣意的な判断とならざるを得ず、国家権力が「危険性がある」と決め付ければ拘禁などの強制処分ができるため、保安処分を認めることは、国家権力の弾圧権限の拡大・強化を認めることに直結する。
新たな保安処分導入は、今国会で可決―成立した「共通番号制度法」や、新設が目論まれている「共謀罪」などとともに、労働者人民への弾圧強化の攻撃にほかならない。世界大恐慌爆発情勢が煮つまるなかで、憲法改悪と朝鮮反革命戦争へ突き進む安倍極右政府は、労働者人民に矛盾を集中して延命しようとしており、逆らえば容赦なく弾圧できるように刑法を改悪し、弾圧を強化しようというのだ。
「刑の一部執行猶予」では、たとえば、「懲役2年、うち6ヵ月は2年間執行を猶予する」という判決が確定した場合、先に刑務所で1年6ヵ月「施設内処遇」を受け、出所後の2年間は執行猶予として「社会内処遇」を受けることになる。適用対象は「禁錮以上の実刑が確定したことが無く初めて刑務所に入る受刑者」と「薬物使用者」とされている。「施設内処遇」を「社会内処遇」に置き換えることと引きかえに刑期全体を長期化させることで生活全般の監視期間を長期化し、国家権力の意向に沿う〝あるべき生活〟への「更生」を強制しようというのだ。そして、「保護観察処遇の選択肢を拡充する」として、「更生保護法第51条第2項各号」に定める「特別尊守事項」の類型に、「善良な社会の一員としての意識の涵養及び規範意識の向上に資する地域社会の利益の増進に寄与する社会的活動を一定の時間行なうこと」が加えられる。「執行猶予取消」の恫喝の下に「社会貢献活動」として「公園の清掃」や「老人ホームでのボランティア」などを義務づけ、「再犯防止」「社会復帰の促進」の名のもとで「罪を反省」させ、国家権力に服従させようというのだ。「刑の一部執行猶予」も「社会貢献活動」も、「反社会的行為への危険性が予想される」とされた人に対して「拘禁・教育・矯正・治療」などの強制処分を行なおうという点において、まぎれもない保安処分である。
今回の「刑法」等の改悪は、6月19日に公布となり、公布から3年以内の施行が策動されている。「刑の一部執行猶予」「社会貢献活動」導入を阻止しよう!
「心神喪失者等医療観察法」撤廃へ
日帝国家権力は「刑法」への保安処分制度導入を目論み続けてきた。1974年答申の「刑法改正要綱」では「精神病者」に対する「治療処分」や「保安施設」への強制収容も明記されていた。しかし「再犯の危険予測」自体不可能であり、現行「刑法典」が「過去の行為に対する責任としての刑罰」を定めているうえに「再犯の恐れ」なぞとして「刑法典」に行為者の将来の危険性に着目した制度を導入して自由の制限をするのは、まさに保安処分そのものである。刑関活はこのことを暴露し、「障害者」差別―抹殺攻撃を粉砕する闘いとして、歴史的に「刑法」改悪―保安処分新設阻止の闘いを続けてきた。
これに対して、国家権力は保安処分新設の手がかりを「精神病者」への保安処分を導入することでつかもうとしてきた。「精神病者」を「社会の敵」「治安管理の対象」とし、「『精神病者』は危険」「何をするかわからない」という差別キャンペーンを張りながら、2003年7月10日には「心神喪失者等医療観察法」を成立させている。「心神喪失者等医療観察法」は、刑罰法としてではなく、「医療法」という形をとって保安処分を強行するものである。
「心神喪失者等医療観察法」は、その目的に「病状の改善及びこれに伴う同様の行為の再発の防止を図り、もってその社会復帰を促進する」とあるように、「犯罪行為」の原因を「心神喪失状態」等を引き起こした「精神障害」と規定している。そして、〝犯罪を行なった際の「精神障害」〟が改善するまでは、「再犯のおそれ」があるから隔離・拘禁するというものである。〝「犯罪行為」の原因は「精神障害」にある〟ということであり、明らかな「精神病者」差別である。また、国家権力が恣意的に「再犯のおそれ」があるとレッテルを貼れば、科学的根拠がなくても「予防拘禁」できるという点において、まぎれもない保安処分である。「心神喪失者等医療観察法」は2005年7月15日に施行が強行され、「重大犯罪」を対象にするといいながらも、全治5日の軽傷でも適用されるなど、適用が乱発されている。
戦時「障害者」差別―抹殺攻撃と対決し、「心神喪失者等医療観察法」撤廃をかちとろう。全国「障害者」解放運動共闘会議の結成をかちとり、「障害者」解放運動の飛躍・前進をきり拓こう。
|