キャンプ・キンザー包囲デモを闘う(14日)
5月14日、「軍港反対! 浦添市民行動実行委員会」が主催する「第15回キャンプ・キンザー包囲デモ」が開催された。呼びかけに応え、天皇上陸阻止沖縄青年実行委員会と沖縄・首里日雇労働組合も結集しともに闘いぬいた。
午後1時過ぎ、浦添市役所前に沖縄内外から闘う労働者人民が結集する。「沖縄・一坪反戦地主会浦添ブロック」の事務局長が「那覇軍港を浦添に移設するとされてから16年が経った」「明日は5月15日。『復帰』に際して憲法の適用を望んだが、『本土並み』と称して自衛隊や『日の丸・君が代』がやってきた。こんなはずじゃなかったという思いが、いま沖縄に充満している」とマイクアピールを行なった。
デモ出発前に「沖縄・一坪反戦地主会浦添ブロック」の共同代表の1人である黒島善市氏よりあいさつを受ける。氏は、「『日本維新の会』の橋下が『慰安婦』を容認し女性を侮辱する発言を行なった。許せない」「政府は『普天間基地の固定化はしない』と言いながら、新しい基地を造ろうとしているがとんでもないことだ」「戦争の時は宮城遥拝していた。過ちを繰り返さないため行動しよう」と参加者に呼びかけた。
2時、デモ出発。「キャンプ・キンザーを撤去するぞ」「浦添新軍港建設を阻止するぞ」「軍港建設のための環境アセスをやめろ」「普天間基地を撤去するぞ」「名護新基地建設を阻止するぞ」「日米安保を粉砕するぞ」「自衛隊も米軍もいらない」「天皇制を打倒するぞ」と訴え、市の中心部をデモ行進した。主催者は、「カーミージーに米兵との交流施設がつくられようとしている。一坪浦添ブロックは5月10日に交流施設を撤回するよう松本市長に申し入れた」「昨年8月には、退役軍人のレクリエーション施設が基地内につくられた。そのために浦添市が1億2000万円も支出した。松本市長は儀間市政の誤りを引き継いではいけない」とアピール。国道58号線に入るとキャンプ・キンザー(牧港補給地区)のフェンスが目に飛び込んでくる。怒りも一段と高まった。第3ゲート前にデモ隊が登場すると、米兵と軍雇用ガードマンはゲートを固く閉じたまま戦々恐々としていた。デモ隊は10分弱ゲート前を封鎖し、シュプレヒコールを叩きつけた。
3時半過ぎ、カーミージーに到着した。カーミージーはわずかに残された自然海岸だ。そこは西海岸道路建設工事が進められていた。その場で全国各地から結集した参加者よりアピールが行なわれ、行動を終えていった。
日・米両政府はキャンプ・キンザーの「全面返還」で合意している。その内実は今年4月に発表された「沖縄における在日米軍施設・区域に関する統合計画」において示されているが、同基地274ヘクタール中、「速やかに返還可能」とされるのはわずか3ヘクタールにすぎない。そのうち1ヘクタールはすでに40年以上も生活道路となっていた区域(北部進入路)である。そのほか大部分を占める倉庫群などは、陸軍トリイ通信施設、キャンプ・ハンセン、嘉手納弾薬庫などにそれぞれ「分散・移設」することが条件となっている。また、那覇軍港については、浦添ふ頭地区への新軍港建設を条件に「2028年度又はその後に返還可能」としている。そもそも、キャンプ・キンザーも那覇軍港も遊休化している。にもかかわらず日・米両政府は、「移設」条件をつけて基地機能の統合・強化を推し進めようとしているのだ。しかも、「負担軽減してやる。だから新基地建設を受け入れろ」「返還するのになぜ抵抗するのか」と恫喝し、反戦・反基地闘争の分断・破壊を目論んでいるのだ。
基地の統合・強化を粉砕し、反戦・反基地闘争潰しをはね返し、日米軍事基地解体・帝国主義軍隊解体に向け闘いぬいていかねばならない。
反戦・反基地闘争への決起を訴える(15日)
翌15日、天皇上陸阻止沖縄青年実行委員会は沖縄・首里日雇労働組合の仲間とともに、5・15沖縄人民解放闘争に決起した。
正午、パレットくもじ前(那覇)に登場した部隊は「名護新基地建設を実力阻止するための態勢を広範につくり上げよう」「七月オスプレイ追加配備を阻止し、普天間基地を解体しよう。高江ヘリパッド建設阻止の現地闘争に決起しよう」「反共・排外主義を撃ち破り、新たな自衛隊の配備を阻止しよう。与那国への沿岸監視部隊配備、下地島空港へのF15戦闘機常駐化を許すな」「橋下による女性差別と沖縄差別に満ちた発言を許してはならない。あんな輩と手を組んで憲法を改悪しようとしているのが安倍政府だ。安倍極右政府を打倒しない限りわれわれに未来はない」とアジテーションとビラで訴えた。
米軍のやりたい放題に沖縄労働者人民の怒りが高まっている。4月、オスプレイは岩国経由で韓国に出撃し、米韓合同軍事演習「フォール・イーグル」の一環として行なわれた上陸訓練に参加した。5月1日から3日には、オスプレイが伊江島においてパラシュート降下訓練を強行、3日間でトリイ通信施設所属の陸軍兵約100人が次々と降下した。1日には、風にあおられ民間地に着地している。付近では住民が農作業をしていた。米軍は「ミスではない」として、住民の命は関係ないとばかりに訓練を続行した。朝鮮反革命戦争をみすえた実戦訓練が激化しているのだ。また5日には、沖縄市において海軍兵が住居侵入、11日には、読谷村において陸軍兵が飲酒運転、金武町において米軍属がタクシー無賃乗車と住居侵入と立て続けに「事件」が発生している。米軍にとって沖縄は今なお占領地なのである。
われわれは、「『復帰』から41年経つが、占領下と何も変わっていない。しかし、一人ひとりが怒りをもって声を上げ行動すれば、必ず沖縄を変えることができる」「オスプレイ配備阻止の普天間基地ゲート封鎖―占拠闘争を継承し、闘いを前進させよう」と呼びかけた。普天間基地の大山と野嵩のゲート前では、「絶対にあきらめない」を合言葉とする抗議行動が8ヵ月目に入っている。基地への怒り、政府への怒りを実力闘争として結実させていけるかどうか、そのことが今問われているのである。
断固たる訴えに多くの市民が注目し、「がんばって」「ごくろうさま」と声をかけていく。われわれは、反戦・反基地闘争への共感をおし拡げ、1時間にわたる情宣闘争を貫徹した。
反戦・反基地のシンポジウムが開催される(15日)
午後6時より、「県」立博物館美術館二階講堂において「沖韓民衆連帯」が呼びかける実行委員会が主催(共催:韓国基地平和ネットワーク)する「東アジア米軍基地 環境・平和 国際シンポジウム」が開催された。シンポジウムでは、沖縄と韓国の双方から反基地闘争の現状が詳細な資料とともに報告された。
「ヘリ基地反対協」の安次富浩氏は、3月22日の「埋立申請」提出強行について「政府は抵抗を嫌って奇襲をかけてきた」と怒りを表明し、「統合計画」について、「『負担軽減』ではなく『基地温存計画』だ」「政府は『せっかく嘉手納以南を返還しようとしているのに名護市民と市長が反対していて進められない』とキャンペーンしようとしている」「那覇軍港の浦添移設はキャンプ・キンザー返還と矛盾する計画だ。やがて大浦湾への軍港建設が出てくるのではないか」と指摘した。
つづいて、韓国基地問題について、「群山米軍被害相談所」のク・チュンソ氏が報告する。「キャンプ・ハンフリーズは拡張工事が行なわれている。現在は151万坪であるが、新規地域293万坪を合わせると世界一の単一基地となる」「烏山基地は第2滑走路の建設が進められている。昨年7月には基地前で米憲兵が市民3人に手錠をかけるという違法な事件が発生した」「群山基地では一昨年に油流出事故が発生している」「キャンプ・キャロルでは一昨年に枯葉剤埋立疑惑が明らかになった。基地周辺の環境調査が行なわれ始めたが、政府と米軍の処置はいまだにきちんとしたものではない」。詳細な報告に参加者は真剣に聴き入った。
次に、済州島の海軍基地建設阻止闘争を闘っているソン・ガンホ氏が登壇する。冒頭で、昨年1年間の闘争現場の映像が流された。650人が逮捕される壮絶な闘いに参加者は息をのんだ。氏は、「5月10日に、工事現場前に建てられているテント撤去をめぐる大きな衝突があり、4人の仲間が拘束されている」と報告し、「朴槿恵政権の誕生以降、より厳しい状況にある」「物理的衝突では政府が多くの警察力を動員して優位に立っている。それゆえ、広範な大衆を組織する方策を模索している」として持論を展開した。とくに、済州・沖縄・台湾を貫く運動の必要性を提起し、「沖縄の米軍がいなくなっても、その穴を軍事力で埋めようとするだろう。米軍が撤退しても済州島に来るのではないかと危惧している。海軍基地に米海軍が入る計画もある」「済州島には海軍基地だけでなく、空軍や海兵隊の基地建設計画もある。日本の植民地時代のように要塞化されようとしている」「台湾の住民たちは現状に満足しているように見える。平和は、自ら準備しその対価を払わない限り、われわれのものとはならない」と述べた。
最後に「平和宣言」が読み上げられ、シンポジウムは閉じられた。
われわれは、5・14―15連続闘争を闘いぬいた力をもって、普天間基地解体・名護新基地建設阻止の闘いを全力で闘いぬく。韓国労働者人民の闘いと連帯し、沖縄―日本「本土」を貫く団結をうち固め、安保粉砕・政府打倒闘争の爆発を切り拓こう。 |