「『日の丸』『君が代』強制の裏に見えるのは天皇制」
5月11日、「撤回せよ!『君が代』処分、首切り=再任用拒否 『日の丸・君が代』強制反対! 5・11集会」が大阪で行なわれた。主催は、「『日の丸・君が代』強制ええんかい! 『競争』『強制』の教育でええんかい! 私たちは黙らない! 2・11全国集会実行委員会」と「『日の丸・君が代』強制反対ホットライン大阪」の2団体である。「反戦・反失業を闘う釜ヶ崎労働者の会」の仲間も集会に結集した。
会場のエルおおさか南館ホールに闘う労働者が続々と結集し、午後6時30分より集会が開始される。
まず最初に主催者あいさつとして、「『日の丸・君が代』強制反対ホットライン大阪」事務局代表の黒田伊彦氏が発言を行なう。
黒田氏は、今年3月の大阪府教育委員会の「君が代」処分の特徴について「最高裁判決が戒告処分以上は裁量権の逸脱としているのに対して、今回それを超える減給10分の1・1ヵ月の処分が出ている」「『君が代』不起立を理由とした再任用拒否がされている」「卒業式、入学式での『粛々とした厳粛性』のなかにある国家権力は誤らない、国家権力に従うのは当たり前という。その裏に見えるのは天皇制だ。天皇制への拝跪を体をもって強制してくるという状況だ」とした。3月大阪府議会で新教育長に就任した「口元チェック」の中原徹について黒田氏は、「中原は平和教育の根本は国防教育だと言っている。中原は九月までに『口元チェック』の『客観的基準』をつくるとしている。橋下が作ろうとしていた通報制度を再現しようというものだ。まさに密告・監視社会の到来と言わざるをえない」とし、最後に「今年は関東大震災から90年、農民とともに闘った田中正造没後100年です。これらの意志を引き継いでともに闘いましょう」と発言を締めくくった。
黒田氏の主催者あいさつにつづいて、「『日の丸・君が代』強制反対ホットライン大阪」事務局の井前弘幸氏が基調報告を行なう。
井前氏は冒頭、「2011年6月3日に『君が代』起立・斉唱強制条例が強行可決・成立した。2012年3月、大阪府職員基本条例が可決・成立、改憲に近い悪法が制定された。『君が代』斉唱強制条例の目的が当時、橋下大阪府知事が語っていたとおり、教育への政治の介入を禁止している憲法、教育基本法の枠組みそのもの、いわゆる教育の統治機構をひっくり返すというものだった。その体制づくりに具体的に入った。大阪からいよいよ憲法改悪に向かって走り出すということだ。大阪からしかも教育の現場から、憲法や教育基本法を頭から否定していくということに対して、現場から抵抗していこうということで本日集まっている。子どもたちにも問題提起をしていく」とし、「昨年2012年に出された大阪府、大阪市の『起立強制通知』は生きているというのが今年2013年の大阪府教委、大阪市教委の通知だった。これは2003年に出された東京の10・23通達にあたる。東京では10年間にわたって闘いが続けてこられた。私たちも諦めることなく闘いを続けていく」と決意を明らかにした。
「『教育振興基本計画』は、憲法改悪と同じ発想」
井前氏は、「君が代」不起立処分について「昨年2012年との大きな違いは減給1ヵ月の処分が3人に対して出されており2回目以降の累積処分であること、東京で行なわれたことと同じくいわゆる『秩序を乱す者』に対しては一般の戒告処分でなく厳重な処分を行なうとされ、それが現実に行なわれた」とし、また「不起立者ゼロ」演出のため、「不起立」の意志を表明した教職員を卒業式、入学式会場から排除する「職務命令」が出されたことも明らかにした。井前氏は昨年2012年、「君が代」不起立被処分者で大阪府人事委員会不服申立当該が「グループZAZA」を結成して闘ってきたことなど、反撃の闘いが開始されていることもあわせて強調した。
大阪府、大阪市による教育内容への全面的な介入について井前氏は、「大阪市の『教育振興基本計画』の目的では『一人一人の子どもを、個人としての尊厳を重んじ、その意見を尊重するとともに』となっているが、これは支配者が子どもの尊厳を重んじるのではなくて、子どもに他人の尊厳を重んじさせるということを押しつけていくという、憲法改悪と同じ発想が『教育振興基本計画』のなかにあるということだ。子どもたちの思想改造という内容が『教育振興基本計画』に盛り込まれている」「子どもの『いじめ対策』として更生施設をつくり、子どもを監禁するというようなことが行なわれようとしている。これは教育・職員四条例に対応する『評価・育成システム』で教職員を監視し弾圧していくことと同じだ」とした。続けて、安倍政府が「日本維新の会」を凌駕する勢いで、教育の国家支配を最重要政策として推し進めており、その筆頭として「道徳」の教科化すなわち「国家の意に従う規範意識」を教え込んでいくということが憲法改悪の一環として進められているということを広く明らかにしていく必要性が強調された。
井前氏は最後に、「『日の丸』『君が代』強制反対の全国ネットワークを早急に作りたい。そのためにまず大阪での『君が代』不起立処分・再任用拒否撤回のネットワークをまず作りたい。みなさん、ぜひご協力をお願いしたい」と発言し、基調報告を終えた。
弁護団を代表して池田直樹弁護士より、「人事委員会不服申立から訴訟への移行についてこれから検討していかなければならない。訴訟のほうが全体にアピールしやすい。被処分者当該を弁護団は最後まで支えていく」と決意が明らかにされた。
続いて、今年度2013年度から新たに「グループZAZA」(大阪府人事委員会不服申立当該)に加わった4人の被処分当該の教育労働者が発言を行なった。「『日の丸・君が代』強制反対ホットライン大阪」事務局のカンパアピールののち、大阪の学校現場からの報告が行なわれた。
休憩をはさみ、東京から「予防訴訟を引き継ぐ会」の青木氏よりの連帯発言と「グループZAZA」の7人の教育労働者の発言が行なわれ、最後に「『日の丸・君が代』強制反対ホットライン大阪」の伊賀氏より、集会決議案と当面の行動予定について提起が行なわれ、集会を終了した。 |