大間原発の建設を阻止せよ
5月6日、「『有事法制』に反対する宮城県実行委員会」は、青森県大間町で建設中の電源開発(Jパワー)・大間原発の建設を阻止すべく、現地闘争に起ちあがった。
午前9時50分、建設中の大間原発へのデモを闘いとるべく青ヘル部隊が布陣し、「『有事法制』に反対する宮城県実行委員会」が闘争の基調を提起する。午前10時、いよいよ大間原発の工事車両入口ゲートに実力進撃するデモが開始される。「大間原発建設阻止」と書かれた横断幕を先頭に、建ち並ぶ日立や東芝の現場事務所に対してシュプレヒコールをたたきつけながら、デモ隊は工事車両入口ゲートに向け進撃する。大間原発建設が人民の怒りの的になっていることを熟知している電源開発は、「工事関係者以外立ち入り禁止」の看板をデカデカと掲げ、ガードマンを配置して大間原発建設阻止闘争の爆発に身構えている。
午前10時30分、デモ隊は大間原発の工事車両入口ゲートに到着、バリケードで封鎖されているゲート前に陣取り、横断幕を広げ、シュプレヒコールを叩きつける。「大間原発の建設を阻止するぞ」「日帝の核武装を阻止するぞ」「『核燃料サイクル』計画を粉砕するぞ」「全ての原発の廃止をかちとるぞ」「安倍極右政府打倒」。大間原発に肉薄する戦闘的デモを闘い抜き、思う存分怒りのシュプレヒコールをたたきつけたデモ隊はゲートわきの空き地に移動して総括集会を行ない、大間原発建設を阻止すべく現地に連続決起していく決意をうち固め、再度シュプレヒコールを叩きつけて現地闘争を終えていった。
大間原発は2008年5月に着工された。そして2011年3月11日の東北・関東大震災に際して発生した「福島第一原発事故」により、原発の「安全神話」が崩壊するなか、建設工事が中断されてきた。しかし2012年10月1日、電源開発は大間原発の建設を再開したと発表。
2012年の10月といえば、当時の野田政府が「エネルギー・環境戦略(新戦略)」を発表した直後である。「2030年代に原発稼働ゼロを可能にする」とし、原発の新増設を中止する方針と、大間原発新設とは真っ向から対立する。しかし、当時の経産相・枝野は「新戦略」を発表した翌日の9月15日に青森県を訪れ、工事再開を認める意向を明確に示した。大間原発が日帝の原子力政策において「特別の役割」を持つ原発だからだ。
大間原発は、青森県六ヵ所村の再処理工場で作られるプルトニウムとウランの混合酸化物(MOX)燃料集合体を炉心全体に用いることを目的に作られる世界で始めての「フルMOX」方式を採用した原発だ。すでに日帝は、MOX燃料を商用原発で使う「プルサーマル」計画を行なっているが、MOX燃料の比率を三割程度に制限してきた。なぜなら、既存の商用原発でMOX燃料を使うということは「石油ストーブでガソリンを燃やすに等しい無謀な計画」(京大原子炉実験所・小出裕章氏)との指摘があるほど、危険極まりないものだからだ。
しかし「フルMOX炉」は発電量の八割をプルトニウム燃焼に依存する。このため核分裂を抑える制御棒の働きが低下しやすく、事故発生時に原子炉内の圧力上昇が大きくなる傾向がある。「フルMOX炉」は研究炉での試験的な運転も行なわれておらず、その危険性は他の原発の比ではない。過酷事故が起こればその影響は福島第一原発の比ではない。このことを百も承知で安倍極右政府は大間原発の建設を推進しているのだ。大間原発の建設を阻止せよ。
日帝の核武装を阻止せよ
研究炉での試験的な運転も経ておらず、過酷事故を引き起こす可能性が高い「フルMOX炉」の原発建設なぞ、一民間企業の決断でできるものではない。1952年に「国策会社」として設立された電源開発が、初の原発事業として大間原発の建設に乗り出したのは、日帝の強い意志があるからであり、それは大間原発が「核燃料サイクル」計画の破綻を取り繕うための「切り札」となる重要施設だからである。
大間原発の南、下北半島の付け根の六ヵ所村には再処理工場をはじめとする核燃料サイクル施設の建設が進められてきた。再処理工場のほかに、ウラン濃縮工場、低レベル放射性廃棄物埋設センター、高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センターが併設して建設され、さらにMOX燃料加工工場の建設も進められており、「核燃料サイクル」のための一大コンビナートが形成されようとしている。しかし、「もんじゅ」をはじめとする高速増殖炉の実用化の展望がまったく見えず、「原発で出る使用済み核燃料を再処理してプルトニウムを取り出し、MOX燃料に加工して高速増殖炉で使う」というシナリオそのものが成り立たなくなっているのだ。
すでに、日帝が保有するプルトニウムの量は約45トン、5600発の長崎型原爆が作れる量になっている。「高速増殖炉でプルトニウムを燃やす展望がないというのに、こんなに大量のプルトニウムを貯め込んでどうするつもりなのか」「核兵器以外に使い道がないではないか」という内外からの懸念と批判が集中している。「核燃料サイクル」計画を推進するためにはプルトニウムを「平和利用」するというアリバイを作らねばならない。
そこで、大間原発の建設だ。大間原発のプルトニウム消費能力は年間最大1・1トンといわれている。日帝が大間原発建設を推進する目的は「原子力の平和利用」というアリバイを作り、破綻しかけている「核燃料サイクル」計画を継続するためだ。
日帝が「核燃料サイクル」計画に固執するのは、原発を起点とする「核燃料サイクル」の技術と、核兵器製造の技術とが共通しているからだ。核兵器製造のための技術と材料とプラントを開発し、核兵器の材料であるプルトニウムを大量に製造し保有したいからだ。
「原子力の平和利用」の名の下に核兵器開発を進めることは日帝の原子力政策に脈々と受け継がれている。初の原子力予算を成立させた中曽根は防衛庁長官時代の1970年当時、「全く私的な研究」として非公式に防衛庁技官らに核武装について研究させていたことを自伝などで明らかにしている。安倍は2002年に「核兵器や大陸間弾道弾も憲法上問題ではない。小型であればよい」なぞと発言した核武装論者だ。その安倍は今日、橋下、石原とともに改憲への道をひた走っている。「核燃料サイクル」計画を粉砕し、改憲と核武装に突き進む安倍極右政府を打倒する焦点的な闘いとして、大間原発建設阻止闘争を闘っていかなくてはならない。
日帝の原子力政策の延命を許すな
「福島第一原発事故」は、いまだに「収束」していない。原子炉建屋への地下水流入で放射性汚染水は毎日400トン増加し、放射性汚染水が環境へ漏出する事態を幾度も引き起こしている。「福島第一原発事故」の「収束」作業にあたる労働者は被曝労働を強制され、労働者を違法派遣する業者も後を絶たない。
にもかかわらず安倍は中東を歴訪し、トルコやアラブ首長国連邦(UAE)とのあいだで原発輸出のための原子力協定に署名することで合意し、サウジアラビアとも原子力協定締結交渉入りに向けた事務レベル協議を開始することを決めた。トルコに関しては黒海沿岸のシノップ原発建設事業を巡り、三菱重工業と仏アレバの企業連合に優先的な交渉権を与えることなどを盛り込んだ共同宣言に署名している。
自民党は夏の参院選で掲げる公約原案に、「国が責任を持って再稼働を行なう」と明記した。「原子力規制委員会」の「新規制基準」が7月18日までに決定され施行されることから、電力各社は「原子力規制委員会」のお墨付きを得て原発を再稼働せんと、7月再稼働申請へと突き進んでいる。経産相・茂木は、「原子力規制委員会の新規制基準が7月18日に出来あがる。事業者が申請して安全が確認できれば今年の秋に再稼働となる」と発言し、順次原発を再稼働させていくことを表明した。このような中で、福井県の関西電力・高浜原発三号機で使用されるMOX燃料が仏北西部シェルブール港から出航している。
「福島第一原発事故」がいまだに「収束」していないにもかかわらず、原発再稼働と原発の輸出に突き進む安倍極右政府を許してはならない。日帝の原子力政策の延命を許さず、全ての原発の廃止をかちとれ。大間原発の建設阻止の闘いは、日帝の原子力政策の延命を許すのか、それともこれを葬り去るのかの重要な焦点となる。日帝の核武装を阻止し、安倍極右政府を打倒する革命的反戦闘争と一つのものとして、大間原発建設阻止闘争の大爆発をかちとれ。
現場における資本や国家権力との実力攻防にかちきることによってのみ、労働者人民の死活をかけた闘いの展望が切り拓かれる。「非暴力、平和的行動」を「売り物にして」何万を集めようとも、被曝を強制され使い捨てにされる労働者人民の怒りや無念、世界中を戦場にして労働者人民を虐殺する戦争の出撃基地を強制される労働者人民の怒りや無念、日帝の核武装に対する労働者人民の怒りとは無縁であり、事態を一ミリも変えることはできない。
解雇撤回争議を闘う「非正規雇用」労働者は、原発での危険な被曝作業に日雇い労働者や派遣労働者が低賃金と無補償で使い捨てにされていることに対して怒り、闘いを開始している。われわれはこの闘いと結びつき、階級的革命的労働運動の前進で日帝の原子力政策を粉砕しなければならない。原発労働者の決起を組織し、原発の再稼働阻止、大間原発の建設阻止へ向け闘いぬこう。
日帝の原子力政策の延命を許さず、全ての原発の廃止をかちとれ。「核燃料サイクル」計画粉砕。改憲と核武装に突き進む安倍極右政府打倒。大間現地に連続決起し、大間原発建設阻止闘争の爆発をかちとろう。 |