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東北関東大震災被災労働者人民支援大運動を

全国寄せ場・日雇い労働者
3・25対厚生労働省団交、対日本経団連・日本建設業連合会(日建連)追及―弾劾行動が闘われる
(1055号4面)

  3月25日、全国寄せ場交流会が呼びかける寄せ場春闘集中行動が東京で闘いぬかれた。

 2013年春闘では、「連合」傘下の自動車・電機など輸出産業が、資本によるベア・ゼロ攻撃に屈服したままで、「一時金での賃上げ」要求でお茶を濁し、一方、下請け労働者、膨大な「非正規雇用」労働者は賃上げどころか、失業の危機にたたされるという只中で春闘を迎えている。建設業は、2012年度補正予算と2013年度予算を合わせ総額11兆円にのぼる「公共事業」という「バブル」に踊っているが、ゼネコンの現場、特に福島第一原発の「事故」現場や放射能汚染地帯での除染作業では、元請ゼネコンの指揮下で下請け労働者、日雇い労働者が「危険手当」の中抜き、ずさんな安全対策の犠牲になっている。そして、全国の寄せ場ではほとんどの日雇い労働者が恒常的なアブレで野たれ死にの危機に置かれたままだ。

 帝国主義労働運動=「連合」の屈服を踏みしだき、反戦・反合・政府打倒の2013年春闘の一環として、東京・山谷に全国で闘う日雇い労働者の仲間が結集し、全国寄せ場春闘集中行動に起ち上がった。

山谷での総決起集会で春闘集中行動の決意をうち固める

 早朝より山谷の城北労働・福祉センター(センター)前に、赤ハチマキをしめた全国寄せ場の労働者が結集する。山谷の仲間はビラを手にしてセンター前や吉野通りで、寄せ場春闘集中行動を呼びかけるビラ撒きとオルグの行動を展開した。そして、センター前では炊き出しの準備が進められ、朝食を取りながら7時20分から寄せ場春闘集中行動にむけた決起集会を開始する。東京・山谷、大阪・釜ヶ崎、福岡・築港の赤旗を先頭にセンター前の路上は赤ハチマキの労働者でビッシリと埋め尽くされた。

 高齢者特就も終わり、センターの仕事紹介もほとんど皆無というこの日、残っている荒川区の仕事出し=南千住地区の道路清掃の仕事紹介しか期待できない。アブレの中、何とか仕事を求めて集まってきた山谷の仲間たちが全国寄せ場交流会の隊列に熱い視線を注いでいる。この日の道路清掃の仕事が回ってきたある仲間は、仕事開始の8時ギリギリまで、春闘集中行動に参加する仲間たちのために炊き出しの準備と片づけを買って出た。

 日帝国家権力―浅警は、東京・山谷日雇労働組合員に対する都公安条例違反をもっての1・13不当逮捕弾圧を仕掛けるも、仲間の完黙の闘いによって、結局不起訴となった。反革命弾圧の目論見は粉砕されたのだ。しかし、権力はそれ以降も、ビデオ撮影、無届集会への警告プラカードなどをあらかじめ用意して、反革命弾圧の機会を虎視眈々と狙ってきている。3・25の寄せ場春闘の前段集会に対しても、弾圧を策して浅警が「警告」などと敵対を試みてきたが、これらを粉砕し、寄せ場春闘の爆発にむけた戦闘的な集会を貫徹した。

 まずはじめに、全国寄せ場交流会の労働者が春闘集中行動の基調と方針を提起する。建設資本・日建連、厚生労働省、日本経団連に対して突きつけている要求の内容が簡潔に提起される。「ピンハネと劣悪な労働条件、そしてアブレの押しつけに対してゼネコン・建設資本を追及しよう」「福島での下請け・日雇いの労働者に対するピンハネを追及しよう」「厚生労働省に対して失業対策で仕事を出せよう。日雇い・野宿労働者向けの仕事をつくらせよう。『労働者派遣法』を撤廃させよう」「春闘つぶしを許さず賃下げ・首切り、『非正規雇用』労働者を拡大する日本経団連を怒りで包囲しよう」と基調と行動方針が提起された。

 次に、沖縄・首里日雇労働組合の仲間、神奈川県地域連合労働組合から寄せられたメッセージが紹介される。沖縄の仲間は「年度末であるにもかかわらず仕事は増えるどころか減っています」「3月24日には春闘討論会を開催し、全国寄せ場の報告や沖縄のこの1年間の闘いの方針について真剣に討論を交わし交流を深めました」「名護新基地建設阻止の闘いは、この一年大きな山場を迎えます」。神奈川の仲間は、「ベア拒否、定昇凍結を打ち出す日本経団連の春闘破壊を許さず、『非正規雇用』労働者の怒りの闘いと結びつき寄せ場春闘の爆発をかちとっていこう。闘う労働運動の前進を切り拓くべく全国労働組合運動交流会(全労交)の3・17春闘総決起集会には全国の寄せ場労働者も結集しともに成功をかちとった。この地平をさらに拡大し、『連合』、全労連を越える労働運動を創り出そう」。連帯メッセージを全体の拍手で確認し、この日の春闘集中行動にかけつけた東京都地域連合労働組合の仲間の連帯あいさつをうける。東京の仲間は、「越年・越冬の闘い、2・11建国記念の日粉砕の闘いなど山谷の労働者の闘いに連帯し、私たちも闘ってきた。今日の寄せ場春闘集中行動をともに最後まで闘いぬき賃下げ、アブレをはね返していこう」と力強く訴えた。

 最後に、各寄せ場からの決意表明が行なわれ、福岡・築港日雇労働組合、「反戦・反失業を闘う釜ヶ崎労働者の会」、そして東京・山谷日雇労働組合がそれぞれ春闘集中行動を最後まで戦闘的に闘う決意を明らかにしていった。

 前段の集会をうちぬいた全国寄せ場交流会の部隊はマイクロバス、ワゴンに分乗して、春闘集中行動の第一弾として八丁堀の日本建設業団体連合会に向かって山谷を後にした。

アブレと野垂れ死にを押しつけ、福島ではピンハネで利益をあげるゼネコンに怒りが爆発

 日建連が入る東京建設会館前に集結した全国寄せ場交流会の仲間たちは怒りのシュプレヒコールをあげ、直ちに交渉代表団の仲間を送り出していく。

 交渉では、(1)公共工事設計労務単価通りの賃金を支払え(2)日雇雇用保険制度を守れ、下請けに責任を押しつけるな(3)偽装請負・建設現場への派遣労働を撤廃しろ、の要求に沿って日建連を追及していった。福島での除染作業ではゼネコン・前田建設工業が労基署長から抜き打ち検査情報を入手して、現場作業員に危険手当ピンハネの問題を口封じしていた不正工作が明らかになった。労基署をも抱き込みながら、下請け労働者をコキ使い、国から支給されている1日1万円の危険手当すら収奪して恥じないゼネコンに対して交渉では怒りがたたきつけられた。しかし、交渉で対応に出た常務理事・福田は、「前田建設は立派な業者、朝日新聞の報道が本当かどうかわからない」などとうそぶいた。アブレで苦しむ仲間たちが泣く泣く福島第一原発や放射能汚染地区での仕事に出張で就労している現実に対しては、「いやなら仕事を取らなければいい」などと言い放っている。ゼネコン擁護に終始する日建連に対して交渉団の仲間は「重層下請けをなくし、ゼネコンは直接雇用で責任を果たせ」と迫る。それに対して福田は、「下請け次数は三次以内にするよう啓発用のリーフレットを作った」「元請けは下請け労働者を雇用はできない」。「ふざけるな!」。仲間の怒号が日建連を圧倒する。40分にわたる代表団交渉を終えると、外の仲間と合流し、再びシュプレヒコールをあげ、次の行動、厚生労働省交渉に移っていった。

「仕事を出せ、仕事をつくれ」と厚生労働省を追及

  厚生労働省前に集結した全国寄せ場交流会の仲間たちはシュプレヒコールをあげ、30人にものぼる交渉団が選抜され、午前10時からの交渉に臨む。

 交渉では、(1)「公的就労事業」を確立し、国の責任で、失業者に仕事を出せ(2)日雇雇用保険未加入の違法業者を一掃しろ(3)不安定雇用の「労働者派遣法」を撤廃しろ(4)生活扶助費の削減など生活保護制度の改悪をやめろ、と要求して追及していった。厚生労働省は「緊急雇用対策は1年延長して、基金も800億円積み増してやっている」と回答するが、仲間は「その仕事はどれだけアブレている日雇い労働者にまわっているんだ?」と突っ込んで問いただす。すると、「各自治体が地域のニーズを考慮してやっている」と自治体に丸投げしている実態が明らかになった。建設日雇いの労働者や派遣労働者などが失業に苦しんでいるにもかかわらず、厚労省の言う「雇用対策」とは「仕事を探している労働者と人材を求めている企業との仲立ち、マッチングを推進する」だけでしかない。

 また、「『非正規雇用』労働者の拡大、製造業への派遣の拡大が使い捨てにされる労働者を大量に生み出し、その結果が生活保護にしか頼れない失業者を作り出している。これを解決するためには『労働者派遣法』の撤廃しかない」と追及すると、厚労省は「5年以上の継続雇用については使用者に雇用の責任が生ずるように派遣法の規制を強めた」と言う。しかし、これは5年未満の使い捨てを企業に奨励するものでしかない。

 最後の命綱ともいうべき生活保護制度改悪に対しては、交渉に臨んだ多くの仲間の怒りが集中した。これから増税、インフレでますます生活は苦しくなるのに、生活保護費を削られた労働者人民は死ね、ということだ。相変わらず「貧困ビジネス」が横行している中で、生活保護申請の権利を妨害する福祉事務所の対応については司法でも三郷市の敗訴判決で断罪されている。しかし厚労省は、「福祉事務所に対してちゃんと申請を受け付けるように指導している」とまたしても自治体に責任をおしつける発言を行なった。

 団体交渉に臨んだ仲間は活発に意見を役人どもにたたきつけていく。1時間30分にわたる団体交渉で厚生労働省を追及した。交渉代表団の仲間たちは外で抗議・情宣行動を闘う仲間と合流し、再びシュプレヒコールを厚労省にたたきつけると日本経団連弾劾の行動に移っていった。

抗議文を受け取ろうともしない日本経団連に日雇いの仲間の怒りが爆発

 寄せ場春闘集中行動の締めくくりとして、大手町の経団連会館前に集結した仲間たちが日本経団連をぐるりと包囲する。赤旗がはためく下、赤ハチマキとゼッケンで身を固めた仲間たちが会館前歩道を完全に制圧する。ただちに怒りのシュプレヒコールがたたきつけられ、弾劾の闘いが火ぶたを切った。昼休みの時間帯で大手町を行き交う労働者が注目する最中、寄せ場交流会の仲間は用意した「抗議文」を読み上げた。「『日本経団連労働政策委員会報告(経労委報告)』では『六重苦』のため『適正な総額人件費を管理』をとして賃下げの号令を発している。また『TPP参加』、原発再稼働・増新設を安倍政府に要求している」「この間、日本企業は215兆円もの現預金をためこんでいるにもかかわらず、1997年以降、労働者への賃下げを強行し、『非正規雇用』労働者を低賃金で使い捨てにしてきた」「おれたち全国の寄せ場労働者、野宿労働者は自らの生存をかけて、全国5000万労働者の先頭に立ち『仕事をよこせ』『生活できる賃金よこせ』の怒りの声を日本経団連に叩きつける」。

 抗議文を読み上げて、代表の仲間が抗議文を持って会館正面玄関に赴くとガードマンが立ちはだかり、入れさせまいとの対応だ。「経団連に取り次げ。職員を出せ」と要求するが、ガードマンは「申し入れは郵送でお願いしています」なぞと言って取り次ぎすらしない。このガードマンの対応に対して、全国の仲間たちが怒りの大波となって正面玄関に押し寄せた。

 全国寄せ場交流会の仲間は、「日本経団連は出てこい」「抗議文を受け取れ」とコールを繰り返した。そしてあらためて、「春闘破壊を許さないぞ」「安倍極右政府を労働者の闘いで打倒するぞ」「アブレ、野垂れ死にやり返すぞ」と怒りをシュプレヒコールにこめてたたきつけた。

 寄せ場春闘集中行動の全行程をやりぬいた部隊は経団連会館の近隣にある公園に移動し、集約の集会をもった。仲間が、「三つの集中行動をやりぬいた団結の力で、さらに各地区・各寄せ場での業者・手配師に対する春闘要求行動、対行政の『仕事よこせ』の闘いにただちに起ち上がろう」と集約提起を行ない、締めくくりに「反戦・反失業を闘う釜ヶ崎労働者の会」の仲間の音頭で「団結ガンバロー」を三唱しこの日の闘いを終えていった。

3・24沖日労が春闘討論会を開催 〈沖縄〉

 3月24日、沖縄・首里日雇労働組合が「春闘討論会」を開催した。この日は生憎の雨であったが、日頃からともに闘う仲間たちが集まり、さまざまな課題を共有し合った。

 はじめに、組合の仲間より「明日25日は『全国寄せ場交流会』による『対厚生労働省団交と対日本経団連・日建連追及―弾劾行動』が闘われる。沖縄でもこの取り組みに連帯し、本日の春闘討論会を開催する。討論に集中し、課題を共有し、明日からの闘いに備えよう」との提起をうけ、討論会に入っていった。

 まず、全国の各寄せ場からの報告だ。

 「全国寄せ場交流会」が全国寄せ場労働者の要求として掲げる「日雇い雇用保険未加入の違法業者を一掃するよう要求する」「不安定雇用で労働者の生活を破壊する『労働者派遣法』を撤廃しろ」「生活扶助費の削減など生活保護制度の改悪をやめろ」という3つの項目が順次説明され、全体で確認される。

 「反戦・反失業を闘う釜ヶ崎労働者の会」より寄せられた「春闘要求書」に関連して討論が行なわれる。その具体的な要求項目に沿って、仲間が首里寄せ場の状況について意見を出しあった。「残業代が25パーセント増しという実態はまったくない。ある業者は賃金も安いうえ残業代も安い」「現場によっては年齢制限があるというのを聞いている」「アスベストがあるような劣悪な現場の場合、業者は事前に説明せずに労働者を連れていく」「『雇い入れ通知書』はまったくない」など、具体的な業者名もあげて寄せ場の厳しい状況が報告される。さらに、「年度末調整の期間であるにもかかわらず仕事が少ない。4月〜5月はさらに仕事が減るのではないか」という意見も出た。実際に年明け以降、急激に仕事に就けなくなった仲間も多く、生きぬくために互いに協力していくことを確認し合った。

 福岡・築港日雇労働組合から寄せられた福岡市に提出した「要望書」に沿って討論が進められる。行政の窓口で生活保護申請を受け付けなかったことが問題となった判決について説明が加えられた。組合の仲間は、「われわれは仕事をして生活していくことを追求する。そのうえで生活保護申請が必要となった場合にはいつでも相談して欲しい。行政の不当な対応を許してはならない」と呼びかけた。

 つづいて、沖縄の状況の報告だ。

 昨年組合として対処した労災事案について、具体的な経過が報告され今後につなげる課題を明らかにする報告をはじめ多くの報告がなされた。すべての報告の後に、組合の闘う方針が提起される。第1に「組合の仲間を増やすこと」。第2に「普天間基地解体・名護新基地建設阻止を精力的に取り組むこと」。第3に「全国で闘う労働者と連帯して闘いを推進すること」。以上3点が簡潔に提起された。結集した仲間からは、「闘うことで組合の輪が拡がり、そのことが結果として一人ひとりの抱える困難を解決する力となる。闘うことで道が切り拓ける」「辺野古『埋立申請』が強行された。安倍政府は今後も厳しく迫ってくるだろう。この1年間を『正念場』としてがんばろう」「安倍政府は4月28日を『主権回復の日』と言うが、沖縄にとっては日米合意のもと軍事支配下に叩き込まれた日だ。安倍は、未来永劫沖縄に基地を押しつけようとしている。4・28沖縄人民解放闘争に起ちあがろう」と意見が提起された。

 最後に、沖日労の仲間が「本日の討論会を弾みとして、互いの交流も深めあいながら4月から5月の激闘を断固として推進していこう」と締めくくり、「春闘討論会」を終えていった。