会場前で情宣決起
2月20日、午後6時30分より、台東区民会館・ホールにおいて、狭山東京実行委員会主催による「狭山事件の再審を求める東京集会」が開催された。
午後5時半、反戦・全学連の部隊は、台東区民会館正面入り口前に登場し青ヘルメット、ゼッケンに身を固め、横断幕を掲げ情宣を開始する。
会場周辺は浅草寺の直近とあって観光客が多く、また帰宅を急ぐ労働者、買い物帰りの住民が慌しく行きかう。われわれは労働者大衆に向けビラを手渡していく。午後6時に正面入口が閉まってからは右横の入口へと移動しビラまきを続ける。この頃から集会へと結集する部落青年・大衆が次々と結集してくる。「狭山差別裁判を糾弾しよう」「第三次再審闘争に勝利しよう」「石川氏の無実をかちとろう」「石川氏と共に闘おう」と声をかけビラを手渡す。ビラを見ながら横断幕を見上げ通り過ぎる労働者、「御苦労さまです」とビラを受けとり会場に向かう参加者など次々とビラが手渡されていった。六時過ぎには石川氏が到着しわれわれのビラを受けとり、にこやかな笑顔で会場へと向かっていった。われわれは私服公安どもを寄せ付けず、最後まで情宣を貫徹して集会へと合流していった。
石川氏が闘う決意を表明 午後6時30分、司会があいさつにたち集会が開始される。最初に、狭山東京実行委員会・長谷川議長より主催者あいさつが行なわれた。「この狭山事件の前、『芳展ちゃん事件』が起こり国家権力は犯人を取り逃がした。そして、狭山事件でも犯人を取り逃し大失態を演じた。国家公安委員長は『警察の威信にかけて解決する』と国会で答弁し、焦った埼玉県警は任意の取調べを受けた関係者に自殺されるという取り返しのつかない事態を起こした。国家公安委員長はその時『死んだ犯人に用は無い。生きた犯人を捕まえる』と言い放った。ようするに誰が犯人かは関係ないというだ。『威信』だけを取り繕うための権力犯罪であり、絶対に許すことはできない」「再審を開始させ無罪をかちとる、そういう運動を私たちが作っていかなければならない。5月23日、5000人を上回る結集でこの闘いを作り上げていきたい。ぜひとも皆さんのお力で再審・無罪をかちとろう」。
続いて、石川氏の登場だ。会場からは大声援と拍手が捲き起こり、石川氏がマイクの前に起つ。石川氏は、多くの支援の結集に感謝の意を述べたあと、徳島で健康を害してご心配おかけしましたと詫び、18年1度も食べなかった昼食を食べしゃっくりが今も止まらないと笑いながら元気であることを示した。そして、裁判長・小川が交代したことを今朝の朝刊で知り「大変期待していただけに残念。司法が、小川裁判長の下では石川一雄は無罪になってしまうのではないかと懸念し異動してしまったのではないかと思う。しかしながらどのような裁判官が次に来ようと、弁護士がよく言うように証拠の力でもって私たちは司法に迫っていこうとそのような決意でおります」「何としても今年中に決着をつけるべく、不屈の精神で闘っていきたいと思う。ぜひとも大きな風を吹かしていただきたく心からお願いしたい」と大きな山場を迎えた第三次再審闘争への不退転の決意を明らかにし、激を飛ばした。石川氏のこの決意にわれわれは何としても応えていかなければならない。
弁護団より証拠開示の報告
集会基調が読み上げられる。「狭山事件から50年の今年は大きな山場。年末の総選挙で保守右派勢力が圧勝し、反動政権が誕生した。人権問題や再審要求運動にも激しい反動がくるかも知れない。再審実現に向け最大の焦点は『事実調べ』であり、裁判所に新証拠の『事実調べ』を迫り、再審にむけた流れを作ろう」。
中山主任弁護人より弁護団報告が行なわれる。中山弁護人は自身の弁護士の原点として狭山事件があること、共に50年歩んできたとしたうえで、狭山闘争を大きな運動にしていかなければならないと訴えた。「小川裁判長の交代は今日聞いたことだが、『三者協議』は門野から引き継がれてきたもので流れを変えることはできない」「事実調べをするかどうかの段階に入っている。弁護団も時計のバンドの新証拠を提出し、検察が反論の鑑定書を、弁護団も反論の鑑定書に対する反論、新証拠など四月末から5月に提出していく。まだ重要な証拠が残っている可能性が高い。開示された証拠の欠番について検察側が隠し持っている証拠を追及していく。次回、検察側がどう対応してくるかがカギ」「1月30日の『三者協議』は一九通の開示がなされた。大事な証拠も含まれている。検察官は交代しているため、証拠をあまり吟味しないで提出している。大きな手がかりの証拠が出された」「手拭いについての捜査報告書、時計の捜査図面、事件当日の被害者宅近辺での目撃証言など『秘密の暴露』について重要な証拠が提出されている」「脅迫状の『少時』と『様』について浮世絵など顔料で年代を確定する研究をしている鑑定家に鑑定を依頼したいと裁判所に求めている」「非常に大切な段階に来ている。弁護団は証拠開示と事実調べを迫り再審開始に向け全員が全力で取り組んでいる。ぜひ皆さんと最後まで頑張っていきたい」。
連帯あいさつとして「東電OL事件・無実のゴビンダさんを支援する会」から、昨年11月7日、ゴビンダさんの事件が戦後の重大事件で8番目という再審無罪をかちとったこと、なお残る問題として権力・検察は検証の必要性さえ認めず裁判所も誤認原因に触れようとしないことなどこの間の経過報告を行なった。そして、再審開始の鍵となる証拠開示の重要性と検察側の証拠開示が「検察側の判断」に委ねられ証拠隠しが常態化していることの問題を指摘した。狭山事件においても今後の証拠開示が非常に重要であるとし、「無実の石川氏が再審開始決定をかちとることを信じている。再審無罪をかちとれば、この後の事件に大きく門戸を開くことになる」とした。
第三次再審勝利に向け「団結ガンバロー」
結集した各支部から報告を受ける。江東地区共闘会議、品川地区と三多摩地区からそれぞれ狭山事件の再審に向けた情宣などの取り組みが報告され、司法の反動化を許さず1日も早い石川氏の再審無罪をかちとろうとの訴えが行なわれた。続いて、集会決議案と集会スローガン案が読み上げられ、全体の拍手で確認された。司会より閉会のあいさつと集会参加者が297人と例年にない多くの参加があったことが報告され、狭山東京実行委員会議長の音頭で「再審開始と無罪をかちとるまで団結してガンバロー」と力強い会場全体の「団結ガンバロー」で集会が締めくくられた。集会後、会場ドアの外で石川氏が参加者1人1人と握手を交わしている。「必ず再審かちとりましょう」と声をかけると石川氏はうれしそうに「ありがとう」と固い握手を返してくれた。石川氏と仲間全員が握手を交わし、互いに闘いに向けた決意を確認しあい会場を後にした。
狭山―第三次再審闘争は事件から50年、請求から今年の5月23日で丸7年を迎える。5月には次回第13回「三者協議」も予定されている。まさに第三次再審闘争の山場を迎えることになる。この重要な年にこそ、さらに気力を充実させ不屈に闘いぬいている石川氏の決意に応えきっていかなければならない。石川氏の無実は明らかであり、裁かれるべきは司法―国家権力なのだ。検察に対して証拠開示を迫り、裁判所に事実調べを迫る実力闘争・武装闘争を叩きつけていこう。弁護団の準備する新証拠をも武器としながら、第三次再審闘争の勝利から狭山闘争の勝利へと一気に攻め上ろう。部落解放運動の革命的飛躍・前進をかちとろう。
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