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東北関東大震災被災労働者人民支援大運動を

不当判決徹底弾劾! 名護新基地建設阻止!
2・20辺野古・違法アセス訴訟判決公判を闘う(1051号1面)

 2月20日、「辺野古・違法アセス訴訟団」と「ヘリ基地反対協」が先頭に立って闘いぬいてきた同訴訟の判決公判が行なわれた。裁判長・酒井は住民の訴えをことごとく却下する許しがたい判決を下した。判決後の事後集会では悔しさと怒りが渦巻いた。原告団長である「ヘリ基地反対協」の安次富浩氏は、「とにかく反動判決。怒り心頭だ」、弁護団長の三宅俊司氏は「まったく中身に踏み込まず、形式的な判決だ」と怒りを吐露した。

 われわれは2・20不当判決を徹底弾劾し、名護新基地建設阻止の完全勝利をかちとるまで断固闘いぬく決意である。

辺野古・違法アセス訴訟の経過

 闘う沖縄労働者人民は、2009年8月、「環境影響評価」(アセスメント)手続きのやり直しを求める辺野古・違法アセス訴訟(原告団622人)を提訴した。

 2004年四月から約1年半にわたる辺野古現地の実力阻止闘争を受けて海上基地建設計画の破綻をつきつけられた日・米両政府は、2005から2006年にかけて2本のV字型滑走路をもつ新基地を「辺野古岬とこれに隣接する大浦湾と辺野古湾の水域を結ぶ形で設置」するとし「2014年までの完成」をうち出した。これをもって、名護新基地建設に向けた環境アセス手続きが本格的に開始された。

 2007年5月、政府―防衛省は掃海母艦「ぶんご」を投入し環境アセス手続き前の違法な事前調査(「環境現況調査」)を強行した。同年8月、「県」に環境アセスの「方法書」を提出。それは事業内容がわずか6ページというまったくデタラメな代物だった。さらに、2008年1月から3月にかけて環境アセスの「追加・修正資料」などを提出し、その中で一方的に新基地の機能強化を盛り込んだ。この「追加・修正資料」は「住民意見」すら出させないという極めて不当な手続きとして処理された。2008年3月よりずさんな環境アセス調査に踏み切り約1年間の調査を経て、2009年4月に5400ページに達する環境アセスの「準備書」を提出した。政府案を「事業実施区域周辺に及ぼす影響は総じて少ない」と決めつけるなどデタラメな内容だった。その後も辺野古の海では違法な事後調査が連日のように実施された。

 2011年12月末、防衛省は環境アセスの「評価書」を提出した。これには提出阻止を掲げて闘いぬく沖縄労働者人民の抵抗を逃れようとデタラメ極まりない手法がとられた。まず民間運用業者に秘密裏に運ばせ、それが阻止されるや今度は早朝4時に沖縄防衛局長・真部(当時)自ら陣頭指揮を執って、闘うメンバーを突き飛ばして「県」庁舎の守衛室に段ボール箱を投げ入れたのだ。しかも焦って事をなしたため、提出資料が不足していたという有様だった。「住民意見」のできない「評価書」で初めてオスプレイが記載された。

 この「評価書」を受理した「県」は579件の「知事意見」を出している。これを受けて2012年12月、環境アセスの「修正評価書」が提出された。沖縄防衛局は提出のわずか5分前に電話連絡し、こっそり「県」庁舎に入るというまたも悪辣な手法を用いた。「修正補正書」の内容は「知事意見」への回答とは到底言えない代物だった。これが「最低でも県外」と幻想を煽って「政権交代」を果たした民主党主導の政府がなした最後の仕事であった。安倍・自民党は工事着工に向けて「公有水面埋立申請」提出時期のタイミングをはかっている。

 辺野古・違法アセス訴訟を闘う沖縄労働者人民は、何よりもまず闘争現場とともにあることを第一に掲げ闘った。毎回の公判闘争には数十名が結集し事前集会を開催した。弁護団は40人以上で結成され、数多くの専門家が証人を引き受けた。最大の山場は、2012年3月に防衛研究所所長・高見澤将林を証人尋問に引きずり出した時だ。高見澤は1996年当時、防衛施設庁(現在は防衛省)の防衛政策局長として対米交渉を担当し、オスプレイの沖縄配備の隠蔽を図った張本人である。「守秘義務」を振りかざして証言を拒否する高見澤を徹底的に弾劾し追及した。攻勢的な裁判闘争と法廷内外を貫く闘いで、国家権力のウソとデタラメな環境アセスを満天下に暴露したのである。

 初公判から21回の公判を経て、同年7月18日、同訴訟は結審した。

二・二〇判決公判闘争に一〇〇人以上が結集

 午後1時、那覇地裁前広場において事前集会が開催された。辺野古、普天間、高江で闘うメンバーら100人以上が結集した。

 開会あいさつでマイクを握った安次富氏は、「アセス調査は『方法書』段階からデタラメ。どんな基地が造られるか明示されていない。『準備書』も具体的な内容が伴っていない。とりわけオスプレイ配備について『方法書』『準備書』段階では何も書かれていない。『評価書』で初めて記載された」、「裁判では高見澤を証人に立て、弁護団がデタラメさを追及した。裁判官に現地調査もさせた」、「判決には期待と複雑な思いがある。どんな判決であろうと辺野古に基地は造らせない」とし、「辺野古は名護市民の問題から沖縄全体の問題となり、今や全国の問題となった。しかし、政府は3月にも『埋立申請』を出すとしている。絶対に許せない。16年の闘いで簡単に移設できないという状況をつくってきたのはわれわれの闘いだ」と闘う決意を熱く訴えた。

 弁護団の発言に続いて支援団体・個人から発言を受けていく。「沖縄平和市民連絡会」の城間勝氏は、「沖縄県民はアセスがどこまでも違法でデタラメだと見抜いている。基地建設を許さない闘いを裁判所にぶつけていこう。裁判所が問われている」と突きつけた。同訴訟で原告側証人として闘った仲間も駆けつけた。環境学の専門家である沖大教授・桜井国俊氏は、「もしこのアセスが違法でないなら、環境アセス法の精神が死ぬことになる」、「未来の世代に責任がある。最後の勝利まで闘う責任がある」と述べた。「沖縄平和市民連絡会」の真喜志好一氏は、「『埋立面積は変わらないからアセスのやり直しは必要ない』と国は言うが、裁判長は中身に踏み込んだ判決を出すべきだ」と訴えた。

 原告団の請求の骨子は①「方法書」作成やり直し義務があることの確認②「準備書」作成やり直し義務があることの確認③追加修正部分についてやり直し義務があることの確認④意見陳述の機会を奪われたことに対する国家賠償である。①~③ではアセス手続きそのものが「環境影響評価法」に違反することを訴え、④は「住民意見」を「意見陳述の権利ないし法的に保護された利益」と位置づけ、その「侵害」を訴えたものである。地裁判決は、アセス手続きについて「確認の利益を欠いて不適法」として却下し、「意見陳述権」については「事業者に対し、住民意見の扱いに係る公法上の義務を課しているものにすぎない」「環境保全という公益目的のため、事業者に情報収集の手続を課したものにすぎない」「住民意見を提出すること自体を主観的な権利利益として保護しているものではない」などと切り捨て、賠償請求を棄却した。那覇地裁は国側が主張した「不適法」という主張を丸飲みしたのである。まさにデタラメの上塗りである。

 公判をはさんで夕方6時より八汐荘(那覇)で、報告集会が開催された。安次富浩氏は「入り口段階で却下した。この3ヵ年の闘いは何だったのか」と悔しさをにじませ、「新基地を建設させない、オスプレイを配備させない」と訴えた。三宅俊司氏は「環境アセスについて民意が反映しないのは承服できない」、「裁判所が国と同じ立場に立ってしまった」と述べた。弁護団事務局長は「そもそも国による環境アセスは代替基地ありきで行なわれている」、「〝門前払い〟という不当な判決だ」と語った。後日、原告団と弁護団は控訴を決定している。

 会場からも質問が出され、「『準備書』では5000通を超える意見書が出たにもかかわらず、裁判所はこれを無視した」、「住民の意見や意思をまったく聴かない裁判所は潰してしまったほうがいい」、「ハワイでは遺跡のために訓練を中止したのに、沖縄ではどうなっているのか」など、政府と裁判所を弾劾する声が湧きあがった。

 政府は安倍訪米前に「3月『埋立申請』」をリークした。これに対し知事・仲井真は「政府がどう考えているか、事前にいちいちチェックする性格のものでもない」と応じている。われわれはオスプレイ配備阻止・普天間基地解体をめざし闘ったゲート封鎖の地平を拡大・発展させ、普天間基地解体・名護新基地建設阻止を実力闘争としてかちとるために奮闘する。青年労働者・学生の闘う隊列を組織する。「埋立申請」阻止、名護新基地建設阻止へ。沖縄―日本「本土」貫く闘いで安倍極右政府を打倒しよう。